http://www.asyura2.com/10/hihyo11/msg/114.html
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取材現場の苦労は理解しなくもない。
しかし、それがデスクに上がり、記事になったとき「社是」に沿った偏向報道に陥ってはいまいか?
現場の記者が「出世と転向」を排すジャーナリス魂を貫徹することでしか、大手マスコミの再生はない。
『マスコミ倫理懇:社会環境の激変、直面する課題は−−全国大会報告』
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20101004ddm012040150000c.html
「激変するメディア環境にどう向き合うか」をメーンテーマに、新潟市で9月30日から2日間、マスコミ倫理懇談会全国協議会の第54回全国大会が開催された。各報道機関から約350人が参加、全体会議のあと七つのテーマに分かれて討議した。1年前に交代した民主党政権はまだ地歩を固めきれず、大阪地検特捜部の証拠改ざん・隠ぺい事件では検察捜査のあり方が問われている。報道機関が直面する課題を取り上げた、四つの分科会の内容を報告する。
◆検察とメディア
◇距離感保つ、仕組み必要
「検察とメディア」分科会では、厚生労働省元局長の村木厚子さんの無罪が確定した郵便不正事件などを取り上げた。
まず、毎日新聞大阪本社社会部司法キャップで事件当時は厚労省担当だった玉木達也記者が報告。逮捕直前まで取材に応じていた村木さんが「やっていない」と訴える記事を社会面トップで書いた。異例の大きな扱いになったことについては「局長という権力者の言い分ばかりを載せるのはどうかと社内で大激論になったが、上司を理詰めで説得した。一転して(村木さんが逮捕容疑を)認めて、恥をかいてもいいと思った」と明かした。
一方、ずさんな捜査に対する報道側のチェックのあり方も問われた。読売新聞大阪本社社会部の吉岡康生次長が「無理な捜査の信号はあった」として挙げたのが、大阪地検がかかわった大阪府枚方市発注の清掃工場建設工事を巡る談合・汚職事件。談合罪に問われた小堀隆恒・元副市長の無罪が確定した。吉岡次長は「この事件の検証を怠っていたのではないか。今回の事件の予見可能性はあった。検察の筋書きを追うのが主な仕事だったが、反省しなければならない」と述べた。
検察との距離をどう取ればいいのか。共同通信の佐々木央編集委員は「1人の記者の中で保つのは難しい。(メディアとして)組織の距離感を持つ姿勢、仕組みが必要だ」と指摘した。【臺宏士】
◆検察審と裁判員制度
◇審査経過、説明なしに異議
「検察審査会と裁判員制度の現状と課題」分科会では冒頭、神戸新聞の霍見(つるみ)真一郎記者が、兵庫県明石市の歩道橋事故と同県尼崎市のJR福知山線脱線事故で検察審査会がともに「起訴議決」を出したケースの取材経験を報告。議決要旨が裁判所に張り出されるだけで、審査経過の説明は一切なく、審査員経験者らの記者会見もないことを「ブラックボックス化している」と批判し、会見の必要性を訴えた。また、起訴議決ではこれまで以上に推定無罪を徹底させる報道が求められるのでは、と問題提起した。
この後、検察審査会制度に賛成、反対の立場の法律家らを交えて議論した。「審査会は起訴できる権限を持った以上、説明責任を負うべきだ」「起訴議決された容疑者は匿名で報じる検討が必要」「『起訴=有罪』とみなされがちな風土を変える報道が求められる」など、さまざまな意見が交わされた。
一方、裁判員裁判に関しては信濃毎日新聞の渡辺秀樹報道部長から、裁判員経験者が会見で「休憩時間に裁判員と話したが、死刑廃止論者もいた」などと語ったことに対し裁判所から守秘義務違反の疑いを指摘されたが、そのまま報道したことが報告された。出席した弁護士からは「違反には当たらない」との意見が出され、会見で裁判所側が経験者の発言を制止するなどの現状の問題点が話し合われた。【小泉敬太】
◆地方権力とメディア
◇記事が宣伝、区分けに苦慮
「地方権力とメディア」分科会は、首長が住民から高く支持されているものの議会とは激しく対立している地方自治の実情が報告された。名古屋市の河村たかし市長を取材する中日新聞社会部の池田千晶・市政キャップは、市長が先導する市議会の解散請求(リコール)について、「記事を書けば書くほど署名運動をあおり、河村さんに有利になる」と打ち明けた。大阪府の橋下徹知事の支持率は80%を超えるという。読売新聞大阪本社社会部の池口次郎記者は「知事自ら発足させた地域政党の代表者としての政治活動と、知事としての仕事を分けて報道することに苦慮している」とした。
市議会から「法律を守れ」と糾弾されても無視し続けた鹿児島県阿久根市の竹原信一市長は“別格”。南日本新聞の三輪住雄・阿久根支局長は、記者と接触する職員をチェックする「密告制度」が市役所に存在することを明らかにした。これに対し、座長の坪井ゆづる・朝日新聞社編集・論説委員は「われわれは、事実関係を淡々と書くしかない。啓発的な記事で、実際に市民の意識を変えるのに時間がかかるのは仕方がないのではないか」と話した。【内藤陽】
◆ネット時代のジャーナリズム
◇膨大な情報量、利用者に戸惑い
「ネット時代のジャーナリズム」分科会では、まずニュースサイト「J−CASTニュース」発行人、蜷川真夫氏が講演。インターネット上でのニュースの読まれ方などを分析したうえ、「ネット情報は信用性が高くない」とされていることについて、「100%の信用性はないが、80〜90%はある。読者も暗黙のうちに了解していて、だからこそ、ネットのニュースには既存メディアにない幅や奥行きが出る」と説明した。
また、共同通信社デジタル戦略本部の浜村寿紀氏とTBSテレビ報道局担当局次長の大山寛恭氏がそれぞれの立場から報告。大山氏は、記者が入れない鳩山由紀夫首相(当時)と側近たちの居酒屋での会合の様子を出席者が簡易ブログ・ツイッターで“実況中継”した出来事や、民主党代表選のネット上での動画配信(実験)に同時期に最大9万6000件のアクセスがあったことなどを説明した。
ネット環境の整備が進み、受け手側が選べる情報の量は10年間で530倍になったともされる。利用者側はどのルートから情報を得ていいものか戸惑い、メディア側も読者のニーズがつかみきれていない状況が続いている。分科会では「日本で『ネット世論』というものに影響力はあるのか」や「時間も手間もかかる調査報道は、厳しいメディアの経営環境の下で成り立つのか」などの議論が交わされた。【滝野隆浩】
◇曽我ひとみさん「取材に一定のルールを」
「帰国後の報道は想像をはるかに超えていた。私たちの行動はつぶさにニュースとなり、浦島太郎状態の私は困惑するだけでした」。全体会議の講演で、拉致被害者の曽我ひとみさん(51)は02年に北朝鮮から帰国した当初の心境をそう語った。
約1時間の講演テーマは「取材される側と取材・報道する側」。大部分の時間は北朝鮮での厳しい生活ぶりなどの紹介に充てたが、最後は「取材される側」の戸惑いに触れた。家族を残していた時期に「一番心配したのは北朝鮮の組織が私の行動をどう受け止め、家族にどんな影響をおよぼすか、毎日そればかり考えた」という。それなのに一部の報道機関が家族の住所を記載した。「これにはさすがに怒りが込み上げた」。珍しく強い言葉が口をついた。
そして、「取材する側もされる側も、一定のルールを守ることが基本になければいけないのではないか。『報道の自由』という言葉を耳にするが、そこに取材される側の状況や立場は考慮されないのか。知り得たすべてを公表すればいいというのか。この思いは家族が日本に来て特に強くなりました」と切々と述べた。最後は「拉致問題を風化させないためにも、マスコミの皆さんも訴え続けてください」と訴えた。【合田月美】
毎日新聞 2010年10月4日 東京朝刊
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