http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/419.html
Tweet |
減税すれば企業の利益率を高めるので、しない状況に比べれば確かに国内投資(雇用)を増やすことになり、競争力を高めることになるはずだが、
為替介入と同じく、強烈な空洞化圧力がかかっている状況では、よほどの減税を行わない限り、当面は、悪化を抑制する効果しかもたない。
そして財政政策でも、国内の生産性が低く、人口要因で内需が縮小し、労働人口が減少する状況では、安易にバラまいた金は最後は国内投資ではなく海外に流れてしまって財政赤字だけが積み上がるのは、日本だけでなく先進国共通の状況であり、簡単な対策は存在しない。
そこで財政破綻のリスクが心配されるのは当然だが、現状では、まだ、それほど心配する必要はない。
かって戦後、ハイパーインフレになったが、これは国内生産力(設備&人材)が徹底的に破壊され、敗戦で大日本帝国という国体そのものが消滅したことによる。
債務自体は日本国が継承したが、北朝鮮も真っ青なデノミと新円交換制限や、農地解放、資産税などで旧支配層の資産は一部の闇に潜った現物資産を除き。ほぼ消滅した。
これは現在で言えば、今後予想される財産税や相続税の強化が、これに対応するだろう。
現在で言えば、規制・税制改革が遅れ、大規模な空洞化と新規起業・成長の停滞が続けば、長期的には輸出財の生産力(競争力)がスパイラル的に縮小し、円安と輸入価格の高騰で、深刻なインフレ(実質的な財政破綻)が発生することになる。
XXXXXXXXXXXXXXX引用XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
「5%の法人減税」は、巡り巡って本当に国民の生活を向上させるか?
【第158回】 2010年12月21日
真壁昭夫 [信州大学教授]
企業の税負担を軽減すれば日本経済のパイは本当に増えるか?
企業の競争力を高めたい経済産業省と、厳しい財政状況の下税収を減らしたくない財務省の対立に対して、菅総理は珍しく自ら、法人税の実効税率を5%減税することを決めた。
この決定は、納税額が減る企業にとっては朗報だが、国の台所を預かる財務省にとってはかなり厳しい決定だ。財務省は、早速減税分の財源探しに取りかかることになる。
本来であれば、消費税率の引き上げを持ち出したいところだろう。しかし、民主党政権には、先の参院選で敗北した記憶が鮮明に残っているため、それをすぐに持ち出しても実現性は低いはずだ。
そこで、現在候補に挙がっているのが、所得税の控除額の引き下げや、相続に係る増税だ。これらは、いずれも個人から徴収する税を増やすものである。今回の決定は、結果的に個人に対して増税を行ない、それを原資にして企業の税負担を軽減する構図になる。
問題は、法人税減税によってわが国経済が拡大し、パイが増えたことによる個人の分け前が、結果的に増税分を上回るか否かだ。最終的に、増税された分の見返りがないと、個人は増税された分だけ丸損をさせられることになる。
果たして今回の法人税減税は、わが国経済全体をよくするだろうか、それともその逆だろうか?
最も重要なのは、「企業の行動」がどうなるかだ。企業が、税負担減少というチャンスを使って競争力を身につけ、経済を成長させることができればよい。しかし、負担減少分を懐に貯め込むだけでは経済は拡大せず、かえって個人部門が割を食ってしまうだけという状況になることも考えられる。
次のページ>> 税負担が減る企業はアジアを見据えた「積極投資」に向かえるか?
アジアに転がる多くのビジネスチャンス
負担が減る企業は「積極投資」に向かう?
1990年代初頭に大規模なバブルが崩壊した後、わが国経済は“失われた20年”と言われるほど停滞を続けた。その間、名目ベースのGDPはほとんど横ばいで、我々の給料はあまり増えていない。80年代、“世界の工場”と言われたわが国経済の地位は大きく低下し、今や“世界の工場”の地位は中国へ移ってしまった。
それに加えて、わが国はすでに人口減少局面に入り、しかも少子高齢化が加速している。既存の製品やサービスを扱っていては、経済が大きく盛り上がることは考えにくい。わが国経済を取り巻く環境は、かなり厳しいと言わざるを得ない。
一方、海外に目を転じると、近隣の東アジア諸国は、今まさに工業化の段階を迎えており、経済が活況を呈している。しかも、アジア地域には多くの人口が集中しており、経済の発展に伴って購買力は飛躍的に上昇している。
また、多くの新興国には、大きなインフラ投資の需要が潜んでいる。それらを上手く掴むことができれば、わが国の産業界に大きなビジネスチャンスが訪れる可能性がある。
問題は、それらのチャンスを日本企業がいかに生かせるかだ。新興国、特にアジア諸国に十分なビジネスチャンスが存在することは誰の目にも明らかで、今後はさらに欧米諸国の有力企業が一斉になだれ込んでくるはずだ。勢い、競争は熾烈を極める。その競争の中で、わが国企業がいかにシェアを伸ばし、収益を確保することができるかだ。
それは、口で言うほど容易なことではない。当然、主要国は国を挙げて企業の後押しをすることになる。わが国にも、その覚悟が必要だ。
次のページ>> 減税効果を生かせるか殺すかは、経営者の「資質の問題」に
減税効果を生かすか殺すかは、
経営者の「資質の問題」にかかっている
では、今回決定された法人税率の5%軽減で、果たして企業がかつてのような活気を取り戻すことはできるだろうか?
そのカギを握るのは、企業の経営能力、突き詰めて考えると「経営者の資質の問題」に行き着く。現在、わが国の主要企業には、相対的に高い技術力と、潤沢な収益蓄積があるはずだ。今後、それに減税分のキャッシュフローが内部留保となって加算される。
そうした経営資源を、いかに効率的に使うことができるかが、ポイントになる。経営者が、しっかりした経営戦略に基づき、収益を上げられるビジネスモデルを作ることができるか否かにかかっている。
優秀な経営者の下で効率的な経営ができれば、減税は有効な追い風になる。企業収益は上昇傾向を辿ることができるはずだ。そうした強い企業が多くなれば、わが国の企業分野は、国内外から大きな収益を稼ぎ出すことが可能だ。
それが現実のものになると、わが国の経済は再び活気を取り戻し、従業員に対する分け前(給料)は増えることになる。そして、その分け前の増加が、すでに負担した増税分よりも多ければ、我々庶民の生活水準は向上することになる。
逆に、企業経営者が潤沢な経営資源の上にあぐらをかいて、何もしなければ、わが国のGDP(経済のパイ)は増えず、我々の分け前が増えることはない。その場合には、経済活動は低迷を続け、深刻な人口問題を抱えたわが国の社会全体に、閉塞感が漂うことも考えられる。
次のページ>> 政府は、痛みから逃れるためだけの「対処療法」から脱皮せよ!
痛みから逃れる「対処療法」だけでは、
政治のリーダーシップに期待できない
現在の様に、世界経済が目まぐるしく変化する時期には、企業、政治につけ意思決定者(リーダー)の重要性が一段と増すことになる。企業が、優秀な経営者を選ぶことができれば、しっかりした戦略に基づいて、企業の経済活動は活発化することが可能だ。
近隣のアジア諸国の多くが工業化の段階を迎えて、インフラ投資のニーズを増加させている。また、高度成長の入口で、所得の上昇による一般消費財に対する需要は飛躍的に増大している。それを、上手くビジネスチャンスに生かすことが必要だ。
産業の再編が遅れているわが国では、今後世界市場での生き残りをかけて、大手企業同士の合従連衡が進むことが予想される。そのときに、世界市場でいかに有利なポジションをとることができるかが重要になる。将来の市場動向、それに適合した戦略を見極めるのは、企業経営者の予見能力だ。企業経営者の責任は重い。
もう1つ忘れてはならないのは、政治のリーダーシップだ。バブル崩壊後の長期にわたる経済低迷については、ある意味、痛みから逃げて対症療法しか打ってこなかったわが国の政治の責任を、見過ごすことはできない。
現在の民主党政権のように明確な将来ビジョンを持たないリーダーでは、わが国が抱える問題を解決することはできないだろう。
現在のようにわが国自身が大きな曲がり角を迎える時期、短期的には多少の痛みを受け入れてでも、将来のしっかりした国づくりを行なうリーダーが必要だ。今なら、強力なリーダーシップが出現すれば、わが国の再生は可能だろう。
しかし、これから本格的な人口減少局面を迎えるわが国にとって、多くの時間が残されていないことは明らかだ。産業界にも、政治の世界にも、強力なリーダーの出現が待たれる。
質問1 5%の法人減税で、日本企業は活気を取り戻すと思う?
描画中...
83%
思わない
12%
どちらとも言えない
5%
思う
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。