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(回答先: ドイツのハイパーインフレの原因と収束方法(日本経済復活の会blog)-今の日本で超インフレはありえない 投稿者 JAXVN 日時 2011 年 1 月 03 日 15:29:43)
最も簡単におかしいと分かるのは、コメント1の
>お金の発行だけでやるなら20億円/人の給付が必要
だ。これは、日本のバブル時代よりもよっぽどひどい。日本の人口を1億人と少なめに計算しても20万兆円となる。こんな支出をすればもちろんハイパーインフレになるが、こういった言い方は、一人一兆円配ればハイパーインフレになると言っているのと同じだ。これは一人5000万円とかでも同じだし、一人1000万円を給付金として配ってもインフレになるだろう。
どちらにしても、こんなことをやったら、汗して働く必要がなくなり、みんなが給付金にたよるようになってしまう。およそ非現実てきな話だ。
次に投稿記事そのものの中のおかしいな点:
1.
>筆者の想像だが、中央銀行であるライヒスバンクも外人が乗っ取り、お金を刷りまくったと考えるのが自然ではないだろうか。ライヒスバンク自体が賠償問題の解決の一貫と考えられていたから連合国により国際管理されていた。その審査機関である評議員会の14名のうち、半数の7名は外国人(英国、フランス、イタリア、ベルギー、米国、オランダ、スイスから各1名)が任命され、発券業務の監督機関としての発券委員も外国人評議員が任命された。そしてこのライヒスバンクが政府から独立し、お金を刷りまくってハイパーインフレになった。このような状況は、アメリカにおいて通貨強奪したロス・チャイルド等の国際銀行家の手口を連想させる。
この部分は、「筆者の想像」と言っている。つまり、事実ではない。
2.
>賠償金にしても、もしこの規模の賠償金の支払いが実現するとしたら、ドイツ経済が大発展し、近隣諸国がドイツの工業製品を輸入して外貨を稼いだ場合だから、そうなれば近隣諸国の工業は破滅する。そのことを予知したケインズは、この賠償額に強く反対したが押し切られた。
この部分もおかしい。ケインズが反対したのは、ドイツ経済が大発展し近隣諸国の工業が破滅するからではない。ドイツにそう言った支払の力がそもそも無かったからだ。敗戦国であり、国土の大半が焦土となっていた状態で多額の賠償金支払ができるはずがないからだ。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~tetuya/REKISI/siritori/keinz.htmlでは次のように述べている。
以下引用:
「この結果を見たケインズはバカらしくてやってられんと、ロイド=ジョージ首相に辞表を叩きつけて本国イギリスに帰ってしまいました。そしてこの年の12月、「平和の経済的帰結」という本をマクミラン社から出版します。この中で彼は、「過剰な賠償金によるドイツ経済の破綻によってヨーロッパ経済全体が破綻し、さらにヨーロッパ経済のアメリカ経済に対する、相対的な地位の低下をもたらすだろう」と警告を発しています。そして1922年、その続編と言える「条約の改正」を出版し、講和条約(いわゆるヴェルサイユ条約)に定められた賠償金額がいかに無謀であるかを様々なデータから論証し、「このままではヨーロッパの復興に重大な障害が残るだろう」と主張しています。」
以上引用終わり。
つまり、単に、ドイツが経済破綻して、却ってヨーロッパ全体に悪影響を与えると言ってる。
3.
>ライヒスバンクはドイツ政府が発行した国債を大量に買った。それだけでなく、私企業の手形の割引も行った。例えば、自分の会社で1億マルクの手形を勝手に作ってライヒスバンクに持って行けば、現金にしてもらえるのだ。こんなことをしていれば、ハイパーインフレになるのは当たり前だろう。金融業の得意なユダヤ人がここぞとばかり、混乱に乗じて荒稼ぎをしているのを見て、ヒットラーがユダヤ人に反感を持つようになったと言われている。
これも疑わしい。手形を振り出すのは、通常当座預金のようなものがあって、そこから引き落とせる範囲でのものだ。また、一企業だけで手形を振り出すことはできない。相手方に対して、何らかの取引の対価として振り出すのだから、A社振出の手形をB社が商品代金などの対価として貰い、それを銀行へ持って行き現金と変えるという段取りだ。つまり、どこかの企業が勝手に自分で手形を振り出しても、その支払名義人は自社だから、銀行が買い取るはずがない。銀行が手形を買い取るのは、手形を代金代わりとして受け取った企業が、手形が不当たりになることで倒産するかもしれないので、それを防ぎ、銀行が手形を振り出した企業から金を取り立てるためだ。
4.
>このすさまじいドイツのインフレも、あっという間に収束してしまう。ドイツ・レンテン銀行が設立され、国内の土地を担保として1923年11月15日にレンテン・マルクを発行し、1レンテン・マルク=1兆マルクのデノミが実行された。インフレを収束させたのは、政府が財政健全化を発表したからである。レンテン・マルクの発行限度が320億マルク、政府信用限度が120億マルクとされた。またドイツ政府は通貨発行でファイナンスしていた財政政策を転換し、10月27日には政府雇用者数25%削減、臨時雇用者の解雇、65歳以上の強制退職を実施した。この政府の発表により国民が政府を信頼し、インフレは瞬時に止まった。これをレンテン・マルクの奇跡と呼んでいる。次の図は藤木裕(金融研究2000.6)から引用したものである。
これもかなりおかしい。まず、論理的に、「政府雇用者数25%削減、臨時雇用者の解雇、65歳以上の強制退職を実施した。この政府の発表により国民が政府を信頼し、インフレは瞬時に止まった」というのはあまりに不自然。今の日本で、公務員の25%削減、パート・アルバイトの即時解雇、65歳以上の強制退職をやったら一般市民が喜ぶかということを考えてもすぐに分かる。そして、よりおかしな点は、これで、単にインフレが瞬時に止まったとしている点だ。実態は全く異なる。ハイパー失業が発生しているのだ。そのことも上で引用したサイトに書かれている。
以下引用:
●ハイパーインフレと、其の後のハイパー失業がヒトラーを生んだ
インフレ率の上昇が激しくなったのは、第一次大戦終結から5年たった、1923年の事である。
前年からドイツを襲っていたインフレが其の年の10月に入って一段と激しさを増す。大戦前に比べて、ドイツの通貨量は2940億倍、卸売物価は1兆2600億倍にも達した。
このインフレの背景には、世界大戦で疲弊したドイツ産業界の生産力不足がある。需要に供給が追いつかない為、市場に恒常的に品不足だったのである。此処に敗戦国故の信用不安等が絡み、急激なインフレ、即ちハイパーインフレが発生したのであった。
物価は一時間毎に上昇し、切手は訂正印のないまま役人が時価を手書きする有り様だった。
ドイツ政府はこの異常な事態を収拾する為に、1923年末にレンテン銀行を設立した。そして過渡期的手段として、不換紙幣レンテンマルクを発行したのであった。
レンテンマルクは正貨即ち金と兌換出来なかったが、全産業の保有資産を担保として、32億レンテンマルクまで保証していた。レンテン銀行は1兆マルクを1レンテンマルクと交換した。つまりデノミネーションである。是れによって貨幣価値は急速に信用を取り戻していった。
これに呼応して、政府も其れ迄の将に無制限な紙幣発行を中止し、1924年8月には貨幣法を制定、新たなライヒス銀行券を発行してレンテンマルクを回収した。さしものハイパーインフレも、これによって奇跡的に終息していったのである。世に言う「レンテンマルクの奇跡」であった。
だからと言ってドイツ経済が立ち直った訳ではない。否、此の時からハイパー失業時代がスタートしたと言っても過言では無かった。
ドイツの失業者数はどの様に変遷したか。
1923年……………………………… 751、000人
1924年……………………………… 978、000人
1925年……………………………… 636、000人
1926年………………………………2、000、000人
(略)
1930年………………………………3、000、000人
1931年………………………………4、500、000人
1932年………………………………5、500、000人
引用終わり。
つまり、簡単に言えば、政府が支出を極端に絞ったから、流通貨幣が減ってインフレが収まっただけのはなし。結果として、市民生活は極端な窮乏状態になった。
5.
>オーストリアの場合も、財政健全化の報道が流れて直ぐにインフレは収束した。制御不能のインフレなどあり得ないことが分かる。その報道の後、しばらく通貨発行は続くが、インフレ再発は無かった。
これもおかしい。政府が財政健全化と言えば、それだけでインフレが収まると言っているが、そんなに簡単にインフレが収まるなら、なぜ、そもそもハイパーインフレが起こるのか。それだけを考えても、これは、あまりに物事単純化していると分かる。
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全体的に言って、今の日本経済でも、第1次世界大戦後のドイツでも、必要なのはきちんとした裏付けのある労働をすることだ。
今の日本で不足しているのは、そういったきちんとした労働であり、現状は、多くの人が
制度に頼って収入を確保したり、他者を犠牲にすることで多額の儲けを得ようとしている。こういった現実の影で日本社会全体がどんどん高齢化していて、本来の富の生産が出来なくなり、やがて、ハイパーインフレになるのだ。
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