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「国内の強力な既得権集団とガチで戦っても勝ち目は無いし
国民の批判もかわしたい」と言う意見が強くなれば、
構造改革は先延ばしにして地味に稼ぐというのは合理的ではある
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日豪EPAは「TPPよりまし」
* 2011年2月7日 月曜日
* 安藤 毅
グローバル 経済連携協定 TPP 農業改革 EPA 環太平洋経済連携協定
日本・オーストラリアのEPA(経済連携協定)交渉が再開する。関税撤廃を狙うTPP(環太平洋経済連携協定)よりはまし――。農業関係者などの意識の変化も進展の追い風になりそうだ。
日豪両国のEPA(経済連携協定)交渉は2007年4月に始まった。「自動車部品など工業製品の輸出増に加え、鉄鉱石やレアアース(希土類)といった資源の安定調達につなげる意味でも大事な協定」(外務省幹部)。しかし、これまで11回の会合を重ねたが、昨年4月の交渉を最後に中断していた。
最大の障害は、農畜産物の自由化に日本側が抵抗してきたことだ。豪州は日本にとり米国、中国に次ぐ農林水産品の輸入相手国。特に下グラフの牛肉、小麦、乳製品、砂糖の4分野は今でも豪州産が国内市場で多くのシェアを占めており、締結後の輸入増は確実だ。
危機感を強めた農林水産省などの根回しもあり、2006年12月には衆参両院の農林水産委員会がこうした分野を自由化の除外、または再協議の対象にするよう政府に求める決議を採択した。外務省幹部は「手足を縛られ、実質的な交渉ができなかった」とこぼす。
「EPAで例外獲得が得策」の見方
暗礁に乗り上げていた交渉が2月7日から再開することになったのは、TPP(環太平洋経済連携協定)参加を巡る国内論議の沸騰が背景にある。
TPPはシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイで2006年に結んだFTA(自由貿易協定)が発端。すべての品目について即時、または10年以内に関税を撤廃するのが原則だ。ここに、米国、豪などが参加を表明。日本も参加すれば、日本が豪との関係で守りにこだわる農畜産物についても、大幅に輸入が増えるのは必至だ。
「TPP参加は阻止したいが、菅直人首相が前のめりである以上、次善の策を考えないといけない」(東北選出の民主党議員)。そこで注目されたのが、目の敵にされてきた日豪EPAだ。
経済産業省幹部によると、TPP参加・参加希望国の間では2国間で結んだFTAをどのように扱うか決まっていない。米国は豪とのFTAで、砂糖など 183品目(関税品目の約2%)を自由化の例外扱いしているが、多国間協定であるTPP参加の際にも、豪とのこの内容を維持したい意向という。
つまり、日本も豪とのEPAで一定の例外措置を確保すれば、TPPに参加後も豪との関係ではそれを維持できる可能性があるわけだ。関税品目の4%程度を自由化の例外扱いできれば、日本が重視するコメと先の4分野関連の大半の品目が守れる計算だ。「TPPよりEPAがまし」との認識の広がりが日豪EPAへのハードルを下げつつある。
農業改革への機運が高まってきたことも大きい。「自由化の流れは止められない」と語る農家も増えている。政府が6月にまとめる国内農業の改革案で適切な支援措置を打ち出せば、10年程度の時間をかけた関税撤廃など柔軟な対応も豪との交渉のテーブルに載せることができる。豪側の出方は不透明だが、交渉の幅が広がるのは確実だ。
日豪EPA締結でTPPに弾みをーー。政府の公式見解はこうだが、ある外務省幹部は「政権が行き詰まればTPP参加は幻に終わりかねない。まず目の前の日豪EPAで実を取ることに全力を尽くす」と本音を漏らす。
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