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過去3年間、金融危機の影響で為替相場は乱高下を繰り返してきた。今年、世界の為替相場はどこに向かって進むのだろうか。私は、「通貨戦争」と「通貨崩壊」、そして「為替相場の混乱」が複合的に起こると予想している。ただ、それによって景気回復の流れが終わることはないだろうし、まして世界が終焉を迎えるわけでもない。
まずは、現在の変動相場制が全体として非常にうまく機能してきたことを認めるところから始めるべきだ。複雑なリスク要因の存在や、各国独自の政策を前提として、「なぜ大きな為替相場の変動が起こるのか」を論理的に明らかにすることが現在の大きな課題といえよう。たとえばアメリカは、金融危機の震源地であったにもかかわらず、初期の段階ではドル高が進んでいる。
為替相場が不思議な動き方をした際にも、変動相場制はショックを吸収する役割を果たしてきた。金融危機後のユーロの急激な下落がドイツの輸出を支え、それによってユーロ圏は生き延びることができた。
他方、巨額の外貨準備を持ち、債務も比較的少なかった途上国においてさえ、為替相場は崩壊してしまった。その後、途上国の為替相場は急激に反転している。これらの通貨は当初、金融危機後の世界貿易の落ち込みを反映して下落した後、世界貿易の回復を反映して上昇した。この為替の変動によって景気の悪化を避けることができた。
金融危機は固定相場への移行を促すことにはならなかった。むしろギリシャ、ポルトガル、アイルランド、スペインなどの国は、共通通貨のユーロにくぎ付けされているため、為替相場の下落によって競争力を獲得することができなかった。
ユーロの創設を支持したコロンビア大学のロバート・マンデル教授が、「世界の最適な通貨数は奇数で、3通貨未満が好ましい」と主張したことは広く知られている。言い換えれば、世界通貨は一つが好ましいということになる。
確かに世界政府が誕生すれば、一つの世界通貨が理にかなっている。だが今、単一で万能な中央銀行を設立する案に特段の魅力はない。米FRB(連邦準備制度理事会)による“量的緩和”政策の後に生じた、辛辣な批評とヒステリー状態を見るといい。投資家がドルから逃避する唯一の投資対象が金などの一次産品である世界でパニックが起こった場合を想像してみるといい。
ユーロ崩壊のおそれ 中国はインフレ濃厚
ただし今まで変動相場制度が成功してきたからといって、今後もうまくいくわけではない。今年も各国が為替相場の急激な上昇と輸出の落ち込みを阻止しようとする「通貨戦争」は続くだろう。そしてアジア諸国は通貨戦争で徐々に敗北するはずだ。最終的にインフレ圧力の高まりと貿易の報復の脅威に直面して、為替相場の切り上げを認めざるをえなくなる公算が大きい。
「通貨崩壊」の第1候補は間違いなくユーロだ。理想的な世界においては、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルの過剰な政府債務と、スペインの自治体と銀行の債務に対しては、返済繰り延べなどの措置が採られるはずだ。同時に賃金の大幅な切り下げも行われ、これらの国の輸出競争力を回復することになる。
だが、ユーロ圏の政策担当者は、問題国に対するつなぎ融資を拡大するその場しのぎの政策を選び、市場が要求する持続可能な解決策を拒否している。厳しい財務状況から目を背けるのは大きなリスクだ。ユーロ圏の各政府が現実に立ち向かうまで、ユーロは脆弱なままだろう。
他方、ドルは安全な通貨のように見える。その理由は、FRBの広範なドル相場指数によると、ドル相場は購買力から見て国際的に過去最低の水準まで落ち込んでいるからだ。よって、正常な購買力平価の均衡に回復するとすれば、ドルは若干の上昇傾向に向かうはずである。
もちろん、FRBによる財務省証券の大量購入がユーロの債務危機よりも大きなリスクであると信じている人もいる。ただし、専門家の大半は、債券購入による量的緩和を評価している。それが経済を流動性のわなから救い出し、債務負担をさらに悪化させかねない持続的なデフレに陥るのを阻止すると考えているからだ。
中国の人民元は、極めて政治的な為替制度によって維持されている。最終的に、経済の急成長は為替相場の大幅な上昇か、国内の物価水準(インフレ高進)、あるいはその両方に反映されなければならない。今年は、インフレ高進によって均衡が図られる年になりそうだ。
最後に、「為替相場の混乱」は三つのシナリオの中で最も可能性が高い。今年は、世界中の為替相場で予想しがたい大変動が起こるだろう。2000年半ばに、マクロ経済のグレートモデレーション(先進国における経済成長変動幅の縮小)の結果として為替相場は安定する、と主張されたが、今ではそんなことを主張する者はいない。変動相場制は驚くほどうまく機能したが、通貨は今年以降も、不安定かつ予測不可能であり続けるだろう。
Kenneth Rogoff
1953年生まれ。80年マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。99年よりハーバード大学経済学部教授。国際金融分野の権威。2001〜03年までIMFの経済担当顧問兼調査局長を務めた。チェスの天才としても名を馳せる。
(週刊東洋経済2011年1月29日号)
※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
写真と本文は関係ありません 撮影:尾形文繁
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コメント
稲盛さんの記者会見の動画をアップしましたが、その動画の中で非常に雇用に関する発言が多いような気がしました。まぁ、時間が許す限り一度は見てください。
正直、JALという企業は、自民党の政治家や官僚に振り回されてきたという事情もありますし、JALの職員の危機意識、プライドの高さも問題ありましたし、他の企業関係者から言わせれば、あの仕事振りで倒産しない方がおかしいともいわれる発言も耳にしていましたので、大きすぎてつぶせない会社を守る日本の政府の姿勢が、いい方向に向かってくれればいいかなという感じです。ただ、稲盛さんの発言で神の御加護があったかもしれませんが、今後大きな波に振り回される可能性もあるのかもしれません。
稲盛さんは、その会見の中で、今の大手企業それぞれを日本国の企業のような国益を担う企業のような話をされていましたけれども、現実はそうではないようです。
今東京株式市場は、海外の株高で大変堅調な動きをしています。正直、もう少し力強い動きが東京市場にあってもいいのだかなという感じもしますが、どうもその原因は国内事情にあるようです。
東京株式市場の大きな買い手は、現在外国人投資家と言われており、大きな売り手は、国内の大手企業、生保、銀行、公的資金筋ともいわれています。
売り手は、三月末までに後数百億円分の売り物を出す予定ですし、すでに今までにも毎月三百億円位は、持ち合い解消分を売り飛ばしているはずです。
ある経済界の重臣であり、取り引き所とも関係がある有力者が、すでに国内をあてにせず、中国を頼る決断をしたそうです。
その結果、日本の有力企業の株式を中国ファンドという形でものすごい勢いで購入してきています。
欧米などの機関投資家などは、主に年金資金を投資の買いつけ資金として動かしており、ある一定の利益、或いは利率が取れれば売ったり、長期ポートフォリオにいれていますが、中国からくる資金は、それらとは全く別の動き、思惑も見え隠れしています。
ただ、日本の大手企業の経営者は、今の民主党菅政権を見てわかるようにすでに失望しており、かつ、自民党にしても公明党にしても今の菅政権に否定的な民主党議員、国民新党、社民党にしても、菅政権を引きづり降ろす気があるのかどうか、全く動きが鈍い状況です。
菅総理の次が、岡田さんでいくとか、前原さんでいくとか噂がでているようですが、もはや今の菅政権のスタッフ、重臣で日本の舵をまかせるという気持ちは多くの有権者は持たないでしょう。
その不満が今後、他の議員へと波及していくかもしれません。つまりは、もう日本のことを今の議員には任せられないという動きです。
政界の動きが悪いというのは、主に官僚が悪いとも言えます。官僚が今の菅政権を支持しているからです。
菅政権は、民主党が当初掲げた脱官僚宣言を完全に無視しはじめており、官僚依存に傾いています。官僚そのものを悪いとは言い難いのですが、官僚などの公務員は、多分、組織維持非常事態宣言を内部でだしているのかもしれません。
つまりは、国民生活よりも公務員組織維持が非常に重要になってきているということです。
天下り先がないということです。
キャリア官僚などはそれなりに行く先は当てが現状あるでしょうが、ノンキャリアなどの公務員は、まったく先が見えません。
その上、今後公務員の定年退職者が増加していくのです。
与謝野さんの目的は、定年年齢の引き上げを考慮していくということでしょう。
金融機関にしても官僚などの公務員にしても実務に疎く、いわゆる合成の誤謬がおきていることに気づいていないのです。
自分達だけが大事となり、全体の動きを見極めることができなくなっているというのが現実なのかもしれません。
ある知り合いが、今回の株価の上昇は異常だと感じ、ここで暴落するだろうと大きなかけをしたようです。つまりは、暴落にかけ、空売りをしたということです。
一昔前ならば、暴落したかもしれませんが、今や米国FRBにしても株式の主な資金は、年金資金であるために暴落を止めることを優先に考えます。
この暴落を防ぐために、バーナンキFRB議長という人材がでてきたわけであり、米国の金融政策というドルという紙切れの信用価値が試されているともいえます。
バーナンキFRB議長が、議会からの批判などでひょっとして退任するような事がある時が本当は非常に危ない時なのかもしれません。
知り合いもそのことに気づいていなく、今回大きな損をして差額決済をしたそうですが、日本企業に対して株を買ってくれる勢力がある以上、大きな下落というのは近々ないようにも感じられます。
しかし、日本の企業というのは不安定な状況です。やはり一番問題なのが雇用の問題でしょう。
ある大学教授に聞いた話ですが、教え子をある企業に紹介したのですが、その企業の人事部いわく、マイナーな言語の読み書きができる子が社員としてほしいと注文をつけてきたそうです。英語だけではだめだということです。
その話を聞いた時に、私は、その人事部の正社員は、英語もマイナーな言語も読み書きできるのかなと感じましたが、多分どの言語も読み書きできないというのが現実でしょう。
現在大手企業が、TOEIC750点以上でないと正社員採用ができないと就職の門を閉ざしていますが、その大手企業の多くの現正社員の中でどのくらいTOEIC750点以上とれている正社員がいるのでしょうか。
まずは、新入社員の選別にそれを使うのであれば、現状の正社員に対して選別をするというのが公平ではないかとも感じますがどうでしょうか。
今の大手企業は、既存の正社員を守りすぎます。その犠牲が、非正社員、これから社会へ飛び出そうとする若者に集中しすぎです。
外国のヘッジファンドなどを手掛けている投資家は、よくmake maoneyという言葉を使いますが、今後非正社員や若者には、make job という言葉が必要となるのかもしれません。
無能な政権、官僚に市場を作らせるのではなく、フリーな立場で市場を作っていくという発想です。フリージャーナリストなどが集まる記者会見などが増えていくというのもmake job の一種かもしれません。
株式市場が資本主義の富の生産といわれているように、市場を作り富の生産場所を作り続けることが民衆の役目だとも思います。
株価は、下がらなければ上がらないというように、景気が悪くならなければ回復しないと同じように、景気が悪いことに安堵を感じる勢力をのさばらせておくことは、非常に危険な状況だと多くの市民が感じる世界というのがこれから日本の歩む道だとも感じるのですが。
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