★阿修羅♪ > マスコミ・電通批評11 > 627.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
少年犯罪−ほんとうに多発化・凶悪化しているのか|鮎川潤(匠研究所)
http://www.asyura2.com/10/hihyo11/msg/627.html
投稿者 こーるてん 日時 2011 年 3 月 11 日 23:45:31: hndh7vd2.ZV/2
 

少年犯罪
 ほんとうに多発化・凶悪化しているのか お奨度:☆

--------------------------------------------------------------------------------

著者:鮎川潤(あゆかわ じゅん)−平凡社新書、2001 ¥660−


--------------------------------------------------------------------------------
著者の略歴−1952年名古屋市生まれ。東京大学卒業。大阪大学大学院修士課程修了。スウェーデン国立犯罪防止委員会客員研究員、南イリノイ大学フルブライト研究員を経て、現在、金城学院大学現代文化学部教授。専攻は犯罪学、逸脱行動論、社会問題研究。おもな著書に「少年非行の社会学」(世界思想社)、「犯罪学入門−殺人・賄賂・非行」(講談社現代新書)がある。

(転写開始)
凶悪な事件がおきると、誰しも不安にある。
とりわけそれが想像もしなかった場合は、混乱に陥り世間の声に流されやすい。
世間の声は、誰かによって操作されていることはないだろうか。

少年と呼ばれる人たちによって起こされる事件が増えたといわれる。
とりわけ14才の少年がおこした神戸の事件は衝撃的だった。
こうした事件が起きると決まって、犯罪の低年齢化とか、少年犯罪の凶悪化といったキャンペーンが続く。
マスコミに表れる風潮は、もちろん警察の発表にもとづいている。

 わが国のマスコミは各官庁に記者クラブをもっており、
警察とはいわば持ちつ持たれつの関係にある。
彼らが独自の価値観に基づいて報道しているとは思えない。
最近、その例外として長野県が、記者クラブを廃止したニュースが伝えられた。
これでマスコミはどうなるのだろうか。
独自の視点を持って欲しいものだ。

 本書はきわめて冷静に、少年犯罪の内実を見る。

 警察庁の研究所に勤務する研究者には、警察統計は企業であれば 営業成績の報告書のようなものであるといいきる人もいる。警察が作 成する統計には認知件数と検挙
件数が記されており、とりわけ後者を 指している。こうしたさめたみかたをする専門家と、年末あるいは半年 ごとに、あるいは毎年『警察白書』や『犯罪自書』の発行に合わせて統 計が報道される際に、少年の検挙人員の数を何か客観的に少年たちの 動向を示すものとして、あるいは犯罪行為を遂行した少年の実数である かのごとくに報道するマスメディアとの間には大きな落差があるように 思われる。P29

統計はその基準の設定次第で大きく変わる。

 従来、検察庁は被害者のみの証言によっては公訴を提起することはなかった。しかしドメスティック・バイオレンス、セクシヤル・ハラスメントなど女性に対して被害をおよぼす暴力や性的逸脱行動に対して強い制裁を求めるクレイムの高まりに応じて、検察庁が方針を変更したために、厳しい対応がとられるようになった。
 このように世論あるいはそれに支えられたキャンペーンによって逸脱行為に対する取締りが強化され、より重い刑罰の定められた法律が適用されて厳しく処罰されるということは起こりうるし、実際に起こっているのである。P38

 過激派学生たちを完全に封じ込めた体制側は、
女性と少年への問題を梃子にして、ファッシズムへの道を踏みだしたと言っても良いだろう。

世論が要求するから警察はそれに応えるのだ。
それが近代的なスマートなやり方で、もはや戦前型の暴力的な取締りはない。
しかし、そこには反対する自由はなく、真綿で首を絞められるように、人間の自由は窒息させられていく。
個人の自由こそ、何としても確立しなければならないが、地獄への道は善意に先導されているのか。
 
 工業社会から情報社会化への転化がもたらしたものは、
性別による役割分担の否定と年齢秩序の崩壊である。
前者が女性の声に後押しされ、後者が少年犯罪への危惧に対応している。
いずれも、初めて体験することへの恐怖にもとづき、大衆が要求している規制である。
本書の筆者は次のように言う。

 戦後少年法が定められた当時の少年たちは貧しさゆえに犯罪を行っていたのであり、それは生活のための犯罪であった。(中略)しかし当時の状況を直接に観察していた家庭裁判所判事は、当時としても生活するための食料とはいえないサイダーを飲むために強盗致傷をはたらいた少年を「ありふれた例」として描いている。少年院に勤務する犯罪精神医学者である樋口は、たとえ食料が狙われたとしても、それは現金に換えやすいからであり、換金したのちに遊興費あるいは小遣いとして使われるとしている。さらに「スリル」を求めて行ういわば「遊び型」犯罪さえ少年たちによって行われていると述べる。P125


 昭和38年までは「上流」「中流」「下流」「極貧」が選択肢であったのが、昭和39年には「富裕」「普通」「貧困」「被保護」と分類項目が変化した。そのため、従来であれば「下流」に○が付けられたものが、新分類では「貧困」とまではいかないため「普通」に○が付けられたことによると推定されるのである。P135

 20世紀最後の10年。日本における少年による殺人事件の検挙人員は増加しなかった。
 先に述べたように、1960年ころに年間400件を数えたが、1970年に200件となり、1975年以降約100件で推移している。とりわけ少年非行が戦後最悪といわれた第三のピークの昭和58年(1983)は、検挙人員は50人で戦後最低であった。P156

 情報社会化すれば、肉体から頭脳へと社会の価値が移る。
それに伴って犯罪も、肉体型から頭脳型へと移るのは自明である。
殺人事件は減っている。
にもかかわらず、数少ない例外的な事件を、とりわけ猟奇的に扱って、社会不安を増大させているのはマスコミである。


 少年法の改正はすべきではなく、<子供の権利条約>にしたがって、少年にはより一層の教育刑でのぞむべきである。
産湯と一緒に、赤ちゃんまで捨ててはいけない。

(転写終了)  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2011年3月11日 23:47:13: cNTQxcUeqA
少年犯罪−ほんとうに多発化・凶悪化しているのか|鮎川潤(匠研究所)

http://www.rin-5.net/001-250/090-shounen-hanzai.htm

(byこーるてん)


02. 2011年3月12日 12:48:14: 6kuobrWeYc
「正義の味方」のつもりでファシズムを招く、女性盲従リベラルをどうするかが課題。

03. 2011年3月14日 16:24:59: B5offegeiY
阿修羅さんへ
本日、いくつかコメント投稿させていただきましたが、あらためて亡くなった方々の御冥福と被災された方々へのお見舞いを申し上げます。

少年犯罪を最高裁が棄却した事件についてのコメントをさせていただきます。
これは本日、最も伝えたかった事であります。

『改正(改悪)少年法は憲法違反』

最高裁は少年3人による連続殺人事件の上告を棄却しました。
これは、最高裁が「責任を放棄した」と断言します。
というのも、少年の犯罪で自身に責任をとらせることは、国民の義務を放棄したことにほかならないからです。
教育の義務と申しますが、憲法が規定しているのは「教育を受けさせる義務」を「全ての国民」が負うということです。
少年が教育を受けるのが義務だと言っているのでは無いのです。
これは即ち、「少年による犯罪」は「正しく教育を受けさせなかった国民(全体)の責任」であることを意味します。

少年(未成年)は、分別《ふんべつ》がありません。
ですから、正しく教育をつける必要があります。
(この点に関しては、スマナサーラ長老も同様のことを言及しています。)
(過去生の)記憶を一切持たずに生まれてくるのですから、当たり前ですよね。
ですから私は、少年による犯罪を見る度に、「私自身が少年に対して正しい教育をつけなかったからだ」と反省するのです。

今回の最高裁の判断はどうですか?
もし彼らが私と同様に、この犯罪の遠因は自分にあると考えているなら、棄却なんて絶対できないはずです。
彼らは自身の責任を放棄したのです。

私ははっきり言います。
「少年犯罪は国民全体の責任である」と。
(勘違いしないで欲しいのですが、教育を受けさせる義務は、成人にたいしても同様です。少年だけに限らないのです。ただし、分別が無いという面に関しては、成年より未成年のほうが問題になります。)

もう一度言います
「少年犯罪は社会全体の責任である」
責任放棄する無責任な大人は、責任ある行動をとる小学生にも劣ります。
私は死刑に反対します。


04. 2011年3月15日 00:21:13: Cg2TYU4PTE
凶悪残忍な少年犯罪の被害者におなりなさい、少し解ると思います。

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > マスコミ・電通批評11掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > マスコミ・電通批評11掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧