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中国人も多様化しており、80後以降の若年層は日本人や欧米人とかなり似た思考様式だ
そして世代間の違いが大きいのは成長の著しいアジアの特徴とも言える
サムスンは市場特性に合った製品を打ち出してインドなどでは成功しているが
圧倒的な力をもつサムスンですら飽和する家電市場では利益をだせなくなってきている
海外の人材を幹部として取り込むのは欧米が昔からやっている戦略だが
企業自身が明確なビジョンを示せず、単に真似をするだけで、
労働者の特性を理解した上で、人材を活用できなければ、
スキルを積んだ幹部人材は流出していくだけだろう。
異質な者同士のコミュニケーションが苦手な日本企業が
欧米韓企業などと競い、中国に限らず海外で勝ち残るのは難しそうだ
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110126/218153/?ST=print
日経ビジネス オンライントップ>アジア・国際>金鋭のなぜ日本企業は中国で勝てないのか
* 2011年2月2日 水曜日
* 金 鋭
中国 価値観 80後 人材 採用 90後 文化大革命 改革開放
「採用が会社を変えると私は信じています」。これは、ある総経理(社長に相当)の言葉です。その総経理は中国に赴任してそれほど長い時間は経っていませんが、その言葉に私は大きくうなずいたことを思い出します。
法務から財務、販売、管理に至るまで、日系企業の多くの総経理は毎日を忙しく過ごしています。異国での経営実務は多大なるストレスを伴います。「本社の理解が足りない」「売り上げが伸びない」「法律はころころ変わる」「マーケットの変化が激しい」――。急激な経済成長を遂げている中国で運営を任される総経理の悩みは尽きません。
私はこれまで、総経理を含む、何百人もの日本人駐在員に会ってきました。彼らの悩みの多くは「人」に関わるものです。「離職率が高い」「育成したらやめる」「職場の人間関係がうまくいかない」「中国人が何を考えているのかがわからない」などなど。
冒頭の総経理も、その悩みのほとんどは人間関係を含む「人」でした。初めてお会いしたときはまだ経営実務どころではなく、中国という国に疲れている様子でした。採用を簡単に考えており、メディアやウェブに募集広告を掲載したり、人材紹介会社に頼めばそれなりに人が集まると考えていたのです。
価値観が全く異なる3つの世代
私はまず総経理に現在の人材マーケットの状況を説明しました。
中国の人材は、大きく分けて3世代に分かれます。中国は1949年に建国しました。今年で建国62周年です。中国の近代史は、建国の混乱、文化大革命、そして改革開放という具合に、60年あまりの間で大きな節目を経ています。その最後の改革開放から数えても、まだわずか30年しか経っていません。そういう背景で、現在の中国では価値観が大きく異なる世代が共存しているのです。
まず第1世代です。文化大革命が起こった1966年から78年までの約12年間、大学入学が中止になりました。66年に入試を受けようとした学生の大半は、「下放」と呼ばれる政策で農村に派遣されました。入試が再開した78年にはほとんどが30代になっていたはずです。
この世代は文革の影響を最も受けた世代で、現在は60歳代になります。私が中国に来た96年頃、「文革世代は中国発展の第1期生であり、大学に進学しているのは相当優秀であるはずだ」と考えて幹部候補として採用する会社もありました。働き盛りである20代を文革で棒に振り、辛酸をなめた世代と言えます。
第2世代は文革が収束した78年以降に、通常の大学生として大学に入学した世代です。この世代は大学を卒業すると同時に改革解放が始まったため、経済成長と共に歩んできたと言える世代です。当時の大学生は「国家が養成したエリートである」という考えのもと、就職先は国家が決める「分配」が行われていました。
分配によって就職先を決められたこの世代の最初の就職先は、ほとんどが国営企業でした。また自ら慣れ親しんだ環境を打破することを目的とした留学がブームになった世代でもあります。当時の留学先は欧米や日本です。特に日本は同じアジアの隣国で、世界第2位の経済大国ということもあり、日本への自費留学を敢行していました。
多くの留学帰りの人たちが上海や北京で起業しています。日本語が堪能、ビジネス経験も豊富ということで、留学帰りの人材を採用する企業も多数ありますが、能力や資質は個人によって差があり、見極めが重要になります。
また、留学のために大学を中退した人も多い。日本だと大学の中退は採用時においてマイナスになることが多いのですが、当時の中国はビザの取得や海外渡航のチャンスがとても貴重だったので、学歴だけで判断をすると人材評価を見誤る可能性があります。この世代は現在、40〜50代です。人材マーケットでは少し高齢の部類に属しますが、即戦力としてまだまだ健在です。
「昔の、古い、固い中国」という先入観
第3世代は78年の入試再開以降に生まれた世代です。この世代は急激な経済成長により改革開放の恩恵を最も受けた世代と言えます。就職先の分配も中止になり、企業と学生が双方から選び合う関係になりました。経済成長により中国が一気に世界の檜舞台へと駆け上がっていく時代に育った世代です。中国の一人っ子政策開始が1978年です。この節目とダブらせて、1980年以降に生まれた世代を「80後」とも言います。
80〜89年に生まれた中国人は全国で2.8億人います。学校では社会主義教育を受けていますが、普段の生活では資本主義の恩恵を受けました。いろいろな定義がありますが人材マーケットにおける「80後」のキーワードは「オープン」「合理的」「コミュニケーション」と言われます。柔軟性が強く、価値観が多元的である半面、忍耐力がなくプレッシャーに弱いと言われています。そして今、90年以降に生まれた「90後」が注目を集めています。
ここで大事なのは、中国を1つの人材マーケットとしてとららえることはできないということです。年代によって育った価値観や社会的背景は全く違うと言っても過言ではありません。
今後、企業の幹部候補生に80後や90後の「新中国人」が入ってきます。この人材を見る時、「昔の中国、古い中国、固い中国」の先入観があると採用ミスを起こします。インターネットの普及により、彼らが持つ情報はオープンなもので、しかも大量です。また中国という国に対して誇りも自信も持っています。
若者にとって、日本の印象は「アニメ」と「ドラマ」が主流なのです。一昔前、日本のドラマと言えば専ら「東京ラブストーリー」だったのですが、今では多種多様です。彼らは日本を含めた海外の国々に対してコンプレックスもありません。物事をフラットに見る現代っ子です。
大事なのは、社会的背景を理解することで人材マーケットを正しく把握し、対応することです。履歴書や職務経歴書を鵜呑みすることはできません。高校時代、大学時代の社会状況を下敷きにして判断する必要があるのです。職務経歴書もしかり。留学したから、いい大学を出たから、いい会社で働いたことがあるから、では分からないことが多いのです。中国で採用を決める際、特に気を付けなければなりません。
「会社に合う能力が高い」人材とは?
冒頭の総経理に人材マーケットの話を一通り話した後、に1つ質問をしました。「総経理にとって、この会社に合う人材とはどういう人材ですか」。総経理は「それは優秀な人に決まっているじゃないですか」と答えました。
日系企業では「優秀なので採用する」「能力が高くて頑張ってくれそうなので採用する」という声が多いのですが、能力が高い社員が必ずしも活躍するとは限りません。能力が高い社員ほど、離職しやすいこともまた事実なのです。だから、私はいつも「会社に合う能力が高い人材を採用べき」と言っています。
それでは「会社に合う能力が高い」人材とはどういう人材なのでしょうか。
大事なのは価値観を共通言語化することです。100の会社があるとすれば100通りの価値観があります。価値観とは会社の風土や文化であると同時に、その会社に脈々と流れるDNAとも言えます。
価値観には3つの要素があります。1つ目は「モチベーション」。これは企業理念やミッションを含む会社の存在意義や考え方です。2つ目は「判断基準」。日々の業務における意思決定や判断のよりどころについての基準です。3つ目は「コミュニケーション」。これは日々の業務で交わされる会話を含む物事に対する視点や見方です。
いくら能力が高くて優秀であっても、会社の価値観に共鳴せず、決断や判断の基準がずれていて、視点や見方に相違があれば、決して活躍することはできません。やがて会社に失望して退職していく可能性が高いということになります。実務スキルや語学力などもとても重要な要素ではありますが、見るべきは価値観が合っているかどうかなのです。
価値観を明確にするには前述の3つの要素を文字にして共通言語化する必要があります。それができれば、採用面接での質問事項としても使えますし、採用基準にもなります。
日系企業の採用戦略については改善、創意工夫すべき課題がたくさんありますが、まずは人材マーケットの把握と価値観の言語化です。「採用が会社を変える」ことを私も信じています。
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