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人類という種の滅亡?(2/2)
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投稿者 過信居士 日時 2011 年 5 月 26 日 11:15:54: gi/9kLdeKoYYk
 

興味深い解明

 ほとんど全ての国の最新の国勢調査データに共通するテーマは、ほとんど全ての国において人口増加率が低下してきたということである。 2000-2010の10年間における米国の人口増加割合は年率 0.9% であった。これは、90年代における年率 1.2% から低下している。比較してみると、日本とドイツにおける過去10年間の人口増加はほとんどゼロであった。 中国では、90年代で約 1% であり60年代と70年代の初めには 2% 以上であったのに比べ、過去10年間の人口増加割合は年率 0.56% に低下した。 同様に、インドにおける人口増加率は70年代のピークに 2.3% であったのが 1.6% に低下している。

 最も単純な人口動態は、出生率と死亡率との相互関係に関するものである。 典型的なのは、栄養の改善/公衆衛生/薬/等々によって初めに死亡率が低下する事である。 社会的な行動様式(特に女性の)が徐々に変化する事に伴い、出生率はもっと緩やかに低下する。 年代を追ってこの二つの割合の差は人口増のブームの原因となる。 しかし、やがて出生率(の低下)が追いつき、ほとんどの先進国において、人口を安定させる水準を超えて低下し続けるのである。 日本において実際に見られるように、急速な高齢化と共に人口が縮小するのである。

 この周期が過去200年に亘ってどのように働いたかを見てみよう。歴史上のほとんどの期間において、出生時に予測される寿命は 24-28 歳程度であった。 これは、18世紀の終わりからヨーロッパにおいて変化し始めた。 1820年までに、米国と西ヨーロッパ諸国における出生時の予測寿命は 37-40 歳に伸びた。 そしてそれは、1900 年までに 47-50 歳にまで伸び、1950 年までには更に 65-70 歳へ伸びた。

 対照的に、前工業化の均衡状態から 20 世紀に入るまで、インドと中国における予想寿命は僅かに変化する程度であった。 1950 年に、中国における予想寿命は 41 歳であり、インドにおいては 38 歳という低さであったと考えられる。現在これらの国々においては、それぞれ 74 歳と 65 歳である。 ほとんどの先進国における予想寿命は現在 70 歳代後半か 80 歳代前半となっているので、この2カ国の予想寿命はもう少し伸びる余地を残している。

出生時の予想寿命 (両性の平均)
年 1820 1950 2010
フランス 37 65 82
ドイツ 41 67 81
イギリス 40 69 80
アメリカ 39 68 80
日本 34 61 82
ロシア 28 65 68
中国 26 41 74
インド 25 38 65
ブラジル 27 45 74

 出生率の低下も又、産業革命の時代にヨーロッパで始まった。多くの相互関係を持つ変化が影響を与えた - 都市化、社会的行動、野心、読み書き、女性の労働参加、等々。 フランスは、これらの変化が起こった最初の地である。人口100人当たりの出生数は 1820 年の 3.2 から 1900 年の 2.2 へ低下した。他の西ヨーロッパの国々もすぐに追従した。 今日、ほとんどの西ヨーロッパ諸国における人口100人当たりの出生数は約1である。米国においては出発時点で高い水準にあり、その後の急激な低下にも拘らず、多くの先進諸国よりも依然として高いレベルにある。 対照的に、日本では 1900年に 3.24 という比較的高い出生率を保持していたにも拘らず、それは現在僅か 0.75 (世界で最も低い値の一つ)となっているのだ。

 出生率の傾向を考えるのに便利な方法の一つが 「合計特殊出生率」(Total Fertility Rate) と呼ばれるものである。これは、一人の女性が生涯に出産する子の平均である。これは一般的に出産可能な年齢(通常 15-44 歳と定義される)の女性をサンプリングして推計される。 長い期間で考えた場合、TFR が 「置換割合」 となる時に人口が安定していると言える。 これは通常、一人の女性当たり 2.1 人の出産であると言えるが、実際にはこのようなレベルで人口が安定する事を期待できるのは先進国のみである。 発展途上国においては、乳幼児死亡率や出産時新生児死亡率等の要因により、更に高い 「置換割合」 が必要となるのである。 結果として、世界全体の「置換割合」 となる TFR は 2.3 を少し上回ることとなる。

 ほとんどの先進諸国における現在の TFR は置換割合を大きく下回っている。 OECD 加盟国の平均は約 1.74 であるが、ドイツや日本のように女性一人当たりの子供の数が 1.4 を下回る国もあるのだ。 OECD の最新の推定によると、韓国の TFR は僅か 1.15 である。これは、2020年代から急速な高齢化と急激な人口低下が始まることを示唆するレベルである。 しかし、近年において最も TFR の低下が大きいのは新興経済諸国である。 国連の人口統計局によると、1950 年の中国とインドの TFR は各々 6.1 と 5.9 であった。現在のこの割合が、積極的な一人っ子政策によって中国では 1.8 に低下し、継続的な社会的行動様式の変化によってインドでは 2.6 へ低下している。 同様に、ブラジルの TFR は 1950年の 6.2 から 1.7 に低下した。 大きな低下が見られる一方、基本的な力学が TFR という見出しによって示唆される以上の早さで実際の出生率を低下させている事を信じさせる理由がある。

合計特殊出生率 (女性一人当たりの子供の数)
年 1960 最新データ
ドイツ 2.2 1.4
イギリス 2.2 1.9
フランス 2.7 2
イタリア 2.4 1.4
日本 3 1.4
アメリカ 3.5 2
韓国 5.1 1.2
OECD 平均 N/A 1.7
インド 5.9 2.7
ロシア 2.9 1.5
ブラジル 6.2 1.7
南アフリカ 6.5 2.4

 中国と、少なくともインドには、歪んだ性別人口比率がある。中国の国勢調査は、100 人の女子に対して 118.6 人の男子という比を示しており、これは 2000年の 116.9 よりも悪化している。同様に、インドでは、地域によって大きなバラツキがあるものの、女子 100 人に対して男子 110 人という性別出生率を持っている。 これを女子 100 人に対して男子 105 人という 「自然な」 比率と比べてみて下さい。(自然な状態でも、比率は正確に 1:1 ではありません) 男子を好むという文化的な要望が通常この偏向に影響している。 子供を生むのは男性でなく女性であり、将来的に女性の数が不足する事は 「両国における再生産の母数が未調整の TFR から読み取られる数値を下回る」 ということを暗示しているのである。 性別の不均衡に基づいて調整すると、中国における実質的な合計特殊出生率(EFR)は約 1.5 となり、インドのそれは約 2.45 となる。;何れの場合も広く語られているものよりも低いのである。 言い換えるならば、インドが置換割合を少し上回っているのに対して、中国は既に自分達自身を置換する事から程遠い状態にあるのだ。

もしも同じ調整を世界の出生率へ適用するならば、現在の EFR は約 2.4 であり、これはほとんど置換割合と同じなのである。 我々が見るところ、人類という種は 2020 年代までに自らを置換できなくなっているだろう。年齢構成による余勢と人々の長寿命化の為に向こう数十年程度は人口が増加する。 しかし、言わば 『再生産性』 という意味で我々の種はもう増加しない。 これは、歴史上最も重要な分岐点の一つである。
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とても面白い分析記事ですね。

「今後、宗教や社会的規範等の文化/価値観が異なる民族が隣接する 「断層地帯(fault line)」 で文明間の衝突が健在化してくる。」 と1990年代の初頭に予告したのはサミュエル・ハンチントンです。 彼の説では、現在の世界は7つ又は8つの文明圏に分類され、日本は単独で1つの文明圏を構成すると定義しています。

一方、ハンチントンの分析の不備を批判しつつ、国・人種・民族毎の識字率及び女性の社会的立場の変化から人口動態を分析したのが経済学・人口統計学を専門とするエマニュエル・トッドですね。 「先進諸国よりも高い出生率を誇るイスラム圏諸国でも、識字率の向上と女性の社会的立場の変化によって出生率が低下し始めるだけでなく、社会的な混乱が増加してくる。」と 2002 年に発表した著書 「帝国以後」 の中でトッドは述べています。

ソビエト他の共産主義体制が崩壊した後、アフガン・パキスタンなどの中央アジア圏イスラム諸国が混迷の度を深めている事実や、今年初来チュニジアから拡大したアラブ諸国の騒乱が収束する気配を見せない現状を見ると、上記2名の先見性には感服せざるを得ません。 私自身は、もう少し卑近な視点からも世界の変化を分析したいと思っており、日本国内において出生率の増加を妨げている状況についても、一つの社会的側面からの考察を以前に記述してみました。

この種の問題については、社会的・歴史的・文化的・生物学的・・・と様々な視点で色々と考えさせられるので、簡単に分析する事はできないのですね。 折を見て、オイオイ整理してみましょう。

次回に続く・・・  

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