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WSJは消費税反対派か
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* 2011年 1月 5日 10:35 JST
日本の政治は混乱している。内閣支持率は20%そこそこだ。菅直人首相は小沢一郎氏を民主党から追放しようとしている。そうすることで首相の人気は上がるかもしれないが、危うい過半数を割り込むだけの離反が起こるだろう。年頭に持ち出した消費税増税は、昨年の参院選で敗北を喫した要因であり、景気の足を引っ張ること確実な評判の悪い政策である。
そろそろまた首相を交代するときが来たらしい。次が誰であろうと、嫌な結果に直面する前に問題に取り組まなくてはならない。成長促進に向けた減税や社会保障費や農業補助金の削減をしなければ、日本はこのままギリシャ化への道を進むだろう。
12月に示された2011年度予算案は、菅首相の財政健全化の訴えが偽りであることを示した。債務の対国内総生産(GDP)比率は既に200%に近づいているが、同予算案は過去最大に近い負債を債務残高に上乗せしようとしている。一般歳出と地方交付税交付金を合わせた歳出の大枠70兆8600億円のうち、44兆3000億円を新規国債発行で調達する。これに対し、歳入は41兆円にすぎない。支出の裁量的削減は小幅にとどまり、一般歳出の53%を占める社会保障費の野放図な増加に圧倒されている。
日本は、急速な高齢化のなか支払期限を迎える過去数世代の政治家の公約によって沈没しつつある。たとえば、拠出金不足の年金や高齢者の健康保険だ。その上、12年には団塊世代の最大の波が退職し始めることから、状況は悪化の一途をたどるとみられる。
バブル崩壊後の失われた20年が示すように、コンセンサスに基づいた日本の政治制度は、社会的な損失の分担をどうするかという話となるとお手上げだ。たとえば1990年代、政府は米国で現在進んでいるような浄化をもたらす再編を銀行に促すことはなく、そのため不良債権処理が遅れた。これにより、日本は本来より安定しているように映るが、創造的な破壊がなければ成長は取り戻せない。今回は各世代に影響が及ぶ。成長停滞のため高齢者への公約が一段と大きな負担となり、成長に向けた政策の追求が難しくなっている。
来年度の国債費は21兆5500億円と既に大きいが、10年債の金利を2%以下と想定している。利回りは当面これより大幅に低い水準にとどまるかもしれないが、最近の入札では国債投資欲に減退の兆しがある。来年度は退職者の貯蓄取り崩しにより国の債務が家計貯蓄を上回る見通しだ。このまま成長が低迷すれば、企業は引き続き現金留保に励むだろう。しかし、国が海外からの資金調達を余儀なくされることになれば、支払う金利は大幅に高くなる。
これは、予算案を台無しにする可能性を秘めている。国や地方の債務は現在900兆円程度とみられ、利回りが1ポイント上昇するごとに利息が9兆円増える計算だ。拠出金不足の年金などの債務を加えると、日本は既に、いくら歳出削減や増税をしても債務が増えるという段階に達している。
言い換えれば、日本はエコノミストの故ハーブ・スタイン氏の言う、持続不可能なものは持続しない、という状況に陥りつつある。形はどうであれ、危機は訪れる。
菅首相あるいはその後任が各種給付金を持続可能な軌道に乗せられれば、購買力の下がる退職者の怒りを買うだろう。しかし、議員を説得してそれを実現できなければ、税金は収奪同然の水準まで増加し、日本全体がさらにひどい損失に見舞われることは必至だ。そうなれば、菅首相の望む消費税増税が、タイタニックの上でのデッキチェアの並べ替えにすぎないことが露呈する。
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