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政府の機能不全が原因 Re: 預金金利ゼロ以上の金融緩和はないはず、なのにさらなる金融緩和
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/761.html
投稿者 tea 日時 2011 年 1 月 25 日 09:29:34: 1W1IXELjjF6i2
 

(回答先: 預金金利ゼロ以上の金融緩和はないはず、なのにさらなる金融緩和が必要だとは預金者を馬鹿にしているよ 投稿者 heiwatarou 日時 2011 年 1 月 24 日 23:02:21)

>銀行間に市場原理が作用していない、だから預金金利はゼロなのに貸し出し金利が高いのではないでしょうか

そうではない
リスクの低い資金需要は不足しており供給過剰だから、
大企業向け金利は低く、銀行は利益をだせない

貸し倒れリスクの高い資金需要は高いが、貸し出し金利が政府の規制で低いから
個人や中小企業などへの資金供給が不足している

政府が税金で補填(亀井ばらまき)して銀行は融資を継続している状況だが
ゾンビ企業に金をばらまいても、結局、無駄になるだけだ

だから今は、日銀はリスク資金を供給するために信用緩和(REET、株買い・・)にまで踏み込んでいる

これは本来、政府が行うべき財政政策だが
政治が機能停止しているから日銀が行わざる得ない状況ということだ

インフレと景気状況を見ながら、政府は必要な財政支出を増やし、一方で、不要なものはカットしていかねばならず、日銀は金利高騰を防ぐために量的緩和を行う必要があるが、
前者の機能が完全に崩壊しているというのが現状だ

 

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コメント
 
01. 2011年1月25日 09:56:34: z6FPymHZG6
赤字企業をゾンビ企業というなら日本の企業の80%はすでにゾンビなんじゃないのかね

02. 2011年1月25日 12:58:09: cqRnZH2CUM
ゾンビ企業は、税金による生命維持装置なしでは生きていけない企業だが
一時的な赤字企業は、銀行から融資が得られるし
仮に倒産しても買い手がつく

03. 2011年1月25日 14:18:08: z6FPymHZG6
02
一時的な赤字企業に銀行は融資なんてしませんよ

政府の保証があるから金貸すだけです
保証協会が8割しかしませんっていっただけで貸しはがしやろうとした銀行も多いんですから。


04. 2011年1月25日 18:02:19: IOzibbQO0w
>一時的な赤字企業に銀行は融資なんてしませんよ

統計を調べないと定量的にはわからないが
そうでもないようだ
ベンチャーなどは、黒字化するには時間がかかるし
ケースバイケースだろう

ただいずれにせよ、日本では中小企業への資金供給が凋落気味なのは間違いなく、
複合的な理由(富裕でリスキーな投資家不在、長期的な需要縮小予想、規制金利、財務内容の不透明・・)による


05. 2011年1月25日 19:31:12: IOzibbQO0w
円高が覆い隠す「インフレの芽」、日米量的緩和はいつまで続くか
2011年 01月 25日 16:34 JST 

マニラのビジネス街でバス爆発、2人が死亡・15人負傷
日産自、EV「リーフ」を3月にフル生産へ
日本経済は早晩緩やかな回復へ、世界経済成長など一巡=日銀総裁
ヤフーの11年3月期は過去最高益へ、ネット広告の拡大継続


 [東京 25日 ロイター] 商品価格の高騰からくるインフレ圧力を円高が覆い隠している。しかし、円高では抑えきれない物価高が一部で頭をもたげてきた。

 欧州がインフレ厳戒態勢を敷くなか、日米両国のインフレ認識は適切なのか、量的金融緩和をいつまで続けるのか、金融政策の節度とアカウンタビリティー(説明責任)が問われている。  

 「円高がインフレ傾向を覆い隠している部分は大きい。だが、年末からのガソリン価格の上がり方などを見ても、覆いきれない物価上昇圧力が顕在化している。円高の効用も限界にきている」とマーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表、金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏は指摘する。  

 「円高のおかげで物価上昇懸念が緩和されているが、5円ほど円安になれば、生活必需品を中心に物価上昇懸念が一気に台頭する可能性がある」と食品輸入商社アイガー貿易部・シニア為替アドバイザーの角田秀三氏は言う。

 「たとえ円安に振れなくても、過去に安価で仕入れた在庫が春先から品切れとなる見込みだ。その後は在庫価格が上がり、物価上昇圧力が強まるだろう。為替市場は日銀の物価認識より早くインフレに反応して、円売り(円の減価)に傾く余地が大きい」と角田氏は予想する。   

 25日のドルは82円半ば。2008年の高値(110.67円)に比べ約28%の円高、2006年の高値(119.88円)からは約31%の円高水準となっている。他方、シカゴ商品取引所によると、穀物(米、大豆、小麦、とうもろこし)の国際価格は、2006年秋との比較で1.7―2.9倍も跳ね上がっている。 

 <経済のフラット化とグローバル・インフレ>  

 今後の商品市況について、マーケットストラテジィの亀井氏は「穀物や食料品は今後も上がり続けるだろう。異常気象の影響もあるが、新興国の生活水準の向上が最も大きな要因だ」という。 

 新興国の生活水準が急ピッチで向上し、先進国に近づくことは「世界経済のフラット化」と表現されるが、フラット化はインフレ圧力の増幅と無関係ではない。   

 「目下、世界経済が直面する問題は簡単な算数式で説明できる」と東海東京証券のチーフエコノミスト、斎藤満氏は言う。「世界経済のフラット化」+「量的緩和」=「グローバル・インフレーション」がその数式だ。 

 量的緩和以前の世界経済においては、コスト安で所得が低く、効率的な生産が可能なインド、中国、インドネシアなど新興国に資本が集中してインフレが進行した。一方、先進国では、資本流出で雇用も十分に創出できず、デフレ傾向が顕著となったが「グローバルにみれば、中庸な地点に世界経済は落ち着いていた」と斎藤氏は分析する。 

 「しかし、日米両国がデフレ回避ために物価を底上げするリフレ政策に乗り出したことで、新興国への資本流入は一段と加速し、世界経済のバランスはインフレサイドに振れている。このため、世界的に物価が上がり、金利も上昇してきた」と斎藤氏は言う。

 世界銀行の調べでは、新興・途上国への民間資金の純流入額は2010年に前年比44%増の7532億ドルとなった。 

 <コア・インフレは時代遅れ>

 インフレを捉える指標として、消費者の生活感覚に最も近いのは、消費者物価指数(CPI)のなかでも、食料やエネルギーを除いた「コアCPI(コア・インフレ率)」ではなく、それらを除かない「CPI総合指数」だ。しかし、日本では、利上げによる国債利払い費の負担増を嫌う官僚をはじめ、コアCPI(除く生鮮食品)にこだわる向きが多く、米国でも官僚やエコノミストの多くがコアCPI(エネルギー、食料を除く)に注目する。  

 しかし、欧州では「政策担当者がコア・インフレ率のみに目を奪われると、全体の物価上昇圧力を低めに見積もることになりかねない。商品価格の上昇が構造的変化を映したものであるならば、コア・インフレ率だけ見ても意味がない」(欧州中央銀行のビーニ・スマギ専務理事)との意見が聞かれる。

 また、ECBのトリシェ総裁は「米連邦準備理事会(FRB)はコア・インフレ率が将来の消費者物価を予想するうえで適切な指標だとみているが、われわれはそれが必ずしも適切な指標ではないと考えている」との見解を明らかにするなど、既に政策判断の軸足を総合指数に移している。  

 日本の11月の全国消費者物価指数(CPI)は、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除くと、前年同月比0.9%の下落でデフレだが、全体の物価(総合指数)では、10月から既にプラスの領域に入っている。さらに、CPIの先行指標といえる国内企業物価は、過去3カ月間、前年比で着実に上げ幅を拡大している。

 日銀は25日、昨年10月末に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の中間評価を発表し、政策委員が予測する2011年度の消費者物価指数(除く生鮮食品:コアCPI)の大勢見通しの中央値をプラス0.3%とし、10月時点の同プラス0.1%から上方修正した。

 日銀が出口政策に向かって舵とりを始めるのは、コアCPIが1%を上回る環境とみられており、「来年度中の利上げはない」(外銀エコノミスト)との見方が多い。 

 <QE2を続ける理由>

 他方、リフレ政策の急先鋒であるFRBは、デフレリスクを強調しながら量的緩和第2弾(QE2)を進めているが、インフレがじわりと進行するなか、同政策は深刻な矛盾を露呈してきた。

 25―26日のFOMCでは、6000億ドルの長期国債を購入するというバーナンキ議長のプランが堅持されるとみられているが、18日付のウォールストリート・ジャーナルによれば、FRB内部では、「現政策について理路整然と国民に説明する方法を見つけるのに苦労している」という。 

 米コアCPI(エネルギー、食料を除く)は12月も前年比0.8%の上昇となり2%弱の目標を下回ったが、CPI総合指数では最近半年では年率3%、最近3カ月では年率3.2%とインフレは加速している。 

 FRBがQE2に固執する理由は、表向きの景気回復の一方で、金融機関の不良債権処理が進捗せず、依然深刻な不良債権を抱える金融機関に収益機会を提供するためとの意見が聞かれる。

 「ファニーメイ(米連邦住宅抵当金庫)やフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)など片付いていないGSE問題とそれらの債券を抱える金融機関のために、FRBには長期金利上昇を阻止するという強い意志があり、QE2は当分やめられないだろう」と亀井氏は言う。FRBは有価証券の保有を1銘柄につき総資産の35%以内に抑えるというルールを一時棚上げまでして国債の買い取りを継続している、と亀井氏は続けた。

(ロイター 森佳子記者、編集 内田慎一)

日本経済は早晩緩やかな回復へ、世界経済成長など一巡=日銀総裁
2011年 01月 25日 17:47 JST

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マニラのビジネス街でバス爆発、2人が死亡・15人負傷
日産自、EV「リーフ」を3月にフル生産へ
円高が覆い隠す「インフレの芽」、日米量的緩和はいつまで続くか
ヤフーの11年3月期は過去最高益へ、ネット広告の拡大継続

 [東京 25日 ロイター] 日銀の白川方明総裁は25日の金融政策決定会合後の記者会見で、日本経済の先行きについて「早晩、緩やかな回復基調に復していく蓋然性が高い」とし、物価安定の下で持続的な成長経路に復帰していく方向に向かっている、との認識を示した。

 背景として世界経済の成長の高まりやエコカー補助金終了に伴う反動減の一巡などを指摘。世界経済は、米経済の先行きに対する悲観的な見方が後退しているとしながらも、欧州のソブリンリスク問題や高成長継続が見込まれる新興国経済の景気過熱やインフレ懸念は払しょくされていないと指摘した。そのうえで、金融政策運営について、金融市場機能や金融緩和の効果・副作用などを総合判断して、包括的な金融緩和政策を進めると語った。

 白川総裁は、日本経済について「改善の動きに一服感が見られる」としながらも、情報関連財の在庫調整や円高の影響などによる輸出の弱含み、エコカー補助金制度の終了に伴う駆け込み需要の反動減の影響が、最近になって「徐々に減衰していく兆しが見え始めている」と語った。海外経済は、新興国・資源国が引き続き高成長を続けているほか、米経済の先行きに対する悲観的な見方が後退し、「成長率が再び高まりつつある」と述べるとともに、情報関連財の在庫調整も進ちょくが見込まれると指摘。このため、輸出は「先行き、緩やかに増加していく」とし、自動車の反動減の影響も「徐々に薄まっていく方向にある」との見方を示した。

 こうした内外の需要動向の下で「生産は増加に転じていく見通し」と指摘。先行きの日本経済は「1─3月と確定的に言うのは難しいが、早晩、緩やかな回復基調に復していく蓋然性が高い」と早期の踊り場脱却に言及した。

 25日に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の中間評価では、2011年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、CPI)見通しを前年度比プラス0.3%とし、昨年10月時点の同プラス0.1%から上方修正。12年度は同プラス0.6%の見通しを据え置いた。

 上方修正の理由について白川総裁は「国際商品市況の上昇傾向を織り込んだ」と指摘。先行きの経済動向を踏まえた物価見通しは「2011、2012年度を通して見ると、物価上昇率のマイナス幅が縮小し、プラス幅が徐々に拡大すると展望している」と述べ、「今回の(11年度CPIの)上方修正幅は大きくないが、物価という面では全体に上昇していく方向」と語った。日銀がめざす、物価安定の下での持続的な成長経路への復帰という姿についても「そうした方向に、着実に歩みを進めていくと考えている」と自信を示した。

 国際商品市況の上昇が日本経済に与える影響については、価格上昇の背景にある世界経済の成長力の高まりが、日本の輸出や設備投資にプラスに働く可能性を指摘する一方、交易条件の悪化という景気抑制要因もあり、「両方をバランスよく見ていく必要がある」と語った。

 (ロイターニュース 伊藤純夫記者 竹本能文記者)


06. 2011年1月25日 19:35:29: IOzibbQO0w
2011年01月25日 2:26 pm JST
日銀は二兎を追えるか 
投稿者 志田義寧
タグ: 金融市場, 金融政策, 市場機能, 日銀, 札割れ

日銀が実施している金利入札方式の共通担保資金供給オペで、予定額に応札額が満たない「札割れ」が頻発している。日銀が潤沢に資金供給していることから、資金余剰感が強まっているためだ。

札割れは市場機能が失われつつある表れとの指摘もあるが、市場機能はこの先どうなるのか?

10月の包括緩和後に「市場機能にこだわるばかりに、足元の金利上昇を放置した」(国内証券)と集中砲火を浴びた日銀。最近では市場機能が表舞台で語られることはすっかりなくなったが、放棄したのかというと、実はそうではない。あくまでウェート論の話であって、前面に出していないだけだ。

日銀がまだ市場機能を意識しているのはオペに垣間見える。日銀は今積み期に入り、翌日スタート(T+1)の金利入札方式・共通担保資金供給オペを実施していない。これまでT+2は全店方式で長めのオペ、T+1は本店方式で微調整的な短めのオペと使い分けてきたが、短めのオペを実施していないのはコール市場との競合が強まることに配慮しているのではないか。

長めの資金は供給するが、足元の資金偏在は金融機関同士のやり取りで調整するよう促す。これにより、潤沢な資金供給と市場機能の維持とを両立させる──。日銀のこのスタンスは現在も健在だ。

市場機能はいったん失われると、1)必要な時に必要な資金が調達できなくなる、2)効率的な資金配分が阻害される、3)金融政策の波及メカニズムが弱まる──などの弊害が出てくる。このため、長い目で見た安定のためには「最低限、マーケットが自律的に資金を回していけるようにしておくことが重要」(日銀)。

ただ、これから先、長めの資金が積み上がっていくに従い、「市場機能を残しながら」のオペはだんだん難しくなっていくのは確実だ。そればかりか、固定金利オペが札割れになるおそれもある。これを回避するために、大手邦銀が超過準備を積むようになれば、それこそ市場機能は死んでしまうだろう。

市場からは「市場機能の維持は包括緩和の枠組みの中では不可能。どこかで放棄しなければいけない」(邦銀)との声も聞こえてくる。果たして日銀は二兎を追えるのか。市場機能の維持と潤沢な資金供給の問題、みなさんはどう考えるだろうか?

(写真/ロイター)


07. 2011年1月26日 12:12:50: cqRnZH2CUM
今年は銀行家が活発にロビー活動か−ダボス会議

* 2011年 1月 26日 10:32 JST
 
 昨年の世界経済フォーラム(ダボス会議)では、銀行家たちは悪鬼の役割を演じ、サルコジ・フランス大統領は彼らの「下品な行為」と「モラル面で弁解の余地のない」高給を激しく攻撃した。

 今年のダボス会議でも銀行家たちが人気者になることはないだろう。だが、彼らは世界を金融危機に陥れたとの汚名がいくらかでも拭い去られるのではないかと期待している。銀行利益の回復を背景に、銀行家はビジネス慣行や従業員への報酬支払いについて負担の大きい新規制を回避するべく、政治家や規制当局者への接触を図ろうとしている。金融危機以来初めて銀行家が言いたいことを言う場になるだろう。
イメージ Bloomberg News

英バークレイズのダイヤモンドCEO

 英バークレイズのボブ・ダイヤモンド最高経営責任者(CEO)は先に、英議会での証言で、「銀行にとって自責の念と謝罪の期間があった」とし、「こうした期間を終わらせることが必要だと思う」と述べた。

 世界金融危機真っただ中の2009年、バークレイズや米シティグループ、バンク・オブ・アメリカなど大手銀行の首脳はダボス会議を欠席した。10年には多くの銀行家が出席はしたものの、評判を気にしてできるだけ目立たないようにしていた。

 今年の会議には米欧の大手銀行が会長やCEOを送り込んでいる。例外はゴールドマン・サックス・グループで、出席するのはナンバー2だ。

 銀行家やロビイストは、骨抜きや廃止を目指す諸規制の長いリストを携えてダボスに乗り込むと述べている。ロビー活動は数百のリポーターやテレビカメラが並ぶステージよりも、私的な会合で行われる公算が大きい。世界の金融機関の業界団体である国際金融協会(IIF)のダラーラ専務理事は「規制問題は今年のダボスで議題になるだろうが、関心の中心にはならないだろう」と述べた。

 ロビー活動の中心は、スイスのもう一つの都市バーゼルで昨年まとめられた新自己資本規制(バーゼル3)になるだろう。バーゼル3は潜在的な損失に備えるためにこれまで以上に厚い資本のクッションを銀行が持つことを義務付けるものだ。しかし、規則は2018年まで猶予期間があるため、一部の重要な詳細規則は今後まとめられる必要がある。

 多くの銀行が注目しているのは、「金融システム上重要な金融機関」に対し、より高い自己資本規制を課すことを求めるバーゼル合意の条項だ。銀行と規制当局は、この文言の定義やどの銀行をこうした金融機関に含むかで議論している。そもそも一部大手銀行に、他より大きな負担を課すことは不平等だと警告するものもある。

 仏ソシエテ・ジェネラルのフレデリック・ウデアCEOは24日、パリでの記者会見で、個別の国がバーゼル規則よりも厳しい規則を導入しないよう求めたいと述べた。既にスイスは、国際基準に上乗せした厳しい規則、いわゆる「スイス・フィニッシュ」を導入している。同CEOは「各国は新たな基準の導入や、性急な規制実施を避けるべきだ」と強調した。

記者: David Enrich


08. 2011年1月27日 14:24:12: cqRnZH2CUM
【インタビュー】低金利が何年も続く保証ない=与謝野経財相

* 2011年 1月 26日 16:31 JST 

 与謝野馨経済財政担当相は26日、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューに応じ、日本の長期金利が低位安定していることについて、「何年も続くという保証はどこにもない」と述べ、政府が財政再建への強い意志を示し、マーケットの信頼を得るような行動をとることが必要との認識を示した。

 インタビューの主なやり取りは以下の通り。

―どのように財政再建と景気を両立させるか

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AFP/Getty Images

与謝野馨経済財政担当相
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「今三つの研究を同時にしている。一つは消費税の導入が不公平をもたらさないかどうか。消費税の導入が低い所得の人に打撃が大きいという議論が昔からある。福祉によっていわゆる給付が行われるわけだから、給付と消費税の負担を合わせるとクオリティがどう変わっていくのかという問題だ。さらに消費税増税が経済にどのようなインパクトがあるか、個人の消費マインドや、会社経営者のマインドにどういう影響を与えるか。もう一つは消費税増税のために必要な環境、特に経済がどういうステージにあるときには、そのような可能性を追求してよいのか。もう一つは国民の理解を得るために、どのような増税がいいのか。これは昔から議論されていることだが、少しずつ上げていくのか、一挙に上げた方がいいのか。複数の税率にして生活必需品には別の税率を設けるべきだという議論もある。徴税コストの面からどういう影響があるか。いずれも詳しく研究に入ったところだが、消費税増税には、実際に納税者が税金を払い始める時期と日本の経済の状況がフレンドリーなものであるかどうかが非常に大事であるということは、われわれがすべての物事を考える上での当然の前提だ。フレンドリーでないときに増税すれば耐え難いマイナスのインパクトを経済に与える。そういう時期に増税はできない」

―フレンドリーな環境の絶対必要な条件とは

「導入の時期は経済との関係だけではなく日本の財政の状況というのも両方考えなくてはいけない。日本の財政はここまで悪化しているが、日本政府が必死になって財政再建に臨んでいるという姿勢が、国際社会の信認を形成する一つの大事な要素だ。経済の状況、財政の状況、両方が消費税導入の時期を決めていくと思う」

―その研究はいつまでかかるか

「3月までにはできてくると思う」 

―国際社会の信認に関して、市場関係者の間でギリシャやアイルランドなど財政が厳しい国と日本を比べるような発言があるが、どこが似ていてどこが違うのか。

「財政状況が悪いというのは共通だと思うが、われわれは国際競争力を持った経済を持っているということと、一応日本の国債はほとんどすべて現在までのところ国内で消化できているというところが違う。財政に関しては、すべてのデータが透明性を持って公表されていることも他の諸国とは違うのではないかと思う」

―欧州の危機から学んだことはあるか。

「いわゆる信用不安とかソブリン・クライシスとかいうものは、予期しないときに一瞬にして起こり広がるのが特徴だと思う。これはリーマン・ブラザーズの破綻のときもそうだった。リーマンはただの一つの会社だったが、破綻することによって多くの人たちの頭に様々なイマジネーションが発生して、欧州ではインターバンクの取引まで止まってしまった。ギリシャの危機などは欧州連合(EU)あるいは欧州中央銀行(ECB)が現在までのところよくマネージしたと思う。われわれは欧州の危機に対して直接何かできるわけではないが、引き続きI国際通貨基金(IMF)など国際機関に対し、国としての十分な責任を果たしていきたいと思う」

―危機は突然やってくるというが、やってきたときに財政担当者はどのような準備が必要か。

「昔と比べて危機管理は一つの国でも国際的にも非常に優れたものになっている。そういう危機は日本自身が絶対起こさないという決意で日本の財政を運営していくことが重要だ。日本として国際社会の一員だという強い認識をもたなければならないと思う」

―危機を起こさないには何をすればよいか。

「財政再建に対する意思を明確にする。財政再建の道のりは長いが、財政規律の考え方に対しては日本は確固たる意思を持っていることをマーケットに信頼してもらえるような政策を採ることだと思う」

―為替相場がこのまま固定し長期金利が上昇し、日本への信頼が失われるのではないか。実際、信頼が失われれば長期金利はどの程度上昇するか。

「長期金利が上がるということは、これだけストックとしての債務を持っているため、非常に大きな影響を日本の財政に及ぼす。それはみんな分かっていることで、われわれがやらなければならないのは財政再建に対する強い意思を明確にすること。それをマーケットに信じてもらえる行動を取ること。現在のところは長期金利は1.2%と非常に低いところにあるが、このような幸せな時期が何年も続くという保証はどこにもないと思っている」

―強い意思を示しマーケットに信用してもらうための具体策は。

「強い意思があると信じてもらえるだけの行動を取るということは、一つには日本の経済を成長させるという強い意思、それから財政の支出で不必要なものをカットしていくという意思、さらに税制を改革して税収を増やす努力をする、この三つのことを同時にやらなければならない。ただ演説しているだけではダメで目に見える行動を日本政府が取ることがマーケットの信用を得る上で大事なことだと思う」

―物価が来年度プラスになると見込んでいるが、その現実性と日銀に対する期待は。

「物価はさまざまな構成要素、原因がある。日本国内だけで決まっているわけではない。国境のないグローバル経済の中では、他国の物価あるいは労働コストが日本の物価に大きな影響を及ぼすと思う。わたしはデフレも好きではないがインフレも好きではない。日本銀行の役割だが、日本銀行は連邦準備理事会(FRB)はじめ世界の中央銀行と協力して、アントラディショナル、アンコンベンショナルな政策を十分やってきてくれたと思う。日銀の金融政策に期待するのは当然であるとしても、過剰な期待をすることは間違いだ。やはり実体経済がよくならなければならず、いわゆる金融政策の効果の限界をよく自覚する必要があると思う」

―最近円高が一服しているが、また深刻化する可能性もある。政府・日銀の円高対応をどう評価するか。

「為替レートがどのようになってきているかということは、政府としては言えない。ただ、為替が好ましくないボラティリティー(変動)を持ったときは、それによって経済が混乱するから、そのときは政府・日銀が考えなくてはいけないと思う。わたしは円の水準というのは日本の経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)を表すものであってスペキュラティブ(投機的)な円の水準というのは本当の円の水準ではないと思っている。今は82円をはさんで動きがほとんどない。市場は、そういう風に決めているだなと思う」

―(今の水準が)日本のファンダメンタルズを反映していると市場が決めているということか。

「日本の円の水準は日本のファンダメンタルズとともに他の国の経済の状況も反映している。ユーロ、人民元、ドルとの関係と非常にリラティブな関係にあるので、どの水準がいいとか悪いとかはなかなか論評できない」


09. 2011年1月27日 14:46:57: cqRnZH2CUM
日本の債務問題解決のための処方箋
星岳雄、アニル・カシャップ

* 2011年 1月 26日 17:44 JST 

 菅直人首相は、第3次小泉改造内閣で経済財政政策担当大臣を務めていた与謝野馨氏を新内閣に招き入れ、財政再建に向けた取り組みに着手した。日本は今、持続不可能な税制・財政政策の追求により、かつてないほどの危機的状況を迎えつつある。
菅首相と与謝野経財相 Bloomberg

菅直人首相(左)と与謝野馨経済財政担当相(24日、衆院本会議)

 エコノミストが国の将来の安定性を評価する場合、通常、現行政策を持続したままで、債務残高の国内総生産(GDP)比が一定範囲にとどまるか否かによって判断する。日本の場合、その答えは「否」だ。

 日本政府は、わずか過去4年間で、GDP比40%もの債務を発行した。過去2年の税収は総支出額の半分も賄えていない。今月末に国会提出予定の来年度予算案は、一般会計総額が92兆4116億円で、税収はわずか40兆9270億円だ。これでは持続は不可能だ。

 与謝野氏は消費税の大幅引き上げを視野に入れている。だが、たとえ消費税引き上げに踏み切っても、経済の一段の成長なしには、日本の財政持続性は危機にさらされることになる。

 われわれは総合研究開発機構(NIRA)の委託を受けて、日本経済の長期停滞の原因を探るため、日本の過去20年の政策について検討を行った。その結果をまとめた報告書がつい先日公表された。それによると、阻害要因の多くは、労働力の高齢化や輸出志向型成長の終焉、いわゆる「ゾンビ企業」の増殖を引き起こした金融システムの機能不全、財政・金融政策の失敗など、おなじみのものだ。

 このほか、規制政策、とりわけ小泉政権が2001年〜06年にかけて実施した抜本改革にも注目した。小泉政権誕生時、日本は成長破綻の時期にあった。それに対応するため、政府は既存の基準を撤廃し、多くの実験的政策を実施した。その結果、景気は急速に回復し、小泉政権下において日本は戦後最長の景気拡大に突入する。政権終盤にかけて発表された11年度をめどにしたプライマリー赤字(利払いを除いた財政赤字)ゼロ化計画は、実現可能にみえた。

 小泉改革の中でわれわれが検討を行ったのは、(1)金融システム改革、(2)郵政民営化、(3)派遣労働者の活用に関する労働市場改革、(4)自由貿易協定(FTA)の推進と農業改革、(5)構造改革特区による規制緩和、(6)地方財政改革、の主要6分野。

 それによると、金融システム改革については、完全に実施され、成功したと評価できるものの、必ずしもすべてが十分な成果を生んでいない。多くの改革は明確に成長力強化を目指したものとなっていないことや、民営化をはじめとするいくつかの改革は、達成期限を遠い将来としていたため、改革の後退が起こりやすいことなどが原因だ。また、多くは具体的な数値目標が欠けていたために、進捗の評価が困難であった。

 こうした経験は、規制緩和の必要性が差し迫った菅内閣にとって教訓となるはずだ。特に重要なのは、成長回復に影響する部門や規制緩和に焦点を当てた改革を選ぶことだ。そうすることで、意義ある成果が得られる可能性が高まるほか、国民に対して改革の重要性を説明しやすくなる。また、数十年ではなく2、3年で達成できる明確な目標を掲げることも必要だ。

 では、ここで現政権が推進する「新成長戦略」を検証してみよう。長々と並んだ施策の多くは、われわれの評価では成長見通し向上を促すものとは言い難い。特に問題なのは、従来型の産業政策と異ならない点や、多くの分野において主に外需に依存している点、単に支出負担の転嫁を促すにすぎない特区政策の推進だ。

 しかも、これら戦略の実施に割り当てられた費用が来年度予算に占める割合は極めて小さい。むしろ予算は、子ども手当や農家への補助金をはじめ、一部有権者に対する民主党の点数稼ぎともいえる政策費で大きく膨らんでいる。

 こうしたことから、これら政策を再度峻別し、成長に直接つながる改革に焦点を絞って実施することが必要だ。生産性の向上や投資の効率化、労働供給の拡大を促すもの以外は断念すべきだ。新成長戦略のうち、きちんと実施すれば、それら条件を満たせるものがいくつかある。

 例えば、高度な技能を有する外国人材の受け入れは、(質調整された)労働力の増加につながる。研究分野での産官学の連携強化は、技術進歩を促す可能性がある。FTAの拡大は、国内産業が生産性を高めるインセンティブになる。幼保一元化は、育児サービスを向上させ、その結果、有能人材の社会進出が促進されるのみならず、人口増加にも役立つ。

 この種の成長を促す改革は日本のみならず海外でも奏功している。短期的な有権者迎合型の政策をやめ、長期的な視点に立った成長を取り戻すための改革へと政策転換を行うことが不可欠だ。今、それを実行するための政治的決断が迫られている。

(星岳雄氏はカリフォルニア大学サンディエゴ校国際関係・環太平洋研究大学院教授、アニル・カシャップ氏はシカゴ大学ブース・ビジネススクール教授。報告書の全文(英語)はhttp://www.nira.or.jp/english/index.htmlに掲載)

翻訳: 原 尚子


10. 2011年1月27日 15:57:04: cqRnZH2CUM
BI自体は悪くはないが
どうせ政治的に実現できなければ、あまり意味はない
高橋洋一はどうも最近、金融など全般に関しては精彩を欠いている気がする


【第6回】 2011年1月27日高橋洋一 [嘉悦大学教授] 
社会保障を人質に理屈なき消費税増税を狙う 消費税の社会保障目的税化は本当に正しいか 
 菅直人政権は「社会保障と税の一体改革」を進めている。
 施政方針演説で6月までに改革案をつくりたいとし、与謝野馨経済財政担当相や藤井裕久官房副長官は消費税率引き上げに向けて、社会保障目的税にし て2011年度中(来年3月まで)の法整備を目指し、仙谷由人前官房長官は消費税率引き上げを急ぐべきだと、それぞれ消費税増税に前のめりになっている。 改造内閣の増税オールスターズは全開だ。
税方式と社会保険方式の違いを理解していない民主党
 それぞれ、消費税増税を年金など社会保障の財源にあてると言っている。逆にいえば財政赤字の補填に使うのではないと。しかし、その話は注意しなければいけない。カネに色はついていないので、どこに使うというロジックはもともと怪しい。
 もし本当に社会保障に使うのであれば、税率と社会保障給付水準はリンクしていないとおかしい。税率を上げればその分、社会保障給付水準が上がるは ずだが、はたしてそうであろうか。さらに、財政赤字に使うのでないなら、財政再建は放置するのか、放置しないならどのような方策を講じるのかを明らかにし なければいけない。
 社会保障は、助け合いの精神による所得の再分配が基本であり、そのために国民の理解と納得が重要だ。というわけで、給付と負担に関係が明確な社会 保険方式で運営されている国が多い。民主党マニフェストでは最低保障年金は税法式と書かれていたが、各人の保険料納付記録を持つ保険方式とそれがない税方 式では、給付と負担の関係などで水と油ほどの制度の差がある。
 しばしば、現行制度の社会保険料方式でも税が投入されているので、税方式はその割合を高めることだという閣僚もいるが、そうではない。この点を民 主党政権は十分に理解していない。しかも社会保険方式から税方式へ移行した先進国はない。移行にコストと時間がかかるにもかかわらず、そのメリットは少な いからだ。また、日本で社会保険方式を踏襲するなら、税財源のさらなる投入は給付と負担の関係を不明確にして、ますます社会保障への信頼を失いかねない。
次のページ>>厚労省が無視し続けた社会保障個人勘定構想
6年間も厚労省に無視され続けた社会保障個人勘定構想
 消えた年金問題を契機として、年金記録が整備され、年金定期便なども実施され、個人レベルでの給付と負担が明確になりつつある。
 消えた年金問題は民主党のヒットであったが、実は政府内でもかなり前から意識されていた。そこで、年金不信の払拭という大義名分で、経済財政諮問 会議でも社会保障個人勘定の創設が議論されていた。個人勘定という新しいシステムを導入して、その中で、年金記録問題も解決しようというアイデアであっ た。
 2001年、最初の「骨太の方針」で、「IT の活用により、社会保障番号制導入とあわせ、個人レベルで社会保障の給付と負担が分かるように情報提供を行う仕組みとして「社会保障個人会計(仮称)」の構築に向けて検討を進める。」と書かれている。
 当時の報道を見ると、個人単位で給付と負担の関係を明確化するために、社会保障個人勘定が創設されるとされているが、当時の坂口厚労相は「損得勘 定を助長する」と反論していた。表面的には年金記録問題が議論されていなかったが、現実問題としては、年金記録問題はそれ以前にも政府内から指摘されなが ら、それまで問題として顕在化しなかったので、当時もあえて寝た子を起こさないということで、社会保障個人勘定は厚労省の拒否で日の目を見なかった。
 しかし、その後の“骨太”でも何度も提言された。
 骨太2002「国民に広がる年金不信を払拭するため、個人個人の年金に関する情報提供がきちんと行われる仕組みを作り、わかりやすい年金制度とするとともに、年金をはじめとする社会保険実務の効率化を進める」
 骨太2003「「社会保障個人会計(仮称)」の導入に向けて検討を進める」
 骨太2004「社会保障制度を国民にとって分かりやすいものとするとともに、個々人に対する給付と負担についての情報開示・情報提供を徹底する」
 骨太2006「社会保障個人会計(仮称)について、個々人に対する給付と負担についての情報提供を通じ、制度を国民にとって分かりやすいものとする観点から、検討を行う」
 骨太2007「社会保障の情報化を進め、国民が自らの給付と負担の情報等を容易に入手・管理できる仕組みの導入を目指す」
 実に6年間も、社会保障個人勘定構想は、厚労省に無視され続けてきた。
次のページ>>フリードマンが提唱した「負の所得税」とは
 この構想では、年金記録問題の解決は単なる副産物であって、「社会保障と税の統合化」という世界的な流れが背景にあった。そのルーツは、なんと 45年前、ミルトン・フリードマンが提唱した「負の所得税」である。フリードマンというと「新自由主義」で、社会保障などにはまったく関心を払わなかった 人のように誤解する者が多いが、実は社会保障関係でも先進的なアイデアを出していたのだ。
 つまり、所得税と公的扶助制度を組み合わせて、課税前所得が課税最低限を下回る者に対しては、その差額の一定割合だけマイナスの所得税すなわち給付を行うというフレームワークだ。ただ、所得ゼロの者でもかなりの給付金を受けられることとなるので、実現しなかった。
 1975年、米国は、低所得層による労働供給を促進させるとともに、低所得層に関わる社会保障税の負担を軽減するため、勤労所得税額控除 (Earned Income Tax Credit : EITC)を導入した。この制度は、職に就くことを税額控除のための必要条件としており、最も所得が低い層では、所得が増加するほど控除額(給付金)が増 加するが、所得が一定水準を超えると控除額(給付金)が徐々に減少するような制度設計がなされている。ただし、控除額(給付金)と所得を合計した手取り額 は増加するようになっている(図参照)。1997年、米国は子どもの人数に応じた税額控除としてCTC(Child Tax Credit)も導入した。

 これらは「給付付き税額控除」制度といわれ、税額控除という方法で算出した非納税者等に対する給付を、所得税制に組み込んだ枠組みである。
次のページ>>。ヨ給付付き税額控除制度」のメリット
「給付付き税額控除制度」のメリットは、第1に、社会保障制度と税額控除(減税・給付金)とを組み合わせる結果、個人が社会保障給付を得るために 労働供給を抑制するという非効率性がなくなることがあげられる。つまり、働かなくても給付が受けられるという「貧困の罠」の発生を防げる。
 第2に、税額控除(給付金)方式を採用することにより、高所得者に減税効果が偏りやすい所得控除(各種の控除によって課税所得を減らす)方式の場合よりも、所得再分配効果が高まる。
 第3に、行政当局による生活扶助の認定は、ややもすると恣意的になりがちであるが、所得基準という比較的客観的な基準によって恣意性が排除でき、最終的には行政組織の効率化にもつながる。
主要国の「給付付き税額控除制度」はどうなっているか
「給付付き税額控除制度」を導入している主な国として、米国、カナダ、英国、フランス、アイルランド、ベルギー、ニュージーランド、韓国がある。 そして、これらの国は、(1)勤労所得税額控除と児童税額控除の両方が設けられている米国、英国、ニュージーランド、(2)勤労所得税額控除のみが設けら れているフランス、ベルギー、アイルランド、韓国、(3)児童税額控除のみが設けられているカナダに分けられる。特に英国については、ブレア政権下で 2003年に採用され、貧困層の減少や経済の安定に寄与したとして高く評価されている。
 なお、オランダにも勤労所得税額控除制度があるが、税額控除還付(給付)は行わない。しかし、所得税で控除しきれない分については社会保険料からの控除を認めており、給付付き税額控除制度に比べて事務が比較的容易な制度になっている。
 こうした給付付き税額控除制度の申請においては、納税者番号(または社会保障番号)が使用されている。ちなみに、米国において勤労所得税額控除の 申請は税務申告とともに行われるが、税務申告書には本人と配偶者の社会保障番号を記入し、勤労所得税額控除を申請するための添付書類類には、子どもの名前 や社会保障番号を記入する。
次のページ>>財務省の壁崩せず消えた歳入庁構想
 また、韓国は、給付付き税額控除の導入に当たり、税務行政に関連するインフラを強化した。もっとも、社会保障番号制度を持っているアメリカにおい ても不正給付が多く(約3割)、大きな問題になっていることを考えると、納税者番号が不正給付防止の決定打となるとはいえないだろう。
 この納税者番号を活用して「社会保障と税の統合化」をするためには、かつて民主党が提唱していた社会保障保険料の徴収機関と税の徴収機関の統合といういわゆる「歳入庁構想」が必須である。
 世界のほとんどの国で、社会保障保険料の徴収機関と税の徴収機関の統合が行われているが、日本では、政権を取った民主党が「歳入庁構想」の旗を降 ろしてしまい、実現のめどは立っていない。国税庁を所管する財務省が、自らの権限の弱体化を懸念し歳入庁構想に反対しているので、民主党はその官僚の壁を 崩せないのだ。
世界の潮流とは似て非なる菅政権の「社会保障と税の一体改革」
 ここまでの話から、菅直人政権の「社会保障と税の一体改革」と、世界的な流れの「社会保障と税の統合化」は似て非なることがわかるだろう。
 菅政権の「税」は消費税だ。ところが、世界の「税」は所得税である。それは、社会保障が所得再分配を基本とするから、所得税を社会保障の中に組み込む方が、よりよい制度ができるからだ。消費税を社会保障財源というのは、その世界の流れにも反する。
 もともと消費税を上げるロジックとして、社会保障にくっつける発想には無理があり、社会保障を人質にして消費税を増税するための屁理屈にすぎない。本来の消費税は一般財源が普通で、社会保障などの特定財源にしている国はほとんどない。
次のページ>>1999年の自自公連立時からの申し送り
かつてドイツが、一度だけ税率アップの方便に使ったことがあるが、それくらいしか思いあたらない。日本での経緯は、1999年の自自公連立時に、当 時の小沢一郎自由党党首に話を持ちかけて、「消費税を上げるために社会保障に使うと書いてください」と、財務省から要請して政治上の取引で了解されたもの で、理屈はない。そうした経緯で法律ではなく予算総則に書いてある。
 さらに、消費税の性格からみても、社会保障財源にはなりえない。国はその機能として所得再分配政策を行うが、地方は公共サービス支出を行う。この ため、それぞれの税源は、国は応能税(各人の能力に応じて払う税)、地方は応益税(各人の便益に応じて払う税)という税理論がある。消費税は徴税コストが 少なく、安定財源であるので、地方税にふさわしい。
 ちなみに、分権が進んだ国では地方の税源になっている。社会保障は所得再分配政策であり国の業務になる部分も多いので、地方の税源である消費税は財源にできない。消費税を年金等の社会保障財源にするという話は、世界でほとんど聞かない話だ。
 欧州の国では消費税が中心であるという意見もよく聞くが、日本の人口や経済規模からすると、日本の中に欧州の国が10あっても不思議ではない。そ う考えると、日本が道州制になって消費税は道州の税源になったらと考えれば、欧州の状況はより理解できる。いずれにしても、消費税は地方税のほうがいいだ ろう。
質問1 消費税を社会保障目的税とすることに賛成ですか?
 68.6%
反対
21.2%
現時点では判断できない
10.1%
賛成


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