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−菅政権や総務省は、震災復興などはチンタラ。利権絡みだと目の色が変わる−
7月24日(日)正午をもって、東日本大震災で被害を受けた岩手、宮城、福島の3県を除く44都道府県で地上デジタル放送に切り替わりました。1958年(昭和28年)に始まったアナログ放送が58年の歴史に幕を下ろした瞬間でした。25日午前0時からは電波送信も停止されました。
総務省調べでは、全国のテレビ所有は約5000万所帯、6月末時点でアンテナが地デジ未対応なのは約29万所帯。日本放送連盟の広瀬道貞会長は今月21日の会見で、うち3分の2は駆け込みで地デジ対応を終え、残る10万所帯はテレビ視聴できなくなる可能性があると言っています。
こういう所帯がいわゆる「地デジ難民」と呼ばれることになるわけですが、この程度の数字で済めば御の字でしょう。しかしこの数字は怪しいものです。生活困窮所帯、都会生活所帯に多いUHFアンテナを設置していないケース、山間部、ビルの陰などによる受信障害、独身所帯など周囲に相談できないサイレント層等々。
片山善博総務相ですら「(難民の)確たる数字は分からない」と言わざるを得ないほどです。メディア研究者の松田浩氏は、「このままアナログ放送を停波すると、テレビを見られなくなる人が数百万人残される恐れがある」として、「地デジに移行するべきではない」という署名運動などを展開してきました。
しかしそんな声もものかは。被災地復興、福島原発事故収束など肝心要の事態への対応は遅々として進まないのに、2001年7月「改正電波法」の成立時から10年、この国策的プロジェクトのみは大断行です。
24日だけで地デジサポートセンターに約10万件もの問い合わせが寄せられたにも関わらず、地デジ移行で最大のメリットを享受するテレビ局は、「地デジ完全移行 トラブルなく予定通り」(日テレNEW)などと嬉々として伝えています。
そもそも移行を決めた10年前と今とでは、放送業界、通信業界を取り巻く環境が激変しています。10年前なら毎日のように放映されていたプロ野球の巨人戦など、今では陰も形もありません。なのにあい変わらずダラダラ垂れ流しているのは、低俗なお笑い・バラエティー番組、ワイドショー番組、グルメ番組、ニ流テレビドラマ、果ては偏向と歪曲に満ち満ちた報道番組…。
既に大新聞離れは加速し、今心ある視聴者はどんどん急速に進化してきたインターネットに流れています。それにNТТの光ファイバーの全国網の設置により、若者を中心にテレビ受信機を通さずにパソコンで直接テレビ番組が見られる時代です。
「今この時期にどうしても」という必然性などないわけです。全国一律一斉に地デジへ、というのは世界的に見ても我が国だけです。我が国「政官業」が何かと言うと猿真似するアメリカ様でさえ、ブッシュ前政権時から移行を予定しながら延期の連続、オバマ政権に替わってもいまだに地デジ移行をしていません。
地デジのために数百億円かけて鋭意建設中の、東京スカイタワーとの兼ね合いもあることでしょう。それより何より、総務省をはじめとした官僚機構、大手テレビキー局、家電業界などの巨大な「地デジ利権」が伏在していることを見逃しはなりません。
往年の『時間ですよ』や『(ドリフの)八時だョ ! 全員集合』のように、地デジによってテレビの前に再び視聴者を釘付けにしようという魂胆なのでしょうか。
しかしそんな政官業の思惑とは裏腹に、今回の性急な移行によって、(テレビキー局に資本投下している)大新聞、テレビ業界の再編や倒産の触媒になるとの見方もあります。十年前とはいかに状況が変わっているか、総務省官僚、大手マスコミ業界がそのことを読めていない以上そうなる可能性が否定できないわけです。
大前研一氏は2年前、地デジ移行による勝利を頑なに信じる総務省などは、さながら「インパール作戦」(歴史的敗北を喫した旧日本陸軍の最後の作戦)と同じだとして、スカイタワーは「バベルの塔」になると強く警鐘を鳴らしていました。
今後の推移を慎重に見極めなければなりませんが、諸問題が吹き出してくるのはこれからなのではないでしょうか。
検察、マスコミなどの総攻撃によって、一昨年9月の政権交代時の「国民の生活が第一」の鳩山・小沢体制は潰されてしまいました。同体制では、霞ヶ関改革とともに、記者クラブの廃止など「マスコミ改革」も俎上に上っていました。鳩山内閣時の原口一博総務相は、クロスオーナーシップの見直し、電波オークションによるテレビ等への他業者参入などにも言及していました。
「米官業の利益が第一」の菅直人政権下では、官僚の言いなりで今回の地デジ移行がすんなり決まりました。しかし仮に鳩山前政権が続いていたならどうだったでしょう。その前に小沢幹事長(当時)肝煎りで、マスコミ改革を断行し、マスコミ自身に相当の血を流させてから地デジ移行問題の再検討ということになったのではないでしょうか。
(大場光太郎・記)
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