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米で中国悪玉論が増加 
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投稿者 tea 日時 2010 年 12 月 12 日 21:19:01: 1W1IXELjjF6i2
 

米国で中国悪玉論が最近、明らかに増えている。
ブルームバーグでも中立的な立場を装ってはいるが、危機感を煽っているようだ。
かっての日本叩きと同様に、米国民の怒りが海外に向かっているとも、
経済政策の失敗を誤魔化すための、マスコミの政府協力とも解釈できるが
中国は日本ほど易々とは潰されないし、中国を叩いても、米国の庶民が
豊かになることはないのは理解しているだろうから、
怒りが金融村に向かわないための一種のガス抜きか、時間稼ぎか。

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【経済コラム】恐るべし中国、米国は最悪の脅しを覚悟せよ−ペセック 

  12月9日(ブルームバーグ):ノーベル平和賞は通常、国と国の距離を近づけた人に与えられるものだ。しかしノルウェー・オスロで現地時間10日に開かれる今年の授賞式は、世界にとって不可欠な米中2カ国間の距離がいかに離れてしまったかを示すだろう。

  中国の民主活動家、劉暁波氏のノーベル平和賞受賞に激怒した中国に対し、米国は急ペースで成長を遂げる中国での人権問題にこれまでないほどの注目が集まることに興奮を隠せないようだ。

  だがこのノーベル平和賞をめぐる騒動は波乱の幕開けにすぎない。G2(主要2カ国)とも言える米中関係は順調に進むと夢見ていた人たちは、厳しい現実を目の当たりにするだろう。中国が北朝鮮への影響力行使に消極姿勢を見せていることもG2の関係が困難な段階に入ったことを示唆しており、市場を不安にさせる。

  14兆ドル(約1170兆円)規模の米経済は依然として中国を圧倒している。しかし、巨額債務や長引く戦争に加え、影響力の衰退といった米国側の事情が中国に勢力を伸ばす大きなチャンスを与えている。この力学を米当局者は十分把握できていないようだ。これから1年間で米中間の緊張は一気に高まる恐れがある。考えられる4つの火種は以下の通りだ。

  まずは通貨問題だ。今年は両国関係が極端に冷え込んだことから、反動で来年は改善するとの見方がある。その可能性もないわけではないが、米失業率が10%に近づくなか、中国への反感が一段と高まる公算の方が大きい。

            都合のよい悪役

  米国の政治家は、雇用の乏しさの理由を知りたがる有権者に対し、中国を都合のよい悪役に仕立てるだろう。しかし、社会の安定のために輸出主導型成長を維持しようと必死になっている中国が、米当局者を満足させるために大幅な人民元上昇の容認に合意するとは考えにくい。

  この問題だけでも、米中両国が世界経済の回復のために手を組むという見方がいかに絵空事かが分かる。クリントン国務長官が昨年、当時のラッド豪首相に対して語った言葉がすべてを物語っている。民間内部告発ウェブサイト「ウィキリークス」が公開した米外交公電によると、クリントン長官は中国を米国のバンカーと表現し、「バンカーに対してどうすれば厳しく対処できるでしょうか」と問い掛けたという。

  これは核心を突いている。中国が8840億ドル相当の米国債を保有している事実は、米国が中国に政策手段を要請することはできても強く要求することはできないことを意味する。しかし多くの議員はそのことを理解していない。

          北朝鮮とサイバー戦争

  第2に北朝鮮問題だ。砲撃事件を起こした北朝鮮の金正日総書記は、韓国だけではなく、中国にとってのリスクも高めている。諸問題を抱えている中国に対し、米国は向こう1年間、金総書記への働き掛けを強めるよう求めるだろうが、中国は恐らくそれを拒否するのではないか。このため市場と信用格付けは不安定となっている。

  第3の問題は、中国の愛国的なハッカーだ。米紙ニューヨーク・タイムズはウィキリークスを引用し、中国当局の支援を受けたハッカーらが米政府機関やグーグルなどの米企業に対して、大規模な攻撃を仕掛けたと報じた。

  サイバー戦争はもはや想像上のものではなく現実だ。中国の軍備拡大も問題だが、このサイバー上の軍拡競争はもっと差し迫った脅威となっている。

  最後にアジアの将来をめぐる問題がある。米韓両国が自由貿易協定(FTA)交渉で合意に達したことは米国にとって、世界の地域で最も高成長を遂げているアジアではめったにない勝利となった。それは米国が10年ぶりに再びアジアとの貿易を重視している表れだ。

          アジアは動揺している

  アジアの国・地域は、中国が領海や領土をめぐって近隣諸国に示した過剰な反応に動揺し、レアアース(希土類)輸出割当枠や北朝鮮への支持継続にもショックを受けた。さらに世界各国にノーベル平和賞授賞式の欠席も呼び掛けるなどの中国の外交姿勢を受け、アジアは同地域に米国の影響力が戻ってくるのを歓迎する可能性がある。

  米中両国間には、市場の不均衡是正やソマリア沖の海賊対策、テロとの戦い、アフガニスタンと中央アジアへの投資、カリフォルニア州高速鉄道建設、自由貿易拡大など協力すべき多くの問題がある。今後1年間に想定されるリスクは、協力する分野よりも対立する問題が急ペースで増えることだ。

  米上院外交委員会のケリー委員長は7日、米議会が中国の重商主義的な方法にいら立っており、行動を取る可能性があると述べた。議員らは、中国の胡錦濤国家主席の来年1月の訪米前に人民元に関する進展を求めている。

  米国は注意深く前進する必要がある。中国は脅しに長けているからだ。ひょっとしたら来年にも中国が影響力の強い行動を起こす可能性もある。すなわち米国債保有の削減だ。(ウィリアム・ペセック)

(ウィリアム・ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
更新日時: 2010/12/10 16:03 JST


儲からないはずがない−中国企業繁栄のカラクリは国家の総動員支援 

12月9日(ブルームバーグ):中国の鉄鋼メーカー、天津鋼管集団の工場は、世界の他の製鋼所とは少々異なる。850エーカーの敷地にはダチョウや鹿、クジャクが柳の木々や竹製の橋、あずまやの間を散策し、路面電車の停留所や宿泊施設も存在する。

  もう1つの特徴は、敷地内に中国3大国有銀行の大型店舗があることだ。こうした銀行支店の立地は同社への政府の金融支援を象徴するものであり、まさにこうした支援が天津鋼管を深刻化する貿易摩擦の渦中に巻き込んでいる。「ブルームバーグ・マーケッツ」誌1月号が報じた。

  米国際貿易委員会(ITC)は10月、中国企業が補助金を受給しながら不公正な価格を設定し、米鉄鋼メーカーに損害を与えているとして、天津鋼管などのメーカーの鉄鋼製品に対し63%以上の反ダンピング関税・相殺関税を課すことを支持した。

  米鉄鋼メーカー側代理人を務めた経験のある弁護士、アラン・プライス氏は「われわれは市場原理を機能させようと言っているのに、中国はこれらの国家的なチャンピオン企業を築き上げている」と指摘した。

輸出業者に対する中国政府の支援をめぐるこの攻防により、為替レートの操作をめぐる非難合戦で既に緊張状態にある米中関係は一段と悪化している。

            限りない支援

  天津鋼管の起債の目論見書を見れば、同社が政府との密接な関係から恩恵を得ていることが分かる。同社の経営は10年前に破たん。中国工商銀行(ICBC)と中国建設銀行、中国銀行、中国農業銀行向けの焦げ付いた債務を処理するため、同社の所有権は4つの資産管理会社に中国政府によって移転された。2003 年に地方政府に買収された後は復活し始め、銀行から政府関連組織向けに近い低金利で融資を受けて成長を続けている。

  米ノースウエスタン大学で中国の金融システムを研究するビクター・シー教授は「この会社が存在するのは、国有銀行を通じた多額の補助のおかげだ。国有銀行によって地方や中央政府が支援する国有企業は限りなく救済されるだろう」と分析した。

  市場金利で支払うことになれば、中国国有企業の利益は吹き飛ぶ−。そんな調査結果も、香港金融管理局(HKMA、中央銀行に相当)の関連機関が09年にまとめている。

指名人事

  劉雲生氏の天津鋼管会長就任は中国北東部の港湾都市、天津市政府の指名人事。同会長にインタビューを申し入れたが、実現しなかった。ファクスによる質問への回答も得られていない。

  中国商務省の陳健次官は11月1日に記者団に対し、天津鋼管のような国有企業は自立しており、国家の支援は受けていないと説明し、「中国企業の好調ぶりを見た人々が当惑しているのだろう」と述べている。

  北京大学のマイケル・ペティス教授(金融)によると、天津鋼管のような中国企業が外国企業との競争で優位に立てるのは国有企業向け融資のおかげだ。

  オバマ米大統領の就任以降、米国では中国に対する通商上の不満が強まっており、米政府は中国製のタイヤや光沢紙、アルミ製品に対し関税を導入。中国も米国産の鶏肉と特殊鋼を対象に同様の措置を講じた。

次善の策

  弁護士のプライス氏によれば、中国は同国の要となる企業を支援する政策をそう簡単にはやめない。「中国の産業全般に多かれ少なかれ見られるパターン」だという。

  米国の関税導入を受け、天津鋼管の米国向け輸出は大きく落ち込んだ。しかし、中国側には次善の策があったようだ。同社は来年、テキサス州南部に10億ドル(約840億円)を投じて工場を建設する。同州サンパトリシオ郡経済開発公社のジョゼフィン・ミラー氏によれば、天津鋼管は同工場稼働初年度に300 人、最終的に600人の現地雇用を創出する計画。この工場建設で、同社は別形態の公的支援を受けることになった。環境汚染用設備導入と引き換えにテキサス州が優遇税制措置を同社に認めることにしたからだ。
更新日時: 2010/12/09 10:28 JST  

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コメント
 
01. 2010年12月14日 00:54:42: dIXRuxzZLI
アメリカの日本叩きの背景にあったのは日本の開放です。特に表向き判りやすい自動車や大型商業施設分野の開放を言いながら、本命は金融市場(特に保険と証券)の開放でした。今回のアメリカの狙いも中国の開放でしょう。但し金融分野では中国政府の規制がとりわけ厳しいのは百も承知なので、長期戦術に出ていて、今回は製品輸入と投資分野でアメリカの取り分を増やすのが目的で、金融市場開放はそのずっと先に要求する腹づもりでしょう。元高要求はその一環の戦術と見ています。不公正是正は常套手段ですね。それとノーベル賞云々は中国に対する批判ではなく、欧州人が敏感な人権問題を声高に言うことで欧州の嫌中化を狙った動きで、日本の尖閣(による反中化)とも呼応していると見ています。中国の輸入高でも、対内投資でも、アメリカは日本や欧州の後塵を拝しています。一方でG2と持ち上げ、一方で競争相手に中国の悪口を言い、自分の取り分を増やそうとする、まあ商売の常道でしょうか。でも中国は「王道」ですけど。

02. 2010年12月14日 02:00:51: cqRnZH2CUM
Bloomberg のPeter Coyは、ユーロ圏が崩壊しないことをメインシナリオとしつつも
崩壊後の最適通貨圏の形成と、デフォルトの嵐という最悪に近いシナリオを予想している。
スポンサーの逆張りを助けている可能性もあるがw

日経ビジネス オンライントップ>BusinessWeek>Bloomberg Businessweek
ユーロ存続の危機
経済強国による「緩衝地帯」創造の可能性

* 2010年12月13日 月曜日
* Bloomberg Businessweek

マネー  ECB(欧州中央銀行)  ユーロ圏崩壊  デフォルト(債務不履行)  アイルランド  通貨同盟  ユーロ  ギリシャ  統一通貨  EU(欧州連合) 

Peter Coy(Bloomberg Businesswee経済担当エディター)
米国時間2010年12月2日更新「Can the Euro Survive?」

 1998年12月と1999年1月、ロシアの高エネルギー物理学者のグループが、陽子数が最も多い超重元素の合成に成功した。これは「ウンウンクアジウム」と呼ばれるもので、陽子の数は114に及ぶ。これは素晴らしい技術的成果だった。だが悲しいかな、ウンウンクアジウムは非常に不安定な物質であるため、自然界では存在することが難しい。原子核を結び付ける力がそれを引き離そうとする力に負けてしまうためだ。この人工元素の半減期はわずか2.6秒である。

 ロシアの物理学者たちがウンウンクアジウムを造り出そうとしていたころ、陰気な科学を研究する別のグループ――つまり経済学者たち――が西欧諸国の通貨から「ユーロ」と呼ばれる新しい人工元素をつくり、1999年1月1日に大々的に導入した。

 ところが、それから1ダース分の年もたたないうちに、ユーロは深刻な事態に陥っている。米ブラウン・ブラザーズ・ハリマンで為替戦略部門を率いるマーク・チャンドラー氏は「欧州当局者は信用を浪費してしまった。チューブから出てしまった歯磨き粉のように、それは戻すのが難しい」と語る。

 耳の痛い質問ばかりが聞かれる。欧州の金融の安定を回復するには何が必要なのか? ウンウンクアジウムのようにユーロも、自然界で存在するには大きすぎるのか。もしそうなら、どのように崩壊し、その過程でどれくらい影響を与えるのだろうか?

欧州統合の高邁な理想が重荷に

 欧州の政治家たちが非常に心配しているのは、“大火事”の被害が防火帯を越え続けていることだ。アイルランドに対する850億ユーロの緊急融資案を11月28日に発表した後も、ユーロを導入した国々の借り入れコストは上昇し続けている。

 アイルランド議会が、提示された条件をのみ、融資を受けることに同意するかすらはっきりしない。同国最大の労働組合SIPTU(サービス・産業・専門・技術労組)のジャック・オコナー事務局長は「この融資案は(治癒の奇跡を起こすと信じられている)ルルドで発表されるべきだった。奇跡なしでは失敗に終わるのは間違いないからだ」と語る。

 ユーロが誕生した1999年にさかのぼってみよう。欧州諸国は当時、歴史上重要な欧州の通貨――スペインのペセタやフランスのフラン、オランダのギルダー、ドイツのマルク――を使用しなくすることで、「欧州は抗争の歴史を悔い改められる」という高い志を掲げていた。

 ユーロ導入の式典で演壇に上がった人々は、英国のウィンストン・チャーチル首相が1948年に述べた言葉を思い出させた。「私は、こんな欧州の姿が見たい。欧州に暮らすすべての人が、『それぞれの国の国民である』という帰属意識を持つのと同様に、『自分は欧州人だ』と自覚し、欧州の広大な領土のどこへ行っても『帰ってきた』と心から感じられるような欧州だ」。

 だが、どちらかと言えば、今起きているのは逆の現象である。ユーロは多くの国にとって重荷となった。連帯が強要されたことで、各国間の反感が蘇りつつある。

共通通貨が加盟国の経済回復を妨げている

 ソブリン債危機は目新しいものではない。経済学者のカーメン・ラインハルト氏とケネス・ロゴフ氏によれば、ギリシャは1826年から1964年の間に、90回のデフォルト(債務不履行)に陥っている。

 今回の危機がユーロの信頼性を脅かしているのは、共通通貨が加盟国の回復を妨げているからだ。ギリシャやアイルランドのような国が競争力を失った場合、ふつうは通貨下落を容認することで競争力を取り戻す――輸出価格が自動的に下がり、輸出が増える。一方、輸入価格が上がるため、輸入品への需要は減少する。

 アイスランドは2008年、通貨クローナが突然半値まで下がったため、競争力を取り戻した。だが、ユーロを導入した弱小国は通貨を切り下げられない。従って、競争力を回復させるには給与や福利厚生費をカットするしか手立てがない。

 ロナルド・レーガン政権で主席経済顧問を務めた、マーティン・フェルドスタイン・ハーバード大学教授は、ウィークリー・スタンダード誌に6月に寄稿した論文の中で、これが「大いに苦痛を伴う事実上の通貨切り下げの方法だ」と述べている(多くの経済学者がユーロの導入に大喜びした1999年に、フェルドスタイン氏がユーロの欠点について警告したのは偶然ではない)。

ユーロ圏が崩壊しても誰も得をしない

 通貨統合が長続きしにくいことは何年も前から――本当を言えば何百年も前から――分かっていたことだった。第1次世界大戦によって、スカンジナビア通貨同盟とラテン通貨同盟は消滅した。後者にはフランス、ベルギー、イタリア、スイス、ギリシャ、ブルガリアが参加していた。

 ノーベル経済学賞を受賞した、コロンビア大学教授のロバート・マンデル氏が理論化したように、通貨同盟は政治同盟に近くなければ長く続かない。例えば、雇用の多い国への労働力の自由な移動や、柔軟な賃金制度、勝ち組から負け組に資金を移す税制、加盟国に巨額の財政赤字積み上げを禁じる厳しい法制度などが整っていることが必要なのだ。

 また、加盟国が「負担を公平に背負っている」と感じられる制度である必要がある。アイルランドは、欧州の他の国に助けを求めながら、法人税を12.5%に留めている。この点に対して、ドイツ人は憤慨している(ドイツの法人税は30%)。

 ユーロの支持者たちは「共通通貨が生み出す絆によって、ユーロの存続を求める声が高まる」と楽観的に信じていた。ユーロは、英国の随筆家サミュエル・ジョンソンが2度目の結婚について言うように、希望が経験に勝った結果だった。

 今回、ユーロ圏で起こった危機を受けて、各国の指導者は国同士の結び付きを強化する気になっているかもしれない。英エボリューション・セキュリティーズで債券部門を率いるゲーリー・ジェンキンス氏は、「事実上の財政同盟に向かって動きが加速するかもしれない」と見ている。ジャン‐クロード・トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁が12月1日、危機に陥った国々の国債を買い増して支えていく可能性を示唆した。これを受けて、ユーロは下げ止まった。

 もっと劇的な戦略――実現の可能性は低いが――は、欧州共通の債券「ブルーボンド」を新たに発行して資金を集めることだろう。その支払いは全ユーロ圏諸国が共同で保証する。各国はユーロ圏の解体は深刻な影響をもたらすことが分かっている。米調査会社ハイフリクエンシー・エコノミクスのチーフエコノミスト、カール・ワインバーグ氏は11月29日、電子メールで「誰も得をしない」とコメントした。

 ユーロが崩壊し、新しく発行されるドイツ・マルクが急騰すれば、「ドイツの輸出産業では何千という職が失われるだろう」(同氏)。一方で、「南欧諸国は財源へのアクセスや豊かな国との金融上のつながりという財政上の足場を失うだろう」(同氏)。

 しかし、欧州金融市場が滅茶苦茶になるにつれ、ユーロ圏が何らかの形で崩壊することはもはや避けられなくなっている。そして崩壊をギリシャやアイルランドだけで留めておくことは難しいだろう。オランダの金融大手ING(ING)のチーフエコノミスト、マーク・クリフ氏は「どこか一国が、通貨統合から離脱する前例をつくれば、他の国も「離脱できる」という考えを持つようになる。率直に言って、何が起こっても不思議はないと思う」と語る。

ユーロ崩壊後の再編成で“最適通貨圏”が形成される?

 万が一、ユーロ圏崩壊という事態になれば、当然のことながら各国はもっと防御力の高い形の再編成に向かうだろう。それは、コロンビア大のマンデル教授が提唱する「最適通貨圏」によく似たものだろう。元IMF(国際通貨基金)理事でマサチューセッツ工科大学(MIT)教授、ブルームバーグニュースのコラムニストも務めるサイモン・ジョンソン氏は「ユーロ圏全体が市場の恐怖に飲み込まれる前に止めるためには、財政的に強い国々が堅固な『緩衝地帯』をつくり集結すべきだ」と主張する。

 ジョンソン氏の言う通り、これら強力な国々は互いを信頼し、どこかが困難に陥った場合にも無制限の財政支援を約束するだろう。これには債券自警団もたじろぐ。ジョンソン氏はそのグループに入るべき国として、ドイツとオーストリア、オランダ、フィンランド、スロバキア、スロベニア、ルクセンブルク、そして小さな国マルタを挙げている。

 ジョンソン氏が提唱する緩衝地帯案の恐ろしい点は、フランスとイタリア、スペイン、ベルギー、ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、キプロスをそこに含めない点だ。仲間外れにされた国の中で、少なくとも2つの脆弱な国がデフォルトに陥る危険性は高い。

 だがデフォルトによって、喜ぶべきことがこれらの国に怒るかもしれない。彼らには適していない金融政策や財政政策や、さらには支払い不可能な債務から免れられるかもしれない。デフォルトを繰り返してきたアルゼンチンのように、たとえ高金利であっても借り入れができることを知るだろう。そして自国通貨の下落により、輸出と輸入の均衡が実現する。

 最悪のシナリオは欧州統一の夢が潰れることだろう。だが、そもそも欧州は完全統合への準備が整っているわけではないようだ。とらえどころのないウンウンクアジウムの原子核のように、引き付ける力よりも反発する力の方がまだ強い。実現不可能な理想のためには、欧州人に30年間も負債を背負わせるよりも、現実を受け入れることの方が賢明かもしれない。

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03. 2010年12月16日 14:27:28: FLqTKfM4UQ
中国は加速するインフレで高度経済成長が止まり、低成長、マイナス成長、デフレ
に転落する可能性も出てきたのではないか?
むろん中国は失業者が2億人でも社会が回る中世やアフリカの最貧国のような
構造を持つ社会なので低成長になっても猿、蛇、蛙、昆虫、川魚、野草でも
なんでも食べて飢えを凌ぎ、中国共産党が政権崩壊しても、また似たような
強権政治が出現して皇帝面で中華式の政治をやるのだろうが、中国のインフレ
は危険水域に入ったのではないかと思う。
猛インフレでも中国が高度成長を今後何十年も持続するとしたら、
中国経済はモンスターブルドーザーとしか言いようがない。

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