http://www.asyura2.com/10/idletalk39/msg/415.html
Tweet |
フィクション PART2 夜のバイクの旅
その男は、数年前の冬の夜、2月に、牧之原から西方面の県道を
バイクで、走っていた。
もう時間は、夜の1時だった。千葉から神戸に帰る途中だった。
肉体は、限界に近かった。
寒さと、かじかむ手。暗い闇。すれ違うクルマは、ほとんどいなかった。
すべて、初めて走る土地。地図を見ては、近道を選択した。
真っ暗い中、道路のポツンとある街灯で、その男は、地図を見ていた。
よし、この道を、行こう。
そう決めて、また男は、走りだした。峠への道は、きれいで走りやすく、
まだ出来て間もない県道だな、広い道路だ、と、その男は、思った。
開けた峠の頂上を過ぎ、長い下りに入る時だった。視界はよかった。
遠くに見える住宅街の灯が、うっすら見えていた。
県道には、クルマは、一台も走っていなかった。
その時、
右方向から、なんと、若い男の幽霊が、バイクで走っているその男に、
襲いかかろうと、右側を、バイクと並行して、飛んでいた。
バイクの時速は、およそ60キロは出ていた。
ばかな!
その男は、幽霊に驚き、恐怖した!
ぶつかる!!!
あやうく、左側の崖に、ぶつかりそうだった。
まだ、バイクは、速度を上げ、長い下り坂を走っていたのだった。
およそ、100メートルは、その若い男の幽霊は、追いかけてきた。
次の赤信号を無視し、
その男は、後ろを、振り向かず、しばらく、走ったのだ。
ようやく、住宅街の明かりの近くまで来てから、その男は、バイクを止めた。
ふぅ〜、と、深い溜息をし、
その男は、真冬の寒さの中で、汗ビッショリ、だった。
あの若い地縛霊の男は、僧侶だ、と、その男は、直感した。
修行中の、その男を、道連れに、引っ張りに、来たのだった。
男は、ショート・ホープのタバコを取り出し、
一服した。
危なかった!
あの見通しの良い県道では、恐らく、事故が起きているだろう、と推測した。
そのあと、その男は、
バイクを再び走らせながら、
暗い闇の中を、防護のマントラムを声に出さず、唱え続けた。
すると、なんと、バイクのエンジン音が、
あの死んだ、地縛霊の、若い僧侶の、読経に、変わっていたのだった!
その男は、はっきりと、知った。
これは、過去生の、因縁だ、と。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。