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究極のフリーライダーVS自発的被搾取の構造?だが、
統計を一度、きちんと取って、こういう人々の経済効果を試算してもらいたいものだ
http://diamond.jp/articles/-/10634/
【第15回】 2011年1月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
梅田カズヒコ [編集・ライター/プレスラボ代表取締役]
周囲から見て「困った人」とレッテルを貼られやすいバブル世代の“バブルさん”、ゆとり世代の“ゆとりちゃん”。当連載では、そんな2つの世代を対象に、 就職氷河期世代の“氷河期くん”(またはその他の世代)が会社の人間関係をどううまく対処すべきなのかを研究していく。親愛なるバブルさん、ゆとりちゃん、どうか温かい目で見守って欲しい。そして同志である氷河期くんには、ぜひ考え方の合わない上司&部下に対処するときに、参考にしていただきたい。
2011年最初のこのコーナー、登場していただくのは23歳のゆとりくんだ。年末年始はどうにも忙しいのか、このコーナーに出ることを嫌がる人が多いのか、ターゲットとなるゆとりちゃんが見つからない…と思っていた時にようやく取材に協力してくれることになったのが、このゆとりくん。取材先が確定したうれしさと、「若い男性には肉だろう」という安直な考えで、東京・三宿の有名焼肉店にて、取材に答えてもらった。
<今回のゆとりくん>
山崎洋輔さん(仮名)
年齢:23歳(1987年生)
業種:家電系小売店
最終学歴:大卒
出身:埼玉県
現在の住まい:東京都中野区(独身、彼女と同棲中)
家族構成:父、母、兄、弟
「会社の人が飲みに誘ってくれません」
家電売場で働くゆとりちゃんが抱える意外な悩み
(一品目の「タン塩」がジワジワと焼けていくのを見ながら、本題に入る)
ごちそうになってありがとうございます! いやー、本当に良いんですか?
――最近、このコーナーが僕の周囲のゆとりちゃんに「ゆとりイジメだ!」と非難されているから、なかなか協力者が見つからなくて。だからお肉でも食べてもらって、ちゃんと取材協力者をもてなしていることをアピールしなきゃと思ってね。僕も焼肉食べたかったし。
ありがたいです。僕の給料じゃあんまりこんなところ来れないっすから。僕らの周囲で飲み会するときは、全品270円の居酒屋(※1)ばかりですよ。
※1「270円」とデカデカと表示された看板が特徴的。最近この仕掛け人がテレビ東京「カンブリア宮殿」に出演し、特に外食産業者と貧乏学生から熱い視線が注がれている。
次のページ>> 家電業界の未来を憂う、しっかりもののゆとりくん
――いえいえ。270円居酒屋、最近繁華街でよく見るよね。僕が学生のころ、某ハンバーガーが65円、某牛丼が280円だった時代があって、それを思い出したよ。で、まずは自己紹介を。
山崎洋輔。23歳。今は家電系の小売店に入社して1年目です。
――簡潔で素晴らしい。ゆとり世代は、就職が楽だった世代としんどくなった世代に分かれるけど、山崎君は後者だね。お疲れ様。希望通りの業種・職種に入れた?
僕はやりたいことというのがよく分からなくて。ただ、家電には興味があるし、学生の頃から家電売場に行くのが好きだったので、今の業種は悪くないなと思ってます。
――ふうん。じゃあ、これからどちらの家電を買うかで悩んだら山田君に相談するよ。やっぱり家電量販店ってさ、ライバル関係が激しいの? YカメラとBカメラとか、Y電気とKジマとかさ。
もちろん熾烈な争いはあります。各社でポイント付与合戦が行われています。でも、将来的なライバルは別ですね。僕は家電を売場で買う時代は終わると思っています。大きな家電は持ち運びが面倒くさいし。主力がネット販売の時代が来る。そうすると、メーカーが直接消費者に届けることができるわけですね。だから家電量販店にとって最大のライバルは家電メーカーとインターネットですかね。
――なるほどね。僕らの業界で言う、書店VSアマゾンと、取次も含めた中抜き体制をやめて読者に直接コミットしたい出版社の三つ巴・四つ巴の戦いみたいなことが家電にも起きているわけか。アップルVSヨドバシ・ヤマダ・ビックのオンライン販売冷戦(※2)みたいなものも象徴的だよね。
※2「iPod」、「iMac」などのアップル製品が日本の家電メーカーのネットショップで続々と販売中止になり、家電系のポイントを集めたかった日本の消費者は一時騒然となった。アップル社がオンライン上の顧客を「アップルストア」に集中させたいからではないかとも言われているが、販売代理店を絞ることで効率的になり、消費者に安価で製品を届けることができるとアップルは説明。一方でAmazonなどでは引き続き購入することができる。
そんな状態なので、僕が現役世代を引退するまで、果たして家電売場が存在するか分からないわけですよ。そう思うと将来はすごく不安です。売場では技能を得ることはできないし。
――そもそも死ぬまで何らかの保障があるなんて考えが贅沢だったんだよ。どんな業種も将来への不安は抱えているものだよね。だから食べられるうちに美味しいものを食べておかないとね。あ、肉、焼けてきてるよ。早く食べちゃって。山崎君は飲み会とかよく行く?
次のページ>> ゆとりくんを悩ませる“ニートな彼女”
いえ。学生の飲み会って、誰かが暴れたりとか、吐いたりとか、そういうの多いじゃないですか。だから嫌気がさして、それで飲み会には極力行かないようにしています。会社の人たちとは飲みに行きたいんだけど、誰にも誘ってもらえないから。
――そうなんだ。今までの取材では飲み会を開きたい上司と、来てくれないゆとりちゃんという話が多かったから、その逆のパターンは珍しいね。
僕はいつでも誘って欲しいと思っているんですけど。忙しいみたいでなかなか誘ってもらえません。この前、意を決して上司に『飲み会とかやりませんか?』と話してみたんですが『今のオレはお前らに酒をおごるほどの余裕はない』って言われてしまって。
――確かに今は上司世代の懐も寒くなってきているからね。かと言って若者相手にワリカンもプライドが傷つくし。そういうわけで、上司との飲み会は実現できていないと。じゃあ、上司との仲はどう?
直属の上司は、怒られる事もあるんですがわりと優しく接してくれます。それよりも、社員に課せられたノルマとか、時折お客さんを装って売場に視察にやってくる本社の人とか、クレーマーのお客さまのほうがよっぽど怖いです。
山崎君にとって最大の悩み
それは“ニートな彼女”の存在
仕事の話をしたときに気づいたのだが、山崎君はしっかりしている。ちゃんと自分の会社の将来の問題点を把握している。この一点だけで、今時の若者とは大きく違う気がする。今の若者は、見えるものしか見ようとしないように僕には感じるからだ。山崎君が“見えざる敵”の正体を掴んでいる限り、食いっぱぐれることはないような気がした。仕事面に合格点を出した僕は、プライベートに切り込むことにした。
――山崎君は彼女居るの?
居ますよ。同棲中です。
――若いカップルが同棲か。うらやましいね。彼女は何をしている人?
専門学校を卒業して、それで、今は……ニートです。というか、ちょっと彼女は心を病んでまして。自宅療養中です。
――あー。じゃあ、簡単に言えば山崎君が彼女を養っているということ?
そうですね、と言いたいのですが僕の給料では追いつかず。彼女は親からもらう仕送りで生活しています。ほら、引きこもってしまった人にガンバレというのは禁句ですよね。だから「ちゃんと働け!」と言うこともできず。昼間はただ、だらだらとゲームをやってますね。
次のページ>> ずっと家にいるのに家事さえしない彼女
――でもさ、家事とかはやってくれるんじゃないの? それに家に帰れば必ず彼女が待ってるわけでしょ。それは幸せだよね。
家事は気が向いたときにたまにやってますが、僕がやることのほうが多いです。確かに幸せだと思いますが、このままで良いのか、という不安はどこにでもあります。正直、別れようかなとも思っているのですが、そうすると彼女はより病んでしまうのではないかと思うと何もできません。
――押してもダメだし、引いてもダメ。日本の北朝鮮外交のジレンマみたいなことが行われているわけだね。
どうにかなりませんか? 僕はどうしたら良いのでしょう。
――うーん。何とも言えないけど。そう言えば、知り合いで元引きこもりだった女性を2人知っている。1人は知人の奥さんで、専業主婦だけど掃除も洗濯もやらず一日中ぼーっとしている奥さんに、その知人はついに離婚を決意した。今は経済的な支援も含めて、元奥さんの社会復帰を応援している。もう1人は引きこもりだった本人と仲が良いんだけど、元々有能な人だったこともあって、その後社会復帰をして、今はIT系の会社の要職に就いてるよ。つまり言えることは…うーん。いつかは状況を変えなくてはいけない場面がやってくるということかな。
僕の彼女は、付き合った当時は夢に向かって頑張っていたんですけど、ある事情であきらめることになって。それからずっと働くことをあきらめてしまいました。僕はどうして良いか分からなくて、とりあえず彼女に家から出てもらおうと思ってデートに誘ったりとかしています。
――デートには付いてくるわけ?
もちろん付いてきますよ。その時は楽しそうなんですけど、家に帰ったら「どよーん」としていて、気が付いたらゲームを始めています。
――まあ、彼女もいろいろ考える時期なのかもね。どうにかなってしまうまではそのままで居ても良いんじゃない? 今は自宅でできる仕事もあるからそういう仕事も挑戦してみては?
そうですね。彼女の親は娘を心配していて、「帰ってこい」って言っているみたいなんですが、僕は彼女に出ていって欲しくないので、引き留めています。彼女も東京に住んでいたいみたいなので。それに、彼女は僕と一緒に居たいと言ってくれていて……。
次のページ>> 「ズル休み」している彼女への疑問も…
――泣かせるね。じゃあ、もうちょっと一緒に居るしかないよね。山崎君が頑張って、彼女の面倒を見ればいいじゃない。
でも……。僕は心のどこかで彼女をただのズル休みだと思ってしまうんですよ。やはり理解しづらくて。これって僕の認識が間違ってますかね?
――うーん、君の気持ちはよく分かるよ。
梅田さんは僕のような経験はないですか?
――それがないんだよね。僕の歴代の彼女はなぜか働き者が多くて。逆に僕の場合は、家事が苦手だから、家庭的な人と付き合いたいんだけど、なぜかアクティブな人ばかりと出会って、それで家の事がお互いにおろそかになって、部屋が汚くなったりとかね。
うまくいかないものですね。僕なんかは、むしろアクティブな人が好みなんですけど。
――でも、彼女の気持ちは少しだけ理解できるかな。僕もフリーターをやっていたころとか、出勤したくない、という状況になったことはあるから。
そうなんですか? なんか、今の梅田さんからは想像もつかない生活ですね。
――僕なんか今でも「サボろうかな」という気持ちになることがあるよ。
最初は出社する気があるのに、どうしても席を立てないというのがちょっと大変な感じですね。僕の彼女もちゃんと仕事ができるようになると良いなー。でも、どうやって梅田さんはその状況から立ち直ったんですか?
――当たり前の事だったんだけど、その時は自分に向かない仕事をやっていたから、転職したら、あっという間に気持ちが吹き飛んでしまったよ。だから、今年はよくなるかもね。彼女も肉を食べると良いよ。僕は気分が落ち込んだときは肉を食べるようにしてるから。ホラ、焼肉食べなよ。
この肉うまいっすねー。一生懸命働いて、彼女にもこの肉食わせるっす。
――頼もしいねー。
<今回のまとめ>
・バブルさん、氷河期くんは、ゆとりちゃんの心を掴みたければ焼肉に連れて行くと良いかも。
・引きこもりのゆとりちゃんの世話はわりと大変である。
質問1 あなたは、家で家事をしますか?
54%
よくする
31.2%
たまにする
12.3%
すべて配偶者や親まかせ
2.4%
その他
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