05. 2010年12月14日 00:46:53: cqRnZH2CUM
米国では富裕層減税や量的緩和が続くらしいが 政治敗北の結果とはいえ 長期的には、米国にとってあまり望ましいことではない。 まあBRにとっては嬉しいだろうが « 前の記事 | 小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! トップ | ブッシュ減税を続ける理由 2010/12/13 (月) 14:02
オバマ大統領が、ブッシュ減税を続ける理由を国民に向かって語りかけています。 本当は、富裕者層の減税など続ける余裕はないのです、と。しかし、もし、それを呑まなければ、中流階級の人々が増税になってしまうのです。私には、そんなことを受け入れることはとてもできない。それに、長期失業中の人々への失業保険の給付も行うことができなくなるのです。 まあ、そんなことを言われれば、もし、それが日本で起きている出来事なら、国民はおろか、マスコミもすぐに大統領の考えを支持することになるでしょう。 翻って、わが日本でも税制論議が活発になっているわけです。 ご承知のように財源がない。だから、所得控除を減らすとか‥、要するに実質増税が行われようとしているわけです。その一方で、法人税は5%減税の方向が示されている訳ですが‥ 菅総理も、オバマ大統領を見習って、自分の考えを率直に語りかけるべきではないのでしょうか? 英語でオバマ大統領のスピーチを先ず読んでみたいという方は、日本語訳を読む前に下の英語を読ん下さい。
「まさに今、ワシントンでは大議論が巻き起こっているのです。それによって貴方達が来年支払う税金の額が変わるのです。もし、議会が行動しなければ、この国の全ての人が、自動的に増税となるのです。典型的な中流家庭は今よりも3000ドルほど余分に税金を支払うようになるのです」 「私は、そんなことは受け入れられません。景気後退によって一番打撃を受けたのは中流階級であるということを知っているのに。それに労働者のポケットからこのお金を取り去ることが景気回復にとってどんなによくないことかを知っているのに。経済学者は言う訳です。労働者階級の家庭がこのように増税になれば、100万の職が失われるであろう、と」 「それが、中流階級の税金を減税しようと私が一生懸命になってきた理由なのです。また、だからこそ民主党員と共和党員をテーブルに付けさせようとした訳なのです。中流階級に対する減税が実現するようにと、妥協し、両者の違いを克服しようと努めた訳です」 「今、議会にいる共和党員は、富裕者層の所得税と相続税を恒久的に減税することを支持しているのです。そうした減税は、百万長者、否、億万長者のためのものなのです。しかし、私は、こうした減税はお金をかけて行うに値するとは考えなかった。そんなことをしても、赤字が増大するだけで景気を浮揚する効果はない、と」 「私は、景気回復のため、また労働者の家庭のためになることは、中流階級の所得税減税を維持すること、そして働いている親たち、学生、零細企業の人たちに対し減税をすることが最善の方策であると考えたのです。何百万人もの人々が仕事を探しているのに、雇用保険を終わらせるなんて大変な間違いとなるでしょう。失業中の人たちにとってだけではなく、経済全体にとって間違いとなるでしょう」 「そこで、両者の考えを反映させた案を生みだしたのです。簡単なことではなかったですし、完全なものでもない訳です。妥協もある訳です。だから満足できないこともあるでしょう。しかし、国民にとっては良い話なのです。この案にある減税の大半は中流階級を助けるものであるのです。新たな給与所得減税も含まれていて、平均的家庭で1000ドルの節約になるでしょう。この案は議会で審議されており、私が明らかにしたいことは、人々の生活にどんな違いが起きるかということです」 「オハイオ州でレジの仕事をしている二人の子どもを持つ母親には大きな違いとなるのです。この案によって彼女は、新しい給与所得減税と子ども減税の対象になり、2300ドル以上の減税となるのです」 「フロリダで約5万ドルの収入がある夫婦にとっても大きな違いとなるのです。彼らは、二人の子どものうち一人を大学に通うわせようとしています。彼らは、4000ドル以上の節約になるのです。中流階級向け減税のお陰であり、それには大学の授業料に適用される2500ドルの減税も含まれています」 「仕事を探している人にとっては大きな違いとなるのです。こうした家庭の多くにとっては、緊急の失業保険というのは、破滅へと向かわないための最後の砦であるからです。もしこうした人々がお金を使うのを止めれば、商売をしている人にとって打撃となり、そうなれば雇用が害され、経済回復に悪影響を与えるでしょう」 「この案は、何百万という家庭が生活を維持していくことを助けるでしょう。減税と、そして、自分には何の落ち度もないのに失業してしまった人々に対する失業保険を通じてそれができるのです。商売をしている人に対しても減税を行います。それによって投資や店の拡張が容易にできるでしょう。これらを総合すれば、家庭や商売をしている人々直接支援するだけではないということです。そうして人々にお金を生き渡らせることによって、そしてまた商売が発展することを助けることによって、人々が今よりもお金を使うようになるでしょう。そうなれば、雇用が喚起され、経済全体を強化することとなるでしょう」
「私の党の多くの友人たちのなかには、この合意案に含まれている内容に満足していない人がいることを知っています。特に富裕者層に対する減税についてです。私も同じような懸念を持っているのです。長期的な観点からは、もし、我々が財政を均衡化することに真剣になるのであれば、こうした富裕者層への減税を続ける余裕がないことは明らかであるわけです。特に、赤字削減のためには全ての人の犠牲が必要になるということを承知しているときには。それが現実です」 「しかし、同時にこの国の中流階級をワシントンの政治的な板挟みにさせるわけにはいかないのです。人々は解決策を望んでいるのです。得点を得ることではありません。私は、中流階級がチェスのポーンのように扱われることを認めることはできないのです」 「自分たちの子どもを大学に通わせることができるかどうかは、この議論にかかっているのです。仕事を探している親たちが、食べるものを確保できるかどうかはこの議論にかかっているのです。経済が回復するかどうかは、現在議会で議論されている選択肢にかかっているのです」 「従って、私は、両党の議員たちにこの案を通過させることを強く勧告します。彼らは、正しい判断を下し、中流階級を助け経済回復を実現するであろうと確信しています」 Right now, there's a big debate taking place in Washington that will affect how much you pay in taxes next year. If Congress doesn't act, tax rates will automatically go up for just about everyone in our country. Typical middle class families would end up paying an extra $3,000.
That's unacceptable to me. Not when we know that it's the middle class that was hit the hardest by the recession. And not when we know that taking this money out of the pockets of working people is exactly the wrong thing to do to get our economy growing faster. Economists tell us that this tax hike on working families could actually cost us well over a million jobs. That's why I've been fighting so hard to cut middle class taxes. And that's why I brought both Democrats and Republicans to the table - to put together a compromise, and work through our differences, so we could get this done. Now, the Republicans in Congress strongly favored permanent tax breaks for the wealthiest taxpayers and the wealthiest estates, most of which would go to millionaires and even billionaires. But I didn't believe that these tax cuts were worth the cost. They'd add to our deficits without really boosting the economy. I believed that the best way to help the economy, and working families, was to keep middle class tax rates low, and cut taxes for working parents, college students, and small businesses. And I believed that with millions of people looking for jobs, it would be a terrible mistake to end unemployment insurance - not only for people who are out of work, but for our entire economy. So we hammered out a deal that reflects ideas from both sides. It wasn't easy, and it's by no means perfect. And as with any compromise, everybody had to live with elements they didn't like. But this is a good deal for the American people. The vast majority of the tax cuts in this plan will help the middle class, including a new cut in payroll taxes that will save the average family about $1,000. And as this plan is debated in Congress, what I want to make clear is the real difference it will make in people's lives. It's going to make a difference for a single mom with two kids in Ohio working as a cashier. With this plan, she'd get a new payroll tax cut and a bigger child tax credit together worth more than $2,300. It's going to make a difference for a couple in Florida earning about $50,000 and trying to put one of their two kids through college. They'd save more than $4,000 because of the middle class tax cuts - including a $2,500 tax credit to go toward college tuition. And it's going to make an enormous difference for people looking for jobs. For many of these families, emergency unemployment insurance is the last line of defense between hardship and catastrophe. And I'd point out, if these folks stop spending money, it will also hurt businesses, which will hurt hiring, which will damage our recovery. So this plan is going to help millions of families to make ends meet, through tax cuts and unemployment insurance for people who've lost their jobs by no fault of their own. And we included tax relief for businesses, too - making it easier for them to invest and expand. All told, this will not only directly help families and businesses. By putting more money in people's pockets, and helping companies grow, we're going to see people being able to spend a little more, we're going to spur hiring - we're going to strengthen our entire economy. Now, I recognize that many of my friends in my own party are uncomfortable with some of what's in this agreement, in particular the temporary tax cuts for the wealthy. And I share their concerns. It's clear that over the long run, if we're serious about balancing the budget, we cannot afford to continue these tax breaks for the wealthiest taxpayers - especially when we know that cutting the deficit is going to demand sacrifice from everyone. That's the reality. But at the same time, we cannot allow the middle class in this country to be caught in the political crossfire of Washington. People want us to find solutions, not score points. And I will not allow middle class families to be treated like pawns on a chessboard. The opportunity for families to send their kids to college hinges on this debate. The ability of parents to put food on the table while looking for a job depends on this debate. And our recovery will be strengthened or weakened based on the choice that now rests with Congress. So I strongly urge members of both parties to pass this plan. And I'm confident that they will do the right thing, strengthening the middle class and our economic recovery. Thank you. 中流階級を人質にすることはできないというのが、最近のオバマ大統領の常套文句になっています。今までは、hostage と言っていましたが、今回は、 pawn と言っています。 最後までお読み頂き、ありがとうございました。
以上 FRBの謎 2010/12/12 (日) 11:07 突然ですが、貴方に質問です! 今、米国はどのような金融政策を採用しているのしょうか? 「お金をじゃぶじゃぶと市場に注ぎ込んでいる?」 そういうことですね。では、何故、そんなことをしているのか? 「ゼロ金利政策を2年前から採用しているけど、それでも十分でないということで。だって、失業率が全然下がらないし、物価の上昇率が低過ぎるとバーナンキ議長は言っていたと‥」 よくご存知ですね。では、今金利は? 「だから、ゼロ金利政策で十分ではないので‥」 とういうことは? 「金利はそれ以上下げることができない水準にあるわけ。だから量的緩和政策を採用して‥ 日本でもやったことあるでしょ」 では、長期金利は? 「バーナンキ議長は、量的緩和策を採用し長期国債の買い入れを始めれば、長期金利が低下し、住宅投資を促進するとか言っていたような‥」
確かにそうですね。 "There's a sense out there that quantitative easing or asset purchases is something completely foreign and new and that we have no idea what's going to happen," "Quite to the contrary ... . This is just monetary policy." 「量的緩和、即ち資産の購入措置は、何か異質で全く新しいものであり、どんなことが起こるのか分からないとの感覚が巷ではあるが、全くそうではなく‥、これは正当な金融政策なのだ」
The aim, he said, is to "reduce long-term interest rates" and "raise asset prices" and said the program "will work in much the same way that conventional monetary policy works." 「(その目的は)長期金利を引き下げ、そして資産の価格を引き上げることである。(この量的緩和措置は)伝統的な金融政策が機能したように同じように機能するであろう」 量的緩和策の目的は長期金利を引き下げること、とはっきり言っています。 では、次のグラフをご覧ください。 米10年物国債 その2.jpg 米国の10年物国債の利回りですが、ご覧のように下がるどころかどんどん上がっているのです。しかし、不思議なことにこうやって長期金利はどんどん上がっているのに誰も文句を言わないし、バーナンキ議長自身も釈明しようとはしない。景気回復のために長期金利を引き下げることが必要だと思って量的緩和策に着手したというのであれば、国民に向かって説明する必要であると思うのですが、何も言わない。そして、日銀批判はどれだけでもしたがる日本の経済評論家たちもこのことについて何も言わない。
やっぱり、中央銀行が長期金利をコントロールするというのは至難の業だということなのです。長期国債の買い入れをすれば、確かに国債の買い入れ価格を引き上げ‥ということは、長期金利を引き下げることになりそうなのですが‥、その一方でインフレ懸念が大きくなり、結局金利を引き上げてしまう訳なのです。 ところで、以前、米国の物価連動国債の利回りがマイナスになっているとご紹介したことがあります。憶えていますか? その物価連動国債の利回りは、最近は、マイナスを脱出してプラスになっている訳ですが、そのことを皆さんは、どのように解釈するのでしょうか? インフレ懸念 →→→ 長期金利上昇 物価連動国債は、インフレになっても元本がインフレ率に連動するために、インフレヘッジが可能であり、その分表面上の金利も低いのですが‥ 5年物物価連動国債の利回りは、量的緩和策決定直後の11月4日にマイナス0.48%を付けた後、その後次第に利回りが上昇していき、12月に入ってからは、マイナスになることは殆どなく、そして12月9日にはプラス0.25%にまで上がってきているわけです。 これ、結局、インフレ懸念から金利が上がるということだけではなく、米国の財政事情の悪化、つまり、今後も大量の国債が発行されることになるだろうから金利が上がると見る向きが増えているということではないのでしょうか。まあ、それ以外にも金や銀、原油などの価格が上がっているように、投資の対象が安全資産である国債から移動しつつあるということもあるのでしょう。 それにしても、バーナンキ議長が現在の長期金利の上昇をどのように理解しているのかを知りたいものです。 以上
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