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元朝日記者から見た日本メディアの問題点 by 烏賀陽弘道
http://www.asyura2.com/10/hihyo11/msg/584.html
投稿者 びぼ 日時 2011 年 2 月 24 日 17:11:11: 0cYXJ4o7/SPzg
 

烏賀陽弘道 twitter より
http://twitter.com/hirougaya

話のついでに日本の記者クラブ問題について話した。「記者クラブ室の前には『メンバー以外立ち入り禁止』って紙が貼ってある」と話したら、腹を抱えて大笑いし始めた。彼らの常識でいうfree pressが戦う敵である差別や排他性が報道がやっていると聞いて、笑えたそうだ。

「そりゃまるで黒人差別をしていたころのアメリカ南部みたいだ」(1960年代前半以前)というので、ジョークで「いやいや、そんいにひどくない。フリー記者はリンチされて木から吊るされたりしない」と言ったらまた爆笑していた。

きょう2/20日曜日(3連休中日)のLos Angeles Timesはなんと、一面が全部外国ニュースで埋まっている。日本の新聞じゃ考えられない。無理してでも一面には国内ニュースを入れる。

LATimes2/20の一面トップは、旧正月休みに合わせて、本土中国は北京の建設現場で働く農村の出稼ぎ労働者リさん(37)の帰省のルポ。これまで16年間、妻子を故郷に残して約640km離れた故郷に年一回だけの帰省をする。

「田舎者じゃなくて都会の人間に見えるように」とダウンパーカーを着て黒いジーンズを着こなして農村にバスで帰省するリさんと、父親がいないまま13歳になった息子とプロレス、妻との再会など、映画のような物語が展開している。

このリさんの正月帰省の物語"A LONG ROAD HOME"が、一面から8〜9面と何と3ページ、カラー写真10枚で展開している。翻訳してみたい思いに駆られる重厚なルポルタージュ。長めの雑誌記事くらいあって、おなじ新聞だからといって日本の新聞記事と比較するのすら失礼に思える。

そして一面のもうひとつのニュースは、イエメンとリビアの民衆の反乱がなぜエジプトのようにいかないのか、現地の記者の報告を入れつつ2ページ余。こっちも読み応えがあります。

どちらの記事も、英語が平易(ニューヨークタイムズは言葉が難解)なので、新聞3ページとはいえ楽に読める。英語だが、読むのが楽しい。それくらい読みやすい。

2/19〜21は3連休なので、ニュースが薄いのだと思う。しかし、日本の新聞ならこういう重厚な海外のルポや分析もので長行を埋めるという発想すらもうないだろう。

2/20のLA Timesは1ドル50セント(120円くらい?)で、驚くなかれ414ページあります。厚さが2cmくらいあって重い。笑 日本の新聞は40Pくらいでしたっけ?

日本人が「新聞消滅大国アメリカ」と騒いでいる国の、しかも「全国紙」じゃなく日本人が「地方紙」だと思っているLos Angeles Timesでも、まだこれくらいの力は残っているのだ。

日米は偶然、新聞の衰退を同時に経験している。が、日本人はこのLos Angeles Timesのような報道の底力の、一部も味わうことなしに新聞の衰退を迎えている。

日本の新聞の(新聞記者ではなく)内容と、Los Angeles TimesやNew York TImes、Washington Postなどアメリカの新聞の内容と、差を比べようにも、あまりに次元がちがって言葉が見つからない。「似て非なるもの」くらいか。笑

日本の新聞読者からすれば、いくらほしがっても手に入らないような濃い記事を満載した新聞を見捨てようとしているアメリカ人も、愚かというか、もったいないことをする、と思う。

ほとんどの人は英語でアメリカの新聞を定期的に読んだことすらないまま「アメリカの新聞は〜」と「評論」したりするのですが。笑 そういう人たちも議論を混乱させる原因であります。知ったかぶりはよくない。

もうひとつの問題は、日本人の大半はアメリカやイギリス、そのほか英語で書かれた新聞を「読む」英語の操縦能力がないということです。

もうひとつの問題は、バイライン(署名)が全部の記事に入るので、その記事は「記者のもの」だということです。だから「××紙は」と主語設定する場合、「どの記者がそうなのか」と特定せねばなりません。「光が丘団地に住んでいる者は全員どら焼きが好きです」なんてトンチンカンな記述になります。

ロサンゼルスタイム紙のきのうの紙面です。一面が国際ニュースで埋まっているという話です。

こうしてロサンゼルスタイムズの紙面を見ると、これだけ写真をふんだんに使って一面から見開きまで展開するような海外ルポは日本の新聞では見たことがないなあと思うのです。http://bit.ly/eMceLa

カルフォルニアは旧正月のパレードや帰省客でごちゃごちゃ(主に中国系)ですから、ロサンゼルスタイムスの記事は「ああ、なるほど。中国系の人は家族に会いたい一心で大混雑のなか移動するのだな」「故郷に錦を飾りたいからお土産を買いまくるのか」などと読者は納得するのです。

こういう話をできる雑誌も日本にはすでにもう死滅、日本の読者はこれからどうしていくのだろう。暗い気持ちになる。やれやれ。

日本の報道の貧困は、こうやって比べると、あまりに痛々しくて、比較検討するのが苦しくさえあります。

要は「何を取材して掲載するか」といういちばん最初の「アジェンダの設定」の時点で、大きくつまづいているように思う。「何が市民が議論すべき論点なのか」を設定するとき、日本の報道はまず最初の一歩で道を間違えている。

記者クラブがその一因であることは疑問の余地がありません。何もしなくても、役所や企業が「これがアジェンダだよ」と言って持ってきてくれるのですから。自分でアジェンダを考える力が衰えるのは必然ではありませんか。

http://twitter.com/hirougaya

 

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コメント
 
01. 2011年2月24日 23:54:03: CrSPO7aj1k
>日米は偶然、新聞の衰退を同時に経験している。が、日本人はこのLos Angeles Times
>のような報道の底力の、一部も味わうことなしに新聞の衰退を迎えている。

おっしゃる通りで、ひどいモンです。日本の新聞。アサ死もウソ売りも。
ニモカカワラズ
>報道の底力
が、それほども違っていたのに、記者の力も熱意も異なっていたのに・・・ダメでした。

”鬼が島征伐に行く桃太郎とポチ犬” それを止められなかったの、でした。  

メソポタミアの地に、何をして来た? 
ウランを撒き散らしてきた。    百万人以上が既に死んだと言われるが、

毎日そこで暮らす人々は?
これからもズット!「民族絶滅までの生き地獄」とか。
  
食べてもクソばっても、育てても産んでも、「放射能輪廻」だとかさえ言う人までいるようだ。日本にだって無縁ではないが。

止めることが出来なかったのだった。わかっていたのに!

ちから が なかった。


>報道の底力
検証して追及する力の、日米差は、たしかにあるでしょう。が、
こんにちこの時、
米日は、実に違うにも拘らず、失業に経済に、相似てきている。

働く人々は、クタクタだ。知識人は出世と金儲けに余念が無い。
そこで底力のある報道を、読む人が居ないわけではない、けど。

そんなワケで、
「 偶然の、同時 」は、じつは、必然の、

密接不可分の、同時だったとはいえまいか。
見放されたのだ、一般大衆に。



02. 2011年2月25日 06:25:07: YAfznENVdM
悪党たち『官僚。大手メデイア11社。既得権益勢力。対米隷属勢力。など」の尖兵として『情報操作と世論操作に猛り狂つている、日本の既成の大手メデイア11社は早く破産して退場してほしい。インターネツトと上杉さんなどの新しい真のジャーナリズムがこれからの主役になつてほしい。

03. 2011年2月25日 10:52:02: Uux2YD3Z4I
烏賀陽弘道さん
朝日ともあろうものがを呼んでから、注目しています。
アノ本にはとても良い事が書いています、いつも読み返しています。

04. 2011年2月25日 11:02:59: nGY00eDdec
こんな終わっているおっさんの記事を
読んでも、一銭の得にもららないだべさ。

パキスタンで起こった殺人事件の犯人
がCIAと関わっていたことを知りながら
政府の要望どうり報道しなかったのは
New York TImes、Washington Post、
ロイターなどだべさ。

すっぱ抜いたのは英国のガーディアンだべさ。

米国は記者クラブはないが、大手メディア
は今や企業より・政府よりのメディアに
成り下がってしまっただべさ。

今、民主主義や反権力で頑張っているのは
ガーディアンとアルジャジーラだべさ。

世界で何が起こっているかを本当に知りた
ければ、ネットでアルジャジーラを視聴し、
ネットでガーディアンを読むべきだべさ。


05. 2011年2月25日 20:07:32: cMIptRdyuU
あたま大丈夫か。言葉ヘン。
ところどころ理解できるが、全体にへん。
なんで朝日なんかにえらそうにされないかんの。

記者クラブとか言ってみんなにわらわれてろ。


06. 2011年2月26日 17:48:08: m9Mx3qg632
「日本人の大半はアメリカやイギリス、そのほか英語で書かれた新聞を「読む」英語の操縦能力がないということです。」

 ところであなたは、英語以外の外国語、どのくらい知っているのですか?ドイツ語、フランス語、中国語、ロシア語知っているのですか?だいたい日本の新聞記者は、英語だけ。それもおぼつかない。ウィキリークス情報の検証体制にニューヨークタイムズも入っているが、イギリスのザ・ガーディアンからの横流しだろう。日本の新聞は一つもこの体制に入っていない、というより、ウィキリークスに相手にされていない。デア・シュピーゲル、エルパイス、ルモンドは英語ではないですよね。日本の読者はいままで新聞記者を信用してきた。しかし新聞記者の能力はまったく信頼に足りないことがわかったのだ。英語だけのメディアに将来はない。


07. 2011年2月27日 02:18:20: twDKgqVd6s
偶然本屋で手にした新書版の元朝日新聞記者の題名を忘れましたが「それでも私が朝日を辞めた理由」かな?を読んで、私がずいぶん前に朝日購読を止めたのを心から正解だと思いました。

彼は朝日にありがちな「昔サヨク」的な青年でもなく極めて普通の常識的な青年だと思う。そういう人すら居ずらい会社なんだね。


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