http://www.asyura2.com/10/hihyo11/msg/477.html
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これは大昔からづっと続いている事であるが、薬害が起ったときは常に医者への責任転嫁報道をして、製薬会社を護る。それはナゼか。報道で触れてはいけない3つの掟があり、そのうちの一つが製薬会社についてである。
今回のNHKニュース9の報道が問題なのは
1.訴訟されている製薬会社の名前が一切出てこない点。厚労省の責任論も論じられない。薬害報道では製薬会社の名前は極力出さない掟がある。
下にNHKの「イレッサ訴訟“話し合いを”」という記事を上げておいたが製薬会社の名前は出てこない。
聞き漏らしたのでなければ、ニュース9でも製薬会社の名前は一切出てこなかった。
2. 医者に対する責任のすり替え。製薬会社ではなく、現場の医者を矢面に上げる。
下のNHKの記事にはないが、NHKニュース9では、大越、青山キャスターとスタッフによる医者への責任転嫁が行われた。どういう事かというと、医者がチャンと診ていないといういつもの報道陣の主張である。多くの日本人は医者がチャンと診ないから薬害が起るという意識を何十年と植え付けられてきた。しかしそうではないのである。薬が悪いから薬害が起きるのである。
今回のイレッサも「副作用が少ない夢の新薬」として、(いつも遅すぎる薬事審査が批判される機関としては珍しく)世界で初めて日本の厚労省が承認した薬である。夢の薬であれば使わないほうがおかしいのであるが、実際は悪夢の新薬であった。
“夢の新薬”ともてはやされたイレッサの「薬害」を裁判で問うを
下に上げておく。
今回のニュース9の報道で際立っていたのはすり替え方法が進化した点にある。抗がん剤の専門医がいないということに終始していた。専門医の不足をこの薬害が起った根源としていたのである。大越、青山キャスターは、医者がチャンしてないからと軽く誘導し、専門医がいないのが一番の課題と断罪した。薬の害=医者のせい という長年にわたる刷り込みで条件反射の域に達した方程式で多くの日本人はだまされているのである。 製薬会社は報道機関にとってアンタッチャブルな存在なのである。
小泉政権の時、今もそうであろうが、製薬会社が史上最大の利益を計上したとき、取りあえずNHKはニュースで報道したが、その次のニュースは、日本の製薬会社が国際競争に打ち勝つためには多額の資金が必要というニュースであった。
古い話であるが、大腿四頭筋短縮症も薬害である。生理食塩水以外のどの薬を注射しても起るという研究報道が有り、科学的に薬害であるという事を証明したにも関わらず、わざわざ医者がチャンとしていないからとアナウンサーが非科学的なコメントした。これの繰り返しである。医者は神様でもなんでもなく、その時々の情報が間違ったり不足していたりすればどうしようもないのである。人が仕事をしているのである。
NHKに良心があるなら、科学的スピリッツがあるならこのようなニュースキャスターとスタッフを総入れ替えすべきだある。医者と患者の信頼関係を損なう報道をした責任は重大である。
イレッサ訴訟“話し合いを”
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110119/t10013504481000.html
1月19日 17時54分
「副作用が少ない新薬」と言われながら死亡する患者が相次いだ肺がんの治療薬「イレッサ」を巡り、患者の遺族らが賠償を求めている裁判で、遺族らが、19日、国や製薬会社に対し、裁判所の和解勧告を受け入れ話し合いに応じるよう申し入れました。
この裁判は、肺がんの治療薬「イレッサ」を服用して重い肺炎を起こして死亡した患者の遺族ら15人が、副作用に関する情報を十分伝えていなかったと主張して、国と製薬会社に賠償を求めて7年前に東京と大阪で起こしたもので、今月7日、裁判所は和解を勧告しました。遺族らは、19日、厚生労働省と製薬会社を訪れ、勧告を受け入れて早期に話し合いに応じるよう申し入れました。このうち厚生労働省では、31歳の次女を亡くした原告団の代表の近澤昭雄さんが、問題の全面解決を求める申し入れ書を担当者に手渡しました。和解勧告について、厚生労働省は「安全対策に違法性はなかったと考えているが、関係機関と協議して決めたい」としていて、今月28日までに勧告を受け入れるかどうか回答することになっています。近澤さんは「患者たちが安心して抗がん剤治療を受けられるよう、一日も早く和解のテーブルについてほしい」と話しています。イレッサは9年前に日本で世界に先駆けて承認され、当初は「副作用の少ない新薬」と言われましたが、患者が死亡するケースが相次いで報告され、これまでに800人を超す人が死亡しています。
患者・団体
届け! がん患者たちの声
“夢の新薬”ともてはやされたイレッサの「薬害」を裁判で問う
取材・文:町口 充
がんサポート情報センター(2007年08月号)
http://www.gsic.jp/society/st_05/13.html
“副作用の少ない夢の新薬”と発売の前からもてはやされ、異例の早さで承認されながら、発売後、短期間のうちに副作用の間質性肺炎による死亡者が相次いだ分子標的薬イレッサ(一般名ゲフィチニブ)。遺族たちは04年、「イレッサの副作用は薬害だ」として大阪と東京で国(厚生労働省)と製薬会社の責任を追及する損害賠償請求訴訟を起こした。それは、患者が主人公のがん治療を実現するための“命の尊厳を問う裁判”である。
「たいした副作用はない」と医者
イレッサ薬害被害者の会代表の
近澤昭雄さん
原告の1人で、「イレッサ薬害被害者の会」代表でもある近澤昭雄さん(63歳)は、次女の三津子さんをイレッサによる副作用で亡くした。
三津子さんが肺がんとわかったのは01年9月、29歳のとき。医者からは「肺腺がんで、かなり進行している」と言われ、抗がん剤による治療が行われたものの、効果はなかった。
「ほかに治療法はないのか、何とか娘を助けられないか」という一心で、インターネットのがんサイトにアクセスしては情報を集めるうち、「イレッサという夢の新薬がいよいよ承認されるらしい」という情報を近澤さんがはつかんだ。それは、抗がん剤治療が終わりかけた02年7月はじめのことだった。
がんサイトの掲示板には「かなり前から個人輸入しています」「1日1錠を服用するだけで、あとは普通の生活ができる。たいした副作用は出ていません」「肺がんの影がほとんど消えました」「飲み始めてからめきめきと回復し、職場復帰ができました」など、書き込みの文字が踊っていた。
イレッサの製造・販売元はアストラゼネカ社というイギリスの製薬会社で、日本と欧米で実施された第2相試験では18.4パーセントの奏効率が認められたとして、02年1月、輸入承認を申請。同年7月5日、承認申請から5カ月あまりという異例の早さで、世界に先駆けて国の承認を受け、8月30日には保険適応となった。
近澤さんがイレッサのことを主治医に問い合わせたのは、承認されてから間もない8月はじめのことだった。
1週間ほどたった8月15日、主治医から「イレッサの服用が今日からできますよ」と言われた。三津子さんとともに、服用の同意書の説明と副作用に関しての注意などの説明を聞いてサインしたが、「副作用に関しての説明といっても、単にカゼ薬に書かれてある添付文書と同じようなことで、それほどたいした副作用はないと思いますよ、といったような話でした」と近澤さんは振り返る。
分刻みで奪われていった命
東京・野口記念館で開かれた「薬害イレッサ シンポジウム」
イレッサの効果は、確かにあったようにみえた。
「主治医からは、イレッサの服用で肺がんの影が3分の1に縮小していると言われました。娘も自分のレントゲン写真を見つめながらうれしそうに説明を聞き、私の顔を見返しながらニッコリと笑った顔が美しく輝いていました」
しかし、服用開始から1カ月半ほどたった10月3日、月に2度の定期検診日というので三津子さんが病院に行くと??。
「そのころは体調もよく、病院に行く前日にはフィアンセとデートにも行きました。ところが、レントゲン検査の結果、『肺に気になる影がある』と主治医から言われ、緊急入院。それからは、坂道から転げ落ちるように容態が悪化していき、まるで地獄絵図を見るようでした」
入院から2日目には酸素マスクが用意され、3日目をすぎたころからは呼吸が荒くなり、一日中酸素マスクをつけるまでになった。4日目から5日目になると、もはや自力で起きることができなくなった。
横になっていると呼吸ができず、ベッドに座ったままの姿勢でいるしかない苦痛のなかで、「娘の命は分刻みでなくなっていきました」と近澤さん。緊急入院からわずか14日後の10月17日、三津子さんは31歳という若さで、天国へと旅立っていった。
解剖で裏づけられた副作用被害
大阪で開かれた「イレッサ勉強会」には多くの人が参加した
「お嬢さんは、イレッサによる間質性肺炎と思われます」と主治医から言われたとき、怒りがふつふつと湧いてきた。
「娘を解剖してください。この苦しみがどこからきたのか、真実を知らぬまま亡くなった本人に報告したいんです」
解剖の結果はやはり、イレッサによる間質性肺炎という所見だった。
調べてみると、10月15日、厚生労働省から、イレッサについての緊急安全情報が出されていた。「イレッサの副作用による間質性肺炎で死亡13人」という新聞報道もあった。死者の数はこれにとどまらず、発売後わずか半年で173人に達し、06年9月の厚生労働省発表では、副作用被害1708人、死者の数は676人となっている。
「これだけ重大な副作用が出ているのに、なぜ国も製薬会社も早い段階から注意を促さなかったのか。そもそも、イレッサが承認されたのは正しかったのか?」
そんな疑問を抱いているうち、たまたま東京・銀座4丁目の交差点を歩いていたら、医薬品機構の独立行政法人化に反対する人たちの署名活動に出くわした。メンバーは薬害オンブズパーソンなど、薬害問題と取り組む弁護士や医者など。国が行ってきた医薬品の審査、安全対策、被害救済といった業務が独立行政法人化されると、国の責任があいまいとなり、民間企業への依存が強まって、新薬承認に製薬会社の影響が及びやすくなるなどの懸念を訴えていた。
近澤さんは、そのとき初めて、薬剤被害をただ恨むだけでなく、国や製薬会社の責任を問う方法、すなわち裁判があることを知った。
娘を亡くした近澤さんの体験が新聞に掲載されたのをきっかけに、イレッサの副作用で亡くなった患者の遺族が集まり、03年4月、「イレッサ薬害被害者の会」を設立。翌04年7月、大阪地裁で薬害イレッサ西日本訴訟が、同年11月、東京地裁で薬害イレッサ東日本訴訟が提起された。いずれも、国とアストラゼネカ社を相手取り被害の救済を求める損害賠償請求訴訟(国家賠償訴訟)だ。
やっと出された「延命効果なし」の報告
西日本訴訟の支援グループによる街頭行動(大阪・淀屋橋)
バラ色に描かれていた“イレッサの真実”が次第に明らかになっていった。
裁判の争点となっているのは主に、イレッサと急性肺障害の因果関係とその予見可能性、イレッサの有用性の有無などだが、このうちイレッサと急性肺障害との因果関係については、アストラゼネカ社が04年に調査を実施していて、イレッサによる急性肺障害の発症率は、ほかの抗がん剤を用いた患者に比べ約3倍に高まることが明らかにされた。
急性肺障害の予見可能性についても、「すでに臨床試験や、承認前の個人輸入により副作用症例が報告されており、予見可能性があったことは明らかです」と近澤さん。
イレッサの有用性も争点の1つだ。薬の有用性について検討するとき、どれだけの安全性があり、延命効果があるかをチェックするのは必須だろう。その薬によっていくらがんが縮小しても、薬の毒性によって寿命が縮小したのでは意味がないからだ。
ところが、イレッサが承認された当時、延命効果の有無は市販後に調査すればよいことになっていて、延命効果を調べる第3相試験は行われないまま、承認された。発売開始後、国内での第3相試験が実施され、その結果が報告されたが、ほかの抗がん剤と比べ「延命効果に有意差はなし」の結果だった。
海外ではすでに、同様の試験結果がいくつも出ていて、05年1月には、アストラゼネカ社はEUでのイレッサの承認申請を取り下げている。また同年6月、FDA(米国食品医薬品局)は「投与はすでに服用して効果のあった患者に限り、服用経験のない患者には与えるべきでない」とする警告を出している。
それでも日本では、イレッサの海外での臨床試験のうち、「東洋人では有効である可能性がある」とのデータを根拠として、現在もなお使い続けている。
提訴から今年で3年。西日本訴訟は16回の裁判を数え、東日本訴訟も5月に14回目の裁判があり、審理の途中だ。
近澤さんは、「娘にイレッサを勧めたのは自分だった」との悔いがある。裁判を始めるにあたって、酒もたばこもやめ、仕事もやめて、裁判に自分の人生のすべてをかけることにした。 「判決が出たときが、自分の一生の終わるとき」という近澤さんはこう語っている。
「がんの薬を選択するとき、“最後の選択肢”という言い方をすることがありますが、それはおかしい。薬とは本来、希望を持って飲むものであり、その希望が裏切られたのがイレッサです。無念の思いで亡くなっていったがん患者の命の重さを、1人でも多くの人に訴えていけば、医療は変わる、抗がん剤の治療は必ず変わると信じて、これからも行動していきたいと思っています」
ゲフィチニブ(WIKIPEDIA)
医療に関する記事については免責事項もお読みください。
ゲフィチニブ
IUPAC命名法による物質名
N-(3-chloro-4-fluoro-phenyl)-7-methoxy-
6-(3-morpholin-4-ylpropoxy)quinazolin-4-amine
識別
CAS登録番号
184475-35-2
ATCコード
L01XX31
PubChem
CID 123631
KEGG
D01977
化学的データ
化学式
C22H24ClFN4O3
分子量
446.902
薬物動態的データ
生物学的利用能
59%(経口時)
血漿タンパク結合
90%
代謝
肝臓(主にCYP3A4)
半減期
6?49時間
排泄
糞中86%、尿中4%未満
治療上の注意事項
胎児危険度分類
D(米国)
法的規制
劇薬
指定医薬品
処方せん医薬品
投与方法
経口投与
ゲフィチニブ(Gefitinib)は、上皮成長因子受容体 (EGFR) のチロシンキナーゼを選択的に阻害する内服抗がん剤。癌の増殖などに関係する特定の分子を狙い撃ちする分子標的治療薬の一種である。
ゲフィチニブは白色-黄白色の粉末で、IUPAC命名法ではN-(3-chloro-4-fluoro-phenyl)-7-methoxy-6-(3-morpholin-4-ylpropoxy)quinazolin-4-amine、CAS登録番号は184475-35-2である。化学式はC22H24ClFN4O3。分子量は446.902 g/molである。開発コード名「ZD1839」で呼ばれることもある。
ゲフィチニブ製剤は手術不能又は再発した非小細胞肺癌に対する治療薬として用いられる。製造・販売元はアストラゼネカ株式会社で、商品名は「イレッサ® (Iressa®)」[1]。イレッサ®錠は白色の錠剤で一錠250 mgのゲフィチニブを含有する。日本における一錠の価格(薬価)は6,560.50円(2008年4月現在)[2]。
イレッサ®は2002年7月5日、世界に先駆けて日本で承認を受けた後、2003年5月5日アメリカ食品医薬品局 (FDA) での承認[3]を含め、いくつかの国で承認を受けた。しかし、無作為比較臨床試験(ISEL試験[4]、後述)の結果、プラセボと比較して生存期間を延長することができなかったため、2005年1月4日アストラゼネカは欧州医薬品局 (EMEA) への承認申請を取り下げ[5]、また2005年6月17日FDAは本薬剤の新規使用を原則禁止とした[6]。その後2009年7月1日欧州医薬品局は、後述のINTEREST試験とIPASS試験の2つの無作為化第III相臨床試験の結果をもとに、成人のEGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移を有する非小細胞肺癌を対象にイレッサ®の販売承認を行った[7]。2009年現在イレッサ®を承認している国は、日本を含めたアジア諸国、欧州、およびオーストラリア、メキシコ、アルゼンチンである。
目次 [非表示]
1 作用機序
2 薬物動態
3 効果
3.1 非小細胞肺癌
3.1.1 腫瘍縮小効果
3.1.2 化学療法との併用
3.1.3 延命効果
3.1.3.1 非小細胞癌全体を対象とした比較
3.1.3.2 対象を選別しての比較
3.1.4 EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺癌に対する効果
3.2 脳神経膠芽腫
3.3 頭頸部扁平上皮癌
3.4 その他の癌
4 副作用
4.1 急性肺障害・間質性肺炎
5 「薬害」に関する議論
6 作用機序をめぐる変遷
7 参考文献
8 関連事項
9 外部リンク
作用機序 [編集]
ゲフィチニブは、細胞の上皮成長因子受容体 (EGFR) のシグナル伝達を遮断することで、腫瘍の増殖抑制、アポトーシス(細胞死)を誘導する。EGFRのチロシンキナーゼのATP結合部位にATPと競合的に結合することで、EGFRの自己リン酸化を阻害し、シグナル伝達を遮断する。実験室レベルでは、正常構造のEGFRに対しても効果を示す[8][9]が、実際の臨床では、腫瘍細胞のEGFR遺伝子が特殊な型の変異を伴っている場合に、ゲフィチニブは特に腫瘍縮小効果を示す[10][11]。変異についての詳細は上皮成長因子受容体を参照のこと。
薬物動態 [編集]
経口投与されたゲフィチニブは比較的緩徐に吸収され、内服後最高血中濃度までの時間 (Tmax) は3-5時間、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能、吸収効率)は約60%で食事の影響を受けない[12]。ゲフィチニブ225 mg/日内服後の最高血中濃度 (Cmax) は約320 ng/ml(約0.7 ?mol/l)[13]。血中濃度が定常状態に達するまで連日内服で7 ~ 10日かかる[14]。血中半減期は48時間[12]。主に肝代謝(チトクロームP450 3A4)により代謝され、糞便中に86%、尿中に4%未満が排泄される[12]。血漿タンパク結合結合率は90%[15]。
効果 [編集]
非小細胞肺癌 [編集]
要 約
? 非小細胞肺癌に対して、ゲフィチニブは約10-20%の患者に腫瘍縮小効果を示す。東洋人、女性、非喫煙者、腺癌ではゲフィチニブが腫瘍縮小効果を示す割合が高く、これはEGFR遺伝子変異が関係している可能性がある。
? 1-2種類の化学療法終了後の進行非小細胞肺癌に対して、ゲフィチニブはドセタキセルと同等の延命効果を示す可能性がある。
? 対象を絞り、非喫煙者、腺癌、アジア人の未治療進行非小細胞肺癌を対象とした臨床試験では、ゲフィチニブは化学療法よりも無増悪生存期間を延長した。
? EGFR遺伝子変異をもつ非小細胞肺癌に対しては特にゲフィチニブは奏功し、70-80%程度の患者に腫瘍縮小効果を示す。
腫瘍縮小効果 [編集]
2000年から2001年に、既治療進行非小細胞肺癌を対象とした2つの第II相臨床試験(IDEAL1[16]とIDEAL2[17])が施行され、ゲフィチニブ単剤で奏功率9 ~ 19%、1年生存率24 ~ 36%の結果が得られた。また、ゲフィチニブの腫瘍縮小効果は、東洋人、女性、腺癌、非喫煙者で高い傾向がみられた。腫瘍縮小を示した非小細胞肺癌を調べた結果、癌細胞がEGFR遺伝子変異を持つ場合に、高率に腫瘍が縮小することが明らかとなり[10][11]、また、非喫煙者、腺癌、女性、東洋人ではEGFRの遺伝子変異をもつ割合が高いために腫瘍縮小率が高い可能性が示された[18][19]。
化学療法との併用 [編集]
また2000年から2001年に、未治療進行非小細胞肺癌に対して、初回治療に標準治療であるプラチナ製剤を含む化学療法にゲフィチニブを併用することにより、治療効果に上乗せがあるかどうかが検討された。ゲムシタビン・シスプラチン治療への上乗せ効果を検討したINTACT-1[20]と、パクリタキセル・カルボプラチン治療への上乗せ効果を検討したINTACT-2[21]の二つの第III相無作為化比較試験が施行されたが、いずれも有意な併用効果はみられず、化学療法との併用は効果がないと考えられた。
延命効果 [編集]
非小細胞癌全体を対象とした比較 [編集]
日本を含まない28ヶ国、1692例の既治療進行非小細胞肺癌患者を対象とした第III相臨床試験(ISEL試験[4]、2003年7月15日から2004年8月2日に症例登録)においてゲフィチニブは、登録肺癌全症例に対して、および肺腺癌に対して、プラセボと比較して有意な生存期間の延長を示すことができなかった。しかし、サブセット解析では、アジア人、非喫煙者に対してはゲフィチニブはプラセボと比較して有意に生存期間を延長させた。
全肺癌症例の生存期間中央値は、ゲフィチニブ群およびプラセボ群でそれぞれ5.6ヶ月、5.1ヶ月、P =0.11であり、肺腺癌症例ではそれぞれ6.3ヶ月、5.4ヶ月、P =0.07であった。規定のログランク検定 (Logrank test) では有意差がないものの、Cox回帰分析ではそれぞれP =0.030、P =0.033と有意差に達している。また東洋人の生存期間中央値は、ゲフィチニブ群およびプラセボ群でそれぞれ9.5ヶ月、5.5ヶ月、非喫煙者ではそれぞれ8.9ヶ月、6.1ヶ月であり、Cox回帰分析でそれぞれP =0.010、P =0.012であった。
その後さらに、既治療進行非小細胞肺癌に対する現在の標準療法であるドセタキセル療法と、ゲフィチニブ単剤療法の効果を比較した第III相無作為化比較臨床試験が2つ行われた。これら2つの試験は、すでに1 ~ 2種類の化学療法が行われた進行非小細胞肺癌患者にゲフィチニブ療法を行った場合の全生存期間が、ドセタキセル療法を行った場合の全生存期間よりも劣っていないこと(非劣勢)を証明することを目的として行われた。
2003年から2006年の間に489例の患者を対象として日本で行われたV15-32試験[22]は、ゲフィチニブのドセタキセルに対する非劣勢を証明できなかった(ただし劣っていることも証明されなかった)。しかし、2004年から2006年の間に、日本を含まない24カ国において1466例の患者を対象として行われたINTEREST試験では、全生存期間中央値はゲフィチニブ群が7.6ヶ月であったのに対しドセタキセル群は8.9ヶ月、1年生存率はゲフィチニブ群が32%でドセタキセルは34%、ハザード比は1.020(96%信頼区間 0.905-1.150)であり、ドセタキセルとゲフィチニブは既治療進行非小細胞肺癌に対して同等の効果があることが初めて証明された。
この2つの試験の違いとして、後治療の差が指摘されている。つまり、V15-32試験では、ドセタキセル群の53%もの患者がドセタキセル療法終了後にゲフィチニブ療法を受けていたために、ゲフィチニブの効果がドセタキセル群の患者にもあらわれた可能性である。ゲフィチニブ療法終了後にドセタキセル療法を受けた患者はゲフィチニブ群の36%であった。一方INTEREST試験では、ゲフィチニブ群の31%がゲフィチニブ療法終了後にドセタキセル療法を受け,ドセタキセル群の37%がゲフィチニブを含むEGFRチロシンキナーゼ阻害剤の投与を受けていた。
対象を選別しての比較 [編集]
さらに、ゲフィチニブの効果が期待できる患者を選別して対象とした無作為化比較第III相臨床試験(IPASS試験)が行われた.この試験は、非喫煙か軽度の喫煙の経験者(15年以上禁煙)で腺癌のアジア人未治療進行非小細胞肺癌患者を、ゲフィチニブ治療群とカルボプラチンとパクリタキセルの併用化学療法群に無作為に振り分け、無増悪生存期間を評価する試験である。2006年5月から2007年10月の間に、日本人232人を含む1217人が登録された。その結果、ゲフィチニブ治療がカルボプラチン/パクリタキセル併用化学療法よりも無増悪生存期間を延長することが証明された(ハザード比 0.74、95%信頼区間 0.65?0.85)。事前に計画されていたバイオマーカーに基づくサブグループ解析では、無増悪生存期間はEGFR遺伝子変異陽性患者ではイレッサ群が化学療法群に比べ有意に長く(ハザード比 0.48、95%信頼区間 0.36?0.64)、逆にEGFR遺伝子変異陰性患者では化学療法群がイレッサ群に比べ有意に長い(ハザード比 2.85、95%信頼区間 2.05?3.98)ことが示された。このことより適切に症例を選択することにより、ゲフィチニブ治療は従来の化学療法よりも優れた効果を示すことが示された。ただし、全生存期間はまだ公表されていない。
EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺癌に対する効果 [編集]
EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺癌に対して、ゲフィチニブはその70-80%程度で腫瘍縮小効果を示すことが、いくつかの後ろ向き研究で指摘された。さらに、未治療非小細胞肺癌に対する前向き試験[23][24]で、これらの患者の75%程度でゲフィチニブが腫瘍縮小効果を示すことが確認された。
さらに、北東日本ゲフィチニブ研究グループで行われた、EGFR遺伝子変異を有する未治療進行非小細胞肺癌患者のみを対象とした無作為化比較第III相臨床試験の結果、ゲフィチニブ治療はカルボプラチン/パクリタキセル併用化学療法よりも有意に無増悪生存期間を延長することが示された。
脳神経膠芽腫 [編集]
悪性再発脳神経膠芽腫(グリオブラストーマ)49例に対して、ゲフィチニブ(250 - 1500 mg/日)またはエルロチニブ(150 - 500 mg/日)が投与され、49例中9例で、2方向計測で25%以上の腫瘍縮小がみられた。EGFRの細胞内領域の変異例はなく、EGFRvIIIとPTENの両者の発現がみられた例では有意に腫瘍縮小と相関がみられた[25]。
頭頸部扁平上皮癌 [編集]
52例の頭頸部扁平上皮癌に対するゲフィチニブ(500 mg/日)の効果を検討した第II相試験にて、奏功率10.6%、病勢制御率53%の効果を示した[26]。ゲフィチニブ250 mg/日による臨床試験では70例中1例で腫瘍縮小 (PR) がみられたのみであった[27]。
その他の癌 [編集]
31例の進行腎癌に対するゲフィチニブ(500 mg/日)の効果を検討した第II相試験にて、8例 (38%) で腫瘍の増大がみられなかったのみで、腫瘍の縮小はみられなかった[28]。
副作用 [編集]
急性肺障害・間質性肺炎を併発することがあり、これにより死に至りうる。また、下痢、発疹、ざ瘡(にきび)、乾燥皮膚、かゆみ、爪周囲炎が起こることが多い。
急性肺障害・間質性肺炎 [編集]
投与後4週間以内に発症しやすい。日本において、ゲフィチニブ投与後8週間以内の急性肺障害・間質性肺炎(以下肺障害)の発症率は約5.8%(193例/3322例)、肺障害による死亡率は2.3%(75例/3322例)であった。また PS (performance status) 2以上、喫煙歴のある人、すでに間質性肺炎を合併している人、化学療法を受けたことのある人、では肺障害がおこりやすいことが示唆された[29][30]。また、ゲフィチニブ投与12週以内の肺障害の発症率は、化学療法による肺障害の発症率の1.9倍(4.0%対2.1%)、背景因子を調整すると3.2倍の高さであり、通常の化学療法に比べても肺障害がおこりやすいことが明らかとなった[31]。
ただし、欧米では肺障害はほとんど問題になっておらず、前述のISEL試験では、ゲフィチニブ投与群で3%、プラセボ投与群で4%の発症率であり、ゲフィチニブにより肺障害のリスクは増えていない。ゲフィチニブによる肺障害には民族差がある可能性がある[32]。
「薬害」に関する議論 [編集]
間質性肺炎を中心とした副作用死が多発したことに対して、「薬害」であるとして、危険な医薬品を製造・販売したとしてアストラゼネカの責任を問う論や、承認を行った厚生労働省の責任を問う論がある[33]。
また、承認取消や使用制限を行うべきだという論もある。
(2004年12月28日までの厚生労働省の集計によると、約86,800人の患者に対して、588人が死亡している。)
その一方、十分に注意して投与すれば他の抗癌剤と比較しても危険は少なく、他抗癌剤が無効の場合でも劇的な功を奏することがあり、欠くことのできない重要なものであるという論もある。また、ある程度の危険性があったとしても、他に治療方法が無い場合にはリスクに関するインフォームド・コンセントを十分に行った上で使わざるを得ないといった論がある。
2008年10月現在、日本において承認取消や使用制限は行われていない。
通常は他の薬の審査待ちで、1年ほどの審査期間が掛かるが、イレッサ®の場合は優先して審査したので、5ヶ月ほどのスピード承認となった。当初は副作用が少ないと言われていたが、その承認前には、既に間質性肺炎の副作用のデータはあった。同年7月16日の発売直後から、肺胞の周囲が炎症を起こして酸素が取り込めなくなる、間質性肺炎など重篤な副作用が多発し、死者数は瞬く間に増える。厚生労働省は同年10月15日、イレッサ®との関連性が否定できない副作用26例、うち死亡13例を盛り込んだ緊急安全性情報を発表。その後も死者は次々と増え、その年の終わりまでには180人を数えるに至った。2003年の202人をピークに減少したが、2009年9月末日までの死者の累計は、799人に上ると言われている。症状が進んだ患者で、1?2年は延命したケースも実際あるが、これで生き残る患者は珍しい。また、多くの臨床試験で延命効果は証明されていない。イレッサ®使用継続を後押しした、ガイドライン作成に関わったメンバーの中に、講演料などの報酬を、メーカーから貰っていた人がいたのも問題である。
作用機序をめぐる変遷 [編集]
ゲフィチニブは、上皮成長因子受容体 (EGFR) チロシンキナーゼ阻害薬 (Epidermal Growth Factor Receptor-Tyrosine Kinase Inhibitor; EGFR-TKI) であり、EGFRのATP結合部位にATPと競合的に結合して自己リン酸化を阻害することによりシグナル伝達を遮断して、細胞の増殖や分化を抑制する薬として開発された[34]。実験室レベルでは、EGFRを発現する様々な癌細胞(卵巣癌,乳癌、大腸癌、非小細胞肺癌)に有効であることが示された[35][36]。しかし、EGFRは非小細胞肺癌の40-80%で過剰発現がみられる[37]のに対し、ゲフィチニブは非小細胞肺癌患者の10-19%にしか腫瘍縮小効果を示さず[38][39]、EGFRは非小細胞肺癌のうち扁平上皮癌で過剰発現の頻度が高い[40]のに対し、ゲフィチニブは腺癌で有効性が高く[41]、また実際EGFRの発現とゲフィチニブの効果の間には相関がないことが示され[42]、ゲフィチニブは非小細胞癌の一部で劇的な腫瘍縮小効果を示すもののその正確な作用機序は不明であった。
2004年4月29日、ボストン・マサチューセッツ総合病院 (MGH) のトーマス・リンチら[10]と、ボストン・ダナ・ファーバー癌研究所のギジェルモ・パエズら[11]はそれぞれ同日に、ゲフィチニブにより縮小した肺癌のEGFRに遺伝子変異が認められ,この遺伝子変異とゲフィチニブの臨床効果の間に強い相関がみられたという衝撃的な発表を行った。遺伝子変異を持ったEGFRは、そのATP結合部位に構造変化が生じる結果、EGFRが恒常的に活性化して悪性度が高まる一方、ゲフィチニブとの親和性が高まり、EGFRの下流のシグナルが遮断されることによりアポトーシスが誘導され、腫瘍縮小効果を示すという。それまでゲフィチニブは非喫煙者、腺癌、女性、東洋人で有効性が高いことが報告されていたが、これらは非喫煙者、腺癌、女性、東洋人においてEGFRの遺伝子変異をもつ割合が高いことによる可能性が数々の後ろ向き研究で示された[18]。また、このEGFR遺伝子変異にさらに二次的な遺伝子変異がおこると、ゲフィチニブ耐性となることが示された[43][44]。
これに対して、コロラド大学保健科学センターのフェレリコ・カプーゾおよびフレッド・ヒルシュらのグループは、FISH法により検出されるEGFR遺伝子コピー数の増加が、遺伝子変異よりも強く腫瘍縮小および予後と関連していると反論した[45]。また、ゲフィチニブと同様の作用機序を示すエルロチニブを用いた二重盲検無作為化比較試験において、EGFR遺伝子変異は延命効果 (survival benefit) をもたらさず[46]、またエルロチニブに対する腫瘍縮小効果はFISH法によるEGFRの遺伝子コピー数増加と相関していたもののEGFR遺伝子変異とは相関がなかったと報告された[47]。しかし、EGFR遺伝子変異を有する未治療非小細胞肺癌に対する前向き試験[23][24]によって、これらの患者の75%程度でゲフィチニブが腫瘍縮小効果を示すことが確認され、このEGFR遺伝子変異はゲフィチニブの腫瘍縮小を予測する因子であることは定説になりつつある。ただし、EGFR遺伝子変異がなくてもゲフィチニブが有効である症例も存在し、このEGFR遺伝子変異以外にも治療効果を規定する因子がある可能性は十分ある。
一方、ゲフィチニブは、標準的化学療法との併用療法の意義を検証した第III相比較試験 (INTACT1&2) の事後解析では、標準化学療法のみの群でも、EGFR遺伝子変異例がEGFR遺伝子を持たない例よりも予後良好であることから、EGFR遺伝子変異自体が予後良好因子である可能性も指摘されており、ゲフィチニブがEGFR遺伝子変異を持つ非小細胞肺癌を縮小させることができても、それが予後を延長させることに結びついているのかどうかはまた未決着の問題であり、今後の研究が待たれる。
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