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テレビ番組「演出」と「捏造」の行方
2007年5月29日
テレビ番組の「捏造」問題は、「関西テレビ」の社長辞任、民放連除名という、当事者的みそぎを経て、一応は沈静化したように見うけられる。この問題が、発生してからテレビマンたちは、「演出」と「捏造」の狭間で戦々恐々として過ごしてきたに違いない。今回の「健康番組/あるある大辞典」は、資料データの信憑性から、乱雑な番組制作が問題となったわけだ。しかし、テレビ界隈全体を見渡せば、「捏造」と言われる範疇に入ってしまいそうな「演出」は拡大解釈をすれば、いくらでもあるからだ。
程度の問題? その微妙な境界
例えば、報道番組でも、戦地の状況や、ミサイル発射の映像など、果たしてどこまで事実とイメージ映像の区別がなされているのか。クイズ番組では、問題が出てから回答者全員が、答えを書くまでの時間は、どうなっているのだろう? 時間制限がある番組以外、本当にテレビで見ているようになっているのだろうか? 旅番組の映像は、本当にタレントが当日赴いた日に撮影した映像なのか? 天候の良い日に、事前に景色を撮影して映像を当てはめたのではないのか。それこそ、タレントの海外紀行番組で使われるナレーションに「偶然、通りかかった町の○○さんが、ワイン作りに参加させてくれたんです!」のような事は、毎回毎回起こり得るのだろうか?
テレビの番組作りが、テレビ局→下請け→孫請けといった過程で制作されている場合が多い事から、制作費は下流に行くにしたがって減らされていく。従って、報道番組には、速報性が要求される半面、事実確認の時間と予算がない。クイズでは、視聴率の取れる大物タレントは出演料が高い。そのタレントが、「もう少し考えさせて」と言えばカメラを止めて考えてもらう。旅番組は、「晴天」になるまでタレントを拘束し、撮影部隊を宿泊させておく予算がない。海外ロケでは、ロケ日程が現地コーディネーターを介して、綿密に構成されている。往復の航空機の便から、宿泊地、スタッフの食事まで行程表があり、これに則って撮影が行われているわけであるから、毎回毎回、「偶然」が起こっていては、スケジュールが成り立たない。
業界用語には、「仕込み」といった表現がある。これは、出演者などには知らせずに、番組の偶発的な要素をあらかじめ設定しおくと言った場合に使われる表現だ。例えば、タレントが町の探索をしていて、飛び込んだ店に、常連の別のタレントが、「偶然」食事をしていたというような「演出」だ。ワイドショーで「今日は、朝から行列が出来ています!」という取材の場合には、本当に行列が出来ていないと、「映像」にならないというケースに関係者に並んでもらうといったような事だ。
これらのような事は、少なからず、テレビの現場を知っている関係者なら、思い当たる事例だろう。「健康番組」データ捏造は、人間の健康に影響を与えかねない問題だが、果たして、これらのような一見、罪のなさそうな「演出」は、番組の「捏造」という大きな括りに含まれてしまうのだろうか? テレビ局、制作プロダクション、演出家、番組リサーチャーなど、関係者各々が、これまで、制作上の「演出」として考えてきた手法が、全て使えなくなってしまえば、多くのテレビ番組が制作不可能になってしまうだろう。番組制作者たちは、一体どの程度までが、「演出」としての範囲かを見極める事が出来なくなってきている。良心的であればなおさらのこと、意図的な「ドキュメント風演出」を一切排除するという事でしか、解決方法がないのが現実だ。
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