http://www.asyura2.com/10/hihyo11/msg/742.html
Tweet |
テレビをやめれば、原発1基分節電できます! 「必要がないのに流すのはやめよう」「無駄な番組はひかえよう」みんなでやれば、大きな力に。 {経済の死角 現代ビジネス [講談社]}
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2460
公共CMは「節電しろ」と説教するけれど、実はテレビ自体をやめるのが最大の節電だ。ラジオの方が楽しいし、情報も得られる。余計なエネルギー消費の削減こそ、日本に「本当に必要なもの」では。
視聴者に説教する前に
テレビをやめよう---。そんな声が今、じわじわと広がっている。その背景にあるのは当然、大震災と福島第一原発の事故による絶望的な電力不足だ。
東京電力の管内で、真夏のピーク時の電力需要は約6000万kW。それに対し、供給できるのは約4650万kWが限界とされている。必要な量の20%以上が足りない計算になる。
政府はそれに対し、使用電力500kW以上の大口需要者である企業に「電力使用制限令」を発動する準備を進めている。これは前年比25%分の電力使用を禁じ、違反した場合は罰金を科すという強制措置である。しかし、
「電力は、家庭で使われる分が全体の約40%になります。企業の分を制限するだけではとても十分とは言えません。家庭でも厳しく節電しなければ、大規模な計画停電を行わざるをえず、そうなれば真夏の酷暑をクーラーなしで過ごす羽目になります」(経済ジャーナリスト・松崎隆司氏)という。
もう一つ、人々のテレビへの拒絶感を増している大きな要因がある。それは、耳にタコができるほど流れてくるACジャパン(旧公共広告機構)の提言CM。
SMAPやトータス松本が「日本の力を、信じてる」と言うCMをはじめ、タレントたちが「被災地の人が本当に必要なものは何か考えよう」「無駄な通話やメールはひかえよう」「必要がないのに買うのはやめよう」「使っていない電化製品はコンセントから抜いておこう」などと書かれたボードを持ち、視聴者に語りかける。「みんなでやれば、大きな力に」というスローガンも頻繁に出る。
これらを毎日、何十回と見させられて、心底うんざりしているという人が多い。そんなに無駄を省けと言うのなら、アンタたちが出ているテレビをまずやめるよ---という気分が広がっているわけだ。
コラムニストの天野祐吉氏が言う。
「CMに説教なんかされたくありませんよ。CMとは本来、『この商品やサービスであなたの生活がこう豊かになります』という提案にユーモアの衣を着せて、明るい生活に目を向けさせるもの。それが突然、『必要ないものは買わないように』となると、『昨日までお前は何を言っていたんだ』と言いたくなります」
夏の甲子園が見られない
ACはむしろ「くだらないテレビはこまめに消そう」と提言すべきではないか---というのが天野氏の意見。確かにこの厳しい情勢の中、国民の役に立たない「必要がない」情報を流す番組やCMは、どんどん「ひかえ」る方が節電のためになる。
では、実際にテレビをやめた場合、どれだけの電力を節約できるのか。この点は、専門家の間でも見方が分かれるようだ。まず、住環境計画研究所所長の中上英俊氏はこう説明する。
「昼間のピーク時に東電管内の全世帯がテレビを消したと仮定すると、45万~50万kWほど節電できるはずです。テレビの電力消費量は、エアコンに比べると少ないのですが、テレビを消すことは人々の節電意識を高める。不要な照明のスイッチを切るなどの行動につながって、さらに節約効果を生むはずです」
また、エネルギー関連シンクタンクのある研究員は、真夏の猛暑の中で最も電力が使われる時間帯、つまり「午後1時から3時くらいの間にテレビをやめると電力需要はどうなるか」を推測している。今いちばん普及しているテレビを32型の液晶テレビとすると、その消費電力は平均94W。もっと電力が必要な古いテレビもあるので、全テレビで平均100Wとする---というのが前提だ。
「総務省の調査では、日本の1世帯当たり約2・4台のテレビがあり、午後早めの時間帯には、その半分の1・2台がついているとします。また、東電管内の約1800万世帯のうち、テレビを見ている世帯を半分の900万世帯とすると、100W×1・2台×900万世帯=108万kWが使われていることになる。テレビを消すと、その分を消費せずにすむのです」
つまり、テレビをやめることで、50万kWから100万kW余りが節電できる計算になるのだ。これは原発1基が作り出す電力とほぼ同じレベル。相当な数字だが、技術評論家の桜井淳氏によると、さらなる節約が可能だという。
「日本では真夏の午後、多くの人がクーラーをつけてテレビで甲子園の高校野球を見るため、電力需要がはね上がるのです。この高校野球中継をやめれば、消費電力を相当抑えられます。私が入手した電力会社の内部資料を突き合わせて分析すると、関東圏内で、原発2~3基分の節電が可能になると推測できます」
今夏は、高校野球中継をリアルタイムで見るのを我慢せざるをえない。計画停電を避けるには、電力需要が減る夜の時間帯に、ダイジェスト版のみを放送するくらいしかないようだ。
ただし特定の番組に限らず、テレビ全般が見られなくても別に支障はない。はるかに低電力ですむラジオを聴けばいい。映像がなく、音声のみで情報を得る方が冷静な判断ができる場合が多いし、想像力が刺激される楽しみもある。
もちろん、どれくらい電力が不足するか、どれくらいテレビをやめればいいのかは、現時点ではまだ不明。それは、真夏の暑さ次第によるからだ。
2003年、柏崎刈羽原発でトラブル隠しが発覚したことがきっかけで、東電は所有する原発17基すべてを止めた。この停止は1年間続いたが、真夏のピーク時にも電力を問題なく供給することができた。
今回止まっているのは、大事故を起こした福島第一の6基に加え、福島第二の4基、柏崎刈羽の3基の合計13基。しかし、福島県や茨城県の火力発電所も損壊して止まっているため、'03年よりも給電能力が減少したというわけだ。
「今年の夏が平年並みの暑さならば、企業の使用制限や個々人の努力で、何とかギリギリで電力不足はしのげるでしょう。しかし昨年くらいの猛暑になると、平年より100万kWくらい多く必要になるかもしれない。その場合、計画停電を避けるために、テレビ放送を短縮することや、視聴者がテレビを見ないようにすることが非常に重要になります」(前出・桜井氏)
ところが東電も政府も、暑さとそれによる電力需要の変動について、最悪の事態を想定していない節がある。同志社大学大学院教授の山口栄一氏は言う。
「東電は、今年夏の最大消費電力を5500万kWと推定していますが、これは近年で最も低かった'09年の数字と同じ。はっきり言って大甘の予測ですね。経産省は、過去5年間の平均値を取って6000万kWとしていますが、これでもまだ少ないと思います。猛暑がやってくる可能性を踏まえ、過去最大のピークだった'07年の6147万kWを想定しておくべきです」
まず、やめてみる
そういう観点から考えると、テレビの放送の中止・短縮や、テレビのスイッチを切ることが、日本社会全体でもっと声高に叫ばれてもよいはずだが、なぜかそうはなっていない。'70年代の石油危機の後には、実際にテレビ放送の時間が短縮されたのだが---。
経済評論家の三橋貴明氏が説明する。
「'70年代、政界には田中角栄首相、財界には土光敏夫経団連会長と、強力なリーダーシップを持った指導者がいました。『電力不足という国難を乗り切るためには、強引にでもテレビの放送時間を短縮しなければならない』という彼らの信念と実行力で、荒療治を断行できたのです」
今回の大震災の後、広告が大量にキャンセルされ、テレビ局の収益は急激に落ち込んでいる。「CMが入らず、事実上タダで作っている赤字番組も多い」(民放局プロデューサー)という。放送時間が短くなればさらに広告収入が減るから、テレビ局が激しく抵抗するのは目に見えている。
本来なら、それをはねのけて、何としても有効な節電を達成するのが、非常時のリーダーの役割。しかし、菅首相をはじめ今の政財界の面々には望むべくもない、というわけだ。
「ACのCMをはじめ、テレビが発するメッセージには、国民を間違った方向に誘導しているものがあります。
たとえば『被災者の気持ちを考えて買いだめをやめよう』と毎日聞かされると、通常の消費自体が悪いことに思えてしまう。過剰な自粛は経済を停滞させるだけで、結局、震災からの復興にもマイナスになります。なぜ、『被災地の迷惑になる買い占めはやめ、外食などのお金は前と同じように使いましょう』と言えないのか、不思議でなりません」(前出・三橋氏)
放送されるのは、前述のように、タレントが自分で考えたわけでもないスローガンを読む場面ばかり。それを「ただの場つなぎ」と言うのは前出の天野氏だ。
「ああいうACのCMに意味があるのは、タレントが自分の言葉で語ったときだけ。中には口下手にショックが重なって、被災者を励ます言葉が口に出せず、15秒間絶句したままの人もいるでしょう。でも、それが最も雄弁なメッセージなのかもしれません。
番組も抜本的に考え直す必要がある。明らかに放送法違反のテレビショッピングをはじめ、大量消費を煽るものは、この際、全廃したらどうでしょう」
節電のため、番組やCMの改善のため、まず従来のテレビ放送をやめる。「みんなでやれば、大きな力に」---テレビ局が率先すれば拍手喝采を浴びるだろう。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > マスコミ・電通批評11掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。