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第1作 「男はつらいよ」
■寅、生まれ故郷に舞い戻る
「桜が、咲いております。懐かしい、葛飾の桜が今年も咲いております。思い起こせば20年前、つまらねぇ事でおやじと大喧嘩。頭を血の出る程ぶん殴られて、そのままプイッとウチをおん出てもう一生帰らねぇ覚悟でおりましたものの、花の咲く頃になると決まって思い出すのは故郷の事・・・。ガキの時分、鼻ったれ仲間を相手に暴れ回った水元公園や、江戸川の土手や、帝釈様の境内でございました。風の便りに両親も秀才の兄貴も死んじまって、今たった一人の妹だけが生きてる事は知っておりましたが、どうしても帰る気になれず、今日の今日までこうしてご無沙汰にうち過ぎてしまいましたが、今こうして江戸川の土手に立って生まれ故郷を眺めておりますと、何やらこの胸の奥がぽっぽと火照ってくる様な気が致します。そうです、わたくしの故郷と申しますのは、東京、葛飾の柴又でございます」
【解説】
「男はつらいよ」第1作の冒頭で流れる寅さんのナレーションです。このナレーションは桜が満開のシーンで流れ、続けて柴又界隈がモノクロで出てきます。昔を懐かしむ場面としては完璧なシチュエーションです。
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■笑えるセリフ
「車 櫻(くるま さくら)なんて書きますてぇとね、誰も名前だと思わないんですよ。ほう、"車櫻"(クルマザクラ)なんてのはあるのかい?、なんてね。いやこの『櫻』って字が結構面白うございましてね、木へんに貝二つでしょ、それに女ですから『二階の女は気にかかる』と、こう読めるんですよ、面白いでしょ? しかし漢字ってのは面白うございますねぇ。しかばねに水と書いて『尿』、つまりションベンだ。しかばねに米と書いて『屎』、つまりクソですよね。で、あっしが変だなぁと思うのはね、しかばねに比2つ書いてこれがなんと『屁』なんだよ『屁』。どうして比が『屁』か、つまりオナラはピーッて洒落かなぁって思って、ハッハハハー!(本人大爆笑)」
【解説】
二日酔いのおいちゃんの代わりに妹さくらのお見合いに出席した寅さん。酒が入るにつれ次第に本性が出てしまい、ついついこの様な話しをしてしまった。この話しの直後にお見合い相手の母親が怒って退席してしまい、結局お見合いは大失敗に終わった。
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■番外篇 - 博、涙のセリフ
「僕の部屋から、櫻さんの部屋の窓が見えるんだ。朝、目を醒まして見てるとね、あなたがカーテンを開けてあくびをしたり、布団を片付けたり、日曜日なんか楽しそうに歌を唄ったり、冬の夜、本を読みながら泣いてたり・・・。工場に来てから三年間、毎朝あなたに会えるのが楽しみで、考えてみれば、それだけが楽しみでこの三年間を・・・。僕は出て行きますけど、櫻さん、幸せになって下さい、さようなら・・・」
【解説】
櫻に惚れてる博。その気持ちを櫻に伝えてもらう様に寅さんに頼んだ。しかし寅さんは櫻にきちんと話をせず、結果は全然ダメだったと博に返答してしまった。それを聞いた博がショックのあまり印刷工場を出て行く決心をし、最後に涙ながらに櫻に言ったセリフ。しかしこの事件をきっかけに2人は結婚する事となった。
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第2作 「続・男はつらいよ」
■考え過ぎなセリフ
「茶の一杯が二杯になり三杯になる。だんごが出るか、また茶を飲むか、その内酒になるじゃないか。俺は一杯や二杯じゃ済まねぇぜ。気がついた頃にはお銚子がずらっと並ぶんだ。さぁ、もう腰が立たねぇや。いっその事泊まっていくか。カラスかーと泣いて朝になる。『おはよう! またお茶を下さい』、二杯になり三杯になる。だんごが出るか、酒を飲むよ。どうする? 俺ぁ旅に行けなくなるじゃねぇか」
【解説】
旅から帰ってきた寅さんを迎い入れようとするおいちゃん達。しかし、寅さんは旅の途中だからすぐにまた出て行くという。そんな事を言わずに中に入ってと言う家族に対して寅さんが言ったセリフ。
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■啖呵売の口上
「角は一流のデパートで下さい頂戴で頂きますと700が600、500は下らない品物。今日はそれだけ下さいとは言いません! ねっ、浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)じゃないが腹切ったつもりで負けちゃおうこれ、どうです? 500が300、200が50、えいっ、貧乏人の行列だ! 持ってけこの乞食野郎ちきしょう!」
【解説】
久しぶりにいい物を食べたせいで胃ケイレンを起こして入院した寅さん。入院先の病院で調子に乗って入院患者達に啖呵売を披露して見せる。
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■占い師、寅次郎
「天に軌道がある如く、人それぞれに運命を持って生まれ合わせております。とかく子(ネ)の干支の方は終わり晩年が色情的関係において良くない。丙午(ヒノエウマ)の女は家に不幸をもたらす。未(ヒツジ)の女は角にも立たすなというが、そこの若いお方、あなたの生まれ年は?(サクラ役の源公が『昭和25年です』と答える)。25年はカノエの寅。この干支の方は両親の縁薄く幼少より苦労する人が多いという干支であります。あなた眉と眉の間に陰りがありますな。あなた両親がいないね?(源公が『ほんまや!』と答える)。この干支の方はどことなく気品があり、そして頭が良いのが特徴とされております。たまたまそうでない場合もあります。(周りの客が源公を見て笑う)。当たるも八ケ当たらぬも八ケ、人の運命などというものは誰にもわからない。そこに人生の悩みがあります。奥様、先程よりあなたは顔だけこちらを向いて足と体が向こうを向いております。という事はこれから用をしに行かなければならないが、わたくしの話しが気にかかります。何故かというとあなたの心に悩みがあるからです。ね、さて皆さん、こうやってここで話しをしておりますチョンガーの身の上のこのわたくしも、いついかなる時絶世の美人とバッタリ出会うという事も・・・」
【解説】
占いのバイをする時の口上。この時は京都でバイをしている時に寅さんが『絶世の美人』と言ったところでマドンナと偶然再会する。
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■インテリを嫌うセリフ
「おっ、てめぇさしずめインテリだな!」
【解説】
インテリが大嫌いな寅さん。入院先の病院の医者に言ったセリフ。
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■寅次郎、男泣きのセリフ
「さくら、心配するなよ。別に、どうって事ぁねぇんだ、俺ぁ慣れてるしよ。先生の葬式も一応取り仕切ったし、これで、ちったぁ先生の恩返しもできたろうよ。後の事ぁよ、別にどうって事ぁねぇんだよ。顔で笑って心で泣いてってよ、そこが渡世人のつれぇところよ・・・。(男泣き)」
【解説】
恩師の先生が亡くなり先生の娘に惚れてる寅さんが葬式で奮闘努力する。しかし葬式の途中で娘が隠れて男の胸で泣いているところを見てしまい、ショックを受ける寅さん。とらやに帰ってきて二階の部屋で泣きながらさくらに言ったセリフ。
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第3作 「フーテンの寅」
■ちょっと前向きなセリフ
「そりゃあ、正直言って、もう若かぁねぇさ。旅から旅へのしがねぇ暮らしの明け暮れ。田舎の商人宿(あきんどやど)の煎餅布団にくるまって天井のふし穴眺めてよ、ああ、俺もそろそろ所帯を持って、落ち着く所に落ち着かなきゃいけねぇかなぁ、なんてね。こう思う事が、ねぇでもねぇがねぇ」
【解説】
旅から帰ってきた寅さんに、そろそろ落ち着くように勧めるおいちゃん。それに答えた寅さんのセリフ。
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■女房観のセリフ
「まぁ、しいて言えばさ、気立てが優しいって事ぐれぇかなぁ。別に執りたててねぇけどもねぇ、まぁ、寝坊の女はいけねぇなぁ。朝こっちがパチッと目が覚めて起きてもよ、隣でもってパカッと大口あけてイビキかいて寝てられたんじゃこりゃたまらねぇからねぇ。それともう一つ、朝起きて亭主に冷っけぇ水でツラ洗わせるの、これぁ良くねぇな。ちゃぁんと、暖けぇお湯が沸いてるという具合にしなきゃいけねぇ。まぁ、贅沢言っちゃあ切りがないよ。だけどね、男は一旦敷居またいで表へ出りゃ七人の敵があるって言うくらいのもんだからなぁ。汗水垂らして苦労して稼いで帰ってくるんだからさ、女房としちゃぁやっぱりスッと化粧して三つ指の一つもついて、『御帰りなさいませ、お疲れ様でしたでしょ?』、ぐれぇの事はちょっと言ってもらいたいよねぇ。亭主が帰ってくる、風呂が先が酒が先か、スッとツラ見てわかる様じゃなきゃダメなんだよ、ねぇ。それからもう一つ。酒、こりゃ難しいよ。酒は人肌、熱くもなしヌルくもなしってね。燗のつけ過ぎでさ、こうやって注ぐだろ、ここんとこまで持ってくる、目にツーンとアンモニアみてぇになっちゃうぐれぇ燗する様じゃぁ女房として落第なんだよ。亭主が最後の一滴を杯に受けてチュッとやる、これをちゃぶ台に置くか置かねぇかにスッと入れ違いに人肌のヤツがもう一本出てくる。ここら辺の呼吸をうまぁく飲み込んでもらわねぇと気分良く酔えねぇよなぁ。横になりたいなぁと思う時にはさ、スッと枕が出てくるんだ。ま、他に特別、注文っていうのはないねぇ」
【解説】
見合いの前日、おいちゃんからどんな女が好きかと聞かれた時に出たセリフ。
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■インテリを分析したセリフ
「尻っぺたの青いインテリが、とかくかかりがちな"イロノーゼ"っていうヤツですね。つまり、色気っていうものは頭に昇ってくるんで、それで"イロノーゼ"です。これはすぐ治るんじゃないですか。インテリというのは自分で考え過ぎますからね、その内、『俺は何を考えていたんだろう?』ってわかんなくなってくる訳なんです。つまりこの、テレビの裏っ方で言いますと、配線がガチャガチャに混み入ってる訳なんですよね。そういう点、わたくしなんかは線が一本だけですから、まぁ、言ってみりゃぁ空っぽと言いましょうか、叩けばコ〜ンと澄んだ音がします。殴ってみましょうか?」
【解説】
マドンナから若い弟の事を相談された時に寅さんが言ったセリフ。
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■別れのセリフ
「何もおっしゃらずに、寅の別れの一言を聞いてやっておくんなさい。いえ、何もおっしゃらずに・・・。色々と考えてはきましたが、いざここへ来てみるってぇと、もう胸が一杯で何も言えません。この一ヵ月、寅は、寅は幸せもんでございました・・・。ただその一言が言いたくて、人目を忍んでこうやって参ったのです。もし十年二十年経って、雪の降る寒い夜、寝つかれぬままに昔の事をお思いになる様な事がございましたら、その昔、湯の山に寅という馬鹿な男が居たっけなぁ、とでもお思いになって下さい。ご免なすって!」
【解説】
襖向こうのマドンナへの別れの言葉。しかしマドンナはそこには居ない・・・。
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第4作 「新・男はつらいよ」
■望郷のナレーション
「梅の花が咲いております。どこからともなく聞こえてくる谷川のせせらぎの音も、何か春近きを思わせる今日この頃でございます。旅から旅へのしがない渡世のわたくしどもが、粋がってオーバーも着ずに歩いちゃおりますが、本当のところ、あの春を待ちわびて鳴く小鳥の様に、暖かい陽ざしのさす季節を恋焦がれているのでございます。私の故郷にも、血を分けた妹と伯父夫婦が私の事を案じながら暮らしております。毎年、春が近づくたびに、できる事なら暖っけぇチャンチャンコの一枚も買って帰って喜ばしてやりたいと思うのでございますがね。それがなかなか、思うにまかせぬつらさでございます。全くの話、銭があれば、銭さえあれば、私は今すぐにでも土産を買い込んで故郷へ帰りたいのでございます。さようでございます、私の故郷と申しますのは、東京、葛飾の柴又なのでございます」
【解説】
冒頭で流れる寅さんのナレーション。第1作を思い出させる様なセリフではあるが、バックの絵の雰囲気は1作とは全く違う。寅さんが峠茶屋の様な店で休憩しているところに店の婆さんに孫からハガキが届く。目の悪い婆さんが郵便配達員にハガキを読んでもらうと、故郷や肉親を想う孫の気持ちのこもった内容であった。このナレーションはそのシーンと連動されている。
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■寅激怒 − おいちゃん思いなセリフ
「てめぇの為によ、神様に眼かけて三日三晩好きな酒も絶って一世一代の大バクチ打ってよ、儲けた金のどこが悪いんだ!」
【解説】
競馬で稼いだのはおいちゃんとおばちゃんの為だと言う寅さん。しかしおいちゃん達はそんな金なら欲しくないと言う。そこで怒った寅さんが言ったセリフ。
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■ちょっといじけたセリフ
「遠い旅の空でよ、辛い時、悲しい時、故郷の事を想ってよ、俺にゃあどんな時でも帰る所がある、優しく迎えてくれる人が待っている、それを心の張りにしていたのによ。そうか、俺にゃあ帰る所もないんだねぇ・・・」
【解説】
旅から帰ってくると自分の部屋が貸し部屋になっていた。事情も良く理解せずにちょっといじけて言ったセリフ。
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■繊細なセリフ
「道々、気をつけていらして下さい。世間には悪い男が多ございますから」
【解説】
マドンナに対しては極端に繊細な寅さん。
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■驚きを表現するセリフ
「へえぇ、こりゃぁ驚き桃の木サンショの木、ブルキにタヌキに蓄音機だ!」
【解説】
とらやの2階を借りているマドンナが下宿代を払おうとすると、あの部屋で下宿代を取るとは驚きだと、おいちゃんとおばちゃんに食って掛かった時のセリフ。
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■番外篇 − 御前様、寅の生立ちを語る
「寅の父親というのはね、なかなかの遊び人でね、かみさんや子供達は随分苦労させられたもんだ。子供達といっても寅は何というか、腹違いで、まぁハッキリ言えば私生児の様な形で産まれたもので、まぁ、可哀想な生立ちですな、アレも」
【解説】
マドンナに寅さんの生立ちを語る御前様。
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■労働者への労いのセリフ
「中小企業の労働者諸君! ささやかな憩いの一時、ご苦労さん!」
【解説】
職工に対する態度は寅さんの気分のバロメーターである。このセリフは気分が最高に良い証拠である。
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■旅立ちのセリフ
「おいちゃん、おばちゃんよぉ、毎度の事ながら、また笑い者になっちゃった。俺ぁ、旅に出るぜぃ。また今度もよ、何一つ恩返しらしい事はしてやれなかったなぁ。その内必ず、必ずいい目みさしてやるからよ。勘弁してくれよ・・・」
【解説】
マドンナに恋人がいた事を知った寅さんはまた旅に出る事にした。旅に出る前に寝た振りをしているおいちゃんとおばちゃんに言ったセリフ。
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第5作 「望郷篇」
■どうしようもないセリフ
「テキヤ殺すにゃ刃物は要らぬ、雨の3日も降りゃいい。いっその事、カラッと晴れちゃくれねぇかなぁ」
【解説】
旅先の宿で雨があがるのを待つ寅さん。しとしと降る雨に向かって思わず出たセリフ。
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■番外篇 − タコ社長、あせる
「あの人はね、近所の不良で気違いだからね、相手にしない方がいい」
【解説】
青森から人手不足の朝日印刷に就職する為にやってきた少年に、タコ社長が丁寧に会社説明をしている。そこへ寅さんが割り込んできて、ここは空気が悪いから帰れだの何で出て来ただの、少年に色々難癖をつけだした。それを見てあせったタコ社長が漏らしたセリフ。
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■あきれたセリフ
「暖かい味噌汁さえありゃ充分よ。あとはお新香、海苔、タラコ一腹、辛子の利いた納豆。これにはね、生ねぎ細かく刻んでたっぷり入れてくれよ。あとは塩昆布に生卵でも添えてくれりゃあ何にも要らねぇな」
【解説】
一番最後に起きてきて朝飯のおかずに色々注文をつける寅さん。おいちゃんとおばちゃんは口を開けてこのセリフを聞いている。
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■初めて口にしたセリフ
「俺も毎日反省して、お前が恥ずかしくない、偉い兄貴になりますよ」
【解説】
誰もお金を貸してくれないが、妹のさくらだけは貸してくれた。その代わりにさくらに説教をされてしまった寅さん。説教の途中でこのセリフが出る。
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■心を入れ替えたセリフ
「人間、額に汗して、油にまみれて、純真に暮らさなきゃいけねぇ。そこに、早く気がつかなきゃいけねぇんだ」
【解説】
昔世話になった親分が死に、親子の尊さや憎しみがわかった寅さん。その事とさくらに説教された事が重なり、旅先の宿で登に泣きながら言ったセリフ。
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■心にしみる語り
「やっぱり、地道な暮らしは無理だったよ、櫻。俺昔っから馬鹿だったもんなぁ。だけどよ櫻、あんちゃんはよ、今度は、今度だけは地道に暮らせると思ってたよ。本気でよ・・・。やっぱりダメだよなぁ。お前、幸せに暮らせよ」
【解説】
浦安の豆腐屋に住み込みで働く寅さん。娘に好意を寄せてる寅さんだが、突然娘の婚約者が現れて失恋してしまう。豆腐屋を去り、柴又に顔を出してから旅に出る時にさくらに言ったセリフ。
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第6作 「純情篇」
■兄貴のセリフ
「俺の故郷にな、ちょうどあんたと同じ年頃の妹がいるんだよ。もし、もしもだよ、その妹がゆきずりの旅の男に、たかだか二千円ぐらいの宿賃でよ、その男がもし、妹の体を何とかしてぇなんて気持ちをおこしたとしたら、俺はその男を殺すよ」
【解説】
ゆきずりの女に宿賃がないからお金を貸してくれと言われて同じ宿に泊めた寅さん。そのお礼にと体で返そうとする女に言ったセリフ。
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■番外篇 − 父親が叱る
「お前が好いていっしょになった男じゃろうが。そんならどっか一つぐらい、良か所があっとじゃろうが。その良か所をお前がきちんと育ててやらんば。その気持ちが無うて、どんな男といっしょになったって同じたい。おいの反対ば押し切っていっしょになったんだ、そん位の覚悟しとらんでどげんすっか!」
【解説】
働かない亭主がお金を全部持っていき博打に注ぎ込んでしまうと嘆く娘。その娘を逆に厳しく叱った父親のセリフ。
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■機嫌の悪いセリフ
「労働者諸君! 稼ぐに追いつく貧乏なしかぁ! 結構結構!!」
【解説】
タコ社長や博が仕事で忙しくて自分の話を聞いてくれない。そこで機嫌が悪くなった寅さんが、朝日印刷で一生懸命働く職工達に言ったセリフ。
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■謙そんのセリフ
「汚い風呂ですが我慢して下さいね。何しろこのウチは生活が貧しいもんですから」
【解説】
マドンナには謙そんせずにいられない寅さん。マドンナが風呂に入る時に言ったセリフ。
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■番外篇 − さくら、怒る
「お兄ちゃん、やっぱり帰って来なかった方が良かったんじゃない?」
【解説】
この言葉は寅さんにかなり効いた。この後すぐにさくらが怒って帰ろうとするが、帝釈天までさくらを追いかけて自分の不貞を謝る寅さん。
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■制御不能なセリフ
「頭の方じゃわかってるんだけどね、気持ちの方がそうついて来ちゃくれねぇんだよ。だからこれは俺のせいじゃないよ」
【解説】
さくらにマドンナを好きになるのはおかしいと言われる寅さん。それは判ってるが気持ちが言う事を聞かないという寅さん。
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■番外篇 − タコ社長、かなりあせる
「博君俺んとこ辞めるらしいんだよ! 今な、仲間んとこへ顔出したらね、そいつがね、『博君独立するらしいじゃないか』ってこう言うんだよ。どっかの機械屋で聞いてきたらしいんだけどね、良くもまぁ俺に隠れやがってもう・・・。あいつに今辞められたら俺の工場ガタガタになっちゃうんだよ! さくらちゃん、どうなってるんだよぉ!? だめだ! 俺の工場だめだ、俺の工場・・・」
【解説】
博が独立の準備を始めた。それを噂で聞いたタコ社長がかなりあせって思わず漏らしたセリフ。
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■番外篇 − 博、独立について語る
「新しくやるには危険がつきものだよ。しかしそれを怖がってちゃ何もできないじゃないか。人生は賭けだよ。ねぇ兄さん?」
【解説】
博の独立に色々意見を言うさくら。そこで博が本音を口にして傍にいた寅さんに問いかけた。これを聞いた寅さんは「明日すぐやれ」と言うが・・・。
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■恋の病のセリフ
「何もしたくねぇような、何だか体の真ん中に穴っぽこが空いちゃって、すうすう風が通ってくような気持ちがしてねぇ。どういうのかねぇ・・・」
【解説】
マドンナにすっかりぞっこんの寅さん。食欲もなく水しか喉を通らない。
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■番外篇 − マドンナ、丁寧に振る
「私困ってるの。ある人がね、私にとっても好意を寄せて下さるの。その人とてもいい人なんで、私嬉しいんだけど・・・。でもね、私どうしてもその気持ちをお受けする訳には・・・」
【解説】
江戸川でマドンナの話を聞く寅さん。しかし「ある人」とは自分の事だとは気がつかない。
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第7作 「奮闘篇」
■寅次郎の本音
「俺の母親はね、おばちゃん、あんたなんだよ。そして父は、おじちゃん、お前なんだぜぇ」
【解説】
寅さんの母親が京都から寅さんを訪ねて東京にきているという。母親に会いに行けと言われた時に寅さんが言ったセリフ。
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■キザなセリフ
「夏になったら鳴きながら、必ず帰ってくるあのツバクロさえも、何かを境にぱったり姿を見せなくなる事だって、あるんだぜ」
【解説】
おいちゃん達の態度が気に入らない寅さんは、このセリフを言いながらまた旅に出ようとする。
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■番外篇 − 寅次郎の母、嘆く
「人間てね、お金だけやないんのよ。お金が味方してくれるのは若い時だけ。たとえ貧乏でもね、普通にお嫁に行って子供でもできてたら、今頃は可愛い孫でも抱いてね、どない幸せやろ思たら・・・私の人生は・・・」
【解説】
さくらに寅次郎と別れた後の苦労話をする母親。今はホテルの経営者となり裕福だが、決して幸せではないと思わず漏らしたセリフ。
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■母を恨むセリフ
「ひりっぱなしでもって放り出されてよ、長い間雨風に打たれてりゃ、脳ミソの半分ぐらいは溶けて流れちまう。それもみんな、てめぇのせいだぞ!」
【解説】
母親から脳ミソが半分足りないと言われた寅さん。頭にきて母親に向かって吐いたセリフ。
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第8作 「寅次郎恋歌」
■不信感なセリフ
「歓迎されたい気持ちはあるよ。だけどおいちゃん、俺ぁそんなに歓迎される人物かよ」
【解説】
寅次郎が今度帰ってきたら、優しく迎えてやろうと家族みんなで話していた所へ帰ってきた寅次郎。今までになく歓迎された事に対して不信感を抱いたセリフ。
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■番外篇 - おいちゃん、嘆く
「おい枕、櫻とってくれ・・・」
【解説】
寅次郎の事を考えると頭が痛くなってすぐ横になるおいちゃん。そんな時に思わず口にするセリフ。このセリフは初代おいちゃん役の森川信さんが第1作から度々口にしていたセリフである。
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■番外篇 - 博の父、語る
「寅次郎君、今、君は女房も子供もいないから身軽だと言ったね? あれはもう十年も昔の事だがね、私は信州の安曇野という所に旅をしたんだ。バスに乗り遅れて田舎道を一人で歩いている内に、日が暮れちまってね。暗い夜道を心細く歩いていると、ポツンと一軒の農家が建ってるんだ。リンドウの花が、庭いっぱいに咲いていてね。開けっ放した縁側から、明かりのついた茶の間で家族が食事をしてるのが見える。まだ食事に来ない子供がいるんだろう。母親が大きな声でその子供の名前を呼ぶのが聞こえる。私はね、今でもその情景をありありと思い出す事ができる。庭一面に咲いたリンドウの花。明々と明かりのついた茶の間。にぎやかに食事をする家族達。私はその時、それが、それが本当の人間の生活ってもんじゃないかと、ふとそう思ったら急に涙が出てきちゃってね。人間は、絶対に一人じゃ生きていけない。逆らっちゃいかん。人間は人間の運命に逆らっちゃいかん。そこに早く気がつかないと、不幸な一生を送る事になる。分かるね、寅次郎君」
【解説】
博の母が亡くなり、一人になった博の父の事が心配でしばらくいっしょにいる事にした寅さん。ある夜、酒を飲んで上機嫌の寅さんに博の父が語ったセリフ。
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■気軽な結婚願望のセリフ
「もちろん俺もいい歳だし、たいして稼ぎもある訳じゃなし、堅気のお嬢さんを嫁にもらいてぇなんて大それた馬鹿な事は考えちゃいねぇよ。いっその事、コブ付きでもいいと思ってるんだよ。それに、うるせぇガキよりも小学校3年生ぐれぇの利口そうな男の子だったら都合がいいなぁ。ともかくさ、親と子があって人間の生活ってのは成り立つんだからなぁ。どうだおいちゃん、何かそんな適当な人、いないかねぇ?」
【解説】
博の父から聞いた話にすっかり感動した寅さん。柴又へ帰った寅さんは、早速その夜「りんどうの花の話」を自分が体験した様にみんなに聞かせた。その内結婚の話に発展し、結婚願望を話した寅さん。
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■番外篇 - 博、説明する
「つまり、兄さんの言いたい事は、平凡な人間の営みの中にこそ、幸せがあるとでも言うのかなぁ。言ってみれば、人間には人間の定められた生活があるという事じゃぁないですか?」
【解説】
寅さんが「りんどうの花の話」をみんなに話してもなかなか意味が伝わらない。そこで博がわかりやすく説明したセリフ。
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■勝手なセリフ
「店って言いやすとコレですか? こんなモノ、生い先短い老人夫婦の遊び半分の事ですよ。今もね、何だか頭痛がきちゃったから今日は早じまいしようか、なんて言ってる調子なんですよ。どうも始末に負えやしねぇ。もう全身的にガタが来てる年頃ですからねぇ。思えば不幸な一生だったんじゃないですかぁ? あの年寄りも」
【解説】
おいちゃんが横になってる傍でマドンナと話しをする寅さん。このセリフの直後においちゃんと大喧嘩してしまう。
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■番外篇 - おいちゃん、怒る
「叔父様とぬかしやがったな。てめぇ、くそぉ、やい寅! いいか! 俺の生涯はな、本当に幸せだった。てめぇさえ居なかったらな! 俺達が不幸なのはな、みんなてめぇのせいなんだぞ!」
【解説】
おいちゃんを馬鹿にしたような話をマドンナにした事で大激怒したおいちゃん。この後寅さんはすぐに家を出るが、翌日帰ってくる。
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■本気なセリフ
「何か困ってる事はございませんか? どうぞわたくしに言って下さい。どうせわたくしの事です。大した事はできませんが、指の一本や二本、いえ、片腕片足ぐらいでしたら何てこたぁありません。どうぞ言って下さい。どっかに、気に入らない奴がいるんじゃないですか?」
【解説】
マドンナの借金の事が気になってマドンナに聞いた寅さん。
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■番外篇 - マドンナ、ふと漏らす
「寅さんも旅先で、こんなお月様見ながら柴又の事思い出す事があるんでしょうねぇ。いいわねぇ、旅の暮らしって・・・」
【解説】
女手一つで喫茶店経営に苦しむマドンナ。寅さんといっしょに月を眺めてふと漏らしたセリフ。
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■フーテンなセリフ
「風に誘われる、とでも言いましょうか。ある日ふらっと出て行くんです」
【解説】
マドンナに次はいつ旅に出るのか聞かれる寅さん。フーテンさを一番都合良く表現したセリフ。
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■番外篇 - 櫻、寅泣かせなセリフ
「一度はお兄ちゃんと交代して、私の事心配させてやりたいわ。寒い冬の夜、こたつに入りながら、『ああ、今頃櫻はどうしてるかなぁ・・・』。そう心配させてやりたいわよ」
【解説】
寒い晩に旅に出る支度をする寅さん。心配した櫻が寅さんに言ったセリフ。このセリフで寅さんは泣いてしまった。
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第9作 「柴又慕情」
■世間知らずなセリフ
「親切な女将(おかみ)の一人もいて、俺が仕事から疲れて帰ってくる。『お帰りなさい、疲れたでしょ?』。そんな事を言ってくれりゃぁそれで十分よ。あっ、風呂はなくってもいいよ。俺銭湯大好きだからね。『一っ風呂浴びてらっしゃいな。帰ってくるまでに晩御飯作っとくからね』。タオル、洗面器、シャボン。『どうせあんた細かいお金持ってないんだろ?』。四十円ポンと貰って、『じゃあ行ってくるか』。『いってらっしゃい』。やがて俺は風呂へ行く。帰ってくる、晩メシになる。俺はね、おかずなんか何だっていいな。どうせ家賃はたいした事ないんだからさ。そうねぇ、おつまみに刺身一皿、煮しめにお吸い物、玉子焼きなんかちょっと付いてもいいし、おひたしなんかもあったらいいなぁ。お銚子を三本ぐらいすっと飲む。昼間の疲れでついウトウトする。女将(おかみ)がスッとそれを見て、『櫻、枕を持ってっておやり。ついでにお腰も揉んでやったらいいんじゃないかい?』、ってね。あ、"櫻"ってのは下宿の娘よ。ん? どうしたんだ、その面は」
【解説】
寅次郎が一人暮しをする為に不動産屋を回り、つい調子に乗って世間知らずな自分の希望をぺらぺら喋ってしまった。それを聞いて飽きれた不動産屋。
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■無神経なセリフ
「あんちゃんは見なくたってお前達のウチがどんなもんか良くわかるよ。割り箸みてぇな細い柱立ててよ、安い煎餅みてぇな壁ペコペコ回りに張り付けて、中へお住みになるんですか? 中に居て、よっこらしょっと座ったらストンと底が抜けるんじゃねぇかぁ。そよ風がフワッと吹いただけでコロンと転がるようなウチだよ。みっともない事やめろぃ! ウチなんか建てるなんて生意気な事はやめろやめろ!」
【解説】
自分の家を持つ事を考える博と櫻に対して精一杯のケチを付ける寅次郎。このセリフで博は目に涙を溜め、櫻の方は泣き出してしまった。ここまで言わなくてもいいのに・・・。
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■情けないシーン
タコ社長: 「上を見てもきりがねぇし、下を見て暮らさなきゃいけねぇって話だよ。なぁ、おばちゃん?」
おいちゃん: 「お前の工場より下があんのかい?」
タコ社長: 「・・・。酷ぇよそりゃぁ・・・。言っていい事と悪い事があるだろ・・・。俺の工場だってな、俺が真面目に働いたから・・・(涙)」
【解説】
寅次郎の無神経なセリフで嫌な雰囲気になったのを見たタコ社長が、場を取り直そうとして一言言った。それに対しておいちゃんがさり気なく突っ込んだ。
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■キザなセリフ
「そんな気の利いたもんじゃござんせん。宛てもねぇ、ただの旅人ですよ」
【解説】
旅先でマドンナに「観光旅行ですか?」と聞かれて答える寅次郎。
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■番外篇 - マドンナ、失恋話を語る
「ある日、私その人のウチに遊びに行ったの。お庭が広くてね、垣根に真っ赤な薔薇の花が咲いてるようなウチだったんだけどね。そしたらその人がね、私にこんな事言うのよ。『結婚したら、君は薔薇の手入れだけしてれりゃぁいいんだよ』って。その時私、なぜだか急に嫌ぁな気持ちになっちゃってね。何て言ったらいいのかなぁ、馬鹿にされたみたいなって言うのかな。それでウチに帰って父に話したら、『そんなヤツやめちまえ』って言うもんだから、結局それっきりやめちゃったの」
【解説】
この話はマドンナの失恋というより男が失恋したと言った方が正しいかもしれない。ただいかなる理由でも恋を失うのが失恋であるので、やはりマドンナから見ても失恋かもしれない。
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■笑えるセリフ
「お互いに薔薇の花ってガラかぁ? せいぜい鼻の穴ぐれぇじゃねぇか?」
【解説】
マドンナの薔薇の花の話でおばちゃんが「私も一度でいいから言われてみたい」と言い出した。それに対しておいちゃんが怒り、寅次郎が止めに入った時に言ったセリフ。
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■気分最高なセリフ
「おお、労働者諸君! 今日も、一日ご苦労様でした! 明日はきっと、カラッと晴れた日曜日だぞぉ!」
【解説】
明日の日曜日にマドンナと散歩に行くというので気分が最高の寅次郎。
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■番外篇 - 博、冷静な一言
「しかしなぁ櫻。誰かが傷ついたり、寂しい思いをしたりしたとしても、仕方がない事だってあるんじゃないのかなぁ。仮にだよ、お父さんの為に結婚を諦めたとしても、誰も幸せになる訳じゃないだろ?」
【解説】
父親の為に結婚を迷っているマドンナに対して冷静に語る博。
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■番外篇 - マドンナ、決心する
「今夜わたし決心がついたわ、彼と結婚する事を」
【解説】
マドンナにモロに結婚の決心を打ち明けられた寅次郎。それを聞いた寅次郎は下を向いたまま一言。「そうかい、そりゃぁ良かった・・・」
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第10作 「寅次郎夢枕」
■改心のセリフ(その1)
「労働者諸君、面倒かけるねぇ・・・ありがとう・・・」
【解説】
おいちゃん達の優しさを知った寅次郎は態度が突然変わった。その直後につまずき、職工達に助けられて思わず漏らしたセリフ。
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■改心のセリフ(その2)
「俺は汚れた人間よ。心の歪んだ人間だよ。こんな心の優しい人達に、嫌味の一つも言ってやろうなんて考えていたんだからなぁ」
【解説】
夕食時になってもまだ改心した気持ちを表現する寅次郎。しかし、それもつかの間・・・。
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■番外篇 − 御前様、説く
「人は誉め合うという事は、こりゃぁ実に良い事だね。お互いに誉め合ってなきゃいけない。誉め合ってこそ、人間は少しづつ向上していくんじゃないかな」
【解説】
改心した寅次郎を見て御前様がみんなに説いたセリフ。
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■番外篇 - タコ社長、嘆く
「ひでぇ目にあったよ。『今日は娘さんの縁談の話で来たんだよ』って言ったらね、のっけからね、『まさか寅さんじゃないでしょうね?』ってこう言いやがるんだよ。そうじゃねぇとも言えないからさ、『その寅さんですよ』って言ったらね、聞いてた娘がいい歳しやがって、『わっ!』て泣き出しやがってよ。そのオヤジもカンカンになって怒りやがって、『てめぇんとこにはもう印刷なんか頼まねぇ!』ってこうだよ。俺は一軒得意先無くなっちゃったよぉ」
【解説】
寅次郎の為に知り合いに縁談話を持ち掛けたタコ社長だったが、見合い相手が寅次郎だと聞くと誰も相手にしてくれない。
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■番外篇 - 櫻、泣く
「だけどね、ほんとにつらいのは、お兄ちゃんよりおいちゃん達の方かも知れないのよ・・・(涙)」
【解説】
誰も見合いの相手をしてくれない事に腹を立てて暴れる寅次郎。一番つらいのは自分だと思い込んでいる寅次郎に櫻が言ったセリフ。
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■登への置手紙
登よ、お前と二人でいつまでも旅を続けたいが、そんな事はお前の為にならないと思ったから、俺は、一人で行く。追いかけてなんかくるな。一日も早く足を洗って地道に暮らせ。このままじゃ末はロクな事にならないからな。
寅次郎
【解説】
信州信濃の宿で再会した二人であったが、しばらくすると置手紙を置いて寅次郎は姿を消した。
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■気を悪くしたセリフ
「しかし何だよなぁオイ。このウチのどっかその辺りによ、何だかお見掛けしない人がいるんじゃねぇかい? さっきからタクワンかなんかポリポリポリポリ噛んでっけど、どちらのどなたなんだ」
【解説】
寅次郎がとらやに帰ってくると大学の助教授が居候していた。寅次郎に挨拶もせずタクワンを噛んでる姿に気を悪くした寅次郎が言ったセリフ。
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■寅、恋について語る
「いいかい、恋なんてそんな生やさしいもんじゃないぞ。メシを食う時も、ウンコをする時も、もうその人の事で頭が一杯だよ。何だかこう、胸の中が柔らかぁくなるような気持ちでさ。ちょっとした事でも、例えば千里先で針がポトンと落ちても、『わぁ!』っとなるような、そんな優しい気持ちになって、『いい。この人の為だったら何でもしてやろう』と。命なんか惜しくない。『ねぇ、寅ちゃん。私の為に死んでくれる?』、と言われたら、『ありがとう』と言ってすぐ死ねる。それが恋というもんじゃないだろうか」
【解説】
自分の恋愛観を語る寅次郎。
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■番外篇 - マドンナの本音
「私ね、寅ちゃんといっしょにいると何だか気持ちがほっとするの。寅ちゃんと話していると、『ああ、私は生きてるんだなぁ』って、そんな楽しい気持ちになるの。寅ちゃんとならいっしょに暮らしてもいいって、今ふっとそう思ったんだけど・・・」
【解説】
恋の指南役となった寅次郎だったが、言葉が足りなかったせいで自分がプロポーズしていると勘違いされてしまった。しかしマドンナはそれを了承してしまい、このセリフの後で寅次郎は腰を抜かしてしまう。
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■言うに言えないセリフ
「櫻、ほんとはな。ほんとは・・・まぁいいや、何てこたぁないんだ・・・」
【解説】
櫻だけには本当の事を話そうとした寅次郎であったが、やはり言う事ができなかった。この後寅次郎は旅に出てしまった。
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第11作 「寅次郎忘れな草」
■腹が立ったセリフ
「いいかぁ、ピアノなんて物はなぁ、広いお屋敷の芝生の上に白い犬が転がってるような、そういうウチの娘が、レースの垂れ下がった応接間でポロンポロンと上品にひく物だよ。お前達の部屋なんだおい。あそこにピアノが入るのか? あの入口。ぇえ? 棺桶だってお前、縦にしなきゃ入らないよ。笑わせんじゃないよ全く」
【解説】
満男にピアノを買ってやりたい櫻。しかし金銭的な問題で買えない。その事で博と言い合いをしている姿を見ておもちゃのピアノをプレゼントした寅次郎。しかし実際に欲しかったのは本物のピアノだとわかり、思わず腹が立って言ったセリフ。
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■マドンナ・リリー、現る
「さっぱり売れないじゃないか」
【解説】
網走の橋の上で売をする寅次郎。しかし全然売れない。そこに通りすがりのレコード歌手リリーが現れ寅次郎に声を掛ける。
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■己を知るセリフ(リリー)
「あたし達みたいな生活ってさ、普通の人達とは違うんだよね。それもいい方に違うんじゃなくて、何て言うのかなぁ、あってもなくてもどうでもいいみたいな、つまりさ、アブクみたいなもんだね」
【解説】
寅次郎と二人で港に腰を下ろして話すリリー。漁に出る船を見ながら思わず言ったセリフ。
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■己を知るセリフ(寅次郎)
「うん、アブクだよ。それも上等なアブクじゃねぇや。風呂の中でこいた屁じゃねぇけども、背中の方に回ってパチンだ」
【解説】
リリーの己を知る言葉への返答。
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■番外篇 - おいちゃんの優しいセリフ
「な〜に言ってんだい。四角いカバンしか持ってねぇじゃないか。何が入ってるか知らないけど(笑)」
【解説】
カラーテレビやクーラーは持っていないという寅次郎においちゃんが優しく言ったセリフ。
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■番外篇 - 博らしいセリフ
「物を持ってるから偉いとかっていう考え方は、違うんじゃないですかねぇ。大きな屋敷や広い土地を持ってたって、くだらない人間はいっぱいいるし、何も持ってなくったって素晴らしい・・・、と言うより、財産なんか持ってない人の中にこそ、本当に立派な人間がいるんじゃないですかねぇ」
【解説】
中流階級や上流階級を、持っている物で定義しようとする考え方に反発する博。
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■滑稽なセリフ
「おい! 労働者諸君の中に、『工場の水原君』、おるか?」
【解説】
水原君の恋人が訪ねてきて「工場の水原君お願いします」と寅次郎に頼んだ。頼まれた通りに問い合わせる滑稽なセリフ。
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■番外篇 - リリー、女心のセリフ
「何百ぺんも惚れて、何百ぺんも振られてみたいわ・・・。惚れられたいんじゃないのよ、惚れたいの。そりゃぁ色んな男と付き合ってきたわよ。でもね、心から惚れた事なんて一度もないのよ。一生に一度でいい、一人の男に死ぬほど惚れて惚れて惚れ抜いてみたいわ。振られたっていいの。振られて首くくって死んだって、あたしそれでも満足よ」
【解説】
寅次郎の過去の恋愛話を聞いてて思わず自分の恋愛論を語ったリリー。
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■番外篇 - リリーの本音
「あたしの初恋の人・・・。寅さんじゃないかしらね」
【解説】
とらやの団欒シーンで出たセリフ。この後寅次郎は照れてその場を去る。
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■番外篇 - おばちゃん、驚く
「大きな声でさぁ、門前町の人がみんな聞いたに違いないよ。女の人のあんな酔っ払いなんて、あたしゃ初めて見たよ」
【解説】
夜中に酔ってとらやにやってきたリリー。大声で歌を歌ったり叫んだりして迷惑をかけた。次の日おばちゃんが櫻に電話して言ったセリフ。
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■思いやりなセリフ
「リリーは可哀想な女なんだ・・・」
【解説】
上野駅まで櫻にカバンを持ってきてもらった時に言ったセリフ。
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■リリーからの手紙
寅さん、お元気ですか。いつかは本当にごめんなさい。あれからしばらくして、あたし、とうとう歌手を辞めてしまいました。今では小さなお店の女将さんです。近所に来たら寄って下さい。とらやの皆さんに、くれぐれも宜しくね。
リリー
【解説】
千葉の寿司屋の女将となったリリーから届いた手紙。寅次郎が思ったよりリリーはしっかりしている。
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第12作 「私の寅さん」
■結構毛だらけ猫灰だらけなセリフ
「皆さん親切な方々だって事はようく分かったよ。昼間帰ってきた時どうも様子がおかしいと思ったんだ。なる程ねぇ、家族揃って明日っから楽しい旅行に出る。その前の日に俺が帰ってきた。『寅ちゃん、元気かい?』、なんて作り笑い浮かべやがって。ほんとは腹ん中で、『ああ、嫌な時に嫌なヤツが帰ってきた』って、そう思ってたんでしょ? 『寅ちゃん、せっかく帰ってきてくれたのに残念だったね。明日みんなでもって旅行に行くんだよ』。なぜそう言ってくれねぇんだい? だったら俺だって、『そうかい、せいぜいみんなで楽しんできてよ』。財布の中から五千円札の一枚もスッと出して、みんなに『餞別だよ』って渡せたものを。なんだいコソコソまるで悪い事でもするみたいに。俺はそんなに厄介者か! ああそうだそうだ、俺はどうせ疫病神よ、ふん! 九州だって? 上等だよぉ。飛行機か? 結構だねぇ。結構毛だらけ猫灰だらけお尻の周りはクソだらけだい!」
【解説】
とらや一家が九州旅行に行く前の日に寅次郎が帰ってきた。旅行の話をいつ切り出そうか考えている所に、御前様がやってきて旅行の話をしてしまった。その後の寅次郎のセリフ。
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■番外篇 - おいちゃん、気持ちを察する
「櫻、もういいよ。寅だって同じ気持ちだよ。なぁ寅?」
【解説】
ガミガミ文句を言う寅次郎に説教をする櫻。その説教を止めた時のおいちゃんのセリフ。
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■番外篇 - 満男、ちょっとしたセリフ
「お土産買って帰るからね。『じゃあバイバイ。おならブー』だ(笑)」
【解説】
九州へ電話した寅次郎は家族全員を電話口に出して話をした。その時の満男のセリフ。
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■家族思いなセリフ
「久しぶりの長旅から帰ってきて、ウチん中がカッ散らかってると気分が悪いからなぁ。なぁ社長、その内にその入口から、おいちゃんとおばちゃんと櫻がよ、こんな大きな荷物を抱えて、『あ〜あ、くたびれたくたびれた。ウチが一番いいよ』、なんて言って帰ってくるんだよねぇ。その時の迎えるこの言葉が大切だな。『あっ、お帰り。疲れたろ? ささ、さぁ上がって上がって、ねっ』。熱い番茶にちょっと厚めに切った羊かんの一つも添えて出す。ほっと一息入れたところで、『風呂が沸いてますよ』。長旅の疲れをスッと落とす。心のこもった昼メシがここで待っている。温かいご飯、シャケの切身、山盛りのお新香。『どうだい、旅は楽しかったかい?』。例えこれがつまんない話でも、『面白いねぇ』と言って聞いてやらなきゃいけない。長旅をしてきた人は、優しく迎えてやらなきゃなぁ」
【解説】
なんだかんだ言ってた寅次郎だが、家族が旅行から帰ってくる日、風呂を沸かして昼ご飯まで作ってみんなの帰りを待っていた。
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■気分のバロメータなせリフ
「あ、もし、労働者諸君の皆さん。今日一日、本当に労働ご苦労さん」
【解説】
職工へのこのセリフは寅次郎の精神状態が落ち着いている証拠である。
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■素直なセリフ
「何が嫌だからってな、インテリ女と便所のナメクジぐらい、嫌な物はねぇんだ!」
【解説】
気に入らない女性の画家(マドンナ)に対する気持ちの表現。でもこの後コロっと・・・。
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■初めて言わせたセリフ
「寅さんは、私のパトロンね」
【解説】
マドンナに210円貸した事で初めて言わせたこのセリフ。
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■番外篇 - 博、芸術について語る
「確かに、食っていくって事は大変なんですよ、この世じゃ。でもね、人間は、生きるって事は、それだけじゃ決してない。そうです、だからこそ、りつ子さんみたいな人が必要なんですよ。つまり、芸術家がね。美しい音楽を聴いたり、素晴らしい絵を見て感動する為にだって、僕達は生きてるんじゃないですかぁ。とにかく、もっともっと色んな事に、人間は喜びを感じて生きてるはずですよ。兄さんが美しい人に恋をする。これは、兄さんが人間として生きている事の証ですよ。そうでしょ、兄さん?」
【解説】
こういう事を真面目に言われると照れながら困ってしまう寅次郎。
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■番外篇 - 博、恋の病について語る
「ちょうど肺病にでもなったような感じだなぁ。胸のあたりがこう・・・。やめた・・・馬鹿馬鹿しい」
【解説】
櫻に恋の病の症状を聞かれ、答える博。だが自分も以前は櫻に対してそうだった事を思い出してか、急に我にかえって話をやめてしまった。
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■別れの予感のセリフ
「『別れの曲』ねぇ・・・。やっぱり、旅人(たびにん)の歌でございましょうかねぇ」
【解説】
マドンナに別れの挨拶をしに来た時に、向いの家から聞こえてきた『別れの曲』。
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■番外篇 - マドンナ、気を遣う
「あたし、とっても困ってるの。あたし今まで、絵の事だけ考えて暮らしてきたし、これからも、そんな風にして生きていきたいのよ。だから、女として中途半端なの。お台所の事もできないし、子供だって満足には育てられないだろうし。だけど、女だからとっても嬉しいの、寅さんの気持ちは。あたしだって寅さんの事大好きなんだもん。だけど、やっぱり困るのよ。あたし、寅さんには何もかも包み隠さず話せる、いい友達で、これからもずっといて欲しいのよ」
【解説】
マドンナに惚れている事がばれてしまった後にマドンナの家を訪ねる寅次郎。そこでマドンナに言われたセリフ。結局は振られたという事か。
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第16作 「葛飾立志篇」
■寅、男心を語る
「ああ、いい女だなぁ、と思う。その次には、話がしたいなぁ、と思う。その次には、もうちょっと長くそばに居たいなぁ、と思う。そのうちこう、なんか気分が柔らかぁくなってさ。あぁ、もう、この人を幸せにしたいなぁ、と思う。この人の為だったら命なんかいらない、もう俺死んじゃってもいい、そう思う。それが愛ってもんじゃないかい?」
【解説】
あらゆる知識を持っている大学教授が愛についてだけは難しくてまだ研究し尽くしていないと言う。研究しなくてもそんな事は簡単だと寅さんが言う。では説明してみろ、といった所でこのセリフが出る。
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第30作 「花も嵐も寅次郎」
■寅、惚れてる男の不器用さを語る
「今度あの娘に会ったら、こんな話しよう、あんな話もしよう、そう思ってね、ウチを出るんだ。いざその娘の前に座ると、全部忘れちゃうんだね。で、馬鹿みたいに黙りこくってんだよ。そんなてめぇの姿が情けなくって、こう、涙がこぼれそうになるんだよ。女に惚れてる男の気持ちって、そんなもんなんだぞ」
【解説】
相手が自分を好いてくれるのはわかるけど、大事な話をなかなか切り出せない様な男と結婚するのはこの先不安だと言う若い女。それを聞いた寅さんが女に言ったセリフ。
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全作品共通
■怒った時のセリフ
「それを言っちゃぁおしまいよ!」
【解説】
怒って家を出る時に言うセリフ。おいちゃんとケンカした時に「出てってくれ!」などと言われるとこのセリフが出る。作品中で実際にこのセリフが出る場面は少ないが、寅さんを象徴するセリフとして知られている。
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■怒った時のセリフ(その2)
「結構毛だらけ猫灰だらけお尻の回りはクソだらけだ!」
【解説】
頭にくるとまずこのセリフが出る。
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■旅に出る前の挨拶
「そこが、渡世人のつれぇところよ・・・」
【解説】
旅に出る決心をした時に誰かに止められそうになるとこのセリフが出る。特に寒くなる前の季節にこのセリフを言う場合が多い。前半作品ではこのセリフは毎回のように出るが、中盤以降はあまり出てこない。
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