★阿修羅♪ > 経世済民70 > 363.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
法人税のみでなく人件費を含めた負担割合で判断すべき、日本は極めて少ないと言える
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/363.html
投稿者 heiwatarou 日時 2010 年 12 月 12 日 10:16:27: Bioiw4SmLoqDQ
 

日本は輸出超過大国で対外純資産残高は世界ダントツ、この意味するところは競争力に比して人件費が少ないと言えるのです
▽輸出超過国は「輸出競争力」に比して人件費が低い
▽輸入超過国は「輸出競争力」に比して人件費が高い
と言って良いのです
すなわち「輸出額=輸入額」が適正人件費なのです
▼景気停滞の原因はここにある
日本の対外純資産残高は266兆円(09年)で世界ダントツ、主に企業が人件費を引き下げて輸出して儲けた結果の金ですね。
だから人件費を引き上げて「輸出額=輸入額」にする、すなわち266兆円を人件費に充てていたら、円高にもならず日本の景気は世界最高に良かったはず、
日本の輸出競争力は、こんなに円高なのに輸出超過、だから世界一と言って良いのです、世界一なのに景気が悪いのは馬鹿げているがこのためです。
※そもそも輸出超過大国、対外純資産残高世界一、なのに輸入超過で債務国より景気が悪いとは馬鹿げていますよ、人件費引き下げてまで輸出優先政策が原因で、人件費を上げて輸入超過にする以外にないと思うのです
▼日本の法人課税負担率は7.1%でノルウェーの12.6%に次いで2位と高い、米国は3.9%で日本より可成り低い(財務省、日本は08年ノルウェーは05年)
だから法人税引き下げが必要としての根拠に使われている、
だがこれは逆、日本企業は社会的負担割合か少ないだけ儲けているからで、法人税率は米国と同じなのに企業の内部留保は200兆円とも言われている。
この理由は、すねに述べたが日本企業の人件費が安い、社会保険料負担が少ない、日本の輸出競争力に比較してのことだが、その結果として輸出超過大国になっている。この輸出超過が景気停滞の原因になっている
※(参考)
法人税率日米比較(法人税、事業税、住民税を含む)06年1月現在(財務省)
▽ニューヨーク45.95%、ロサンゼルス40.75%
▽東京40.69%、日本標準39.54%
※最近の財務省資料にはニューヨークのデータがない。
※GM破綻は従業員の医療費負担が大きいことが原因とも言われている。
※人件費なども含めて比較すべきなのです。日本企業の利益は拡大し内部保留が200兆円といわれているの賃金は下がっている。
▼輸出超過は競争力に比しては人件費を犠牲にしているからです、
※競争力強化の目的は輸出拡大ではなく、人件費の引き上げのはず、これに気付きましょう
この点が企業の利益と国民の利益と相反するのです、国は「輸出額=輸入額」になるように最低賃金の引き上げるべき、これが最良の景気対策になるのです。
▼日本再生の道
http://www002.upp.so-net.ne.jp/HATTORI-n/001.htm  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2010年12月12日 13:58:14: mHY843J0vA
>▽輸出超過国は「輸出競争力」に比して人件費が低い
▽輸入超過国は「輸出競争力」に比して人件費が高い

競争力はいろいろな要素からなり、そう単純でもないでしょう
また重要なのは、様々な指標(技術、資本、人材供給、人口構成、税制、・・)等で見て日本の競争力が相対的に低下し続けていることであり、
それらが、これまでの日本の雇用や賃金、物価らに対して下押し圧力が継続している主因でしょう。

>法人税のみでなく人件費を含めた負担割合で判断

そのような短期的なコスト(税・人件費等負担)に加えて、長期的な市場縮小や高齢化負担の上昇などを、グローバル企業は、総合的に判断して投資と雇用を海外に移しているんでしょう


http://www.iti.or.jp/kiho42/42narita.pdf
国際収支に見るサービス貿易競争力の国際比較

経済構造におけるサービス産業の拡大や企業活動の
グローバル化は、国境を超えたサービスの取引(サー
ビス貿易)の増大をもたらしている。WTOによれば、
世界のサービス貿易額(輸出ベース)は1999 年には1
兆3,390 憶ドルを記録し、その規模は財貿易額5 兆
6,110 憶ドル(同)の約4 分の1 に達している。また、
80 年から99 年にかけての年平均増加率を見ても、サ
ービス貿易は7.1%と財貿易の5.5%を上回るペースで
拡大を続けている。
サービス貿易の大部分は輸出入とも先進諸国による
取引であり、財貿易では途上国が輸入や一次産品等の
輸出で大きな役割を担っているのと対照的である。サ
ービス貿易額に占める先進国の比率は輸出で72.6%、
輸入で70.3%といずれも7 割を超えており、財におけ
る輸出の同比率59.6%、輸入の同比率66.6%よりも高
くなっている。なかでもG7各国は輸出入両面におい
てサービス貿易の主要な担い手となっており、サービ
ス貿易額のうちG7による取引は輸出で49.7%、輸入
で49.8%を占めている(いずれも99 年)。
G7各国のサービス貿易における国際競争力の特徴
を見るために、部門別データが入手可能である98 年の
国際収支統計を用いて貿易特化指数を部門ごとに計測
したものが右図である(貿易特化指数=(輸出−輸
入)/(輸出+輸入) × 100)。ここで、貿易特化指数は
その国の当該部門の貿易規模(輸出入計)に対し出超
幅が大きければ100、入超幅が大きければマイナス100
に近づく。
なお、サービス取引においては、サービスの提供者
自身または消費者自身が国境を超える場合があるにも
かかわらず、それを定量的にとらえる代表的な統計で
ある国際収支の上では、基本的に取引主体としての人
や企業の国籍によって輸出入が判別されることに留意
する必要がある。また、例えば、風光明媚な国は旅行
サービスの輸出に特化していると推量されるように、
労働や資本といった財貿易と同様の生産要素の投入量
のみがサービス生産の国際的な比較優位としての競争
力を決定しているとは限らない。このため、ここで示
す特化指数の特徴はあくまで国際間サービス取引と
しての輸出入の結果が国際収支尻に表れた結果であ
り、競争力という概念と結び付けて考察する場合に
は、こうした前提をふまえた上で注意深く観察する必
要がある。
計測結果を見ると、G7全体としてはサービス貿易
全体で輸出入がほぼ均衡しているため特化指数は0 に
近い。金融や特許使用料、建設が輸出に特化しており、
反面で、通信、輸送、保険といった部門は輸入特化と
なっている。なお、G7全体の輸出入のうちG7域内
取引が輸出ベースで47.1%(98 年)を占めるため、単
純にG7全体で輸出特化の部門が途上国に対する黒字
(逆に輸入特化部門が途上国に対する赤字)を計上し
ているとは言えない(統計の制約上、現状では部門別
かつ地域別のクロス分析には限界がある)。
各国別には、米国、フランスおよび英国がサービス
貿易全体で輸出特化(特化指数プラス10 以上)、日本
とドイツが輸入特化(特化指数マイナス10 以上)、カ
ナダとイタリアはほぼ輸出入が均衡(特化指数プラ
ス・マイナス10 未満)していると見ることができよう。
各国の指数を部門別に見ると、輸出入の特化が著しい
国については、米国の通信と保険、ドイツの金融と公
的その他サービスなどを除いて、ほぼ全ての部門に、
その国のサービス輸出またはサービス輸入の特化と同
様の傾向が見られる。
国際収支に見るサービス貿易競争力の国際比較
成田 裕介Yusuke Narita
(財)国際貿易投資研究所研究員
データ 検証

http://glovoicesjp.com/economy/日本・中国の技術進歩のメカニズムの比較―中国.html

日本は、世界二次大戦後、先進諸国のハード技術を導入し、それを分解して、その中の技術を消化・吸収してから再革新をはかり、自己技術力を形成してきた。 20世紀50〜70年代にかけて、日本の技術導入費用は14倍も増えている中で、消化・吸収、再革新に対する研究費用が73倍にも上っている。その後、日本は自主革新を推進して、数多の世界トップクラスの先端核心技術を活かし、自主ブランド、高品質かつ高付加価値製品を創り出し、世界第2位の輸出強国と第 2位の経済強国となったわけである。

一方、改革開放後、中国は先進諸国から複合設備、生產ライン等のハード技術を導入し、生産能力の重視という出発点から量的輸出をはかっていた。2001年 WTO加盟後でも、さらに量的輸出が拡大され、現在世界第3位の貿易大国となり、貿易黒字も急速に伸びてきており、2008年の中国貿易黒字総額は 2,981.3億ドルであった。しかし、導入技術を消化・吸収せず、労働集約型かつ低付加価値の製品輸出は、依然として国有企業を中心とした加工貿易とりわけOEM生産を通じて展開しており、国有企業は貿易利益がほとんどなく、近年では赤字が膨らみ、2008年には962.9億ドルまで拡大してきた。

2003〜07 年、国有企業の技術導入契約額と技術費は、増加趨勢にあるが、技術の高度を示す技術費が鈍化傾向にある。これは、国有企業のハード技術重視、ソフト技術軽視という1990年代からの「持病」が依然として変わっていないことは、国有企業が低水準技術生産を続けるしかないというわけである。導入技術は消化・吸収されて、はじめて自分の技術力が形成される。しかし、国有企業は、外国の先進技術設備を導入し、すでに導入─遅れ─再導入という悪循環に陥っている。このことは、技術の消化・吸収または再革新に悪影響を与え、さらに自主革新の意欲欠如につながってしまう。したがって、先進技術の消化・吸収は技術導入のキーポイントになる。

これに対し、WTO加盟後では、外資系企業は中国の技術導入中心軸となった。技術導入契約額と技術費は年々拡大趨勢にある。特に技術費の拡大と国有企業の技術費の低水準推移と明暗が分かれている。外資系企業は、ソフト技術を中心に導入し、自己支配企業內しか先端な技術移転を行わない。先端技術の独占優位をもって、比較的高付加価値製品の輸出を伸ばし、利潤の大半を占め、貿易黒字の主要の一角を占め、外資系企業の中国貿易総額に占める地位はますます上昇し、 2008年輸出と輸入の割合はそれぞれ55.25%、54.69%に上っており、2008年外資系企業の黒字は1,710.7億ドルに増えている。

また、中国のR&D投入額は日本に較べ少なく、技術の消化・吸収または再革新に対する意欲も乏しい。R&D投入額のGDPに占める割合を比較してみれば、中国は2007年1.44%にすぎず、日本は同年3.44%にも上っている。2001年、国有企業の消化・吸収または再革新に対する投入額は技術導入額のわずか10分の1にしかすぎなく、2008年国有企業の消化・吸収費用は技術導入額の17.01%にすぎない。

これをうけて、中国政府は、2006年に『国家中長期科学と技術発展規画綱要(2006〜2020)』を公表し、これに沿って、技術革新型国家を掲げ、これまでない国家科学技術振興の一連関連政策を打ち出し、自主革新や技術の消化・吸収または再革新に本腰を入れる姿勢を鮮明にしている。上述の「持病」を治し、技術進歩による輸出競争力の向上をはかる上で、比較的高付加価値製品の輸出を促進し、国際分業の末端から徐々に尖端にもっていくよう、という中国の戦略指向が窺えよう。2009年では、中国は世界最大の輸出国となり、2010年にはGDPも日本を超える見通しになるものの、日本のような輸出強国と肩並ぶには、国有企業の産業構造の質的向上をはかり、技術集約型かつより高い付加価値の製品輸出による成長にかなり力を注がなければならない。


https://www.dokkyo.ac.jp/joho/pdf/22/07.pdf
金融危機以降、ウォンの下落が海外市場での韓国製品の価格競争力を強めることが期待された。しかし、
韓国の対日本、対米国輸出は中国のそれほど伸びず、日本、米国の輸入市場における占有率のパフォーマン
スも中国とは大きな違いがみられた。また、日本市場におけるMCA分析では韓国のその指数が下落したのに
対して、中国のそれは上昇している。米国市場では両国のMCA指数が上昇したが、中国の場合、その指数が
日本市場ほど上昇していないことが明らかになっている。したがって韓国の場合、金融危機以前に比べて価
格競争力の上昇効果が発揮できたとは言えない。日本市場でのESI分析では、アジア金融危機以前と比較し
てみると、ESIの平均指数が減少している。米国市場では、殆どの製品において両国間の競合が深化してい
ることが明らかである。日本市場と米国市場において韓国は一部の資本集約的製品と労働集約的製品が比較
優位を持っている。中国は大部分の労働集約的製品が比較優位を持ち、一部の資本集約的製品の価格優位も
改善されている。したがって両国間の競合関係はこれからさらに広範囲にわたり、その競争が激化していく
ことが予想される。


02. 2010年12月12日 19:19:43: ibwFfuuFfU
要するに日本国民が搾取されて外国の消費者が(品質に比して)不当に安い商品を享受しているということだ。日本はもっと横柄に高く商品を売る必要がある。中国製や韓国製と同じ土俵で勝負するくらい馬鹿げたことはない。「うちの製品は払える人だけがかってくれればいいんです。」で世界中の金持ちから搾り取ればいいのでR。

03. 2010年12月13日 00:28:21: uKFoqoJusE
>>1
人件費を上げ「輸出額=輸入額」にすれば国内消費も増え円高にもならないのに
輸出超過にしているのはなぜでしょう。政府も輸出を優遇しているのはなぜでしょう
日本は多額の外貨を持っているので外貨をためる必要はないはずだが
輸入超過で債務を抱えている国も多いのですよ、

04. 2010年12月14日 00:24:08: XUVr2har3E
[個人課税 5,500億円増税へ] 2010年12月13日 23:47 / CLUB G-1
 http://eagle-hit.com/

 先ほど 政府は、法人税の5%引き下げを決定したようだが、
 約1兆5,000億円の減収となることから、
 その分の財源をどうするかについては、財務省と経産省で意見が分かれているようだ。

 だが、一方で個人課税は、5,500億円超の増税となる見込みで、
 これで法人税減税の穴埋めをしようとしているようだ。

 政府税調がまとめた改正案は、以下の通りである。

 [1] 所得税や住民税の控除を縮小
   年収1,500万円超は 控除額245万円で頭打ち。高収入の役員はさらに控除額を縮減。
 [2] 成年扶養控除の縮小
   年収568万円超は控除廃止。障害者や高齢者、学生らは継続。
 [3] 相続税の遺産から差し引ける基礎控除額を4割圧縮し、最高税率55%に引き上げる。
 [4] 退職金は 勤続年数5年以下の場合の優遇措置を廃止。
 [5] 贈与税は20歳以上の子や孫へ贈与する場合の税率構造を緩和する。

 明らかに高額所得者や富裕層の負担増となる増税である。
 もはや財源を富裕層に求めるしかないところまできているようだ。
 次期国会で審議される予定であり、どこまで実現するかは不明だが、
 大幅な増税となることは間違いないだろう。

 2011年、私たちの生活も一段と厳しさを増し、
 増税にインフレが加わってくることで、多くの人々は家計崩壊の危機に瀕することになるであろう。


05. 2010年12月14日 00:52:36: cqRnZH2CUM
>人件費を上げ「輸出額=輸入額」にすれば国内消費も増え円高にもならないのに
輸出超過にしているのはなぜでしょう。

何度も指摘されているように内需が減ったからだ

>政府も輸出を優遇しているのはなぜでしょう

TPP参加を渋るくらいだから、全然優遇してないのでは?



06. 2010年12月14日 00:57:48: cqRnZH2CUM
>高額所得者や富裕層の負担増となる増税〜インフレが加わってくることで、多くの人々は家計崩壊の危機に瀕することになるであろう。

確かに、問題がないわけではないが
対象は高額所得者や富裕層の負担増だし、
法人税減税、それに子供手当や生活保護の充実などのバラマキもあるようだから、
トータルで増税になってなければ経済的にはマイナスではないだろう


07. 2010年12月14日 03:06:25: cqRnZH2CUM
とにかくまずいのは、既得権者(特に高齢世代)が資産や高賃金雇用を独占し、全ての皺寄せ、そして急速に膨れ上がる莫大な借金が弱者である若年世代に押し付けられている現状だろう

『就活地獄の真相』「リベンジ就活者」10万人超 採用枠巡り現役と競り合う【上】 新卒学生が苦しむ本当の理由
2010年12月13日 月曜日
恩田 敏夫
就職  ミスマッチ  就活  大学  新卒  リベンジ 

 「就活の形」が異常なまでに歪んでしまった。内定を取れない大量の学生・若者を苦し め、企業側も早期化・長期化する採用活動で徒労感に襲われている。大学は教育の空洞化、人材育成機能の劣化にますます危機感を抱き、企業は早すぎる就活の 「負の側面」が強まってきたことに悩み始めている。歪んだ就活に限界を嗅ぎ取った双方の間に、改革に向けた新たな取り組みが始まった。「上」、「中」では 「就活の構造」がなぜこれほどまでに歪んでしまったのか、について徹底分析し、「下」で就活改革のための新たな提言を行う。
就職環境はここ2年で劇的に変化、氷河期下回る過去最悪に
 震える手でメールを開く。つい最近受けた東京の電子部品メーカーの最終面接の結果だ。不合格を通知する「お祈りメール」の言葉がすぐ目に飛び込ん できた。東京の私立大学法学部4年生のA君は、3年生夏のインターンシップから始めた就職活動に今も終止符を打てないでいる。大企業中心に40社を超す企 業の面接を受けたが、ことごとく落とされた。「受けても、受けても不採用。出口が見えず、今までの人生で味わったことのないしんどさです。卒業時期がたま たま就職氷河期だからといって、先輩たちより不利な扱いを受けるなんて」と青白い顔で話す。大学キャリアセンターの掲示板はすでに3年生向けの2012年 春採用情報に切り替わっているが、A君の同級生の約半数は今もリクルートスーツを着たまま、不安と徒労の就活漬けの日々を送っている。
 政府が11月中旬にまとめた「2011年春大卒の就職内定状況調査」によると、10月1日時点の内定率は57.6%と「就職氷河期」を下回る過去 最悪となった。氷河期レベルといわれた今春大卒の就職者数は32万9000人と前年より5万3000人も激減したが、来春はさらに深刻化するのが確実な情 勢だ。大学関係者は「景気が良くなれば、就職状況は持ち直すのだが」と期待するものの、企業の採用環境はリーマンショック以降、ここ2年ほどで劇的に変化 しており、出口の見えない氷河期がしばらく続くと覚悟しなければならない。
重なった4つの構造的な不運
 なぜこれほどまで状況が深刻化したのか。「未曾有の就職難」は単に不景気だけのせいではない。いくつもの構造的な不運、ミスマッチが重なり、学生たちを苦しめているのだ。
 構造的な不運、つまりミスマッチの第1はそもそも新卒求人数に対し、大卒者の数が供給過多になっていることだ。教育機会の拡大と仕事の機会減少がもたらした齟齬である。
 1990年に24.6%だった大学進学率は2010年に50.9%にまで上昇、多様な若者が大学で学ぶようになった。大卒者が1.5倍に増える一 方、高卒・大卒の新規採用市場は逆に大きく縮減してきている。バブル崩壊以降、日本企業は人事管理の考え方を大きく転換、新卒採用を抑制し、契約社員や派 遣、パートなど非正規雇用に置き換える複線化採用を進めてきたからである。
 構造的な不運の第2は技術革新やグローバル化など企業環境が大きく変化する中で、職業人として求められる知識や技能が高度化し、とりわけリーマン ショック以降、大企業の間で、「厳選採用」の潮流が一気に強まったことだ。2009年あたりから大企業は数合わせではなく、優秀な人材しか採らない動きが 目立っている。大学生のバブリーな増大は「学生の質の低下」をもたらしており、学力不足や就職準備が整わない学生がこの厳選採用の高いハードルを越えられ ず、大学を卒業しても就職できない学生が大量発生する現象が急速に表面化してきたのである。
10万人を超す既卒者と留年生が「2年目のリベンジ就活」に参戦
 2010年春の大卒者のうち、進学も就職もせず、「無業」のまま卒業したり、フリーターになったりすることを余儀なくされた若者は合計で10万 6000人に上ったが、独立行政法人労働政策研究・研修機構が6月、500近い大学のキャリアセンターの協力を得て、この10万6000人の追跡調査を 行ったところ、うち7万人弱が「リベンジ就活」にいそしんでいることが明らかになった。

 このほか今春「就職留年」を含め7万2400人が新たに留年したが、この大半も「2年目の求職活動」に挑んでいると見られるから、10万人をはるかに超す既卒者と留年生が、41万人の現役4年生と2011年春の採用ワクをめぐり競い合っているわけだ。
 政府の内定率調査や大学公表の就職率はあくまで現役学生を対象にしたもので、既卒者の就活は一切含まれていない。実はこれまで数字上表面化してこなかった「リベンジ就活者の増大・累増」こそが、就活学生の焦燥感、危機感を倍化させているのである。
外国人留学生やアジアの有力大学の学生も新たな競争者
 別の競争相手もいる。日本企業のグローバル化がアジアなどの新興国を主戦場とした新たな段階に入り、「2010年5月頃から驚くほどの変化でグ ローバル人材のニーズが強まってきた」(西尾昌樹・早稲田大学キャリアセンター課長)という。急に風向きが変わったように、ここにきて企業は外国人留学生 の採用を積極化している。採用担当者が中国や韓国などに出向き、有力大学の学生を本社スタッフとして獲得する動きが増えているのだ。
 外国人採用増大の典型例がパナソニックだ。2011年春採用の内定者1390人中、外国人は8割を占める1100人。これに対し、国内採用は前年 比4割減の290人に抑制している。「ユニクロ」を展開するファーストリティリングも2011年春の新卒採用600人中、外国人が300人。この300人 を2013年には1200人に増やす予定だ。ソニーも2010年春には新入社員全体の4%だった外国人の比率を2011年春には14%に拡大する。このよ うにグローバル競争の激化を背景に日本企業が優秀な学生を求めて海外に目を向け始めた結果、日本の学生たちは外国人留学生やアジアの有力大学の優秀な学生 と同じ土俵で内定の獲得競争を展開する時代に入ってきたのである。
大企業志向を煽る「ネット就活」
 構造的な不運の3番目は、実は今の「就活の仕組み」に内蔵されている。就活構造を決定的に歪めた犯人とも言えるのが「インターネット就活」だ。今 や就活は主として「自由閲覧・自由応募」の「就職ナビ」を通じて行われるようになっている。就職ナビは、学生にとって採用情報の閲覧から企業説明会の参加 やエントリーシートの提出、面接予約から合否連絡まで可能で便利であるし、企業にとっても資料等を郵送で送っていた時よりも採用コストを抑えられるツール になっている。従ってこの仕組み自体に問題があるわけではない。
 しかし、就職ナビに掲載されているのは大企業中心の採用情報で、せいぜい8000社分に過ぎない。その中で、実際に本格的に機能するのは、TVコ マーシャルや新聞・雑誌の記事に載り、学生が知っている企業に限定されるから数百社レベルだろう。このため膨大の数の学生・若者が特定の大企業、有名企業 にエントリーするようになっている。学生が大企業志向となり、中堅・中小企業に目を向けないミスマッチを引き起こす大きな要因だ。
バブリーに増大した大学数と学生数区分 学校数(校) 学生数(人)
計 国立 公立 私立 計
1955年 228 72 34 122 523,355
1965年 317 73 35 209 937,556
1975年 420 81 34 305 1,734,082
1985年 460 95 34 331 1,848,698

2000年 649 99 72 478 2,740,023
2005年 726 87 86 553 2,865,051
2006年 744 87 89 568 2,859,212
2007年 756 87 89 580 2,828,708
2008年 765 86 90 589 2,826,127
2009年 773 86 92 595 2,845,908
2010年 778 86 95 597 2,887,396
(「学校基本調査」より)
 こうしたネットサービスに掲載されている大手企業や有名企業からは、少しばかり能力が高いくらいでは内定を得られない。競争率が異常に高いから で、頭の良さを伝えられるコミュニケーション能力や何度もの面接に耐え、粘り抜く力、さらには運の強さを併せ持った者しか採用されないのである。
 それでも学生たちは「頑張っても内定を得られるはずがない」と薄々感じながらも大企業に就職したいという夢を捨てきれず、冒頭のA君のように大企業だけを受け続け、内定を得られずに徒労感ばかりを味わうことになるのだ。
見えない壁の「ターゲット採用」
 さらに厳然たる事実を言えば、大手企業と圧倒的多数の学生の間には実は「見えない壁」が存在している。大手企業には万の単位でエントリーが集中す るから、当然、応募する学生の質も玉石混交になる。このため企業は採用活動を効率化するために、ポテンシャルが高いと見られる上位の特定大学に絞り込む 「ターゲット採用」の傾向を強めているのだ。逆に言えば、ターゲットとされない大学に所属する大多数の学生にとって見れば、就職ナビなどで企業の採用情報 を閲覧し、応募することが出来ても、最初から採用対象とはなりえていない。結果として、そうした学生は努力が無駄になるというハンデを負っているのであ る。
 かつても指定校制度はあったが、1990年代初め頃までは大学の就職部の組織的指導や理系学生の場合、研究室推薦も活発で大学の就職斡旋・相談機 能がそれなりに機能していた。学生は大学に届いている求人情報や先輩の就職先から自分なりの就職の相場観を作り、活動することも多かったが、今はネットで 大企業中心の採用情報に接し、まさに海図なきままに就活の海に出て、立ちすくんでいる学生が多い。
 世の中には多くの優れた中堅・中小企業、成長企業があり、そちらにも目を向ける努力を忘れずに行うべきだが、そうした企業の情報発信は圧倒的に少 ない。政府は中小企業への学生の就職を支援する施策を打ち出しているが、大学も中小企業団体やハローワークなどともっと連携し、知恵を出し合い、学生と中 小企業との橋渡しを強化すべきだ。
大学と職業との機能不全が就活弱者を生む
 第4のミスマッチは大学での教育と出口である職業とが上手くつながっていない、いわゆる「大学と職業との機能不全」が多くの就活弱者を生んでいる という問題だ。大学の教育が企業の求める人材ニーズに追いついていないことや職業教育が十分でなく、大学が就職への架け橋としての役割を果たせていないの だ。
 企業が国際競争の激化で、人材育成にかける余裕がなくなる中、今や人を育てる機能を企業に丸投げしていた時代から、企業・大学・家庭それぞれで役 割分担する時代になっている。大学は職業的自立や仕事で必要とされる能力を意識した実務教育にもっと力を入れることが求められている。
 労働政策研究・研修機構の調査によれば、2010年春、就職先が決まらないまま卒業した学生の比率が30%超の大学が4年制大学全体の3割を占め ている。就職できない学生の特徴は「自分の意見や考えが上手く表現できない」「何をしたらいいかわからない」「エントリーシートが書けない」など就活当初 から躓きのあるものが多いという。
 文部科学省は2011年度から全国の大学・短大に対し、職業教育を正規の教育課程に盛り込むよう義務化する。これで、大学も徐々に変わってこよ う。3年生の就職シーズンを迎えてあわてて企業選びに入るのではなく、早い段階からしっかりとした職業観、勤労観を身に付けさせることが重要になってい る。
 このように就職難は単に景気に連動した問題ではなく、構造的な要因に根ざしているから一気に解決できるほど容易ではない。しかし、毎年10数万人 もの学生や若者が新卒採用ワクからはじかれる現実があり、年々累増することを思えば、社会にとって「就活改革」は待ったなしの課題である。日本の大学の人 材育成機能が劣化し、そのツケは企業の国際競争力や社会の損失にも回ってくる。政府、大学、企業が連携して、実効性のある改革を打ち出さねばならない時で ある。
 
 恩田敏夫氏が、就職活動の実態についてまとめた『就活地獄の真相』(KKベストセラーズ、780円)がこのほど発売されました。

ゆがんだ就活 〜企業・大学はどう対応していくのか
 来春卒業予定の大学生の就職内定率は史上最低の57.6%(10月1日現在)に落ち込んでいる。「就職氷河期」を下回る厳しさだ。ところが、ここ には数字のアヤがある。2010年春に卒業したものの就職先が決まらず「2年目の就活」に挑んでいるものが約7万人いると推定されるが、彼らはこの数字に 含まれていない。つまり、現実の就活戦線はもっと厳しいのである。一方で、企業は国外に目を向け始めており、多様な人材を海外で積極的に採用する姿勢を強 めている。こうしたミスマッチをどのように解消していくのか。就活活動の実態を解き明かし、企業・大学の対応を考える。
⇒ 記事一覧
恩田 敏夫(おんだ・としお)
大学ジャーナリスト、ディスコ・シニアコンサルタント、日経BP社参与1967年日本経済新聞社入社、産業部記者、編集委員を経て84年日経BP社に。「日経ビジネス」副編集長、「日経コミュニケーション」編集長、「日経ベンチャー」発行人などを経て、日経BP社常務に。現在は日経BP社参与。主な著書に『無在庫経営』『衛星ビジネス入門』など。


08. 2010年12月14日 03:08:04: cqRnZH2CUM
識者が語る 日本のアジェンダ
【第15回】 2010年12月13日
急激な人口減少と高齢化がもたらす日本の未来「崩壊か明るい未来か、いま選択の岐路に立つ」――政策研究大学院大学・松谷明彦教授インタビュー

今から20年後の2030年、日本の総人口は1億1000万人を切り、さらに労働人口 は現在の6500万人超から5400万人近くまで減少するといわれている。なぜ日本は、他国を大幅に上回るほど早い速度で高齢化し、急速に人口が減少して いるのだろうか。そして、この急激な変化に、日本企業と日本人はどう対応していくべきか。「人口減少高齢化の本当の原因」と「20年後の日本の姿」を政策 研究大学院大学の松谷明彦教授に話を伺った。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)
日本の急激な人口高齢化は戦後の「産児制限」が原因だった!
――少子高齢化が、日本経済に大きな影響を与えている。そもそもなぜ、日本はこれほど急激に人口高齢化(※)が進んでいるのだろうか。
まつたに・あきひこ/政策研究大学院大学教授。1945年生まれ、大阪市出身。東京大学経済学部経済学科・同経営学科卒業。大蔵省主計局主計官、大臣官房審議官などを歴任。1997年より現職。著書に『人口減少時代の大都市経済』、『「人口減少経済」の新しい公式』などがある
 現在、人口が減少している国として日本のほかにロシアや東欧諸国が挙げられるが、その理由は大きく異なっている。ロシアや東欧諸国は、社会不安な ど「一時的」なものが原因なのに対して、日本の人口減少は「構造的」なものである。そして、この構造的な理由から人口が減っているのは、今のところ日本だ けであり、しかもスピードが非常に速い。人口減少は決して先進国共通の現象ではなく、日本独自の問題なのだ。
 これに対して人口高齢化は先進国共通の現象といえるが、ただしここでも、日本の高齢化のスピードは他の先進国に比べて異常に速い。ではなぜ日本だ けがそのような特殊な状況に置かれているのか。それは、日本人が行った“過去の選択”に原因がある。戦後直後の日本は、食料危機に陥り、飢餓が深刻な問題 となっていた。そこで、産児制限のために、昭和23年(1948年)「優生保護法」という法律がつくられ、人工妊娠中絶が可能になった。
 とはいえ、実は産児制限をはじめた直後の1950年(昭和25年)には朝鮮動乱が勃発し、それまでの飢餓状態から日本は一気に特需景気に湧いていた。つまり、産児制限の必要はなくなっていたのだが、その後20年に亘って出生率の低迷が続き、制限前は270万人程だった年間出生数は約170万人に減少してしまう。
 なぜこのような事態になったのか。おそらく、「子どもの数を簡単に調節してもいいんだ」という、それまでの倫理観を覆すような認識が、国民に広 まったことが大きく影響しているといえる。たとえ、産児制限が必要だとしても、人工妊娠中絶という手段が適切であったのかどうか、という疑問は拭いきれな い。
(※)全人口に占める、65歳以上の人口比率増加のこと。
次のページ>>。ヨ途上国型モデル」に縛られ続けると…
 いずれにせよ、日本の人口構造にはこの産児制限によって“大きな谷”ができ、この谷こそが日本の人口を、急激に高齢化させている主たる原因である ことに変わりはない。したがって、日本が特殊な状況に置かれているのは、日本人自身の“選択のツケ”が、現在表面化したためといえる。
 そこで考えるべきなのは、「今後も人口を操作するのか」ということ。出生率を上昇させようという動きがあるが、もう人々の自然な選択に任せておい てはいいのではないか。現在は、社会構造や家族構造が変化し、簡単に子どもを育てられる環境ではない。支援策を行うことはもちろん必要だが、出生率を操作 すれば、そのツケが後々訪れることを忘れてはならない。
――現在でも出生率が低下し続けているが、それはなぜなのだろうか。
 原因として挙げられるのは、婚姻率の急速な低下だろう。婚姻率が低下したのには2つの理由がある。
 1つは、「結婚して子どもを生むことだけが、必ずしも女性の生き方ではない」と女性の考え方が以前と変わったこと。もう1つは、賃金水準の低下から「結婚できない若者」が増えてきたことだ。
 女性の生き方に関する選択は、社会がどうにかできるという種類の問題ではない。しかし、結婚したいのにできない若者がいるという問題に対しては、 社会が何らかの対処をすべきだ。少子化対策をするのであれば、婚姻率を上げるしか方法はない。ということは、若者の賃金を上げることが先決だろう。それを やる前に子ども手当てなどの対策を行うことは、筋が違うのではないか。
「途上国型モデル」に縛られ続けると、加速度的に経済成長は縮小する
――国が出生率を上げようとしている背景には、人口拡大を前提とした現在の社会構造、経済構造から抜け出せない日本の姿がある。実際に今後も拡大型の経済構造のままでいたら、日本はどうなってしまうのだろうか。
 日本は、低賃金とロボットによって大量生産を実現し、そうした普及品を世界に販売することで成長してきた国だ。つまり薄利多売型だが、そのモデルは、大量生産が肝であるから、労働者が減少すれば一挙に経営困難になる。多売ができなくなるからだ。
 どう楽観的に見ても、2010年代の後半には日本経済はマイナス成長になるだろう。最初は、年率0.1〜0.2%という緩やかな減少だが、それが 人口の変化によって加速度的にマイナスに陥る。そして、おそらく2030年頃には、年率1%を越すような、かなりのスピードで縮小していくだろう。
次のページ>>。ネ破滅的な未来”を迎えないようにするには?
 ただ実は、それも楽観的なシナリオと言わざるをえない。なぜなら、日本の「低賃金+ロボット」の量産型のモデルは、もはや通用しないからだ。これ は、「日本の高度経済成長=東洋の神秘」といわれるように、日本が中進国から先進国に上る過程で作り上げたモデルだが、現在、同じモデルを使った中国やイ ンドなどの強力な競争相手が現れている。世界的な価格破壊が起こり、もはや日本に勝ち目はない。外国人労働力を日本で受け入れるという議論があるが、その 場合の彼らの賃金は母国の賃金水準よりは高い。同じビジネスモデルなら、やはり勝ち目はない。
 したがって、人口減少に伴う影響どころか、はるかに早いスピードで日本経済は崩壊してくことになる。このまま何も変わらなければ、非常に破滅的な未来が待っているだろう。
――では、そうならないためにはどうすべきか。
 日本は、ビジネスモデルを変えなければならない。これからやるべきことは、人間の熟練した技やノウハウを製品に注ぎ込むことによって、誰もが使うような比較的安価な製品ではなく、高級品やプロ向けの製品をつくることだ。
 日本人は、工場に人がいないことが近代工業の証のように思っている人が多い。しかし、決してそんなことはない。先進国であるアメリカやヨーロッパ では、工場に本当に熟練した技術やノウハウを持っている技能労働者がたくさんいて、彼らが手を加えることで製品が高級品に変貌する。これら製品は、低開発 国では絶対に作れないものだ。
 世界的に価格破壊が起こっているのであれば、その影響は日本だけでなく、アメリカやヨーロッパ諸国も受けているはずだが、欧米企業の利益率は上昇 している。それは、価格破壊が低賃金単純労働者かロボットを使って生産する製品だけに起きており、高級品やプロ向け製品には起こっていないからだ。つま り、アメリカやヨーロッパは、低開発国と別の土俵で勝負している。
 日本は、今後も低開発国と争っていたらジリ貧になるだけで、早く欧米企業のように高級品路線に移るべきである。選択する方法はこれしかない。やりようによっては、日本の経済成長率をプラスすることだって不可能ではないのだ。
海外から優秀な人材を獲得し、熟練労働者を養成することがカギ
――では、今から20年後の2030年頃、日本はどうなっているだろうか。
 その答えは、2通り考えられる。
次のページ>>。ヨ先進国型」のビジネスモデルに変革へ1つは、このままビジネスモデルを何も変革しないで、労働力の減少以上に日本経済が小さくなるだけでなく、日本経済そのものが崩壊して、大混乱を招くという未来。
 もう1つは、日本が途上国型のビジネスモデルから脱出して、先進国型のビジネスモデルに変革し、人口が減少したとしても豊かな経済を実現している未来である。
 ただ、後者を選択するのは想像以上に大変だ。まず、残念ながら日本には熟練した労働者が非常に少ない。特に1980年代以降、ロボット化が急速に 進み、それ以降に就職した人は圧倒的に未熟練だ。これはものづくりの現場だけでなく、流通や金融などの分野にもあてはまる。それもこれも、四半世紀ほど “熟練”を軽視した産業形態をとってきたツケといえるだろう。したがって、今行うべきことは、熟練した技術を維持・発展させて価値の高い製品をつくりだす こと、そしてその技術を後世に継承していくシステムをつくることだ。
 これまでは、ノウハウや熟練した技術の伝承は、終身雇用制・年功賃金制のため企業ごとに行われていたが、今はそれが崩れ、前の世代の技術が後ろの世代に伝わっていない。しかし、他国では社会的なシステムで技術が伝承されて、若者が育成されるシステムが成り立っている。
 一番典型的な例として挙げられるのがドイツだ。ドイツでは、中学を卒業すると3割ほどの学生が職業学校に入学し、週2日学び、残りの週3日は企業 で現場研修を行う。つまり、学校で基本的なことを学び、現場で教育を受けることで技術は伝承されている。そして、彼らは職業学校を卒業するときには一人前 の職人に成長している。
 つまり、日本は多くの学生が大学を卒業してから企業に就職し、OJTによって5年〜10年かけてようやく一人前になるが、諸外国では社会としてシ ステマチックに技術の伝承や技能労働者の養成が行われているのである。高級品や専用品をつくるためには、優れた職人が必要だ。その技能労働者を養成するシ ステムをつくらなければいけない。もし日本でもそれが実現できれば、2030年ごろには、明るい芽が出てくるだろう。
 しかし、高級品ばかりでは1億人超の人口を養ってはいけない。そうなると、我々が培うべきなのは、技術開発力だ。なぜ中国やインドなどに日本が急速に追いつかれているかと言うと、それはそもそも日本も欧米発の製品を安く製造・販売していたからある。
 だから、我々も欧米諸国のように日本発の製品をつくり、他の国にできないようなものをつくらなければならない。しかし、それは日本が行っているような補助金などの支援や教育改革だけでは解決しない。
次のページ>>寿命が延びても働ける時間は変わらない
他国では、ある分野の技術水準が落ちていれば、海外からその分野の第一人者を呼び寄せるなど、人材獲得競争がいたるところで起きている。日本は日本 人だけで開発力を上げようとしているが、それは非常に閉鎖的であるうえ、世界に通用しない。いかに、よりクリエイティブな技術開発力を持った優秀な知能労 働者を日本が獲得するかが、非常に問われている。
 その一方で、国内で技能労働者を養成していけば、日本も欧米型の、自国発の製品によって稼ぐビジネスモデルに変革できる。そのために、日本の労働市場は大きく変わらなければならない。
 私は、このような変革は十分に実現可能だと考えている。日本人は、明治維新や戦後もそうだったように、非常に優れた民族で、逆境を乗り越えるバイタリティがある。根本的な変革ができることが、日本の本来の強さなのだから、きっとビジネスモデルの変革は実現するだろう。
寿命が延びても働ける時間は変わらないお金をかけない幸せを見つけよう
――「明るい2030年」を迎えられた場合、日本人はどういう生活を送ることになるのか。
 日本がビジネスモデルを変化させれば、個人も必ず幸せになれるかというと、そうとは言い切れない。なぜなら、今後も寿命が延び続けたとしても、残 念ながら働くことができる期間は延びないからだ。定年延長などはあるものの、60歳を過ぎればやはり労働者としての価値は低下し、それ以前のように働くこ とはできない。そうなれば、退職後の時間が延びるため、生涯の年平均所得は下がることになる。
 したがって考えるべきなのは、お金で買える幸せだけを追求せず、お金をかけずに贅沢を味わう方法や楽しみ方をもっと増やしていくことである。そう していかなければ、不幸な日本、日本人になってしまうだろう。子どもをテーマパークに連れて行くのもいいことではあるが、その次はあまり金銭的な負担の少 ないキャンプに行くなど、お金ばかりをかける生活を見直すべきである。
 これからの日本では、「国や企業が富めば、人間も豊かになる」という単純な理屈は通用しない。日本経済をどのような仕組み・ビジネスモデルにすれ ば、日本国民が豊かになるのか。行政も人々がお金をかけずに楽しめるような公園設備などの基盤整備をすべきである。それに伴って、我々日本人も徐々に意識 を変えていかなければならない。
質問1 あなたは、日本が「先進国型のビジネスモデル」へ変革できると思いますか?
描画中...52.6%
変革できるが、時間がかかる
28.9%
変革できない
14.4%
変革できる
4%
わからない


09. 2010年12月14日 16:16:21: Pj82T22SRI
>日本の法人課税負担率は7.1%でノルウェーの12.6%に次いで2位と高い、米国は3.9%で日本より可成り低い(財務省、日本は08年ノルウェーは05年)
だから法人税引き下げが必要としての根拠に使われている、
だがこれは逆、日本企業は社会的負担割合か少ないだけ儲けているからで、法人税率は米国と同じなのに企業の内部留保は200兆円とも言われている。
この理由は、すねに述べたが日本企業の人件費が安い、社会保険料負担が少ない

そうじゃなくて、規制のため、日本企業のほとんどが生産性が低い零細赤字法人で、税金を払ってないからだろ


10. 2010年12月14日 18:56:11: hLGykxX2YA
法人税を下げても従業員の給与に回る事はないでしょう
儲けたキャノン、ソニーの50%以上、トヨタも50%近くが外資が株主なので配当に回るのでしょう
総理、官房長官は国内に工場を作るよう、従業員の給料に回すよう期待していますのコメントしていますが、何を言ってるの?
会社の勝手でしょ!
それより、派遣を禁止するとか、労働分配率をセットでやるとかしなければ駄目でしょう
大企業の経営者で労働条件を良くしようとする経営者は皆無と言っても過言ではないでしょう
ハゲタカファンドが活躍できる状況になって来たと思います

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民70掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民70掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧