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デフレ論争の終わり
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/837.html
投稿者 tea 日時 2011 年 2 月 03 日 19:40:09: 1W1IXELjjF6i2
 

以前も

貨幣数量説について*

を紹介したが池田信夫にとっては、もうリフレ派は完全に終わっているということらしい

確かに、高橋洋一らリフレ派の主張とは裏腹に、日銀の緩和QEと金利上昇の間に相関が無いのでは、どうしようもない

バーナンキのQEも、最初は長期金利を下げ、為替を下げると言っていたのに、
知らない間に株価を上げたことを自慢して、金利に関しては口をつぐんでいる
まあ、自国の緊急事態だから仕方がないとしても、世界のリーダーを自任する米国が
世界中でインフレとバブルを引き起こした責任については、後で、どう釈明するのか聞きたいものだw
http://marketwatcher.blog61.fc2.com/?mode=m&no=365

デフレ論争の終わり






週刊 東洋経済 増刊 デフレ完全解明 2011年 2/2号 [雑誌]週刊東洋経済の臨時増刊は「デフレ完全解明」。ところが中身を読んでみると、10人のエコノミストのうち「4%のインフレ目標」などと叫んでいるのは岩田規久男氏だけで、他の人々は「規制改革」や「産業構造の転換」あるいは「潜在成長率を高める」など、デフレそのものをほとんど問題にしていない。もうデフレ論争は終わったということだろう。



一般論としては、金融政策が効果をもつ局面はある。伊藤隆敏氏も指摘するように、90年代末の金融危機のとき、日銀が現在のFRBのようにアグレッシブな流動性供給を行なっていれば「デフレの罠」に陥ることを防ぐことができたかもしれない。さらにさかのぼれば、90年代前半の不良債権処理の失敗によって企業のバランスシートが毀損した状態が長期化したことも大きい。しかしこれは結果論で、今いってどうなるものでもない。



上野泰也氏もいうように「デフレの原因は実物経済の需給バランス」なので、実物経済を改善しないでデフレを直すことはできない。現在の標準的なマクロ理論によれば、デフレの罠の原因は自然利子率が低い(負になっている)ことであり、その原因は潜在成長率が低いことだから、潜在成長率がゼロに近いとき人々がデフレを予想するのは合理的なのだ。



「デフレ」といわれる現象のかなりの原因は新興国との競争による相対価格の低下だから、TPPよりもEPAで資本統合を進めることが重要だ。本社機能や高付加価値の事業を日本に残す一方、コモディタイズした製造業は新興国に移転して国際分業をはかる。古い企業は海外企業が買収して再生できるように対内直接投資を増やし、労働市場の調整機能を高めて人材の移動を促進することも重要だ。



こうした複雑で困難な改革に目を閉ざして、日銀が金をばらまけば景気がよくなるなどという幻想を振りまくのは、もはや犯罪的である。さらに厄介なのは、政府が問題の所在を認識せず、「労働者派遣法の改正など雇用や収入に不安を抱える非正規労働者の正社員化を進めます」などと真逆の方向に走っていることだ。多くの論者が指摘するように残された時間は少ないが、民主党政権では何もできないだろう。

貨幣数量説について*






ツイッターでややこしい質問があったので、ここで説明しておく(リフレを信じてない人は読む必要はない)。



私が何度も説明したようにマネタリーベースと物価に相関はない。これは高橋洋一氏も認め、ニコ生のときは「福井さんがもう少し長くやっていれば・・・」などと言い訳していたが、今度は各国比較を出して、「世界各国の通貨量増減率と物価上昇率の関係をみると、相関係数は0.7程度とかなり相関がある(図4参照)」と書いている。



この図4は出所も国名も書かれておらず、「通貨量」とはマネーストックなのかマネタリーベースなのかわからないが、前者だと思われる。通貨統計でマネタリーベースが問題になることはまずなく、日本の場合は無相関なので飛び離れた値になるはずだからである。マネーストックと物価に(弱い)相関があることは、貨幣数量方程式として知られている。



MV=PY ・・・(1)



ここでMはマネーストック、Vは流通速度、Pは物価、YはGDPである。これは恒等式なので、Yを所与とすれば、Vが安定している場合には



M=P ・・・(2)



という関係が近似的に成り立つことがある。つまり物価がマネーストックで決まるという関係がある。しかし2000年代の日本では、図のように(2)式のような関係は見られず、むしろマネーストックと物価の変化は逆相関しているようにも見える。



boj0122



マネーストックと消費者物価の変化率(対前年同月比、%)

この原因は、ゼロ金利状態で資金需要が飽和したため、通貨供給が増えても資金需要が増えない「デフレの罠」に入ったためと考えられる。つまり(1)式で貨幣のマネーストック(M)が増えても流通速度(V)がそれを相殺するように減るため、結果として(2)が成り立たないのだ。しかもこれはマネーストックと物価の相関であり、何度も紹介したように(日銀の供給する)マネタリーベースと物価にはまったく相関がない。



数学科出身の高橋氏が、まさかこんな初歩的な統計を理解していないはずがないのに、「一般物価は中央銀行の出す通貨量で決まる」などという事実誤認を繰り返し表明するのは、モリタクと同じく政治的な意図によるデマゴギーといわざるをえない。老婆心ながら言っておくと、複数の元上司や元同僚から「高橋は昔は優秀だったのに、最近はおかしくなった」という嘆きを聞かされたが、私も元同僚として残念に思う。


 


 

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コメント
 
01. 2011年2月03日 22:48:12: LFn0wu1hlk
貧富の格差拡大がデフレの本質的原因

格差社会と平等社会では,マネー統計の意味が全く異なってくることを知るべし

官僚,御用学者はインフレ時の昇給率で民間に負ける故にデフレ大歓迎

ここまでコントロールされていると行くところまで行って,
あとは,市民一揆でどうにかするしかないだろうな


02. 2011年2月03日 23:08:19: mHY843J0vA
>バーナンキのQEも、最初は長期金利を下げ、為替を下げると言っていたのに、
知らない間に株価を上げたことを自慢して、金利に関しては口をつぐんでいる

確かに最初は長期金利を下げることで、不動産デフレを抑えるという目的があったようですが、元々、QE2では金利抑制効果は低いので、長期間継続することで、デフレ期待を払拭し、米国を流動性の罠に落ち込ませないことが主要な目的になったということみたいですね。

結果として、新興国バブルと商品インフレが引き起こされたのは、日銀の膨大な量的緩和と同じですが、外国のことなど考えていられないということなんでしょう。
ただ、その結果、本当に米国民にとって長期的にプラスなのかは、難しいですね。

量的緩和はもう日本では、ほとんど効かないため、今、日銀は財政政策(資産買い上げの包括緩和)を行っていますが、これが日本の経済と社会にどんな影響を及ぼすかを注目していく必要があるのでしょう。
特定のREET産業などが恩恵を受けるだけで雇用があまり増えないとしたら、批判が高まりそうです。
http://www.bk.mufg.jp/report/ecorevi2010/review_us_20101101.pdf


03. 健奘 2011年2月03日 23:19:55: xbDm84QDmOFmc : 5bQpjXAVhU
どういう観測値を使うかは、感性に大きく依存するんです。

> 日銀の緩和QEと金利上昇の間に相関が無いのでは

こうした観測値を選ぶのは、旧い感性の人々ですね。そして、構築した経済社会を、次に発達させるのではなく、旧来の感性のまま、ジワジワと壊していくしか道を見出せないのでしょう。あたかも、もう一度、"おしん"をやりましょうと。

しかし、人々の直感は、きっかけさえあれば、急速に、どうすれば次の姿を得ることができるかを知るようになるでしょう。新しい発想のもと、観測値についても新しいセットを取り上げるようになるでしょうね。


04. 2011年2月04日 08:25:20: XlVNlWJpm6
>>マネタリーベースと物価に相関はない
>> 日銀の緩和QEと金利上昇の間に相関が無いのでは

バーナンキの背理法によると、どんどん増やしていけば
例えば高橋洋一氏が言うように一人10億円配れば
いつかはインフレになることは間違いない

一方で日銀の緩和でマネタリーベースが増やせても
物価が明確に上昇するわけではないから
デフレ解消には役に立たない
日本は流動性の罠に囚われている

つまりマイルドなインフレを起こすことはできず、
インフレは必ず、急激なものになり
その時には、日銀と円への信頼が破壊されているので
金利を10%にしたくらいでは、短期間に収まる可能性はなく
大前氏など多くの人々が指摘するような
悲惨なインフレが続いて、その後に長い、悲惨なデフレが待っている
ということになるだろう


05. 2011年2月04日 10:24:22: z6FPymHZG6
>>04
20年有効なデフレ対策を講じなかったツケはハイパーインフレという形で表れるかもしれませんね。

06. 2011年2月04日 18:37:36: 9wjqyqBwdA
01さん、

あと、日銀マンね。


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