http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/672.html
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与謝野の評価はWSJでは微妙だな
トヨタはレアアース中国依存脱却と言っているが、
あまり緊縮で円安になると、中国によるM&Aも活発になってくるだろう
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Heard-on-the-Street/node_170911/?nid=NLM20110117
【コラム】財政再建のタカ派、デフレではハト派−与謝野馨氏の横顔
財政再建のタカ派だが、デフレではハト派−。簡単に言えば、菅直人首相が14日の内閣改造で経済財政担当相に任命した与謝野馨氏はそういう考え方の持ち主だ。歴代政権で経済、財政、通商産業の各大臣を務めた経歴がある。
与謝野氏は財政再建派として知られ、2008年には先進国で最悪の財政赤字を脱却するため、2015年までに現在5%の消費税の倍増を主張した。同氏は14日、入閣にあたって、税制改革や社会保障改革を迅速に行いたいと述べた。
与謝野氏の任命は、重鎮である藤井裕久氏の官房副長官任命とともに、菅首相が有権者の前に不愉快な政策を打ちだそうとする姿勢を浮き彫りにしたかにみえる。民主党などの長年にわたる脳天気な政策綱領とは対照的だ。増税や社会保障削減は決して人気のあるものではないが、財政・年金上の難題に取り組み、解決しようとする意気込みは日本にとって良いものだろう。
とはいうものの、経済拡大もまた大切だ。経済拡大なき財政再建は、抜本的な支出削減と増税なしにはほとんど不可能だ。それが与謝野氏には欠けるところだ。同氏は財政という国の問題の一部に集中しているだけだで、もう一つの決定的な課題を無視しているからだ。それは名目成長率を金利以上に押し上げる必要があるというものだ。
これにはデフレを終息させることが決定的に重要だ。与謝野氏の任命の結果、政府と協調して物価下落を克服するためもっと行動すべき日銀に対する圧力が弱まる可能性がある。2006年の経済担当相時代、与謝野氏は政府の月例経済報告から「デフレ」という言葉を早々と削除し、日銀に対する行動の圧力を弱めた経緯がある。
また、グローバルな一次産品(商品)インフレの再燃の折から、デフレ問題は新たな次元を帯びている。完成品とサービス価格が下落している時期に仕入れ価格が上昇しているため、日本企業はマージン(利ざや)縮小に直面している。昨年12月の企業物価指数は3カ月連続で上昇した。石油やゴムなどの一次輸入価格は11.5%上昇したのに対し、エレクトロニクスなど国内消費耐久財価格は4%下落した。
確かに、インフレ高進は金融引き締めを誘い、債務支払い金利を上昇させ、円高につながりかねない。その限りにおいて与謝野氏は、インフレを低く抑えることは的を得ており、早急に行動する必要があるかもしれない。しかし、日本ではインフレは今日的な問題とはほど遠いところにある。
[ハード・オン・ザ・ストリート(Heard on the Street)は1960年代から続く全米のビジネス・リーダー必読のWSJ定番コラム。2008年のリニューアルでアメリカ、ヨーロッパ、アジア各国に 駐在する10人以上の記者が加わり、グローバルな取材力をさらに強化。刻々と変わる世界市場の動きをWSJ日本版でもスピーディーに紹介していく]
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原文: Japan's New Deficit Hawk, Deflation Dove
記者: James Simms
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110111/217881/?ST=print
日経ビジネス オンライントップ>企業・経営>石原昇の「21世紀の黒船たち」
チャイナマネーの来襲
日本を狙うM&Aと不動産投資
* 2011年1月17日 月曜日
* 石原 昇
投資 外貨準備高 富裕層 ホットマネー 不動産投資 所有権 チャイナマネー
世界最大の外貨保有国となった中国。企業は好業績や有利な資金調達をてこにキャッシュフローを蓄積している。個人も、所得と不動産価格の上昇を背景に富裕化が進んでいる。こうした国家、企業、個人の持つ巨額のチャイナマネーは世界を席巻し、21世紀の黒船として日本に押し寄せている。
2010年は日本企業へのM&Aが相次ぐ
中国企業は過去5年間で総額1820億ドル(約15兆円)に上る海外M&Aを行ってきた。そのほとんどが、資源エネルギー権益の大型買収だが、昨年は、小規模ながら日本企業も対象となった。ブルームバーグの統計によると、2010年に中国と香港の企業が日本企業に仕掛けたM&Aは44件、総額4 億3770万ドル(約362億円)に達した。2009年の33件、総額1億2180万ドル(約101億円)から増加し、過去10年間で最高となった。
中国企業による日本企業のM&A(過去5年間の主要案件)
時期 買収元 買収先 業種 金額
06年10月 天津富士達電動車 丸石サイクル 自転車製造 8億円
08年4月 中国動向集団 フェニックス スポーツウェア 5億円
09年1月 China Satcom Network ターボリナックス ITサービス 10億円
09年4月 北京泰徳製薬 LLTバイオファーマ 製薬 2億円
09年8月 A-Power Energy エバテック 太陽電池製造装置 45億円
09年8月 蘇寧電器 ラオックス 家電量販 19億円
09年10月 上海電気印刷包装機械 アキヤマインターナショナル 印刷機械 31億円
09年12月 寧波韻昇 日興電機工業 自動車部品 12億円
09年12月 IAG ラックスマン 音響機器 未公表
10年2月 Marlion HD 本間ゴルフ ゴルフ用品 未公表
10年4月 比亜迪汽車
(BYDオート) オギハラ 金型製造・販売 未公表
10年6月 CITICグループ 東山フィルム 加工フィルム 15億円
10年7月 山東如意科技集団 レナウン アパレル 40億円
10年8月 CITICグループ トライウォール 段ボール 53億円
(出所)各社資料より筆者作成
今、中国企業は、日本企業の持つ技術、販路、ブランドに注目している。
2010年4月、中国の新興自動車メーカー、比亜迪汽車(BYDオート)は、日本の金型大手オギハラの館林工場を買収した。オギハラは自動車不況の直撃を受けて、経営危機に陥り、2009年3月に、タイ最大の華僑系の自動車部品メーカー、サミット・グループの出資を受けていた。今回の買収はサミット・グループの意向に沿ったもので、土地、建物、設備や従業員約80人をBYDオートに引き渡した。BYDは車体成型に関するオギハラの高い金型技術を取り込んで中国での生産に生かす。
7月には、中国の大手繊維メーカー、山東如意科技集団が、創業108年の老舗アパレルメーカー、レナウンに対し40億円を出資して、41.18%の持分を取得した。レナウンは、4期連続で最終赤字を計上し、株価は出資報道の直前までの2年間に約60%下落していた。山東如意は繊維メーカーから総合アパレルメーカーへの飛躍を目指すうえで、レナウンの商品企画力を必要としていた。レナウンは財務基盤を安定化させ経営再建を託す。
また8月には、家電量販最大手の蘇寧電器が、ラオックスによる20億円の第三者割当増資を引き受けた。同社は、前年にラオックスの筆頭株主となっていた。今回の追加の増資引き受けにより、出資比率を3分の1超の33.8%に引き上げた。ラオックスは、国内および中国での店舗事業、蘇寧電器との貿易仲介事業で、経営の立て直しを図る。
中国人観光客を取り込むラオックス秋葉原本店
世界最大の外貨準備高を活用
中国企業のM&Aがこのように活発化している背景には、経営に行き詰まった日本企業の実態がある。また落ち込んでいる株価水準、持ち合い解消による株式保有の構造変化も後押しする。そして何といっても、膨張する政府、企業、個人のチャイナマネーの存在である。
中国の外貨準備高は、2010年末に2兆8473億ドル(約235兆円)。2位の日本の1兆1000億ドル(約91兆円)の2倍以上に達している。巨額の貿易黒字を背景とした人民元高の圧力に対して、積極的な為替介入(ドル買い)をした結果として積み上がったものだ。
中国の金融当局は現在、その8割は米国債で運用していると推定されるが、昨年来、ギリシャやスペインなどの信用不安がある欧州国債にも振り向けている。中国最大の輸出先である欧州においてユーロ安の流れを反転させることや、アフリカなどの旧植民地で採れる資源の見返りを求める狙いもある。また外貨準備高の増加がもたらす過剰流動性がインフレの悪化につながる可能性があるため、政府はこれを有効に活用する方策も模索している。
「走出去」。英語で「Go Global」と訳す。21世紀を迎えた前後から、中国政府が積極的に支援している海外投資戦略のことである。昨年末、中国政府は相次いで「走出去」戦略を強化する方針を打ち出した。商務省は、資源や先端技術、ブランドなどを獲得する手段として中国企業の海外進出を一段と支援する。税制上の優遇措置の拡充や外貨準備高を活用した新たな支援スキームも導入する見込みだ。
さらに遅々として再編が進まない国有企業の統合・強化策にも弾みをつける。中国政府は、政府系ファンド、中国国新控股有限責任公司を昨年末新たに設立した。既に活動している中国投資有限責任公司(CIC)に続く、2つ目のファンドだ。政府が保有する国有企業の株式をこれらのファンドに移して、現在122 社ある国有企業の統合を進める。時価総額で世界トップを争う中国石油天然気(ペトロチャイナ)のような国際競争力のある企業を育成し、IPO(株式公開)させる狙いだ。政府系ファンドは、国有企業の海外進出やM&Aに対する資金も支援するものと思われる。
年明け1月13日に、中央銀行である中国人民銀行から重大な発表があった。中国企業による海外への直接投資について、人民元建ての決済を一部解禁するという内容だ。これにより中国企業は手持ちの人民元を使って海外企業を買収できるようになり、M&Aはますます加速しよう。
増加する中国人富裕層の不動産投資
ニュースでたびたび耳にするように、中国人個人による日本への投資は、骨董や書画に始まり不動産に及んでいる。2010年7月に、日本政府が中国人に対してビザを発給する条件を緩和した。これを契機に、訪日中国人の数は増加している。2010年9月の尖閣沖事件を機に足元の数は減少しているが、日本の不動産を購入する意欲は依然として旺盛だ。
上海市の中心部に建つアパートは東京の10〜20%高い値段となっている。投資利回りは、税引き後2〜3%程度にしかならない。これに対して、日本には10%以上の利回りを確保できる物件が多数存在する。
中国では、居住用の土地使用権は70年と有限である。これに対して、日本では所有権が永久に認められる。中国の不動産バブルが弾けるリスクを認識し始めた富裕層が、子孫に残す資産として注目し始めたことも背景にある。
中国の富裕層は一体どのくらい存在するのか。各種の調査があり、保有資産や所得によって定義は異なるが、その数は急増している。米メリルリンチとキャップ・ジェミニが2010年6月に発表した「アジア太平洋地域ウェルス・レポート」は、富裕層を、「主な居住用不動産などを除いて100 万ドル以上の投資可能資産を保有する個人」と定義している。中国における2009年の富裕層は前年比31%増の47万7000人、資産総額は同40.4%増の2兆3500億ドル(約195兆円)とリーマンショック後にもかかわらず増加した。中国の不動産価格が上昇したことが大きい。中国人富裕層の全投資資産に占める不動産投資の比率は、前年の18%から27%と9%増加し、その増加幅はアジア太平洋地域でトップとなっている。
また2008年に上海复旦大学管理学院が発表した「新富裕層」研究報告は、年間所得が 30〜100万元(375〜1250万円)ある富裕層は、5000万人と推定している。彼らは、賃金の引き上げにより個人収入が増加したことで出現した階層である。総人口の4%を占め、半数以上が大卒以上の学歴を持つ。彼らの大部分は株式と金融資産を持つが、投資対象のトップはやはり不動産である。また年間所得が100万元以上の階層もおおよそ 500万人居ると推定している。
こうした中国人富裕層による日本不動産への投資は、都心のワンルームマンションから富士山の見える別荘地と幅広い。一番人気の北海道の森林も対象となっている。
最近、中国富裕層による不動産投資の問題点が明らかになり始めた。ホットマネーによる局地的不動産バブルの発生、経営者の資金隠し目的などのグレー資金の流入、投機目的として購入された物件の放置、さらには国民財産の侵食リスクである。
北海道の高橋はるみ知事は2010年11月、外国資本が森林や沼地の土地取引をする場合、道庁に対して事前の届け出を求める独自の新条例を制定する考えを道議会で表明した。現在、外国資本による道内の林地所有は少なくとも33カ所、合計820ヘクタールに上ることが判明している。この大半は水土保全林。陸上自衛隊駐屯地に近接する場所も含んでいる。高橋知事は2011年度の新条例制定に向け、必要な制度改正を国に求めるとともに、有識者や市町村の意見を聞く場を設ける意向である。
中国資本は経営再建のてこか? それとも脅威か?
日本に来襲するチャイナマネーは、今後、人民元の相場上昇によりその勢いはますます強まっていく。M&Aは大型化すると同時に中小企業にも幅広く及んでこよう。
帝国データバンクが2010年7月に発表した「中国企業による日本企業への出資実態調査」は、中国企業が出資する日本企業は611 社と伝えている。5年前の233 社と比べて約2.5 倍に増えたことが判明した。業種別に見ると「卸売業」が323 社(52.9%)でトップ。5 年前に比べて「製造業」「サービス業」も3 倍に増えた。年商規模別では「1 億円以上10 億円未満」が202社(48.1%)でトップとなっている。
同じく帝国データバンクが2010年4月に1万社を対象に実施した「業界再編に対する企業の意識調査」は日本の経営者の正直な意識を反映している。「中国やインドなど新興国の企業による日本企業買収が日本経済にとって今後の脅威になるか」との問いに対し、78.1%が「脅威になる」と回答している。
中国をはじめとする外国からの資本を、経営再建の手段として積極的に導入するか? 意に沿わぬM&Aからの回避を図るか? 日本の経営者は、明日にも決断を迫られる。
このコラムについて
石原昇の「21世紀の黒船たち」
バブル崩壊で失われた90年代から、さらに10年が経過し、日本は長期停滞が続いている。21世紀に入り新興国の勢いは加速し、新たな黒船として日本の前を行く。
菅内閣は2010年6月に閣議決定した新成長戦略で、「元気な日本」を復活させるシナリオを満載した。「グリーン」と「ライフ」の2つのイノベーションを柱に、7つの戦略分野を掲げ、実行計画(工程表)も示した。
しかしながら、政治が混迷しているなかで、計画は予定通り進まず、世界市場から日本企業が取り残される事態が相次いでいる。グローバル経済のパラダイム転換は速く、新産業、新市場を巡る世界の競争は熾烈である。失われた20年を経た日本は10年後に確固たるポジションを保持できるか? 現場取材を織り込み、アナリストの視点で、国家、産業、企業の新成長戦略に示唆を与えたい。
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著者プロフィール
石原 昇(いしはら・のぼる)
石原 昇
国際経営コンサルタント。シー・サポートセンター代表。
1982年、横浜市立大学大学院経営学研究科修士課程修了。
通信自由化の黎明期に野村総合研究所で通信政策の立案に従事、NTT上場などを手がける。その後、野村證券チーフアナリストとして、内外のグローバル産業の調査研究に携わる。2004年に独立。東大先端研研究員、世銀グループコンサルタント、JETROや各種学会の委員などを歴任。法政大学大学院などで教鞭を執る。
現在、サイコム・ブレインズ、マスターピース・グループなどグローバル企業の社外役員、またベンチャーキャピタル、つくば市や福岡県のアドバイザーも兼務する。「アキバ在住アナリスト石原昇のブログ」でアキバ発イノベーションを発信中。
著書・翻訳書に、「塗りかわる世界の情報通信産業」(野村総合研究所)、「経営分析・日本のトップカンパニー」(共著 日本経済新聞社)、「フラッシュメモリビジネス最前線」(共著 工業調査会)、「イノベーション・パラドックス」(監訳、ファーストプレス社)、「ロボット.イノベーション」(共著、日刊工業新聞社)など。
http://jp.wsj.com/Japan/Companies/node_170382/?nid=NLM20110117
トヨタ自動車は、中国のレアアース(希土類)支配に絡む「熱い」通商問題を回避するため、新型電気モーターの開発に全力を上げている。
ネオジム Bloomberg News
ネオジムの加工作業(中国・天津)
トヨタは、レアアースを使わないハイブリッド車向けの電気モーターの開発が、まもなく飛躍的な進歩を遂げると信じている。レアアースはモーターの磁石に使われるが、中国の供給削減を受けて、この1年でレアアース価格が急騰している。
すべての電気モーターは、動くために磁石が必要だ。トヨタが開発している新型モーターは、台所用ミキサーなどに使われる極めて普通の、安価な誘導(インダクション)モーターをベースとしている。誘導モーターには、電磁石――電流が流れている時のみ磁力を持つ――が使われている。
一方、現在の電気自動車(EV)やハイブリッド車のモーターの多くは、永久磁石を使った別の種類のモーターを利用している。永久磁石は、冷蔵庫のドアに物を貼りつける際に使う磁石のように、常に磁界を持つ。
しかし、EVの電池に使われる永久磁石は、学校給食の献立表を貼るための磁石とは違い、ほぼ全量が中国で採掘・精製されるネオジムというレアアースから作られる。
自動車各社がEV・ハイブリッド車の性能を競うなか、電池に欠かせないネオジムやリチウムといったレアアースへの企業の依存は、資源確保をめぐる新たな地政学的問題を提起している。これらレアアースの多くは、中国が供給をコントロールしている。
トヨタはグループ内で、アルゼンチンでのリチウム合弁への投資や、ネオジムなどのレアアース確保を視野にベトナムで合弁を設立するなど、レアアースの中国依存を軽減する措置を幾つか講じてきた。
自動車産業は、世界のネオジム供給の40%を購入し、トヨタは他社を上回る量を購入している、とレアアース専門家で調査会社テクノロジー・メタルズ・リサーチ(イリノイ州カーペンターズビル)の創設者、ジャック・リフトン氏は指摘する。リフトン氏によると、プリウス1台につき、約1キログラムのネオジムが使われている。トヨタはこの数字についてコメントを控えている。
トヨタが誘導モーターに切り換えるとすると、「ネオジムの需要は大きく変わる」とリフトン氏は予想する。
EV「ボルト」を先月発表したゼネラル・モーターズ(GM)も、代替モーターについて検討している。「われわれは、それらの分野の開発を続けている。誘導モーターは有効だ」とGMのハイブリッド・パワートレイン・エンジニアリング部門を率いるピート・サバジャン氏は語る。
自動車部品大手の独コンチネンタルは、同社がレアアースを使わないモーターをすでに開発しており、今年欧州で発売されるEVに搭載されることを明らかにした。このモーターは、発電所でよく見られる電気モーターのバリエーションを採用している。
コンチネンタルでハイブリッド車・EVプログラムを実行するマイク・クレイン氏は、レアアースを避けることがモーターの開発理由のひとつではあるものの、主な理由はコストの引き下げだと指摘、「最善の供給シナリオに基づいたとしても、(レアアースを使った)これらの磁石は極めて高価だ」と述べた。
中国はネオジムの世界供給の約95%を生産するが、昨年の夏、輸出制限に乗り出した。中国は12月、ネオジムの輸出関税を15%から25%に引き上げると発表、今年の新たな輸出枠を明らかにした。
レアアースの採掘・精製を手掛ける豪ライナスによると、ネオジムの価格は過去1年で4倍に跳ね上がった。
レアアースは化学的性質のよく似た17元素の総称で、通常、鉱石に混在し、精製・分離される。磁石や半導体をはじめ、さまざまなハイテク技術に使われる。鉱床は米豪にもあるが、抽出・精製の技術が不足している。
トヨタにとって、レアアースの障害を乗り越えることは死活問題だ。トヨタは、今週デトロイトで開幕した北米国際自動車ショーで、「プリウス」の派生車種 2モデルを加えることで、ハイブリッドのラインナップ拡充を発表、今後10年で全モデルに同技術を広げていく計画を明らかにした。
内山田竹志副社長は、(永久)磁石を使わずに小型で高性能のモーターを作る技術がまもなく登場するとの見方を示したが、コントロールする技術が難しいと述べた。内山田氏は、新型モーターの導入時期については言及を避けた。
トヨタ広報のジョン・ハンソン氏は、新型モーターが「近いうちに」登場する可能性があるとし、「おそらく、コストと重量を削減し、レアアースの地政学的問題を回避することが可能になる」と述べた。
ミシガン州立大学の電気工学教授、エリアス・ストランガス氏は、トヨタの研究開発のベースとなる誘導モーターは「生産コストが低く、恐ろしく頑丈だが、さほど効率的ではない。それに大きい」と指摘。それを改良するのは「『聖杯』を探求するほど困難に満ちている」と述べた。
ストランガス氏は、トヨタが最新の誘導モーターを開発しているとのうわさを耳にしたが、それについての発表資料はまだ見ていないという。
永久磁石モーターは、自動車メーカーがEVやハイブリッド車のために効率的でパワフルなモーターの模索を続けたこの10年で主流になった。
ストランガス氏は、「その後、永久磁石モーターはやや高額だとわかり、レアアースの鉱床も多くはないということも判明した。我々は今、かなり旧式の技術を試し、誘導モーターの問題を解決しようとしている」と述べた。
また、トヨタグループの商社、豊田通商は昨年10月、ベトナムの鉱床からレアアースを抽出するため、現地企業との提携に着手すると発表した。
豊田通商は1年前、リチウム鉱山の開発でアルゼンチン企業と契約を締結した。
世界のリチウム埋蔵量は、中国、チリ、アルゼンチン、ボリビアに偏っている。
日産自動車の「リーフ」など、新型EVや今後のEV投入計画は目白押しで、自動車業界はレアアース供給を向上させる必要性に迫られている。EVには、「プリウス」などのハイブリッド車より多くのモーターが必要。つまり、使われるレアアースの量は多くなる。
記者: Mike Ramsey
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