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2008年12月11日
「全国紙」の都道府県別トップシェア新聞を地図化してみる
2008年12月11日 08:00
【朝日新聞の最新版「おサイフ事情」をチェックしてみる】や【テレビ局からスポット広告を減らした業種を調べてみる(2009年3月期第2四半期編)】、【主要テレビ局銘柄の第2四半期決算をグラフ化してみる】などで、テレビ局のうち在京キー局と、全国展開をしている新聞(全国紙)との間に密接な関係があることはお分かりいただいていることだろう。「テレビ朝日は親会社が朝日新聞」といった具合だ。既存4大メディアのうち「新聞」と「テレビ」はそれぞれのグループで一蓮托生状態にある。テレビ局はいずれも上場しており財務状態などを把握可能だが、新聞社は非上場で今ひとつ内情がつかみにくい。そこで今回は、「全国紙」がどの地域で強いのかという観点から、各都道府県ごとのトップシェアを誇る新聞をピックアップし、勢力地図を作ってみたわけなのだが……。
「テレビ朝日は親会社が朝日新聞」で考えれば似たようなつながりは「テレビ東京と日本経済新聞」「フジテレビと産経新聞」「TBSと毎日新聞」「日本テレビと読売新聞」ということになる。この5社をピックアップすべくデータを捜索。大阪の広告代理店である【ア・アド・エージェンシー】で公開されていた【県別新聞トップシェア紙とそのシェア比率・部数】を元に地図を作成した。データは2007年3月と多少古いものだが、部数の減少こそあれどシェアがダイナミックに変更していることはあるまい。
「全国紙」がトップシェアを誇る都道府県とその具体名、シェア比率(読売・朝日以外は該当紙無し)
確かに全国紙についてデータを調べたはずなのだが、予想以上に「全国紙がトップシェアを持つ都道府県」は少なかった。読売が9、朝日が1、産経・毎日・日経はいずれもゼロ。第二位以降はデータが掲載されていないので、恐らくはそちらの順位に「もぐっている」ものと思われる。
それではどんな新聞がそれぞれでトップなのか。実は元データを見ればお分かりの通り、各地域の地方紙がその地域におけるトップシェアを誇っている。たとえば北海道なら「北海道新聞」が49.3%・123万部、山梨県なら「山梨日日新聞」が66.3%・21万部。中には徳島県の「徳島新聞」のように85.3%・26万部と8割を超える圧倒的な占有率を持つところもある。
地方紙がトップシェアを持つ都道府県のうち、そのシェアが50%以上のところ。色が濃いほどシェア比が高い
「全国紙」以外の地方新聞紙が50%以上のシェアを誇っている地域を見ると、四国・中国と日本海側に多いのが分かる。これだけ色が塗りつぶされている地域が多いということは、それぞれの地域で「地方紙」が広範囲に受け入れられているということだ。また、「全国紙」が過半数のシェアを持つ都道府県は存在しないから、こちらの地図で空白の部分は(全国紙がトップシェアを誇っていたとしても)事実上の群雄割拠状態であることがわかる。
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「全国紙」は
「全国に広大なシェアを持つ
全国展開紙」ではない。
地方ではむしろ「地方紙」が
メジャー紙の場合が多い。これらのデータからは、トリガー記事の【ある広告人の告白(あるいは愚痴かもね)】でも指摘しているように、「いわゆる全国紙というのは本来の意味での全国展開紙ではない」ことを意味している。それぞれの地域に住む人は自分の地域の出来事を優先する。新聞世代といわれている40〜50代・あるいはそれ以降の世代は特にそうだ。徳島に住んでいる人は東京の大雨・冠水の話より、徳島県内の渇水に関する情報の方が気になるに違いない。そしてニーズがあればそれに応えるのが商売というもの。全国レベルの情報がないわけではないが、地方紙は自然にその地域の情報の割合が多くなる。そしてその地域の多くの人が手に取るというわけだ(極端なたとえなら、日本人がニューヨークタイムズやデイリーメイルを購読しないのと同じ)。
一応全国紙でも「●×版」と称して各地域毎の情報を載せるページは存在する。しかしその分量は少ないし、地域の区分も比較的大きい。逆に地方紙はAP通信・時事通信などの通信社や、所属する・契約を結んでいる全国紙から「全国版ニュース」の配信を受けているので、全国レベルのニュースにも事欠くことはない。どうしても「専門の地方紙」と比べれば「全国紙」が、地方で引き合いが少なくなってしまう。
中には「全国紙は『得意地域の地域紙』と『各提携地方新聞社への情報の切り売り的な通信社的立場に移行すれば良い』」という意見もある。表現を変えれば「現行スタイルのいわゆる『全国紙』はフェードアウトする形でもいいんじゃないの?」ということだ。考え方としては「番組を切り売りできるテレビ局」に近いのかもしれない。
元々日本における新聞の販売量が世界の中でも突き抜けている(【参考データ】)(宅配制度が要か)だけであって、インターネットというワールドワイドな「媒体」「仕組み」が幅を利かせ始めている今、「本来あるべき姿」を模索してみるのも一つの手、ともいえよう。
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