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2011年1月15日(土)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-01-15/2011011507_01_1.html
ドイツでは、労働裁判所が昨年末に出した判決をきっかけに、同一労働同一賃金実現へ向けて、派遣労働者の権利を確立する運動が進展しています。
(片岡正明)
最賃制確立が課題
ベルリン労働裁判所は昨年12月14日、低賃金を容認したキリスト教系労組の労働協約に対し「同一労働同一賃金の原則からあまりにもかけ離れている」と無効を宣言しました。
ドイツでは、派遣労働者にも同一労働同一賃金を保障する法律が2004年から施行されましたが、労働協約で別に定めた場合は例外となっています。
この規定に基づいて派遣会社など使用者側は、全国中央組織のドイツ労働組合総同盟(DGB)と労働協約を締結。ところがDGBに加盟していない、使用者寄りのキリスト教系労組がつくった派遣労働者組織(CGZP)が、不当な低賃金で労働協約を結んだ結果、同国全体で90万人近くいる派遣労働者の低賃金が固定化されていました。
報道によると清掃労働者の場合、最低賃金はDGBの協約が時給8・5ユーロ(約914円)なのに対し、CGZPの協約ではその65%の5・5ユーロ(約591円)に過ぎませんでした。
これをめぐり、統一サービス産業労組(ベルディ、218万人)などが労働裁判所に提訴。今回の判決の結果は、CGZPと労働協約を結んでいた1600社の20万人を含む約28万人の賃金に影響します。該当する労働者は、DGBの労働協約の水準まで追加支払いを要求できます。また給与増額に伴い、企業側が支払う社会保険料も増額されます。
ベルディ、金属産業労組(IGメタル、230万人)、DGBなどはいっせいに追加支払いを要求。これに対し使用者側は「20万〜30万人の職が失われることになる」と、解雇の脅しをかけています。
使用者側の強気の背景には、2004年の欧州連合(EU)加盟から7年の猶予期間を経て今年5月から、東欧諸国の労働者に対して域内移動自由の原則が適用されるという事情があります。
ドイチェ・ウェレ(国外向け公共放送)の報道によると、最低賃金が時給1・8ユーロのポーランドからだけで、50万人の派遣労働者が独国内へ働きに来る可能性があります。その分、ドイツ人労働者が失業に追い込まれるという観測が強くなっています。
このため労組側は、全国一律の最低賃金制や派遣労働者の法定最低賃金制の確立を政府に強く要求。ベルディのブジルスケ委員長は「法定最低賃金制確立など国内労働者と外国からの労働者が同じ条件で働ける法律が必要だ」と強調しています。
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