04. 2011年1月14日 22:16:18: znZ9JM7Wok
[トヨタ、レアアース中国依存からの脱却目指す] 2011年01月14日 21:04 / WSJ http://jp.wsj.com/Japan/Companies/node_170382?mod=LatestCoBrandトヨタ自動車は、中国のレアアース(希土類)支配に絡む[熱い]通商問題を回避するため、 新型電気モーターの開発に全力を上げている。 トヨタは、レアアースを使わないハイブリッド(HV)車向けの電気モーターの開発が、 まもなく飛躍的な進歩を遂げると信じている。 レアアースはモーターの磁石に使われるが、中国の供給削減を受けて、 この1年でレアアース価格が急騰している。 すべての電気モーターは、動くために磁石が必要だ。 トヨタが開発している新型モーターは、台所用ミキサーなどに使われる極めて普通の、 安価な誘導(インダクション)モーターをベースとしている。 誘導モーターには、電磁石(電流が流れている時のみ磁力を持つ)が使われている。 一方、現在のEV(電気自動)車やHV車のモーターの多くは、 永久磁石を使った別の種類のモーターを利用している。 永久磁石は、冷蔵庫のドアに物を貼りつける際に使う磁石のように、常に磁界を持つ。 しかし、EVの電池に使われる永久磁石は、学校給食の献立表を貼るための磁石とは違い、 ほぼ全量が中国で採掘・精製されるネオジムというレアアースを主として作られる。 [ネオジム] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%AA%E3%82%B8%E3%83%A0 ネオジムの用途で特に重要なのは、 強い磁力を持った永久磁石を生産するために使用されることである。 ネオジム、鉄、ホウ素の化合物は、大変強力な永久磁石である、ネオジム磁石となる。 ネオジム磁石は、色々な分野で利用されている。 その他にも、超伝導体の材料としても使われる。YAGレーザーの添加物としても利用される。 自動車各社がEV・HV車の性能を競うなか、 電池に欠かせないネオジムやリチウムといったレアアースへの企業の依存は、 資源確保をめぐる新たな地政学的問題を提起している。 これらレアアースの多くは、中国が供給をコントロールしている。 トヨタはグループ内で、アルゼンチンでのリチウム合弁への投資や、 ネオジムなどのレアアース確保を視野にベトナムで合弁を設立するなど、 レアアースの中国依存を軽減する措置を幾つか講じてきた。 自動車産業は、世界のネオジム供給の40%を購入し、 トヨタは他社を上回る量を購入している、 と レアアース専門家で調査会社テクノロジー・メタルズ・リサーチの創設者、 ジャック・リフトン氏は指摘する。 リフトン氏によると、プリウス1台につき、約1kgのネオジムが使われている。 (トヨタはこの数字についてコメントを控えている) トヨタが誘導モーターに切り換えるとすると 「ネオジムの需要は大きく変わる」とリフトン氏は予想する。 EV[ボルト]を先月発表したGMも、代替モーターについて検討している。 「われわれは、それらの分野の開発を続けている。誘導モーターは有効だ」 とGMのハイブリッド・パワートレイン・エンジニアリング部門を率いる ピート・サバジャン氏は語る。 自動車部品大手の独コンチネンタルは、 同社がレアアースを使わないモーターをすでに開発しており、 今年欧州で発売されるEVに搭載されることを明らかにした。 このモーターは、発電所でよく見られる電気モーターのバリエーションを採用している。 コンチネンタルでHV・EVプログラムを実行するマイク・クレイン氏は、 レアアースを避けることがモーターの開発理由のひとつではあるものの、 主な理由はコストの引き下げだと指摘、 「最善の供給シナリオに基づいたとしても、 レアアースを使った これらの磁石は極めて高価だ」と述べた。 中国はネオジムの世界供給の約95%を生産するが、 昨年の夏、輸出制限に乗り出した。 中国は12月、ネオジムの輸出関税を15%から25%に引き上げると発表、 今年の新たな輸出枠を明らかにした。 レアアースの採掘・精製を手掛ける豪ライナスによると、 ネオジムの価格は過去1年で4倍に跳ね上がった。 レアアースは化学的性質のよく似た17元素の総称で、通常、鉱石に混在し、精製・分離される。 磁石や半導体をはじめ、さまざまなハイテク技術に使われる。 鉱床は米豪にもあるが、抽出・精製の技術が不足している。 トヨタにとって、レアアースの障害を乗り越えることは死活問題だ。 トヨタは、今週デトロイトで開幕した北米国際自動車ショーで、 [プリウス]の派生車種2モデルを加えることで、ハイブリッドのラインナップ拡充を発表、 今後10年で全モデルに同技術を広げていく計画を明らかにした。 内山田竹志副社長は、 永久磁石を使わずに小型で高性能のモーターを作る技術がまもなく登場するとの見方を示したが、 コントロールする技術が難しいと述べた。 内山田氏は、新型モーターの導入時期については言及を避けた。 トヨタ広報のジョン・ハンソン氏は、新型モーターが「近いうちに」登場する可能性があるとし、 「おそらく、コストと重量を削減し、レアアースの地政学的問題を回避することが可能になる」と述べた。 ミシガン州立大学の電気工学教授、エリアス・ストランガス氏は、 トヨタの研究開発のベースとなる誘導モーターは 「生産コストが低く、恐ろしく頑丈だが、さほど効率的ではない。それに大きい」と指摘。 それを改良するのは「『聖杯』を探求するほど困難に満ちている」と述べた。 ストランガス氏は、トヨタが最新の誘導モーターを開発しているとのうわさを耳にしたが、 それについての発表資料はまだ見ていないという。 永久磁石モーターは、自動車メーカーがEVやHV車のために 効率的でパワフルなモーターの模索を続けたこの10年で主流になった。 ストランガス氏は、 「その後、永久磁石モーターはやや高額だとわかり、 レアアースの鉱床も多くはないということも判明した。 我々は今、かなり旧式の技術を試し、誘導モーターの問題を解決しようとしている」 と述べた。 また、トヨタグループの商社、豊田通商は昨年10月、 ベトナムの鉱床からレアアースを抽出するため、現地企業との提携に着手すると発表した。 豊田通商は1年前、リチウム鉱山の開発でアルゼンチン企業と契約を締結した。 世界のリチウム埋蔵量は、中国、チリ、アルゼンチン、ボリビアに偏っている。 日産自動車の[リーフ]など、新型EVや今後のEV投入計画は目白押しで、 自動車業界はレアアース供給を向上させる必要性に迫られている。 EVには、[プリウス]などのHV車より多くのモーターが必要。 つまり、使われるレアアースの量は多くなる。 [記者: Mike Ramsey] |