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アメリカの通貨発行権獲得のための苦闘の歴史と現在の日本との類似点(日本経済復活の会ブログ)
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/360.html
投稿者 JAXVN 日時 2010 年 12 月 11 日 13:07:20: fSuEJ1ZfVg3Og
 

「アメリカの通貨発行権獲得のための苦闘と現在の日本

アメリカ独立宣言の後も、アメリカは国際銀行家(ロス・チャイルド家等)による金融支配から逃れるための苦闘を繰り広げていたことは前回の
「アメリカ経済史に見る通貨発行の意義」
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/no22-c6e3.html
ですでに述べた。
1863年に「国法銀行法」が制定された。一見すると国のための銀行、つまり日銀のようなものかと思ってしまうが、実は銀行家のための銀行である。アメリカ政府債を銀行券の発行の準備金にあてる国法銀行は資本金の3分の1に相当する国債を購入し、これを担保に財務省から担保国債の90%に相当する銀行券を受け取り、兌換請求に備えて一定の法貨(金貨、銀貨、およびグリーンバック)を準備しておき、銀行券の発行を行った。

政府貨幣を発行しているのだったら、それを全国統一貨幣にすればよいのではないかと思ってしまう。しかし、実際は国際銀行家達の協力を得なければ政府も動けないということだ。「ただ、私は国家の貨幣発行をコントロールしたいだけだ。誰が法律を作ろうとかまわない。」とロス・チャイルドが言ったことからもそれが伺える。

国立銀行と言えども、その設立のための資本金は国際銀行家が出している。巨額の資本金が無ければ、誰もその銀行を信用しない。その資本金で国債を買う。その国債を担保に通貨を発行する。こうすれば、永遠に国はこの銀行に国債に対する利子を払い続けなければならない。しかも通貨発行権も、どこに融資するのかも、国際銀行家の自由自在ということになるのだから、アメリカは独立宣言後も、最も重要な部分を国際銀行家に奪われていたことになる。

真のアメリカの独立は政府紙幣を発行して国民のための政治をすることだ。人民のための政治をしようと政府紙幣を発行したリンカーンも、同様な努力をしたその他の大統領も暗殺されたと前回引用した宗氏の本に書いてある。暗殺の事実はあったとしても、その目的を特定することは難しい。しかしはっきり分かっていることは独立後も通貨発行権の完全な確保ができず、国債に対する巨額の利払いに苦しめられていたことだ。

前回も述べたが、当時のアメリカと現在の日本は類似点が多い。平成23年度の予算を見ると良い。

支出
  一般歳出(地方交付税も含む)   70兆円
  国債費            24兆円
  財投            16兆円
  国債償還            110兆円
収入
   税収            40兆円
その他の収入         4兆円
   国債発行          170兆円
    (新規 44兆円  借換債110兆円  財投債 16兆円)

税収が40兆円のときに、利払い等の国債費が24兆円、つまり我々の税金の実に6割が金融機関への助成金に使われている。それが国民を苦しめている。リンカーン時代のアメリカよりひどい。リンカーンが日本にいたらきっと言うだろう。税金は人民のために使えと。国債費はこれからどんどん増える。内閣府発表では2023年には税金のすべてを使っても国債費は払えなくなる。実際は内閣府の予想以上のペースで国債残高が増えている。40兆円の税収のときに、総額170兆円もの国債を発行している。破綻の可能性は無いにしても早く改革をして、税金は国民のために使うことができるようにすべきだ。

イギリスの改革案は、国債発行を減らす素晴らしい案である。
「英国財務省の独立銀行委員会が貨幣発行特権行使の検討を開始」
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-a945.html

政府貨幣発行も別な改革案であり、多くの経済学者が提案している。例えばディラードは、ロングベストセラーの『J.M.ケインズの経済学 : 貨幣経済の理論』[1950]の中で、需要不足のときは、赤字国債を大量に発行するのでなく政府貨幣を発行せよと述べている。114〜115頁(第21刷では139頁〜140頁の無利子資金調達法)から引用する。

 ケインズは述べていないが彼の利子の性質に関する理論から見れば当然問題となる財政政策の側面は、遊んでいる資源を働かせる計画をもって行われる公共支出のための資金を無利子で調達する方法はないかという問題である。借り入れ支出によって公債が増加し、公債に対する年々の利子支払額がかさむ。・・・赤字財政に対する大きな反対が現れる根拠が借入元金や公債に対する諸経費がかさむという点にあるとすれば、社会として遊んでいる資源を動員するのに必要な貨幣を獲得するために、銀行その他に利子を支払わなければならぬ理由について疑問が生じる。経済の発展に必要な新貨幣を発行するのに市中銀行に莫大な利子を支払うという形で市中銀行に補助金を交付する必要がいったいあるだろうか。

新貨幣の発行は政府の機能に属するのが適当ではないか。もしそうだとすれば、政府が直接新貨幣を発行して市中銀行に公債利子を支払わなくてすますことを妨げるものは何かあるか。・・・市中銀行が受取る利子所得は少しばかりの事務的サービスを遂行する費用を支払うに必要な金額を除けば、独占料金であって銀行の純粋な犠牲や機能に対する報償ではない。政府公債には危険性は極めて少なく、無危険投資に最も近い存在であると考えられ経済的根拠は存在しないようである。

・・・無利子融資政策は必ずインフレーションを引き起こすという反対論に対しては雇用の一般論の立場から容易に答えることができる。諸資源が使われていないで遊んでいる場合には、貨幣支出の増加は物価を引き上げず、むしろ雇用を増加するであろう。完全雇用の点を越えれば、更に貨幣の膨張を行う必要性はなくなる。完全雇用が達せられた後までも貨幣膨張が継続するならば、インフレーションが生ずる。しかし、これは貨幣膨張それ自身の結果であり、その実施方法によってはそのような結果は現れない。例えば、利付公債であってもそれを市中銀行にあまり多く売りつけすぎるとインフレーションを引き起こすことはあり得る。実際貨幣供給の操作を誤ればインフレーションを引き起こしたり、デフレーションを引き起こしたりするであろう。上述の反対論は政府貨幣発行の反対をしているのでなく、管理通貨制度そのものに反対しているのである。

お分かりだろうか。日本は国の借金の膨大な利払いに苦しめられている。しかし、次の3つのうちのどれかを採用すれば、日本をこの苦しみから永遠に解放できるのだ。今こそ決断の時だ。それによる弊害は消費税増税の弊害の1000分の1しかない。

@英国と同様の改革案を日本でも行うこと

A日銀に国債を大量に買わせること

B政府貨幣を発行すること」
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/no-d68c.html

「ただ、私は国家の貨幣発行をコントロールしたいだけだ。誰が法律を作ろうとかまわない。」
ロスチャイルドのこの言葉を今の日本に当てはめるとどうなるでしょうか?政府が何をやるにしても、財務省が、そしてメディアが「財源を示せ」と言います。国債を発行しようとすると、マスコミはそろって「未来にツケを残すな」と言います。通貨発行権は政府でなく財務省(=官僚)及びマスコミにあるように見えます。通貨発行権こそが政治権力の源であるとすると、権力は政府ではなく官僚とマスコミが握っている事になるのではないでしょうか。また政府が上の@〜Bのいずれかで通貨発行権を行使する事は、彼らから権力を奪う事になります。だからこそ官僚やマスコミといった「既存の権力者」はその動きに強硬に反対する、という事なのではないでしょうか?  

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コメント
 
01. 2010年12月11日 22:44:39: Pj82T22SRI
三橋貴明第79回 アメリカの戦略とTPP
2010/12/09 (木) 13:29
アメリカの雇用環境の悪化が止まらない。
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2010/12/07/011346.php
『2010年12月3日 ブルームバーグ「米雇用:11月は3.9万人増に減速、失業率9.8%に上昇」
 11月の米雇用者数の伸びは、予想を大幅に下回り、失業率は上昇した。
  米労働省が3日に発表した11月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比3万9000人増加と、ブルームバーグ・ ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値(15 万人増)を下回った。前月は17万2000人の増加と、速報値の15万1000人増から上方修正された。
 家計調査に基づく11月の失業率は9.8%で前月の9.6%から上昇し、4月以来の高水準を記録した。予想では前月と同じ9.6%だった。(後略)』
 11月のアメリカの失業率は9.8%と、前月よりも0.2%悪化した。参考までに、市場予測は前月(10月)同様の9.6%であった。アメリカの雇用環境は、アナリストの予測以上に悪化しているということである。
  オバマ政権は、失業率を押し下げるどころか、現状維持もできなくなりつつある。特に、製造業の雇用者が1万3千人減少と、ここ三か月で最も大きな落ち込み になったことは、今後のアメリカの戦略に影響を与えざるを得ないだろう。何しろ、市場の予想では、11月の製造業雇用者数は減少どころか、むしろ5千人増 加すると見込まれていたのである。
  ご存じの方が多いだろうが、製造業とは国内において雇用創出能力が高い産業の一つだ。これまでに何度か書いたが、アメリカは1930年代に失業率25%の 地獄を体験し、雇用環境の悪化には極めて敏感になっている。ほとんどトラウマと表現しても構わないほど、雇用悪化を嫌うのだ。今後のアメリカは、これまで 以上に、製造業による雇用創出に力を入れてくるのは間違いない。
 現在のアメリカは、一般的な失業者のみならず、パートタイマーや職探しを断念した人を含む「広義の失業率(いわゆるU6失業率)」が、すでに17%に達している。大恐慌期の25%に、刻一刻と近づいているわけである。
  不動産バブルが崩壊し、金融サービスによる雇用創出力を喪失したアメリカは、2009年5月以降、失業率が9%を上回る状況が、すでに20カ月近く続いて いる。月によっては改善するときもあるのだが、すぐに息切れをしてしまい、11月は再び10%のラインに近接したわけである。
  無論、アメリカの雇用環境は、一部のヨーロッパ諸国と比較すると「マシ」ではある。何しろ、現在の欧州では、ユーロ圏(16カ国)の失業率が10%を上 回っている状況なのだ。特に、雇用環境が最悪なスペインでは、失業率が20.7%に至っているのだ(その他、先日破綻したアイルランドが14.1%、時期 破綻国とささやかれているポルトガルが11%)。
 もっとも、「欧州諸国と比べると、相対的にアメリカの失業率はマシである」 などと言われても、アメリカの失業者にとって、何の慰めにもならないことは言うまでもない。
【図79−1 日米失業率の推移(単位:%)】出典:外務省
 当然ながら、今後のアメリカは自国の失業率を押し下げるために、なりふり構わなくなってくるだろう。
 とはいえ、財政出動は共和党や茶会党の圧力で困難になりつつあり、かつQE2(量的金融緩和第二弾)でどこまで雇用を戻せるか、あくまで未知数である。小泉政権後期の日本の経験を思えば、正直、クエスチョンマークを付けざるを得えない。
  バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、12月5日のインタビューにおいて、アメリカの失業率が「通常の水準」に低下するまで、5年を要する可 能性があると述べた。QE2による国債購入額についても、11月発表された6千億ドルを超える公算があるとの見解である。量的緩和を実施するFRB自身 が、アメリカの雇用環境の改善について全く楽観視していないわけだ。

 現在のアメリカは、「世界最大の需要」たる家計が、負債を削減している状況である。消費の目安になる、家計のクレジットカード残高の減少も止まらない。
  国内の最大の需要(アメリカの個人消費)が勢いを失っている中、量的緩和で金融市場に流動性を供給しても、民間の資金需要が拡大しない中では、銀行の融資 残高は増えない。本来は、政府の財政出動拡大により需要を創出したいところではある。とはいえ、バブル崩壊後のアメリカは、あまりにも政府負債残高を拡大 してしまい(これ自体は正しい政策であった)、政治的に「小さな政府」を求める声が高まっている。
 さらに、アメリカ経済にとって「肝心要」と表現できる住宅指標が、今ひとつパッとしない。10月のアメリカ中古販売成約指数は、前月比でこそ10%ほど伸びたものの、対前年比では22.4%と、大きなマイナスになっている。
 というわけで、今後のアメリカは容赦なく「外需」を奪いに来ることになるだろう。それも極めてスマートなやり方で。
 スマートなやり方とは、露骨な為替介入などには頼らない形での、輸出増を狙ってくるということだ。
 例えば中国に対する人民元切り上げの強化である。先日の中間選挙では、「失業問題! 中国のせいだ!」など、露骨な対中批判のCMが大流行したが、以前、本連載で取り上げた対中制裁法案が採決に向かう可能性もある。
 11月29日、アメリカの民主党及び共和党に属する二人の上院議員が、それぞれの党首脳部に対し、対中制裁法案の採決を求める書簡を提出した。両上院議員は、「中国の為替操作問題解決に向け、米政府は外交的な圧力を繰り返しかけてきたが、意義ある効果を全く生んでいない」 と、強硬に対中制裁法案の採決を求めたのだ。
 また、10月のG20で提案された、各主要国が経常収支黒字を一定規模に制限する「経常収支目標制」が、再び取りざたされる可能性もある。具体的には、主要国が経常収支の黒字幅を対GDP比で4%に制限する、事実上の「貿易の総量規制」だ。
 あるいは、対韓などで進展が見られたFTA(自由貿易協定)である。
『2010年12月5日 日テレニュース24「オバマ大統領が歓迎の声明 米韓FTA合意」
  アメリカと韓国の自由貿易協定(FTA)をめぐる交渉が3日、合意に達した。オバマ大統領は4日、「合意に至るのは容易ではなかった。しかし、今回の合意 は貿易協定に不可欠な成果を備え、米韓両国にメリットがある合意だ」と述べた。また、「国内に新たに7万人の雇用が創出される」とした上で、「アメリカが 掲げる輸出倍増計画を後押しするものだ」と述べ、合意を歓迎している。(後略)』
 オバマ大統領自身が、韓国と合意に達したFTAについて、「アメリカが掲げる輸出倍増計画を後押しするものだ」 と、評価しているわけだ。すなわち、アメリカは今年の1月の一般教書演説において、オバマ大統領が語った「同国の輸出を今後五年間で二倍にする」という無茶な目標について、冗談でも何でもなく、本気で推進しようとしているのである。
  先にも書いた通り、雇用創出能力が高い産業の一つが「製造業」である。アメリカで製造業を復活させるには、今ひとつ元気がない国内需要を当てにしても仕方 がない。当然ながら、同国は「海外需要」に攻め込むことで、国内製造業を復興し、雇用を改善しようとしているわけである。
 アメリカの輸出増のための戦略は、対日輸出についても、もちろん存在する。ご想像がつくかも知れないが、環大平洋経済連携協定、すなわちTPPである。
  まさしく「降って湧いた」ように、日本で突如始まったTPPに関する議論であるが、これこそが「対日輸出増」に基づいたアメリカの戦術の一つなのである。 今回、締結が目指されているTPPであるが、財の貿易については原則、全品目について即時または段階的関税撤廃を目指すという、極めてラディカルなもの だ。

 TPPは、元々はシンガポールやチリ、それにブルネイとニュージーランドという四力国が、06年に締結したものである。そもそもの目的からして、財の貿易や投資、人の移動など、幅広い分野の自由化を目指す、なかなか壮大な構想だ。
 TPPは、通常のFTA(自由化貿易協定)やEPA(経済連携協定)と比べ、参加に際したハードルが高い。今年に入り、アメリカ、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルーの五力国も参加を表明し、拡大交渉が始まったが、「日本も乗り遅れるな」 なる声が一気に高まってきたのはご存じのとおり。
 相変わらずマスコミの論調はよく分からないのだが、アメリカの輸出増を目指していることが明らかなTPPに対し、急速に「参加するべきだ」という議論が盛り上がっているのである。TPP参加の理由が「日本の国益のため」ではなく、「早く参加しなければ、手遅れになってしまう」 や、「早期に参加することで、TPP交渉における主導権が握れる」 など、率直に言っての意味不明なものが多いのだ。
 そもそも「アメリカの輸出増」を目的としたTPP交渉において、弱腰な日本政府が主導権を握れるはずなどない。特に、国益や戦略について無関心というか、「無知」な現在の民主党政権では、尚更である。
 また、TPP参加により日本の輸出産業が潤うという考え方も、単純すぎる。そもそも、80年代以降の日米貿易摩擦を受け、トヨタやホンダなどの主力輸出製造業は、アメリカにおいて現地生産をしている。
 例えば、09年におけるホンダのアメリカにおける現地生産比率は、すでに八割を超えているのだ。アメリカと共にTPPに参加したところで、少なくともホンダの輸出高は増えも減りもしないだろう。
 さらに、アメリカはTPPのみならず、為替レートにより自国の輸出競争力を高めようとしている。すなわち中期的なドル安政策だ。
  ドル安政策とは言っても、別に為替介入をするつもりはないだろうし、そもそもその必要もない。アメリカが量的緩和によりFRBのバランスシートを拡大して いけば、デフレが深刻化し、実質金利が高まっている日本の為替レートが上がっていくことになるだろう。すなわち、円高ドル安の継続だ。
  日本がTPPに参加したとしても、そのメリットは円高ドル安により相殺されてしまうだけの話だ。それどころか、日本の農産物の市場に、アメリカ製品が怒涛 のごとくなだれ込んでくる可能性がある。TPPで関税が撤廃され、為替レートがドル安に進めば、アメリカ農産物を押しとどめることは、ほぼ不可能になって しまう。
  例えば、アメリカの雇用問題や「輸出倍増計画」などをきちんと理解した上で、TPP交渉に日本政府が望むのであれば、それはそれで構わない。少なくとも、 今回のTPPの目的は「アメリカの輸出増」であることは理解しておいて欲しい。すなわち、アメリカ製品を日本市場に売り込むことこそが主目的なのである。
 そうである以上、本来的な交渉力は、日本の方にこそあるはずなのである。何しろ、日本の農産物市場は、アメリカ製品など特に必要としていない。
 アメリカの雇用問題を改善するために、「日本がアメリカ製品を買ってあげる。代わりに・・・・」 といった交渉ができるのであれば、TPPへの早期参加も悪くない。とはいえ、現実の日本の民主党政権では、まさしく夢のまた夢であろう。
  現在の世界、特にアメリカは「買い手」を切望している。そして、日本は長期的なデフレ、長期金利の低迷など、内需拡大の容易性に事欠かない状況なのだ。今 こそ日本が内需拡大に転換し、その過程でアメリカ製品を「買ってあげる」ことで、同国の雇用改善に協力する。これこそが、日本の国益である。無論、安全保 障面などで「それなりの代償」を得る必要もある。
  07年のバブル崩壊までのアメリカを見れば分かるが、本来、資本主義経済においては「買い手」の力が強いのである。世界的な需要の縮小期には、尚更だ。日 本が「買い手」としての強みをいかんなく発揮し、自国の国益のためにパワーを活用することができるのであれば、TPP早期交渉にも特に反対しないのである が、現実は厳しい。


02. 2010年12月11日 23:41:43: Pj82T22SRI
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米10月貿易赤字、大幅に縮小=対中赤字は依然高水準
2010/12/11 (土) 22:46

−輸出急増で10-12月期GDP押し上げへ−

【2010年12月11日(土)】 − 米商務省が10日発表した10月の米貿易・サービス赤字は、ドル安と貿易相手国の景気回復を背景に輸出が急増した一方で、輸入が減少したため、赤字幅が大幅に縮小した。

 エコノミストは、今後も輸出はドル安と輸出相手国の景気拡大に支えられて増加し、第4四半期(10-12月)から外需が米経済の拡大に寄与する方向に転換する可能性が高いと見ている。

■貿易赤字、13%縮小=9カ月ぶり低水準に

 10月の貿易・サービス赤字(季節調整済み)は9月の446億ドル(改定前465億ドル)から387億ドルとなり、13.2%縮小した。これは1 月以来9カ月ぶりの低水準だ。市場では前月比4.3%減の445億ドルと予想していたが、それを上回る大幅な縮小となっている。

 過去3カ月の移動平均と見ると、8-10月の平均赤字は434億ドルで、7-9月の平均448億ドルから改善している。

 しかし、1-10月累計の貿易赤字は4206億ドルで、前年同期の3025億ドルを39%も上回っており、また、年率換算でみても、今年は10月までの時点で5048億ドルの赤字ペースになっており、2009年全体の3749億ドルを34.6%上回っている。依然、高水準が続いていることに変わりはない。

 最近の赤字額の推移を見ると、1月は348億ドルと、3カ月ぶりに縮小に転じたが、2月に399億ドルと、再び拡大。3月は397億ドルと、ほぼ横ばいで推移していた。

 しかし、4月は前月比2.5%増の407億ドル、5月も同3.5%増の422億ドルと、赤字拡大のペースが加速、6月には赤字額は同19%増の501億ドルと、単月としては昨年7月以来約1年ぶりの大幅な拡大を記録した。

 7月は429億ドルに縮小したが、8月は、中国からの輸入が350億ドル超と過去最高を更新する中、再び469億ドル(改定前465億ドル)に急増したあと、9月は4.9%減の446億ドルとなっている。

■貿易赤字縮小、10-12月期GDP押し上げ要因に

 今回の貿易赤字の大幅縮小は第4四半期(10-12月)GDP伸び率を押し上げるプラス要因になると見られている。

 商務省が先月23日に発表した第3四半期(7-9月)実質GDP伸び率(季節調整済み、前期比年率換算)の第1次改定値は+2.5%と、速報値+2.0%から大幅に上方改定されたが、純輸出のGDP寄与度は−1.76%ポイント(速報値−2.01%ポイント、前期−3.50%ポイント)と、3 四半期連続でGDPを押し下げている。

 しかし、エコノミストは第4四半期の最初の月である10月の貿易赤字(純輸出の赤字)が大幅に縮小したことから、昨年第4四半期の+1.90%ポイント以来4四半期ぶりにGDPの押し上げ要因になる可能性があると見ている。

 このため、TD(トロント・ドミニオン)証券では、第4四半期GDP伸び率を従来予想の前期比年率+2.1%から+2.6%に上方修正している。

■輸出、3.2%増=2年2カ月ぶり高水準

 10月の輸出は前月比3.2%増の1587億ドルと、9月の同0.5%増以来2カ月連続の増加となり、水準的にも2008年8月以来2年2カ月ぶりの高水準となった。

 また、サービスを除いた財だけの輸出は、同4.2%増の1123億ドルと、急増している。これは、農産物の急増に加え、主力の自動車・同部品、さらには、消費財や工業用サプライ(石油含む原材料)も堅調となったためだ。

 9月の輸出増は、月によって変動が激しい民間航空機が前月比36%増と、急増した一時要因によるものだったが、10月は航空機の減少(前月比14.7%減)を相殺している。

 10月の内訳は、自動車・自動車部品が同4.6%増の97億ドルと、増加に転じ、工業用サプライ(石油含む原材料)も同8.1%増の347億ドルとなった。

 また、自動車・同部品を除いた資本財も同1.0%増の380億ドル、消費財も同0.9%増の139億ドルと、高水準となった。さらに、農産物も大豆や食用油を中心に同8.0%増の99億ドルと、過去最高となっている。

 輸出が増加したのは、前月と同様、ドル安の影響が大きい。今夏にFRB(米連邦準備制度理事会)が追加の量的金融緩和に踏み切るとの思惑が広がり始めてから、ドルは着実に下落している。

 FRBは8月10日のFOMC(連邦公開市場委員会)会合で、景気回復ペースが急速に鈍化しているとの認識を改めて示した上で、"QE(Quantitative Easing) Lite"と呼ばれる、小規模な量的金融緩和策を実施することを決めた。

 そして、今月3日のFOMC会合では、景気回復の遅れとディスインフレ(物価上昇率の低下)からの脱却を目指して、長期国債の買い取り規模を6000億ドル(約50兆4000億円)拡大することを柱とした追加量的緩和策を発表している。

 従来からの"QE(Quantitative Easing) Lite"と呼ばれる、2500億‐3000億ドル(約21兆‐25兆2000億円)の長期国債への再投資を加えることで、量的金融緩和の規模は8500 億‐9000億ドル(約71兆4000億‐75兆6000億円)へと、一気に3倍以上に拡大する。

 この発表を受けて、3日の為替市場では、ドルは主要通貨バスケットに対し、前日終値比で7%も下落したほどだ。

 しかし、今回の貿易赤字の大幅縮小で、第4四半期GDP伸び率が押し上げられ、景気回復ペースが加速するとの憶測で米国債が売られ、債券価格と反対方向に動く利回りが上昇し、ドルも上昇している。

 今週初めには、オバマ大統領が景気刺激策として、ブッシュ前大統領が2001年と2003年に実施した1兆.3500億ドル(約113兆4000 億円)の大規模減税の大半が2010年末に期限切れとなるため、共和党が主張していた期限延長・恒久化提案に譲歩する形で、2年間の延長を支持したことから、財政赤字が今後10年間で8580億ドル(約72兆円)も増える見通しとなり、国債売りが強まって利回りが上昇し始めていた。

 大規模減税の2年延長案に対し、下院の民主党は9日に反対決議案を可決して強硬に反対しているが、週明けの13日には上院が超党派で同法案を可決する見通しとなっている。

 FRB傘下のニューヨーク連銀が10日、来月に1050億ドル(約8兆8000億円)相当の国債買い取りのスケジュールを発表したことも国債売りにつながって、同日の10年国債の利回りは1週間前の3.02%から3.32%と、2009年半ば以来1年半ぶりの大幅上昇し、これもドル上昇の追い風となっている。

 主要通貨バスケットに対するドルの価値を測るドル・インデックスは今週の1週間だけで0.9%上昇。特に、ドルはユーロに対し、1.6%上昇、円に対しても1.7%も上昇している。

■輸入、前月比0.5%減=航空機と原油の減少で

 10月の輸入は前月比0.5%減の1974億ドルと、9月の同0.8%減に続いて2カ月連続の減少となった。

 9月は民間航空機の輸入増(前月比172%増)という一時要因のおかげで、大幅減少を免れたが、10月はその民間航空機(前月比40%減)も大きく落ち込んだことに加え、原油を中心に工業用サプライ(前月比3.5%減)と自動車(同0.1%減)、また、自動車を除いた資本財(同2.3%減)も減少したことが響いている。

 工業用サプライや資本財の輸入減少は、今後、製造業の生産活動が減速、あるいは、縮小に向かうようにも見えるが、先に発表されたISM(サプライマネジメント協会)製造業業況指数や製造業新規受注の結果は必ずしも製造業が減速に向かうとは示していないことから、過去数カ月の輸入急増の反動で、輸入在庫を調整していると見られている。

 また、明るい材料として、個人消費に支えられて、消費財(3.1%増)が増加に転じたことで最悪のシナリオだけは避けられたことだ。

 実際、商務省が先月24日発表した10月の個人所得・支出統計(季節調整済み、年率換算)は、個人消費と消費を支える個人所得の伸びがいずれも前月(9月)の急減速から一転して持ち直した。個人消費(名目値)は前月比0.4%増と、前月の同0.3%増を上回った。個人所得も同0.5%増と、9月の同0.1%減から増加に転じている。

 また、サービスを除いた財だけの輸入を見ると、前月比0.7%減の1637億ドルとなっている。特に、原油輸入(季節調整前)は同10%減の 189億ドルだった。これは1バレル当たりの原油価格が9月の72.36ドルから10月は74.18ドルに上昇したものの、輸入量が同12%減の2億 5450万バレルとなったためだ。

■対中赤字、輸出急増で大幅減少=それでも依然高水準

 国・地域別の貿易赤字(季節調整前)では、米国の貿易赤字の大半を占め、米国の赤字拡大の元凶とされている中国との貿易赤字は、米国から対中輸出が好調となり、前月比8.3%減の255億ドルとなったが、前年比は20.3%増と、依然、高水準に変わりはない。

 対中赤字は依然、米国の貿易相手国の中では最も大きい数字で、1‐10月累計でも前年比20%増の2268億ドルと、2008年に記録された過去最高に匹敵する水準だ。

 内訳を見ると、米国の対中輸出は同29.8%増の93億ドルと、大幅に増加したのに対し、中国からの輸入は同0.5%減の348億ドルに減少した。

 一方、中国側が10日発表した11月の貿易統計は、対世界貿易黒字が前年比15%増(前月比15.5%減)の229億ドルとなり、このうち、対米黒字は168億ドル、対EU黒字も136億ドルの高水準となっている。

 特に、輸出は新興国を中心に前年比34.9%増と、10月の22.9%増を上回り、輸入も同37.7%増と、10月の25.3%増を大幅に上回っており、依然、中国の貿易黒字が突出しており、世界貿易の不均衡の元凶となっていることに変わりはない。

 アメリカ製造業同盟(AAM)は依然、人民元は対ドルで40%も安すぎるとして、人民元の為替レートを操縦していると認定を遅らせる戦略は効果を発揮していないと批判。議会に対し、人民元の一段の切り上げを促すために対中経済制裁法案を早期に成立させるよう求めている。

■上院、対中経済制裁の下院法案支持に回る可能性

 下院は9月29日の本会議で、人民元の一段の切り上げ圧力を高めるための対中経済制裁法案を348票対79票の圧倒的多数で可決した。同法案では一律25%の相殺関税を中国からの輸入品のすべてに課すことが可能になる。

 これから審議する上院では、30人の有志議員が中国の王岐山副首相に書簡を送り、来年1月の胡錦濤国家主席の訪米前に人民元の十分な切り上げを可能にするよう求め、下院法案を支持する可能性を示している。

 人民元は6月のG20サミット (主要20カ国・地域首脳会議)開催直前に、人民元の一段の切り上げ方針を明らかにして以降、ドルに対し約3%上昇したが、11月だけを見ると、1ドル=6.69元から6.67元と、ほとんど変わっていない。

 AAMは10月の貿易統計の結果を歓迎しながらも、議会に対し、下院法案を成立させるよう求めている。

 米シンクタンクの経済政策研究所(EPI)によると、2010年だけで、米国の対中貿易赤字の拡大で、国内で50万人以上が失業したと分析している。内訳は対中輸出で19万5000人の雇用増があるものの、中国からの輸入増で76万1000人の雇用が失われるという。

 このため、米シンクタンクのピーターソン国際経済研究所では、人民元は今後2年間で、貿易加重平均で20%切り上げられるのが妥当な目標だと指摘している。 (了) 


03. 2010年12月12日 09:46:35: cqRnZH2CUM
基軸通貨のメリットデメリットを考えると、体制変換が必要か

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コンサルティングインサイト
[2010.12.10]第125回 人民元は基軸通貨たり得るのか
 
アジア事業開発部長 柏崎重人
「人民元建て貿易決済が急拡大」、「人民元建て決済 対象企業を拡大」といった報道が相次ぐなど、人民元国際化の動きに注目が集まっている。 2009年7月開始の「クロスボーダー人民元決済」は、本年6月には試行地域を4都市から20地域へ、対象地域を香港・ASEANから全世界へ拡大することが認められている。世界金融危機以降に始まった中国通貨当局と通貨スワップ協定を結ぶ動きも10カ国近くにまで増加、また、人民元の運用先として限定条件付きながら海外投資家に債券購入を認める動きなどと相俟って、中国は通貨戦略を着々と進めているように見える。
識者の中にはこうした動きを、中国の輸出企業が為替リスクを負わないようにするため、つまり、現状の輸出超過体制を維持した経済成長のための人民元国際化・主要決済通貨化を狙ったものと評している。なかには金融危機を端緒に信頼揺らぐ基軸通貨米ドルの代わりを、時間をかけて人民元が担うようになる流れを指摘する向きもある。仮に人民元が基軸通貨の地位につけば、中国は自国通貨建てで国際取引ができるため、為替変動リスクを最小化し、さらに、自国通貨での対外支払いが可能になるため、経済活動が国際収支の制約を受けないなど、通貨発行益を含めた大きなメリットを享受することになる。(1)軍事をはじめ国際政治における影響力が大きく指導的立場を担い得る、(2)基軸通貨を支える強い実体経済が存在するなど、基軸通貨国に必要とされるいくつかの条件を考えれば、中国が将来的に基軸通貨国となる可能性は強ち否定できないかもしれない。
しかし筆者は、中国の経済構造や世界通貨システムの現状から考えて、人民元が基軸通貨あるいは世界の主要取引決済通貨の地位につく可能性には大きな疑問を持っている。基軸通貨として備えるべき条件として、(1)国際間の貿易・資本取引に広く使用される決済通貨としての側面、(2)各国通貨の価値を測る基準通貨としての側面、(3)各国当局が外貨準備として保有する準備通貨としての側面などが必要になる。このうち(2)と(3)に関しては、中国経済の強い影響力を背景に今後の人民元が徐々に備える可能性は十分にある。一方、(1)決済通貨としての前提である人民元の供給力(あるいは流動性供給力と言ってよいかもしれない)については、基本的に経常収支(貿易収支)が赤字の状態にあることが必要になる。つまり、輸入等を大きく増やして世界中に人民元を供給する状況が継続しないと世界中に人民元を行き渡らせることはできない。人民元が世界中に行き渡っている状態があってはじめて、人民元が決済通貨として便利に使用されることになるのだ。
こう考えると、そもそも対外純債権国として足元で積上る米ドル等の為替リスクを避ける目的で人民元の基軸通貨化を模索するアプローチは、結局は経常収支赤字の継続という現在の経済・産業構造の大転換を必要とするという自己矛盾を孕んでいる。中国にとって、何のための人民元の基軸通貨化・主要決済通貨化なのかという問いを改めて考えねばならず、まさに日本が円の国際化を議論する過程で指摘されたのと同じ問題に直面することになる。要するにグローバルインバランス(対外不均衡)の問題を、通貨の問題、つまり為替調整や国際通貨システムの変更等で解決することは、基本的にできないと肝に銘ずるべきではないか。
かつて英ポンドから米ドルへ基軸通貨の座が段階的にシフトした1920〜40年代は、金本位制(金為替本位制)の下で輸出超過、黒字獲得を続けたアメリカに世界中の金の大部分が集中していくという事情があった。金本位制下では、黒字累積が金の保有増を通じて当該国の経済的な立場を強くするから、アメリカの対外準純債権国という立場はそのまま基軸通貨国の大きな条件として作用した。また、40年代後半には第二次大戦で被災した欧州の復興のために、アメリカは西側欧州16カ国に対して大規模な復興援助計画「マーシャルプラン」を推進した。同プランに基づく無償援助総額は100億ドルを超え、当時の援助対象諸国の国民総生産総額の5〜10%に相当する米ドルが数年に亘って供与された。この資金を元に欧州各国はアメリカから資本財等を輸入して、戦後復興を早期に成し遂げることとなるのだが、この無償の資金供与が世界中に米ドルを行き渡らせ、米ドルの基軸通貨としての地位を完全なものとする決定的なイベントとなった点は忘れてならない。
以上に対して、現在の世界経済の通貨システムは不換紙幣つまり管理通貨制度下で運営されている。中国の輸出超過、経常黒字の継続や外貨準備の蓄積が、そのまま当該国の経済的な立場を強くすることを意味しない。基軸通貨や主要国際決済通貨というものは、事実として存在する現象に過ぎず、事実としてその通貨が世界中に豊富に供給されていて、調達の容易さなど決済時の利便性が高いことが重要な意味を持つのである。この点、中国の人民元が事実として世界中に行き渡る状況がどのようにして作り出されるのか、これが今後の人民元の行方を決定する重要ポイントとなろう。あるいは中国は、諸外国向けに相当水準の人民元を無償供与し、これら供与国向けに「世界の市場」として内需を提供する用意をしようというのだろうか。
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* 第124回 プレミアムとシナジー 


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