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震災ボランティア活動を通して、オーストラリアのワイン農場で働く若者・Kさんの話を伺う機会があった。
Kさんは3週間の休暇中に日本に帰国し、福島にボランティアに来たという。
「オーストラリアって、日本から移住して食べているような環境ですか」と質問したところ、答えはイエス。色々と話を伺うことができた。
Kさん曰く「オーストラリアは最低時給が約\1,800あり、労働者階級を厚遇する国なので、韓国などからも野心的な若者が出稼ぎに来ている。飲食店の皿洗いでも時給¥1,800が保障されているし、田舎の方にいけば、(競争相手が少ないので)職も見つけやすい。」
「英語はあまり話せない人が結構いる。農場作業や皿洗いであれば、言葉が多少おかしくても何とかなる。韓国人などは、事前に英会話学校で英語を勉強してからオーストラリアに出稼ぎに来ている場合もある。周囲には日本人はいない。」
「注意点としては、人件費が高いので、物価も高いこと。だから、食べ物は自分で栽培したりする方が良い。私は農場で働いているので、ワインは無料で手に入る。」
Kさんの話を聞いて、僕は少なからずショックを受けた。
今の時分、福島県でアルバイトをしても、時給が¥660とかだったりする。これがオーストラリアでは最低賃金が時給約¥1,800以上。僕たちは、日本が「裕福な国」だと思っていたけど、既に一部の若者は海外に「出稼ぎ」に行っている。
理屈の上では「若者はもはや、日本で働くこと、日本で暮らすことに固執すべきではない」とは思っていたが、それを「自分の問題」としては捉えきれていなかった。しかし、実際にそういう生活をしている人と話すと、不思議と自分にもできるような気がしてくる。
たぶん、最も必要なのは、飛び込む勇気なのだ。
実際に海外に出稼ぎに行ったり、移住したりするかは別として、「いざとなれば、オーストラリアで働けばいい」とでも思っていれば、随分と精神的に楽になるだろう。
「日本でホワイトカラーとして働いて生計を立てること」を暗黙の前提にしているからこそ、これほど息苦しくなるのだと思う。
「日本で働く、日本で暮らす」という暗黙の前提を取っ払う。それは口で言うほど容易なことではないが、若者には必須の覚悟だと思う。
「どこでも住める、働ける」という技能と覚悟があれば、それだけで視界が拓けるし、可能性も広がる。日本で生まれ育ったことを、嘆く必要もない。
オーストラリアのワイン農場で働く若者と話をして、僕はそんなことを思った。
【関連記事】
"給料に見合った仕事"をするということ (2011.8.4)(下記*投稿者記)
山田宏哉記
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* 記
「給料に見合った仕事をしているか」と問われると、答えは「ノー」と言わざるを得ない。
僕は単に日本人というだけで、英語もロクに喋れないのに、不当に高い報酬を得ていると思う。わざわざ自分から給料を返上する程のお人好しではないが、そういう自覚は持っている。
新興国の優秀な若者なら、年収2万ドルでも、僕とほぼ同等の仕事を喜んでやると思う。僕が経営者なら、日本人よりも新興国の若者を優先的に採用するだろう。
日本では「正社員と非正規社員の賃金格差」ばかりが問題になるが、より重要なのは「日本と新興国の賃金格差」の方だ。
年収500万円の日本人が「こんな仕事やってられないよ」とぼやく仕事を、新興国の優秀な若者たちは年収2万ドルで喜んでやる。この意味を直視すべきだ。
経済合理性で判断すれば、もはやITや製造業を日本でやる意味は薄い。当然、日本人を雇う必要性も低い。
対照的に建設業、インフラ系、運送・流通、教育、介護、医療などの土着型サービス業は日本に残らざるを得ない。日本の現地住民を雇うことも必要だろう。
おそらく日本で働くなら、土着型サービス業を目指した方が良い時代がすぐにくる。もっとも土着型サービス業であっても、あくまで「相対的にマシ」というだけの話で、全体のパイは縮小していく。
僕が経営者であれば、自分と同レベルの従業員の待遇は「月給16万円、ボーナス・残業代なし」くらいに設定すると思う。これなら雇ってもいい。これでもかなりの高待遇で、少なからぬ人は「報酬\0」でも雇いたいとは思わない。
自分が経営者だったら、今の給料で自分を雇いたいと思うか。たぶん、多くの日本人は、このハードルを超えられない。日本の企業は仕事に見合う以上の給料を支払う慈善団体でもあった。
しかしもう、日本にそれだけの余裕はない。誰しも薄々気付いているだろう。
震災と原発事故を機に、徐々に日本も「普通の国」になっていくと思う。つまり、優秀な若者は海外に留学し、海外で働くようになる。その能力に欠ける若者たちは、日本に留まり、大半は年収2万ドルの単純労働者として働くことになる。
いい悪いはさておき、それが僕たちの未来だ。
山田宏哉記
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