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私は福島原発事故をきっかけに核物質の非人間性について認識を
新たにした。放射線汚染の深刻さを知った。科学の発達によって
生活が便利になることはいいことだが、そこにはおのずと限度がある
こと、人間はその能力を過信しすぎてはいけないこと、などなどを
思うようになった。要するに強固な反核、反原発主義者になったのだ。
そういう私にとって、今日(4月28日)の毎日新聞「発信箱」の
「ピンを探せ」という論説には、心底から怒りを覚えた。
怒りを覚えたのは私一人ではないはずだ。全国でどれだけの読者が
この論説を目にしたかは知らないが、読者の多くは私と同様の思いを
持って読んだに違いない。
その記事を書いた布施広という論説委員に対して批判が寄せられる
だろう。その無神経さ、ジャーナリストとしての驕りを感じ、放射線
被害と闘っているすべての者の怒りを代弁して抗議の声が上がるだろう。
このような社員を論説委員にし、公器を使って世迷い事を流す毎日
新聞はその責任を負うことになる。
前置きが長くなった。この論説はすでにネットで流れているから読者
に置かれてはその全文を読まれることをおすすめする。
私が驚いた点は二つだ。
一つは赤ちゃんが泣き止まない時はピンを探せ、というフランスの
思想家の言葉を引用し、原発事故はそれと似たようなところがあると
言ったことだ。
もう一つは放射線被害を受動喫煙被害にたとえたことだ。
そしてその論説の最後を次のような言葉で締めくくっている。
「・・・『ピン』ははやく取り除きたい。煙害も、放射線問題も」
要するに放射線を必要以上におそれるな、煙害と同じだ。赤ん坊が泣く
ようなピンと一緒だ、と言っているのだ。
いや、彼は別のところで、煙害にほうがもっと怖い、とまで言っている。
放射線汚染で政府はもとより国中が、いや世界中が大騒ぎしている
中にあって、あまりにも無責任な論説ではないか。
社会的反発を招かないはずはない。
毎日新聞はその責任を免れることは出来ない。
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