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株式日記と経済展望
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アメリカは何を考えて、何をしているのか」という問いそのものをメディアは
禁じている。アメリカはつねに自国の国益を最優先させて戦略を起案する。
2011年6月23日 木曜日
◆ひさしぶりに授業をしました 6月22日 内田樹
http://blog.tatsuru.com/
みんなが「新聞もテレビももう終わりだ」となんとなくわかっている。
「みんながわかっていること」をメディアが報道しない。分析もしない。解決策を提言もしない。
そうやって、メディアの「知性」への信頼をメディア自身が掘り崩している。
端的な事例は平田オリザさんの「汚染水の廃棄はアメリカの要請」発言である。
そのあと、平田さんは「そのようなことを知る立場になかった」という謝罪のステートメントを発したが、言ったことが「口から出任せ」だったと言ったわけではない。官邸周辺の「どこか」で聞いたのだが、それは「言わない約束」だということまでは確認しなかったのである。
当然、メディアとしては、「アメリカの要請」があったのかどうかについて、発言の真偽について裏づけ調査をするはずだった。
どの新聞もしなかった。
続報は一行もなかった。
鳩山時代から内閣参与として長く官邸に詰め、さまざまな情報を「知る立場にあった」平田オリザさんが「ぽろり」と漏らした情報について、「もしかすると、それに類する指示がアメリカからあったのかもしれない」と仮定して「裏を取る」という作業をした新聞もテレビもなかった。
一つもなかったのである。
それどころか、アメリカは今回の福島原発の事故処理に、どのようなかたちでコミットをしているのか、どのような処理プランを提言しているのか、それはアメリカの中長期的な原子力政策とどういうふうにリンクしているのかといった射程のもう少し広い解説さえ、私は読んだ覚えがない。
「アメリカは何を考えて、何をしているのか」という問いそのものをメディアは自分に禁じている。
そうとしか思えない。
アメリカはつねに自国の国益を最優先させて戦略を起案する。
その「国益の最大化」路線の中で日本の原発事故はどういうふうに位置づけられているのか。
ブログでも繰り返し書いたように、日本の脱原発、段階的廃炉、火力発電への緊急避難、代替エネルギーへの切り替えは、どれもアメリカの国益の増大に資する。
だから、必ずアメリカはそのような方向に向けて日本を誘導するはずである。
その過程で必要とあらば原発処理を技術的に支援して「恩を売り」、必要とあらばあえて日本政府が失敗するに任せて「日本人には原子力テクノロジーをハンドルする能力はない」という国際的評価を定着させるだろう。
そういう大きな文脈でとらえたときにはじめて、浜岡原発の停止も、汚染水の海洋投棄も「アメリカからみると合理的なソリューション」だということがわかる。
アメリカは日本に憲法九条と自衛隊を同時的に与え、それによって日本人を思考停止させることに成功した。
「アメリカは自分たちがしていることの意味をわかっているが、私たちはアメリカがしていることの意味がわからない」という知の非対称によって、私たちはアメリカの属国というステイタスに釘付けにされている。
グレゴリー・ベイトソンのダブルバインド理論そのままである。
日本政府をコントロールするのはアメリカにとってたいへん簡単なのである。
あるときは「優しい顔」を向け、まったく無文脈的に「無関心な顔」や「怒りの顔」を向ける。
それをランダムに繰り返すだけでいい。
それだけで日本人は思考停止し、アメリカへの全的依存のうちに崩れ落ち、ひたすらアメリカの「指示待ち」状態に居着いてしまう。
アメリカの植民地支配のうちでもっとも成功したのは日本支配である。
だから、マスメディアは「日本の対米従属の集団心理的メカニズム」については絶対論じない。
論じることができない。
マスメディア自身がその思考停止の「症状」そのものだからである。
何度も書いたことだが、2005年にEU議会がロシアに北方領土の返還を命じる決議をしたとき、日本のメディアは一紙を除いてこれを報道しなかった。
日本の外交政策を側面支援する決議を欧州議会がしたときに、なぜそれが全国紙の一面トップにならなかったのか。
それは「そのニュースを日本人が知ることを好まない国がある」とメディアが忖度して、その怒りをはばかって「自粛」したからである。
その理路については、何度も書いたので、もう繰り返さない。ブログの記事か、『最終講義』の第三講をご参照願いたい。
私たちの国は過去66年間ずっと、そうやって「アメリカの気持ち」を忖度して、右往左往してきた。
そして、マスメディアはそのもっとも際だった症状である。
自分が病んでいるということ自体を自覚できないほどに深く病んでいる。
だから、たぶん私の書いていることの意味をジャーナリストたちはうまく理解できないだろう。
というような話を学生たちにする。
そのあと、「尖閣諸島問題」や「竹島問題」や「沖縄問題」について、さまざまなご質問をいただく。
これらの問題が解決しないのは、「領土問題が解決しないstatus quo から最大の国益を得ている第三者が解決を妨害しているからだ」という、「いかにもありそうな」仮説については誰も検証しないからであるとお答えする。
どうして他のイシューでは「いくらなんでもそれは無理筋」なヨタ仮説を飛ばしまくる週刊誌も月刊誌も、この「いかにもありそうな」仮説については、そのようなものが存在すること自体を無視するのか。
それについて学生諸君はよく熟慮していただきたい。
(私のコメント)
「株式日記」は注目した新聞記事やブログに対して自分の感想を書いているわけですが、それは自分の思考を文章にすることで思考力を高めていることになります。株式日記を書き始めた13年前は数行のコメントも書くにも多くの時間を要しました。毎日そんなに考える事など無いのでしょうが、考えなければ考える能力は発達するはずがありません。
ネットの時代になって、自分の考えを世界中の人に知らせることが出来るようになり、毎日一万数千人もの人がアクセスして来ます。株式日記を読むことで多くの人が考えるようになってくれればいいのですが、内田氏が書いているように、「日本人を思考停止させることに成功した」事で、日本人は考える事をやめてしまった。
「アメリカは自分たちがしていることの意味をわかっているが、私たちはアメリカがしていることの意味がわからない」と言うのは、在日米軍がなぜいるのかといった疑問を持たなくなったことからも明らかであり、日本国内に外国の軍事基地が存在することの意味を日本人の多くが考えない。それが当たり前と思っている。
「アメリカの植民地支配のうちでもっとも成功したのは日本支配である。」と内田氏は書いていますが、日本国内にアメリカの軍事基地が85ヶ所もあるのにアメリカに支配されていることに気がつかないのは思考停止してしまっているからだ。アメリカに日本軍の軍事基地がある事が考えられるだろうか? ワシントン郊外やロスアンゼルスの郊外に日本の自衛隊基地があって、そこが租界地になっていればどうだろう。
「2005年にEU議会がロシアに北方領土の返還を命じる決議をした」と言うことですが、私はそのようなニュースを目にした事がない。新聞社もその事に気がつかなかったのだろうか? あるいは報道することを自粛していたのだろうか? 日本がアメリカの植民地であり、日本のマスコミはアメリカの広報機関だと解釈すれば理が通る。
「自分が病んでいるということ自体を自覚できないほどに深く病んでいる。」のは、マスコミばかりでなく国会のほうが重症だ。憲法の改正手続きにしても国民投票法の内容すら店晒しにされてきた。自民党は憲法改正が党是のはずですが、アメリカ軍の軍事基地がある限り不可能に近い。アメリカ軍がなかなか出て行かないのはアメリカにとってそれが利益であるからだ。
株式日記でもそのことを書き続けてきたのですが、思考停止してしまった日本人は死んだふりをしてアメリカ軍が立ち去ってくれるのを待つしかないと諦めているのかもしれません。中国の侵略を言う人もいますが、中国に一番近い沖縄県民がアメリカ軍基地に反対しているのは矛盾する。だからアメリカの国務省あたりが中国に命じて尖閣で騒動を起こさせた。
中国や韓国で反日を背後から煽っているのもアメリカであることは見え見えだ。それは従軍慰安婦問題で議会決議したことからも明らかだ。「アメリカはつねに自国の国益を最優先させて戦略を起案する」から、先日も書いたように英国とドイツを反目させ、日本と中国とを背後から操って対立させることがアメリカのリアリズム外交だ。
ヨーロッパや日本で反原発運動が盛んなのに、アメリカ国内ではそのような運動は小さいのは、アメリカの戦略と考えれば分かりやすい。「日本の脱原発、段階的廃炉、火力発電への緊急避難、代替エネルギーへの切り替えは、どれもアメリカの国益の増大に資する」と内田氏は書いていますが、浜岡原発を停止させたのはアメリカの指示だからだろう。
アメリカの政府高官が『あるときは「優しい顔」を向け、まったく無文脈的に「無関心な顔」や「怒りの顔」を向ける』のは、それが彼らの植民地統治手段だからだ。菅総理があそこまでがんばれるのもアメリカの指示が国会内で効果を発揮しているのかもしれません。菅内閣はTPPを成立させることでアメリカの支持を取り付けていると考えられます。
霞ヶ関も国会もマスコミもアメリカのスパイだらけで、アメリカの悪口を言えばいっぺんにテレビに出られなくなります。つまり日本人の顔をしたアメリカ人が沢山いるということであり、協力者には甘い飴をあげるが、真実をばらすものは飴を取り上げて追放する。このようにしてアメリカは日本を統治してきた。
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