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「文筆劇場」から『クローズアップ現代 「飛び出せ!"異能"」覚書』を下記のように転載投稿します。
=転載開始=
NHK クローズアップ現代「飛び出せ!"異能"」(1月24日放送)を視聴しました。その覚書は以下の通りです。
異能。「人よりすぐれた才能。一風変わった独特な能力」という意味がある。
年に2度開かれる国内ビジネスコンテスト、インフィニティ・ベンチャーズ・サミット。日本全国から"異能"たちが集まる。合言葉は「日本から世界を変える」。
"異能"たちのアイディアが大手企業や投資家たちから審査され、注目を集めれば巨額の通し話も舞い込む。
グーグル社の製品開発企画本部長曰く「個人的に面白いかどうかで決めさせていただきます」。
今回、コンテストに参加したのは厳選された14組。学生やフリーター、ベンチャー経営者などからユニークなアイディアが次々と披露された。"手書きの絵"で画像検索するエンジンや"機械と友達になれるシステム"などが披露された。
参加者の中でひときわ異彩を放っていたのが、内山幸樹さん(39歳)。
「インターネット上の膨大な情報を駆使して、人々の考えや行動をリアルタイムで分析し、未来の株価を予測する」というアイディアを披露。
内山さん曰く「宇宙にある人口衛星から、日本に住んでいる人たちの頭の中をのぞき見ることができる最終兵器 リーサルウェポンだと」
ブログなど50億以上の書き込みを元に、世の中の出来事と株価の関係を人工知能が分析。
例えば、「月」「外国」「重い」などの単語が多く書かれると株価が上がり、「絶叫」「ドライブ」「奥深い」といった単語が多く書かれると株価が下がる。人間が思いもつかない法則を導き出し、株価が予測できるようになったという。
内山さん曰く「世界には絶対負けてないです。2年は先に行っていると思います。負けたくないです」
自分のアイディアで世界を制覇する。そこにはこれまで周囲から認められてこなかった悔しさがこめられていた。
東京・神保町。内山さんは現在、小さなソフトウェア会社を経営している。地球上のあらゆるものが数式に見えるという内山さん。その"異能"ぶりは若い頃から有名だった。
15年前、東京大学の大学院生だった内山さんは、天才プログラマーと呼ばれ、日本発とされる検索エンジンを仲間と開発した。IT企業会社から注目され、「傘下に入らないか」という誘いもあったという。
しかし、その申し出には乗らず、自分たちで好きな開発を続けることにした。ところが3年後、同世代の学生が作った検索エンジン・グーグルが登場し、あっという間に世界を席巻。内山さんはそのスピードに衝撃を受けた。
内山さん曰く「あの時、僕らはある意味負けた。日本で最初期の検索エンジン作って、でも日本という市場の中ではなかなかビジネスが立ち上がらず、本質を見て投資してくれる投資家もたくさんおらず、そこで負けてしまった時の悔しさというのがふつふつと持ち上がってきて」
その後、起業した内山さんは、新たなネットワークサービスを始めようと独自の研究を始めたが、とたんに会社が火の車になった。仕方なく大手の下請けをしながら何とか食いつなぎながら、今回の株価予測システムに繋がる開発を続けてきた。
ところが2010年6月、「ツイッターのつぶやきから株価を予測」という報道が飛び込んできた。アメリカの研究者が内山さんの株価予測システムと似た方法で、87.6%の的中率を叩き出した。
内山さんは焦った。なぜ、自分たちは海外のスピードに勝つことができないのか。
普通、周囲が"異能"のアイディアをなかなか理解しないというのが問題として挙げられる。しかし、内山さんは日本の異能には自分のアイディアを面白さを信じる"強い信念"が欠けているのではないかと感じるようになった。
内山さん曰く「自分たちが『こういう世界がくる』と思っているのなら、とにかく信じきること。あきらめちゃいけない。単に面白いとか、いいよねっていうことだけで大きな渦ができちゃうのが、たぶん狂気。狂気ですよ、狂気」
内山さんの対抗馬と目されていたのが、起業して3ヶ月の学生二人組だった。奨学金をもらいながら、大学院で学ぶ宮内隆行さん(30歳)と石橋秀一さん(31歳)。
曰く「これ(白いソケット)をかませることで自動的に電気使用量を計測してアップロードし続けます」
ソケットの中に、消費電力を計測するチップと無線機能が組み込まれている。インターネットを通じて、家にある様々な電化製品の使用量と電気代をリアルタイムで算出。
外出していても、携帯電話などを使って、電源のオンオフを切り替えられるシステムになっている。
さらに、他のユーザーとも結ばれ、ゲーム感覚で楽しみながら節電できるというアイディアを盛り込んだ。
近未来の生活をデザインする2人だが、築50年の木造家屋の2階を間借りしている。家賃はひとり月3万円。こまめにレシートを控え、節約に努めている。少しでも電気代を抑えたいという発想から思いついたのが、電化製品の消費電力を常に把握するシステムだった。
高校時代のクラスメイトだった2人は、ともに内気で人見知りの性格だった。会社生活にもなじめず、ひっそりと学生生活を続けてきたが、モノを作ることだけは、好きで好きで仕方がなかったという。
5年前、公園で遊ぶ相手がいない子どものために「録音した音を様々に変化させて遊ぶことができるオモチャ」を作った。
「自分がモチベーションを持てる手法はものづくりだと思う。ものづくりを通した社会に対する提案だったり、問題解決の方法だったりするが、それが僕の社会に対する責任というか、生き方」
そんな2人が起業してからずっと頼りにしている人物がいる。ベンチャー・キャピタリストの榊原健太郎さん(36歳)。若い異能たちが集まり、議論する場を提供し、さらにアドバイスや投資を行う。
異能たちの突拍子のないアイディアをどうビジネスに結びつけるのか。榊原さんからはその橋渡しとなるアイディアが次々と飛び出す。
ビジネスコンテストの結果、第一位は内山さん。自分のアイディアを信じれば、資金やチャンスは自ずとついてくると確信していた。突出したアイディアとそれを可能にした技術力が高く評価された。
内山さん曰く「ぜひともこの技術を世界に勝っていける事業に育てたいと思いますので、ぜひご支援お願いします」
その後、優勝した内山さんには億単位の投資話が持ちかけられた。今年の春、香港に新会社を設立し、世界に打って出る計画だ。
一方、初参加の宮内さんと石橋さん。「アイディアはおもしろいものの、実現には課題が多い」という評価だった。
しかし今年に入って、2人に大きな話が舞い込んだ。アメリカのオンライン・メディアに石橋さんたちの会社Sassorが取り上げられた。それをキッカケに南米やヨーロッパから、問い合わせが入り、国内からも「一緒に事業を進めたい」という企業が現れ始めた。
大量生産に向けた試作品第一号。世界を変えたいという壮大な野望。そのアイディアが脚光を浴びる日を待っている。
番組のゲストはベンチャー企業経営者の渡辺誠一郎さん。曰く「(シリコンバレーと比べて)日本の若者は潜在的には全然遜色がない。個人の発想力は、何ら劣ることはないと思います。しかし、それを育てる生態系のようなものがまだ差があるとは思う。」
(以上、3000字)
山田宏哉記
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=転載終了=
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