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2010年09月29日(水) 06時27分14秒
テレビ局の没落と、コンテンツ産業の衰退
リビングの主役は相変わらずテレビであるが、とはいっても、ずいぶん民放については見なくなったように思う。
私のような、元・テレビっ子世代にとっては、自分でも信じられないほどだ。
まず、バラエティ番組についてはまったく見ない。
信じられないくらいに面白くなく感じるからだ。
よく、ひな壇芸人を集めて、クイズ大会をやっているが、あれのどこが面白いのかが分からないし、それにかなりのテレビ番組で見受けられる毒々しい演出も、どうも自分とは波長があわない。
朝の情報番組も、どこを見ても広告(映画の宣伝、CMの予告)ばっかりで、純粋に広告が絡まないコンテンツはなんだろうと思うと、天気予報と占いぐらいか。
ニュース番組については手軽に情報を取得できるという便利さもあるので見てる。
週末の政治系の討論番組も見ている。
ただ、それも結局は、マスコミが自分たちの意図する方向に、世論誘導を行うために、編集をしているので、放送をしている内容についてはほとんど信用していない。
そこは、情報取得の参考程度にとどめておいて、結局、信頼できる情報を探して、インターネットで確認をする、というサイクルになってきていると思う。
ただ、やはり、リビングの主役はテレビである。
ただ、それをテレビ局に独占させる必要はまったくなくて、民放のコンテンツがあまりにも面白くないなら、DVDを見るか、またはアクトビラ でオンデマンドでコンテンツを楽しむようにしている。
とくに利用しているのが、この中でもNHKオンデマンドで、月額の見放題パックにも登録をしている。
いろいろとNHKも課題が多いが、彼らも優秀なドキュメンタリーをたくさんつくっていたり、また海外からそうした作品を仕入れていて、実は、NHK総合だけでなく、教育テレビや、BSでも良質な作品を放送している。
だから、とくに見たい番組がないときは、NHKオンデマンドに入って、過去のアーカイブを探していれば、なにかしら興味深い作品にたどりつけるというわけだ。
もちろん、大河ドラマや、音楽番組、リトルチャロのような英会話番組まで、NHKのアーカイブにはある。
一点、NHKに対して納得がいかないのは、毎月毎月、BSも含めて高い受信料を払い続けているのだから、NHKオンデマンドについては別料金にするのではなくて、無料サービスにすべきじゃないか、という点なのであるが、まあ、現状は仕方ないか。
NHKオンデマンドも利用者が限られているので、私のような声も少数だろうし。
さて、おそらく、質の低下が止まらない日本のマーケットにおいては、我が家のような家庭は多いのではないか。
テレビ局の視聴率低下というのは、ちょっとありえないぐらいのスピードになっている。
一昔前は、視聴率20%超えというのは珍しくもなんともなかったが、最近では、コールデンタイムでさえも10%を超えると、まずまず健闘をしているというレベルにまで、テレビ局は落ちぶれた。
先週面白いなと思ったニュースは、アメリカのビデオレンタル最大手のブロックバスターの倒産 のニュースが流れ、その後、日本でTSUTAYAがDVDレンタルの枚数が月間最高 を記録したということだ。
常識的に考えれば、アクトビラのようなテレビと直結したオンデマンド配信することで、アメリカで起こっている現象のように、ブロックバスターのような業態は倒産するわけである。
しかし、日本ではそこに対して、民放のコンテンツがあまりにも面白くないという要素や、ケーブルテレビのような専門チャンネルがアメリカほど普及していないという要素もあってか、多くの消費者がDVDレンタルに流れたという事情もあったのであろうが、逆の現象が起こっているわけである。
もちろん、TSUTAYAは、旧作100円キャンペーンや、T-POINTを使った体力勝負の販促を積極化させているので、利益面では、かなり苦戦をしているということは、容易に想像ができる。
また、こうしたフランチャイズでの店舗展開ではなく、ポストの投函でDVD返却をするというツタヤディスカスというサービス、そしてそれに追随するように楽天レンタルや、DMM.comの似たようなサービスも登場をしている。
まして、これが楽天レンタルなどは一枚50円という、とんでもない料金設定をしてしまうのだから、ますます、テレビ離れを進んでいくのであろう。
しかし、本来は、オンデマンド配信が圧倒的に便利で、もっと普及すべきなのだが、DVDの実物レンタルがまだ主流ということも、日本特有の「ガラパゴス現象」が起きているのだろうか。
さて、話は変わるが、ツイッターでもよくつぶやいている通りで、我が家は息子が三歳とまだ小さいこともあるので、アクトビラで、「世界名作劇場」を、今年に入ってからずっと見ている。
世界名作劇場は、とくに前期は、高畑勲や、宮崎駿といった面々が、プロジェクトに関わっていたこともあって、キャラクターの顔を見ればわかるとおりで、かなりスタジオジブリ作品に共通した雰囲気を持つ。
とくに「母をたずねて三千里」などは、いかにもジブリらしい冒険作品に仕上がっている。
まったくもって偉大だなと思うのは、
1974年に「アルプスの少女ハイジ」を放送して以来、「フランダースの犬」、「母をたずねて三千里」、「あらいぐるまラスカル」、「ペリーヌ物語」そして「赤毛のアン」と続く。
毎年、毎年、アニメ史上に残るような名作を残しつづけてきたのだ。
こうした作品が世界中で放送されているということを知り、日本人は偉大な仕事をしあげたなという思いがある。
さて、こうした作品が舞台となった時代は19世紀から20世紀前半である。
そして共通しているのは、子どもたちが片親か、孤児か、また家が破産して貧乏のどん底にあるか。
そんな中でも、希望を捨てず、明るく前向きに頑張っている点である。
私の息子は、幸いにして、両親とも健在であるし、財産も破産をしているわけではない。
いわゆる普通の家庭に生まれた子どもである。
しかし、そういう彼でも、こうした作品をいっしょに見ていて、
「アン・シャーリーのおとうさんとおかうさんはどうしていないの?」
「なぜペリーヌは、パンがかえないの?」
ということを質問してくるし、そしてこの主人公たちが幸せになると、息子なりに本当に嬉しそうで、喜んでいる。
さて、こうした作品は私たち大人が見ても面白いのだ。
もともと私は「フランダースの犬」がすごく好きで、とくに少年ネロと、イエス・キリストの受難の生涯をかさねあわせ、最後にルーベンスの「キリストの降架」の前でネロの生涯を終わらせるという、ストーリー展開にとても感動をしたのだが、直近で見た作品では「ペリーヌ物語」がすごく良かった。
原作は「家なき娘」で、アニメオリジナルの話が半分ぐらい入っているのだが、とくに後半、祖父のビルフランの秘書として働きはじめるうえで、それまで会社の規模拡大ばかり目指してきて、従業員の心が離れてしまいつつあった工場を、見事なコンサル能力でよみがえらせたペリーヌの才覚はすごいと思った。
息子の葬式にあって、従業員がなぜあまり参列しないかということに、経営者が従業員の幸せを考えずに、規模拡大ばかり目指して、低賃金で働かせつづけたからだということを指摘し、従業員の子どもが私営の託児先の家庭で火事で亡くなるという悲劇をきっかけに、経営改革をさせるのである。
工場が託児所をつくって、学校をつくって、安心して従業員が働ける環境をビルフランはつくった。
私は、この物語を見ていて、ビルフランのようなベンチャー企業出身の社長がいかに多いか、ということを考えた。
会社の規模拡大ばかり考えて、従業員に絶対服従を求めるが、結局、自由にものもいえない雰囲気をつくってしまって、なんとなくうまく会社はいっているようだが、実は、マグマのように地下に不満がたまっていると。
いわゆる「面従腹背」の状態である。
これが会社が崩れ落ちる、ほんとに危険な状態である。
そういう場合は、側近が社長に対して苦言を呈しなければいけないのだが、結局、ベンチャー企業の社長なんかは、強烈な自信家が多いから、茶坊主のような側近を周りにおいてしまって、また部下のことも本音では信頼していないので、現場の閉塞感や、不満というのが経営に伝わっていかないと。
しかし、まあ、世の中、こういう状況になっている会社だらけだと思うが、21世紀の今になっても同じ課題が経営にはあるのだなと。
あと、19世紀の産業革命の時代、会社の売上と利益ばかり求めて従業員の幸せを求めてこなかった時代と、21世紀の今、新自由主義が蔓延してやはり、売上と利益ばかり求めている昨今の企業のあり方を見ていると、非常に似通った社会問題が起きているのだなという思いがある。
さて、いずれにせよ、考えてみれば、「マスゴミ」と蔑まれ、今や石を投げつけられそうなぐらい嫌われはじめたテレビ局であっても、昔はこのように世界に誇る素晴らしいコンテンツをつくっていたわけである。
ただ、このところ、音楽にしても、ドラマにしても、アニメにしても、どこまできちんと予算をかけて、良質な番組をつくろうとしているのか、はなはだ疑問であるし、その結果、お隣の韓国に、ソフトの分野にまで、お株を奪われつつあって、日本はコンテンツ産業の分野でも、劣勢に立たされつつあるのではないかということを危惧している。
日本のコンテンツ産業は、昨今のメディア構造の変化により、雑誌社やその下にいる編集プロダクションが次々と倒産し、音楽レーベルもドメスティック産業から脱却できずにジリ貧の状態にある。
テレビ局の下請けの制作会社もやはりジリ貧でバタバタと倒産をしていっている。
もちろん、それは自業自得の面も否めないが、一方で、テレビ局を頂点とした日本のコンテンツ産業の構造全体の問題でもあるので、そこは問題意識をもって、考えるという視点は忘れないでおきたい。
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