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夕刊フジ 12月17日(金)16時57分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101217-00000014-ykf-soci
各種控除や相続税などが見直された2011年度の税制改正。年収1500万円超の高額所得者や資産家のフトコロが狙い撃ちされることになったが、実は、庶民も油断していられない。第一生命経済研究所に試算してもらったら、家族構成によっては年収1000万円以下でも実質増税になるケースがあるのだ。
今回の税制改正で庶民にも響いてきそうなのが「成年扶養控除」の原則廃止だ。
現状は、成年(23〜69歳)の扶養家族を抱える人に対して、所得税で38万円、住民税で33万円を所得から差し引き、税負担を軽くしている。
これを、所得400万円(年収568万円)超の場合は原則廃止する。障害者や65歳以上の高齢者については、引き続き控除の対象にする。
法案が成立すれば、約100万世帯が成年扶養控除の対象から外れる見込みで、所得税は12年1月、住民税は13年6月から負担が増える。
「成年者は独立して生計を立てるべし」というのが廃止の理由だそうだが、世の中は空前の就職氷河期。大学は卒業したものの仕事にありつけなかった子供を扶養している家庭(世帯主)などの負担は重くなる。
「菅直人政権は雇用を重要課題としてなんとかするといいながら、有効な手だてをなんら講じられずにいる。それでいて成年者は独立して生計を立てるべしなんて、あまりにも無責任だ」(野党関係者)
今回の税制改正で、低・中所得者層の家計負担はどうなるのか。第一生命経済研究所の鈴木将之副主任エコノミストに試算してもらったら、表のようになった。
4人家族で妻が専業主婦、子供2人のうち1人が21歳の大学生、もう1人が23歳で無職のケースでは、大学生は「特定扶養親族」(16〜22歳)にあたるので引き続き控除対象になる。
が、23歳で無職の子供については、年収568万円超の場合、成年扶養控除が廃止され、所得税で38万円、住民税で33万円の控除がなくなる。
成年扶養控除がなくなると、年収700万円の場合、所得税と住民税を合わせて年7万1000円の増税に。年収1000万円では10万9000円の増税となる。
未成年に関係するものでは、「子ども手当」が11年度から3歳未満の子供に限って支給額が7000円上積みされ2万円になる。それ以外は1万3000円のまま据え置かれるが、どちらも有り難みはいくぶん目減りしそうな感じだ。
というのも、年明け以降、「年少扶養控除」が廃止されるからだ。これは15歳までの子供を対象に、所得税で38万円、住民税で33万円が控除されるものだが、10年度税制改正で、所得税は来年1月から、住民税は12年6月から廃止されることが決まった。
このほか、「特定扶養控除の上乗せ分」もなくなる。16〜18歳の子供を対象に所得税で25万円、住民税で12万円が控除されるものだが、10年度税制改正で年少扶養控除と同じタイミングでの廃止が決まった。
先々をみると、増税の火種はまだまだくすぶっている。民主党は「控除から手当」(控除を廃止し手当の支給に移行する方針)を打ち出しているため、配偶者控除や扶養控除はいずれ廃止になる可能性がある。
今回の税制改正でも、配偶者控除の所得制限の実施が検討された。最終的には、来年春の統一地方選を前に主婦層の支持を失うことを恐れて見送られたが、「来年以降、再び配偶者控除の見直しが浮上してくる可能性がある」(鈴木氏)。
さらに、来年10月から環境税(地球温暖化対策税)が導入されるほか、今年夏の参院選で民主党が惨敗し、“封印”されている消費税増税論議が再び活発化する可能性もある。
一方、高額所得者には「給与所得控除」の所得制限が重くのしかかる。同控除は、自営業者に認められている必要経費を会社員にも当てはめて年収から一定額を控除し、所得税や住民税を計算するもの。これまで青天井だった控除額が、年収1500万円超では245万円で頭打ちになる。
年収が1800万円で専業主婦と中学生、高校生の子供がいるケースでは、年少扶養控除廃止なども考慮すると所得税、住民税合わせて年31万円7000円の増税に。子ども手当と高校授業料無償化と差し引いても、年4万1000円の負担増となる。
「国民の生活が第一」という民主党のスローガンをよそに、国民の実際の生活は一段と厳しくなりそうだ。
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