01. 2011年1月17日 21:45:34: 9WNHaoE3qc
1月15日 朝日のニュース。[昨年の円高倒産、前年比3倍超 デリバティブ損失目立つ] 2011年1月15日 20時09分 / asahi.com http://www.asahi.com/special/08017/TKY201101150245.html 東京商工リサーチは、 2010年の円高の影響による倒産件数(負債総額1千万円以上の倒産が対象)は、 前年の3.4倍の75件あった、と発表した。 そのほかの理由を含む全体の倒産件数が前年から1割以上減る中で急増した。 75件のうち26件は、通貨デリバティブと呼ばれる金融先物商品の損失による倒産という。 通貨デリバティブによる倒産は2009年の7件から大幅に増えた。 1ドル=100円以上の円安だった2005〜2007年に、1ドルを100円前後で買う契約を結び、 後の円高で多額の損失計上を迫られ、経営が立ちゆかなくなった企業が多いという。 中には本業の業績が好調だったにもかかわらず、 通貨デリバティブの損失負担に耐えられず、倒産した企業もあるという。 円高倒産した75件を業種別にみると、 卸売業が39件と最も多かった。 製造業が27件で続いた。 通貨デリバティブによる26件の倒産の半数以上は、 水産物や雑貨を輸入販売する会社が占めた。 (朝日新聞 15日20:09) ---------------------------------------------------------------------- 下記は12月12日の記事 [デリバティブ倒産増加 中小が円高で損失、銀行に恨み節] 2010年12月12日 4時03分 / asahi.com http://www.asahi.com/national/update/1211/TKY201012110315.html?ref=reca 為替変動によるリスクを避けるための金融商品[デリバティブ]を 銀行から購入した中小企業が、急激な円高でかえってその取引による損失が生じ、 倒産に至ったケースが相次いでいる。 「融資とセットで購入させられた」など、 銀行に対する企業側の不満は強く、全国銀行協会への苦情・相談件数も増加した。 金融庁は深刻な事態として実態調査に乗り出した。 東京都内の食品輸入販売会社は今年9月、約5億円の負債を抱えて倒産した。 担当者によると、 中国などアジア各国からドル建てで食品を輸入していた同社は 2003年ごろ、3銀行から勧められ、デリバティブを購入。 デリバティブは企業と銀行が事前に決めた交換レートでドルを取引できる金融商品で、 1ドル=120円だった当時、110円で購入できる契約だった。 担当者は「円安が続くからお得だと言われた。 初めて銀行の接待を受け、銀座でステーキを食べた」 と契約時を振り返る。 だが、2008年秋のリーマン・ショック後の急激な円高で、 1ドル=90円台に突入した。 それでも、市場レートより不利な110円でドルを購入しなくてはならず、 「本業は黒字だが、デリバティブの損失が上回る」状態に。 給与や経費の削減や在庫の売り尽くしで資金をかき集めたが、力尽きた。 デリバティブの中途解約も考えたが、違約金を負担できなかったという。 帝国データバンクによると、デリバティブによる損失が原因で倒産したケースは 2008年は3件だったが、2009年に9件、2010年は16件(11月末現在)と急増した。 全銀協に寄せられたデリバティブに関する苦情・相談件数も同様で、 全銀協のあっせん委員会が受理した件数は、 2008〜2009年は四半期ごとに4〜11件で推移していたが、 2010年に入って同期ごとに いずれも20件以上となっている。 全銀協によると、苦情で多いのは、 「借り手の立場で断り切れず購入した」というもの。 「融資枠を確保するのでデリバティブを契約して欲しいと勧められた」 というケースでは、 銀行側は 「メーンバンクになるとの発言があり、融資を示唆したと受け取られても仕方がない」 と認め、デリバティブの解約金などを銀行側が負担することで企業との和解が成立した。 また「小さな会社にこのようなリスクの大きい商品は必要なかった」などの苦情もあり、 顧客の事業上の必要性を十分考慮していなかったケースも少なくないという。 問題の背景には、銀行が収益目標達成のため、 手数料収入を得やすいデリバティブ販売に力を入れた戦略があるとの指摘がある。 (舟橋宏太) 〈デリバティブ〉---------------------------------------------------------- 株式や債券、為替など、以前からある金融商品を元にしているため、 「金融派生商品」といわれる。 将来のある時点での為替や金利、物の価格をあらかじめ定めた価値で取引でき、 為替変動などによる経済的な損失を避ける目的がある。 -------------------------------------------------------------------------- “為替仕組み債の罠”は 2009年秋に警告されていた。 [円高で、為替仕組み債が破裂(破綻続出へ)] 2009年9月 / 朝倉慶 http://www.funaiyukio.com/money2/index_0910.asp いよいよ為替仕組み債が緊急事態 10月17日号の「週刊ダイヤモンド」によると、 日本の為替仕組み債投資の実態の一部が詳しく報道されています。 読むだけでも驚きですが、問題はこの報道でさえ 一部を書いたに過ぎず、 日本全体でみると、凄まじい額の為替仕組み債取引がなされているのは疑いなく、 これが、私の見方通り、激しい円高ということに陥れば、 ほとんど全てノックイン状態 (いわゆる契約で言われた為替の水準に到達して、大損する状態)になるのは疑いなく、 国家として、緊急事態を迎えることになるだろうということです。 ... とにかく、驚くべきデリバティブ汚染が日本中に蔓延しているのです。 それも、デリバティブのデの字すら知らないような、 地方自治体、大学、果ては 幼稚園の資産運用にまで、及んでいるのですからたまりません。 なんと日本では、40自治体、総額4,670億円が 仕組み債に汚染されているのです。 これらは円高によって、ほぼ100%近く、大損する運命にあるのです。 昨年から問題になった 大阪産業大学や、駒澤大学、経団連、慶應義塾大学などの多額の損失は、 主に豪ドルとの契約で起こったことです。 それに比べて、これから起こってくるであろう円ドルでのデリバティブ契約は、 その額も広がりもケタ違いになっているのは疑いありません。一般的に考えれば、 そのような70円を切ろうか、という円高が起こるなどとは考えられないでしょうし、 これら為替仕組み債の設定している損失を被るラインは、 主には、それだけの激しい円高ラインを設定しているものと思います。 ですから、為替だし、先のことはわからないし、 そんなことは日本も国家として放置しないだろうと思うでしょうが、そうはいかないのです。 もはやドル暴落で円高になっていく、ないしはそういう風に相場を持っていく流れは、 すでに この地点で、決定しているといってもいいでしょう。時間の問題です。 大阪府は1,050億円を仕組み債で調達、 仮に想定の為替ラインになれば、金利はその契約で結ばれた上限である10%に達してしまします。 その金利負担だけで年間100億円となるのです。 大阪府は「金利が上昇するリスクはきわめて低い」と言っているようですが、 そんなに甘くはないのです。 デリバティブ契約は お金の取りあい、 今、大阪府がこの契約でメリットを受けているならば、 そのメリット部分は、デリバティブ契約組成側の損失になっているわけですが、 これから先は、大阪府がその何倍もの損失を被る順番となり、 デリバティブ組成側に貢ぐ形となるのです。 パワー・リバース・ディアルカレンシー(PRDC)債、 これは、日本中で売られている為替仕組み債券ですが、 まさに、騙しのテクニックを最大限に駆使したような商品構成になっています。 よく騙すには最初に儲けさせること、と言いますが、 ご多分にもれず、まず1年目は魅力的な金利を提示します。 年5%です。 その上、なんと元本保証です。発行体はトリプルAの極めて信頼のおけるところ、 これならどうですか? あなたも投資しませんか? 元本保証で、最初の1年は年5%の金利、 その後も激しい円高にならなければ、高金利が保証される。 2割とか3割近い円高になれば、金利はゼロになりますが、 30年後には元金はちゃんと返ってくるという商品です。 何かいいことだらけではないですか? 自分も投資したいと思うでしょうが、これには落とし穴があるのです。 円高です。円高になれば30年に渡って金利がもらえないのです。 30年後の元金が返ってきても、その時の物価情勢はどうなっていると思いますか? おそらく10倍にはなっているでしょう。 そうなれば元金が30年後に返ってきたところで、9割減です。 まずはなぜ、このような商品ができるのか? いったい誰が儲かるのか? そこから考えないとわかりません。 ... すでに目ざとい投資家にとっては、ドル暴落に伴う円高の流れは必至なのです。 そして、その時に 「いかにして日本国民の巨大な金融資産を巻き上げるか?」が シュミレーションされてきているのです。 にわかには信じられないでしょうが、実はそういうことなのです。 その正確な相場の見方、世の中の今後の動きに裏打ちされた形で、 巧みに日本の金融機関でさえ巻き込まれて、 日本国民の大事な資産が、国民が納得して収奪される手段が、 この為替仕組み債なのです。 地方自治体だろうが、大学だろうが、経団連も、一応の説明は受けているはずです。 当然、激しい円高になれば、自分の投資が損失を被ることは、 その額を正確には判定できなくても、理解はしているでしょう。 問題は「そのような円高はあり得ない」と思わせる このデリバティブ組成側のテクニックなのです。 彼らにとってドル暴落と円高は既定路線なのです。 それについては、11月にビジネス社から発売予定の 船井幸雄会長との共著でも詳しく解説しました。 残念ながら、日本をリードするような経済界のオピニオンリーダー達には、 このような裏の事情は理解しづらいことでしょう。 現実に起こっていることは、日本の頭脳である有名大学における デリバティブ汚染なのですから救われません。 慶應義塾大学の365億円の損失はすでに報道されています。 同大学は、今後は資産運用の路線を転換、仕組み債投資は凍結しました。 早稲田大学は昨年度の決算で28億円の損失、現在は、評価損は81億円に達していますが、 早稲田側は 「証券会社が提示する参考価格は投げ売り価格で、合理的に確定された時価ではない」 として 「今後も為替のリスクを取りに行くことを全体で決定したうえで、 その範囲で収益を上げていく方針」 と言っています。さらに今までの投資を貫くという姿勢です。 そして驚きは東京大学です。 東大も仕組み債を5億円購入していたことを明らかにしたのです。 早稲田側のコメント、 為替のリスクは取りに行くのだ、という考えは、投資ですから、それでいいのですが、 問題は、揃いも揃ってなぜ、すべての大学、経団連、地方自治体、地方銀行、幼稚園までが、 円安に賭けるのですか? なぜ、すべての投資が損失方向なのですか? 円高になって儲かるところは一つもないではないですか? 考えてください!投資ですよ!どうして一方方向、すべて円安投資なのですか? おかしくありませんか? 日本中が狂っていませんか? 東大、早稲田、慶應、日本の頭脳ですよ! 彼らはどんな頭をしているのですか? 揃いも揃って金融で大損、 みんな円安でしか儲からない投資に巧みに追いやられていることが、わからないのですか! ... デリバティブは お金を増やすものではありません。 総額は変わらず、お金を取りあう仕組み、それがデリバティブです。 仕組み債で自分が有利と思えば、誰かがその損を背負うのです。 日本人が損をすれば、誰かが儲かっているのです。 ゼロサムゲームですから当たり前でしょう! デリバティブ商品はそういうものなのです。 ですからポーカーですよ。 丁半ばくちですよ。 これを東大から幼稚園までやっているわけで、 この金取りゲームの総ヤラレの敗者が日本人の大集団なのです。 悲劇は自分が丁半ばくちをやっていることがわからなくて、実はやっている、 そして損をしているという事実です。 東大や早稲田、慶應まで騙されるのだから仕方がない、という問題ではありません。 今の資本主義というシステム、その行きついたところが、 我々が意識もしないうちに、丁半ばくちに引き込まれていく、ということが大問題なのです。 ---------------------------------------------------------------------------- この判決は重要な意味を持っている。 [仕組み債 契約無効判決 大阪高裁“リスク判断困難”] 2010年12月27日 14時19分 / asahi.com 高利回りをうたう一方、為替次第で大きな損失が出る危険性がある 「為替連動仕組み債」を巡って、 金融機関と投資家の法的争いが増える可能性が高まっている。 大阪高裁は10月、この仕組み債について「一般投資家がリスク判断するのは著しく困難」と 商品の難解さを理由に契約無効とする異例の判決を下した。 金融派生商品(デリバティブ)の一種である仕組み債は 地方自治体や中小企業も幅広く保有しており、 判決は他の投資家にも影響を広げそうだ。 金融商品の販売を巡る訴訟で販売側が敗訴する場合は 金融商品取引法などに基づく十分な商品説明をしていないケースが多いが、 今回は仕組み債の商品性自体を問題視し、 投資家の購入判断に誤解を招いたという民法上の「錯誤無効」を認定。 こうした判決は初めてとみられる。 証券訴訟を多く手がける弁護士でつくる全国証券問題研究会(東京)は 「高裁レベルの判断は下級審にも影響があり、 複雑な金融商品被害の救済に役立つ」と話している。 判決によると野村証券は2007年3月、大阪市内の不動産会社社長に、 最初の1年間は15.30%の高利回りだが 2年目以降は日本円に対する米ドルと豪ドルの為替レートに連動して利回りが変わる仕組み債を 5千万円で販売した。 基準値より円安の間は社長に利子が付き、 受け取る利子の合計が元本の29%に達した時点で早期償還される。 一方で円高になった場合は (1)最長で30年間資金が引き出せない (2)満期償還の際は外貨建てになるため元本を割り込む、などのリスクがあった。 買い手の社長は購入をいったん承諾したが、思い直してその日のうちに取り消しを要求。 しかし野村は応じず、 社長側に未納入の販売代金約4,200万円の支払いを求める訴訟を大阪地裁に起こした。 大阪地裁は、野村側の説明が不足していたとして訴えを退けたが、 慰謝料などの負担を求める社長も含め双方が控訴。 大阪高裁は 説明書を一読するだけでは通常の個人投資家が理解できるとは言えないし、 30年先の為替相場や金利を予測することは困難 との商品の構造的問題に踏み込んで再度、野村の主張を退けた。 野村ホールディングス広報部は「主張が認められず遺憾」としている。 個人投資家に販売された仕組み債の規模は不明だが、 総務省によると購入した自治体は、神戸市、兵庫県朝来市など 全国24市町村で総額約430億円(2009年3月、金銭信託含む)。 最近の大幅な円高で多くが含み損を抱え、長期間引き出せない状態になっているとみられる |