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世論調査のやり方を変えよう。 世論調査が頻繁に行われるようになった。そして、その結果を受けて、世論が望んでいるからこうするのだという論法で政治が進められる。 次に示す小沢一郎氏に関する世論調査はその典型だ。 >民主党の小沢元代表が、政治資金をめぐる事件で、国会での説明の必要はないとしていることについて、説明する必要があると思うか尋ねたところ、「必要がある」が75%、「必要はない」が12%、「どちらともいえない」が10%でした。 この文章は今年11月のNHKの世論調査結果を伝えるニュースからとったもの。しかし、この質問の仕方は典型的な誘導だ。例えばあなたが「遅刻をしてもいいと思いますか」と聞かれたら「いいと思う」と答えることができるだろうか?ほぼ100%の方が「遅刻をしたらいけない」と答えるか「なるべく遅刻はするべきではない」と答えるだろう。 それと同じで「政治資金をめぐる事件で、国会での説明の必要はあると思いますか」と聞けば、事情をしならない人はほぼ全員が「あると思う」と答えるしかない。 そもそも、小沢一郎氏の政治資金問題がどんな経過を辿っているか、そのある程度でも詳しい内容を知っている一般市民は数少ない。一般市民は新聞を詳しく読むことさえなかなかしないし出来ない。つまり、根本的に、内容をよく知らない事についてアンケートをとること自体がおかしいのだ。 しかし、世論調査を一切やるべきではないというのではない。小沢一郎氏の問題について聞くのなら、「今、国会で取り上げるべき問題はどんなものがあると思いますか? 例えば、小沢一郎氏の問題、TPPの問題、財政再建と税制の問題、少子高齢化の問題、その他、どれだと思いますか?」のように聞くのだ。 これには、もう一つ必要なことがある。なぜそれを選んだか、その理由をたずねる事だ。そうすることによって、どの程度の人がマスコミ報道をどの程度きちんと理解しているか、それを知ることができる。「疑惑があるからだ」と答える人は単にマスコミ報道の「政治と金の問題」という言い方に洗脳されていると分かるし、「検察の言い分と小沢氏の主張が食い違っているのでその説明が聞きたい」というのなら、マスコミ報道とは別に自分で調べてかなりよく理解している人だと分かる。 ともかく「遅刻をしても良いと思いますか」式の質問をやって、その結果に基づいて政治をすすめるのはやめてもらいたい。単なるマッチポンプ、典型的な世論コントロールであるからだ。 マスコミこそは10年後、20年後の社会を考えて権力のチェックをやってもらいたい。民間の会社として、その社員は本来20年、30年は過ごすはずだ。社会に大きな影響を与える存在なのだから、その意識を持ってもらいたい。 *6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<288>>
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