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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101112-00000005-jct-soci
尖閣ビデオのネット流出に危機感を持ったという朝日新聞の記者が、ツイッターで、内部告発のマスコミ利用を呼びかけている。「ネットを使うと足が付いてしまう」と主張する一方で、マスコミはネタ元保護にノウハウがある、などのメリットを挙げている。しかし、ネット上では、異論が相次いでいる。
呼びかけ主は、朝日新聞名古屋本社で調査報道班に属しているという神田大介記者だ。岡崎市立中央図書館ホームページへの大量アクセス事件で、図書館ソフトの不具合ぶりを調査報道して、知られるようになった。
■「ネットを使うと足が付いてしまう」
神田記者は、マスコミ、とくに朝日が尖閣ビデオをスクープできなかったのが悔しいらしい。自ら開設のツイッターで2010年11月5日、「この映像を自分が、というか新聞社が入手することはできなかったのかなあ」とツイート(つぶやき)。これをきっかけに、マスコミ利用のメリットを説いていった。
尖閣ビデオを入手すれば、紙面などで画像や映像を公開したとし、付加価値もつけて報じられると強調。神戸海保の海上保安官(43)がユーチューブ投稿を告白した後の11日には、運営元のグーグルに警視庁の強制捜査が入ったことを挙げ、「今回改めて明らかになったのは、ネットを使うと足が付いてしまうということだ」と主張した。
マスコミなら、取材源の秘匿は絶対原則で、警察の取り調べに明かすことはなく、「押収されるような証拠を残さないノウハウもある」とした。また、内部告発者は、安全にユーチューブに全映像を流出させることもできたとも言う。そして、具体的な手法は明かさなかったものの、「内部告発はぜひ報道機関へ」と呼びかけたのだ。尖閣ビデオについては、「超一級のニュースなので全力で世に出します」と答えている。
これに対し、ツイッター上では、神田記者の主張に対し、異論が次々に出ている。
一つは、新聞やテレビは、ビデオの情報を編集し、つまんで流すだけだ、というマスコミ不信だ。神田記者は、流出ビデオも当局の都合で編集されているなどと反論したが、マスコミを介すとバイアスが一段増すとの再反論が出た。
■既存メディアならビデオを出せない?
また、ツイッター上では、著作権の問題なども持ち上がって、結局ビデオの画像や映像を紹介できないのではないか、との懸念もくすぶっている。
ネットのメリットを挙げる声もあり、今回の場合は、海上保安官が旅行先のネットカフェで投稿すれば偽装できたのではないか、との指摘があった。内部告発サイト「ウィキリークス」や警視庁公安部の情報が流出した「ウィニー」を使う手もあり、朝日の神田大介記者も、「ああいう手法を誰でも簡単に取れるような時代になると、商売あがったりかも」とつぶやいた。
2ちゃんねるでは、神田記者のツイートに対し、スレッドがいくつも立って、マスコミへの情報提供にかなり否定的な書き込みが相次いでいる。
情報のネット先行に危機感を持っているのは、テレビ局も同じようだ。
芸能関係者によると、ある民放キー局ワイドショーのスタッフは、尖閣ビデオのユーチューブ投稿に大ショックを受けたことを明かしたという。
「いやー、参りました。こんな時代が来たんですね。映像がわれわれのところに持ち込まれないなんて…」
これに対し、この関係者は、「民主党の小沢一郎さんが、すべてを流してもらえるとニコ動で会見したように、既存メディアが不信感を持たれているんですよ。ウェブがスクープの威力を持ち、それをテレビ局が配信するなんて皮肉ですが、今後こういうケースが増えるでしょうね」と言う。
毎日新聞の与良正男論説副委員長は、2010年11月11日付コラムで、自虐的にこう漏らす。テレビ局は、ビデオを入手しても、映像は本物か、守秘義務違反の可能性があるビデオ放映は妥当か、日中関係はどうなるのか、とためらったと思うと。新聞社についても、「各社のホームページにビデオそのものを即座にアップしたかどうか。国民の知る権利を優先するか否かで、やはり大議論になったろう」と明かしている。
つまり、既存メディアならビデオを出せなくなる可能性を認めたわけだ。
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