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ギリシャ→アイルランド→ポルトガル→スペイン→イタリア→イギリス?  (ROCKWAY EXPRESS )
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/306.html
投稿者 新世紀人 日時 2010 年 12 月 04 日 15:29:04: uj2zhYZWUUp16
 

http://rockway.blog.shinobi.jp/Entry/463/

ギリシャ→アイルランド→ポルトガル→スペイン→イタリア→イギリス?

ギリシャ→アイルランド→ポルトガル→スペイン→イタリア→イギリス?

ヨーロッパに金融崩壊ドミノ?

◆11月29日

 ヨーロッパでは一国だけでなく、以下のように多くの諸国が金融問題を抱えている。そしてこれら全ての国の金融問題を「救済」することは至難の業と見られている。

 そうするとどうなるのか、といえば、結局は破綻するしかない、となる。特に今までは比較的経済規模の小さな国の問題だったから、なんとかしのげたかもしれないが、これがスペインやイタリア、果てはイギリスとなると、もはや「救済」は不可能となるだろう。

 しかしその際、救済されずに破綻するのは国家であり、銀行ではない。銀行は救済されている。こうして、巨大銀行の支配者らは自らの懐は痛めないで、損失は国家すなわち国民に肩代わりさせることに成功することになる。

 従って、大きすぎて破綻させられない、という論理は、銀行のための銀行の作った御託宣であり、決して国家のためでも国民のためでもない。

 このことはリーマン・ショック以来言われてきていることだ。つぶれるべきはつぶれるに任せることが必要である。銀行がつぶれても、国民を救済すればよいのだ。銀行に資金を流すのではなく、国民に資金が行き渡る工夫をすべきなのだ。これがこれからの世界的大破綻を前にして政府が取り組むべき課題となるべきである。


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●ギリシャ→アイルランド→ポルトガル→スペイン→イタリア→イギリス?
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=22129
【11月27日 by Washington's Blog】

 今や、ヨーロッパのソブリン・デットの伝染が大まかに言って以下の流れでドミノ倒しとなる可能性があることが常識的な認識となっている。

ギリシャ→アイルランド→ポルトガル→スペイン→イタリア→イギリス

 もう1年以上前からこのことを書いてきている人々がいたが、今や多くの人々がこの問題を議論しているサイトに参加している(60万以上のヒット)。

 
 ギリシャとアイルランドは比較的経済規模の小さな国であるが、スペインがドミノ倒しとなれば問題は大きいだろう。

 アイスランドは世界では112番目の経済規模で、アイルランドは38番目、ポルトガルは36番目である。これに比べて、スペインは9番目に大きい経済を持ち、イタリアは7番目、そしてイギリスは6番目である。最後の3カ国の内の1カ国でも経済崩壊すれば世界経済にたいしては破壊的な影響がある。

 ヌリエル・ルビニは今年2月に以下のように書いている:しかしドミノの真の悪夢はスペインだ。ルビニはスペインの負債問題は「家の中の象」と表現している。
 「スペインをフェンスで囲むことはできる。アイルランド、ポルトガル、ギリシャに3年ほどの財政支援を正式に行うことはできる。彼らを市場から抜けさせるのである。おそらくは彼らの負債を可能なラインにまで再編して減らすことになる」
 「しかしスペインが崖から落ちればスペイン救済に必要な公式な資金はヨーロッパには充分に存在しない。スペインは大きすぎるから倒すわけには行かないが、救済するにも大きすぎるのだ」

 スペインの問題はまずその公債の大きさだ:1兆ユーロだ。スペインは民間の対外債務も1兆ユーロある。これだけの大きさがあると、政府レベルでも超国家的なレベルでも救済のための充分な資金がないというのが実情だ。


 以前指摘したように、世界で4位と5位の経済を持つドイツとフランスは、ポルトガルとスペインに最大のエクスポウジャーを持つ。伝染する危険に加えてユーロ圏内での相互関係がある。

 自国の経済を上手くやりくりし貸し出しに使えるほどの過度な準備金を貯め込んだ債権国によるユーロ圏の救済、という体裁を保つようにしているがショーン・コリガンはユーロ圏の救済はねずみ講と一緒だと指摘している:数兆ユーロにのぼる詐欺の規則の下では、国家はECBを保証し、ECBは銀行に貸し出し、銀行は政府の負債を買い込み、政府は全ての者の保証をしている。

 (アメリカも事情は変わらない:多くの者たちが、アメリカは巨大な詐欺を働いていると言っている。そしてアメリカとヨーロッパは支払不能の銀行の問題を偽りのストレステストでもってもみ消そうとしている)

 そのようになる必要ななかったのだ。ヨーロッパの諸国は銀行のために犠牲になる必要はなかった。

 ルビニは2月に書いている:「我々は銀行システムの損失を社会化することを決めていた」・・・

 ルビニは更なる介入の試みはソブリン・デット問題を大きくするばかりだと考えている。彼は、「今はこういった諸国の救済をする超国家組織のIMF、EU、ユーロ圏が存在している」。超国家組織は国債を引き受けることで問題を集中化することになり問題のスケールを大きくしている。

 ルビニは超国家組織の介入を単に缶をけり転がすだけのことだ、と説明している。彼は、「IMFやユーロ圏を救済するために、誰も火星や月から助けに来てくれる者はいない」と苦々しく語る。

 しかし、国家レベルや超国家レベルでの負債の借り換えをしても、最終的には現実が立ちはだかる:「いずれそのうち、負債の再編が必要になる。銀行の債権者は清算されねばならない。でなければ、これら全ての負債を政府のバランス・シートに記載しなければならなくなる。政府は耐え切れずに支払い不能に陥るだろう」。

 ここに4月の記録がある。

 2008年12月に指摘したように、中央銀行間の取引を調整するために、BIS(国際決済銀行)はしばしば中央銀行の中央銀行と呼ばれる。

 銀行救済パッケージは深刻なリスクを政府のバランス・シート上に移しているとBISは新しいレポートで指摘している。それが国家CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の拡大に比例して現れている。

 銀行救済パッケージの大きさと拡がりは政府のバランス・シート上に深刻なリスクを移していることを意味する。これは民間の大銀行の救済ないしはアメリカを含む金融セクターのための広範囲な支援パッケージに関わる国家のCDSの市場にとりわけはっきりと示されている。こういったCDSは、支援パッケージの発表前にはわずかに取引されていたのだが、クレジットの保護のための要請が拡大したため突然、急速に拡大し、反対に金融セクターへの拡大は鈍化した。

 つまり、有毒デリバティブを取引している銀行によるリスクの巨大さに鑑みて、また自分たちの保有しない兆という額を使うことで、各中央銀行は自国をデフォルトのリスクに晒したのだ。・・・ 

 しかし、彼らには他の選択肢はなかった・・・そうではないか?
 国家は自国の銀行を救済する以外の他の選択肢はなかったであろう、そうではないか?
 実際そのように彼らはした。

 有力なマネタリー・エコノミストはウォール・ストリート・ジャーナル誌に対して、これは流動性の危機ではなく、支払不能の危機だ、と語った。彼女は、バーナンキは最後の決戦をしている。そして彼はまずいやり方をしている(他の中央銀行と同様に)、と述べている。

 ポール・クルーグマンとジェームズ・ガルブレイスはその見方に同意している。彼らは、誰も願わない有毒アセットの価格を引き上げようとする政府の試みは何にもならないと言っている。

 BISは連邦準備銀行と他の中央銀行の影の銀行システムの規制の失敗、トリックと緩和策の使用という安易なクレジット・ポリシーを酷評した。そして、
1.市場での真の価格に見合うまでアセット価格を下がるに任せること
2.貯蓄率を上げること
3.各企業の不良債権を回収不能として帳消しにすること

以外のことは事態を悪化させるばかりだ、と語った。

 住宅バブル問題を抱えているのはアメリカだけではないことを思い起こそう。世界の中央銀行は住宅バブルが膨らむままにさせていたのだ。2008年12月に以下のように書いた:・・・バブルはアメリカに限定されているわけではない。不動産バブルは世界的である。

 実際、エコノミスト誌は2005年に、住宅不動産価格はこの10年間で「歴史的に最大のバブルだ」と書いている。エコノミスト誌は、当時では、先進国の居住用財産の総額は過去5年間で30兆ドル増加して70兆ドルになり、これらの国家のGDPを合せた額と同じ額上昇した、と指摘していた。

 住宅バブルは今や中国、フランス、スペイン、アイルランド、イギリス、東ヨーロッパ、その他の多くの場所で、破裂しだしている。
 
 そして商業用不動産のバブルもまた世界的に破裂しだしている。
 BISはまた、救済は経済に悪影響を及ぼす(前FRB議長の公開市場操作で行った)と警告した。実際、救済は更に危ないことを煽るようになるモラル・ハザードの雰囲気を作り出した。ノーベル賞受賞者のジョージ・アケロフは1993年に、クレジット・デフォルト・スワップは大規模な破綻を招くこと、また未来の破綻は、事態がまずい方向に進んだ際には支払うことができないような賭けによって、そしてそういったギャンブラーたちを救済することで、巨大金融業者らが不正収得することを政府が阻止しない限りは、必ず起きると予見していた。

 こういった真実はヨーロッパ同様アメリカでも当てはまることだ。中央銀行は間違ったことをしてきた。彼らは事態を何も改善していない。ただ単に有毒デリバティブとその他の金融爆弾を巨大銀行から国家に移転させただけなのだ。

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2010/11/29 (Mon) 経済


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コメント
 
01. 2010年12月04日 16:52:20: IOzibbQO0w
>イタリア→イギリス?

英は自前の中銀を持つから、中銀が結託して破綻させなければ、これは起こらない
しかし破綻させて債務整理した方が、まともな国民にとっては安くつくだろう


02. 2010年12月04日 17:03:23: IOzibbQO0w
> スペインの問題はまずその公債の大きさだ:1兆ユーロだ。スペインは民間の対外債務も1兆ユーロある。これだけの大きさがあると、政府レベルでも超国家的なレベルでも救済のための充分な資金がないというのが実情だ。

日本の債務GDP比と比べてみればいいが
これに関してはGS会長が言っている通り
EUのGDP規模から見たら、大したことはない
ECBが十分処理できるサイズだ


03. 2010年12月04日 17:05:50: IOzibbQO0w
>  BISは連邦準備銀行と他の中央銀行の影の銀行システムの規制の失敗、トリックと緩和策の使用という安易なクレジット・ポリシーを酷評した。そして、
1.市場での真の価格に見合うまでアセット価格を下がるに任せること
2.貯蓄率を上げること
3.各企業の不良債権を回収不能として帳消しにすること
以外のことは事態を悪化させるばかりだ、と語った。


長期的には、その通り、しかし短期的には大きな景気後退と失業の嵐を呼ぶ
そのような火中の栗を拾えるかどうかだが、ドイツならやりかねないなw


04. 2010年12月04日 17:21:01: ibwFfuuFfU
理論的には文字通り詐欺金融で数百兆円濡れ手にアワリングしたヘッジファンドその他、金融詐欺師連中の資産を全額没収して、世界金融中央基金を作って対応するしか方法はないのだが、もちろん立法・行政・司法・メディアをすべて押さえているのだから、そんなことが起こるわけもないね。

05. 2010年12月04日 18:09:39: IOzibbQO0w
三橋貴明
第78回 アイルランド危機と国家の責任
2010/11/30 (火) 12:07
 前回の予想通り、アイルランドが破綻した。この場合の破綻の定義とは、政府もしくは民間の対外負債の問題で、政府がIMFもしくはEUなどの国際機関に支援を要請することである。
『ブルームバーグ「アイルランド、850億ユーロの支援で合意−フィンランド財務省」
 アイルランドは欧州連合(EU)とIMF(国際通貨基金)からの支援について合意に達した。フィンランド財務省の報道官が28日に述べた。
 規模の総額は850億ユーロ。これにはアイルランドの年金基金の175億ユーロが含まれる。フィンランド財務省の報道官が電話インタビューで述べた。』
『ブルームバーグ「IMF:アイルランドへの225億ユーロ支援、事務レベルで合意」
 国際通貨基金(IMF)は、アイルランドに対する国際的な救済計画で約225億ユーロ(約2兆5100億円)を拠出することに、事務レベルで合意に至ったと発表した。
 IMFは、欧州連合(EU)と欧州各国と共に総額850億ユーロのアイルランド支援を行う。ストロスカーン専務理事が電子メールを通じて明らかに したところによれば、IMFは融資手続きを迅速に進める手法を取っており、理事会は12月に承認するとみられるという。(後略)』
 ギリシャの破綻が公務員給与や年金など、まさしく「財政」の問題であったのに対し、アイルランドは日本でおなじみの「銀行」の問題である。
 現在、アイルランドの銀行は貸倒損失や預金流出に見舞われており、このままでは銀行の対外負債の返済が滞る状況になっていた。結果、アイルランド 政府は一部の銀行への資金注入や債務保証に乗り出さざるを得なくなってしまったわけだが、同国の対外負債は経済規模に比してあまりにも巨額に達している。 結局、アイルランドは「政府がIMF及びEUへの支援を要請する」という形での破綻を迎えざるを得なくなってしまった。
 アイルランド政府の銀行救済コストは、最大500億ユーロに達すると推定されている。同国のGDP(09年数値で1635億ユーロ)に比して、あまりにも大きくなってしまったわけだ。日本で言えば、150兆円もの救済コストが必要になったようなものである。
 その意味で、アイルランドの破綻はギリシャよりも、むしろアイスランドに似ている。アイスランドの場合も、国内の「銀行の対外負債」が過剰にな り、通貨(アイスランド・クローネ)暴落もあり、政府の手に負えない事態に至ってしまったわけである。アイスランド政府は複数の銀行を国有化したものの、 GDP比で9倍という凄まじい対外負債の額に、最終的にはギブアップ宣言を出したわけだ。
【図78−1 アイルランド、ギリシャ、日本、アメリカの対外負債、GDP(いずれも左軸、単位十億ドル)、対外負債対GDP比率(右軸、単位%)】出典:世界銀行(対外負債)、IMF(GDP)
 図78−1は、アイルランド、ギリシャ、アメリカ、そして日本の対外負債とGDPを比較したものだ。(ギリシャの対外負債のみ、破綻前の2010年Q1 の数値)意外に思われるかも知れないが、アメリカの対外負債は確かに巨額ではあるが、実はGDPと同規模でしかないのである。
 アイルランドの2010年Q2時点の対外負債の額は、09年GDPの9倍を上回る水準にまで拡大している。関連性あるかどうか、確実なことは言えないが、対外負債がGDPの9倍とは、ちょうどアイスランドが破綻した時点と同水準である。
 アイルランドがユーロ加盟国でなければ、同国は09年の時点ですでに破綻していただろう。アイ「ス」ランドの方は、金融危機に独自通貨クローネの危機が重なり、一気に破綻に追い込まれた。
 リーマンショックを受け、アイスランド・クローネの価値は、それ以前の半分になってしまったのだ。通貨暴落時は、政府が外貨準備を取り崩し、価値 を維持する「通貨防衛」をするわけだが、アイスランド政府には十分な外貨がなかった。結果、アイスランドの銀行は対外負債の返済不能に陥り、政府もギブ アップ宣言を出したわけである。
(2/3に続く)
(2/3の続き)
 無論、アイルランドの不動産バブルにより、アイルランド国民が享受したベネフィットも、決して小さくはない。とはいえ、アイルランドのバブル崩壊と救済は、外国が大きく絡んでいるという点で、日本のケースとはまるで違うことは確かである。
 何を気にしているのかと言えば、以前取り上げた「アイスランドの預金」の問題を思い出したわけだ。英蘭の一般預金者が高利回りに惹か れ、アイスランドの民間銀行に預金をした。アイスランドが破綻した結果、英蘭の預金者は大損をするはずだったところを、両国政府が「アイスランドへのロー ン」という形で、自国の預金者の債権を補償したのである。
 その後、アイスランドの国民は「アイスランドへのローン」という形で、英蘭政府が自国預金者への補償に遣ったお金の返済を拒否し、大問題になっ た。とはいえ、よくよく考えてみると、そもそも英蘭の預金者は自らの判断に基づき、アイスランドの銀行にお金を預けたわけである。それが破綻したからと いって、アイスランド国民がその債務を負担するというのは、微妙な感じがするわけだ。
 すなわち、国家はどこまで「民間の対外負債」の責任を負うべきか、という話である。これが国債すなわち政府の対外負債であれば、国民が責を負うべきという話はクリアーになるのだが。
 現時点では、自国の銀行問題で対外負債の問題が発生した場合であっても、IMFなどから支援を受けた場合は、国民が痛みを強いられることになる。すなわち、IMFの構造調整計画による緊縮財政である。
 特に、アイルランドの場合は、自国では通貨政策を持たない。すなわち、自国で自由に発行することができない「ユーロ」を外国に返済していかなけれ ばならないのである。さらに、アイルランドがユーロに加盟している以上、少なくとも対ユーロ諸国に対しては為替レート下落による輸出競争力の強化という 「ボーナス」は発生しない。
 アイルランドの場合、ギリシャと比べると製造業の基盤が強固だ。自国通貨であり、為替レートの下落による輸出競争力の強化が果たせれば、比較的早 い時期に経常収支が黒字化する可能性が高い。何しろ、アイルランドは「ユーロ加盟前」までは、「ケルトの虎」の異名の通り、経常収支の黒字を稼ぎ続けてい たわけである。
 アイルランドの国民は、今後、共通通貨ユーロという「呪縛」を背負いつつ、国内から調達したユーロで「民間銀行が負った」対外負債を返済していか なければならない。経常収支の黒字化が難しい以上、アイルランド政府は国内で緊縮財政を強行するしかなく、逆にそうしなければ金融市場の信用を取り戻すこ とはできない。
 とはいえ、アイルランドは09年のCPI上昇率がマイナス5%という、凄まじいデフレ環境下にある。デフレ環境下で政府が緊縮財政を強行した場合、GDPはますます縮小する可能性が高い。それは1930年代のアメリカや、98年以降の日本のケースを見る限り、明らかだ。
 さすがに政権が持たないだろうと予想していたら、やはり総選挙ということになりそうである。
 アイルランドのカウエン首相は、EUやIMFからの支援の条件となる緊縮財政を盛り込んだ予算案を国会で成立させた後、2011年の早い時期に解 散総選挙を求めるという考えを表明した。当然の話ではあるが、現在、カウエン首相が率いる与党共和党の支持率は、約17%に低迷している。総選挙が行われ た場合は、政権交代が起きる可能性は決して低くない。
 とはいえ、たとえ政権交代が実現したとしても、アイルランドという国家、あるいは国民が「銀行の不良債権問題」に端を発した、対外負債危機の責任 を取らなければならないという現実は変わらない。(政権交代したからといって、前政権の「国家の約束(普天間基地の移設問題など)」をひっくり返してしま うような素人政権は、先進国では日本の民主党くらいである)
 アイルランドの財政危機とその後の処理に関する事例は、国家の責任というものを改めて考えさせてくれるのだ。

06. 2010年12月04日 18:12:30: IOzibbQO0w
【第2回】 2010年12月2日高橋洋一 [嘉悦大学教授]シニョレッジ(通貨発行益)を見落としている量的緩和「懐疑論」の誤り8
 今回は、前回のコラム「ようやく世界標準の政策を採った日本銀行 量的緩和は物価・景気にこうやって効く」の続編だ。
 量的緩和懐疑論は、印象論的なものが多いが、きちんとしたものでも、その主張はゼロ金利下では日銀による国債の購入は効果がなく、その他の金融資産の購入であれば、多少の効果はあるという程度だ。
 その前提となっているのは、量的緩和しても貸し出しが伸びない状況では、「ブタ積み」(注)になってしまうだけで、貸し出しは伸びないというもの だ。(注:金融機関が、日本銀行に預け入れる無利子の預金のことを預金準備または準備という。法律で自金融機関の預金の一定比率以上を預け入れることが定 められており、この比率を超える超過準備のことを俗にブタ積みという)
 それを理論的に考えてみると、量的緩和しても、バランスシートの基本論からいえば銀行の資産側の貸出は負債側の預金と連動するという意味で、表裏一体である現金+預金というマネー・ストックが増えないということをもって、量的緩和に懐疑的であるようだ。
量的緩和で政府、中央銀行、民間銀行のバランスシートはどう変化するか
 そこで、量的緩和の効果をミクロ的にみるために、政府、中央銀行、民間銀行のバランスシート(B/S)の変化として、まとめてみよう。
まず、はじめの状態が図1だ。
(注)国債Tは日本銀行が保有する国債、国債Uは民間銀行が保有する国債を表す。
次のページ>>国債・資産購入によるバランスシートの変化
日銀が民間銀行からの国債購入によって、量的緩和を行った場合、日銀は購入資金を民間銀行が保有する日銀当座預金に振り込むので準備が増加し、それ と同額の保有国債が増加する。一方、銀行では準備が増加するが、その分銀行の保有国債が減少する。その結果、日銀と銀行のB/Sが変化し、図2になる。日 銀がリスク資産購入による量的緩和を行った場合でも変化があり、それが図3だ。


次のページ>>日銀と民間銀行の統合バランスシートを作ると
 その上で、現金+預金というマネー・ストックがどのように変化するかをみるために、日銀と銀行を統合したB/Sを作ってみる。国債購入による量的緩和の場合が図4、リスク資産購入による量的緩和の場合が図5である。
(注)日銀準備と民間銀行の準備資産は相殺されるので消える。

 ここで、現金+預金というマネー・ストックに着目しよう。国債購入による量的緩和の場合にはマネー・ストックは変わらず、リスク資産購入による量 的緩和の場合にはマネー・ストックが増えていることから、懐疑論が主張するように前者には効果なし、後者には一定の効果ありとなるようにみえる。
次のページ>>シニョレッジこそ中央銀行の本質
シニョレッジこそ中央銀行を他の銀行と区別する本質的な違い
 果たしてそうであろうか。ここで、思い出すのは、「バーナンキのケチャップ」である。要するに、中央銀行が購入する資産はなんでもいいという意味 だ。筆者は、1998〜2001年までプリンストン大学にいた。そのときに経済学部長であったのがバーナンキ教授だ。そこで同教授とは大変親しくさせても らった。
 その当時、プリンストン大学では、バーナンキのほかにブラインダー、ウッドフォード、スベンソン、そして2000年からクルーグマンが加わり、毎 週セミナーで喧々諤々の議論が行われていた。筆者もそれに参加していたが、「ケッチャップ」という発言をする者もいた。それについて、バーナンキを含めて 誰も否定しなかったので、いつしか、バーナンキのケッチャップといわれるようになった。
 そのロジックの根幹は、前回のこのコラムで書いたシニョレッジ(通貨発行益)だ。これこそ、中央銀行をほかの銀行と区別する本質的な違いである。そこで、次のような問題意識が重要になる。
 金融政策のトランスミッション(伝播)メカニズムを正しく理解するためには、準備預金制度や短期金融市場などの金融政策に関連する制度的機構についての金融論的な知識とともに、中央銀行として得られるシニョレッジ(通貨発行益)がどのようになるかという知識も必要だ。
 そこで、政府と日銀との統合バランスシートを作ってみよう。日銀は政府の子会社である。だから統合してみるのは自然である。経済学でも、統合政府 という表現で、しばしば政府と中央銀行を統合して考えている。統合B/Sの場合、日銀のB/Sでは資産にあった国債は、政府の国債の一部と相殺されて、残 りが負債となっている(国債III=国債−国債II)。
次のページ>>預金準備が増加することの意味
国債購入による量的緩和の場合には、準備は増加するが、その分国債は減少し、図6となる。

 これは、日銀が国債を銀行から購入する結果、広い意味での政府(統合政府)の債務としての国債は減少し、一方で準備が増加するのだ。日銀が保有す る国債の利払いは政府が行うが、それは日銀から政府への納付金になる。また、日銀の保有する国債の償還期限がきても、乗り換える。こうして、政府の実質的 な債務が減少したと考えられるわけだ。その一方で、準備が増加する。これは現金と同じであるので、マネタリーベース(準備+現金)の増加を招く。
 このプロセスを細かくみよう。国債購入による量的緩和を行うと、次の期には、国債購入額に利子率をかけた額だけ、日銀から政府への納付金が増え る。それは日銀が国債を保有している限り続く。そこで、それらの現在価値の総和をとると、国債購入額に等しくなる(諸費用を除く)。これが、シニョレッジ (通貨発行益)だ。
 なお、しばしば、金利がゼロなら貨幣と国債は完全代替物となるといえるが、実際には金利はゼロでない。だからこそ、マネタリーベースのところはシニョレッジ(通貨発行益)が発生するが、国債には発生しないのだ。
次のページ>>マネタリーベースこそシニョレッジの源泉
 これをイメージしやすくしたものが、実は政府通貨のアイデアである。会計上の違いによって、シニョレッジ(通貨発行益)の計上は、日銀の量的緩和 では各期の利払い相当額、政府通貨発行では当期に全額となっているが、現在価値ベースでみれば両者は同じ。要するに、マネタリーベースの増加額がシニョ レッジ(通貨発行益)になる。
 そこで、リスク資産購入による量的緩和をみよう。図7だ。やはり、マネタリーベースは増加しているが、一方で資産にリスク資産がのっている。

 ここで、注目すべきは、国債購入による量的緩和の場合とリスク資産購入による量的緩和の場合の比較である、ともに、マネタリーベースは同額増加し、同じシニョレッジ(通貨発行益)を得ている。
マネタリーベースこそがシニョレッジの源泉
 要するに、注目すべきマネー・ストックは現金+預金ではなく、マネタリーベース(準備+現金)である。なぜならそれがシニョレッジ(通貨発行益) の源泉であるからだ。このマネタリーベースの増減は、量的緩和で購入対象資産を何にするかとは無関係である。これが、バーナンキのケチャップである。マ ネー・ストックとして現金+預金をみていると、シニョレッジ(通貨発行益)を見落としてしまう。
次のページ>>シニョレッジの大きさで予想インフレ率が高まる
そして、このシニョレッジ(通貨発行益)の大きさによって、予想インフレ率が高まる。どのような経路であるにせよ、シニョレッジ(通貨発行益)が、 経済の非貨幣財の需要を押し上げるからだ。そして、それが実質金利の低下になって設備投資を促し、総需要を押し上げる。これらは、前回のこのコラムで述 べ、各国における現実の数字(半年程度のラグで実質金利を下げる)も掲げたところだ。
 ただし、実際に効果が出るまでには、様々なタイムラグ(時間の遅れ)があることを考慮しなければいけない。量的緩和してから、予想インフレ率が上 がり出すのは半年くらいずれるときが多い。さらに、実質金利が下がっても、すぐに設備投資は増えないこともある。貸し出しが増え出すのは、さらに遅れる。 というのは、現在は、企業は内部資金で設備投資をなんとかまかなえるので、外部資金には依存しなくてすむからだ。1930年代の大恐慌でも貸出増加は 2〜3年遅れている。
 この原理がわかっていれば、マネタリーベースを増加させれば、統合政府の国債は減少するが、インフレにもなることがわかるだろう。そこで、統合政府として、高すぎず低すぎずというインフレ目標が必要になることもわかるだろう。
中央銀行の独立性は手段の独立性に限られる
 こうした見方について、財政政策の話ではないか、との再批判があるかもしれない。というなら、従来の金融政策でも、結果としてシニョレッジ(通貨 発行益)の変化はあった。金融緩和は実質金利でみれば引き下げとなるが、シニョレッジ(通貨発行益)が増加したという見方と矛盾しない。しかし、それを財 政政策とはいわなかった。
 むしろ、中央銀行は政府の子会社なのだから、その活動は政府の経済活動である財政政策と無関係のはずがない。
次のページ>>中央銀行の独立性は手段の独立性に限られる
 ちなみに、日銀の活動は日銀法で規定され、日銀予算であっても政府認可という法律の下で行われて、納付金も政府予算の歳入の一部になっている。い ずれにしても、法律も政府予算も国会の議決の範囲内におさまっている。ということは、国会統制の下では、何が金融政策で何が財政政策かを議論する意味がな い。
 ここまでいうと、中央銀行の独立性の問題にいきつく。バーナンキが先日日銀で講演したように、中央銀行の独立性とは、目標まで中央銀行で立てると いう目標の独立性はなく、政府の目標の範囲内で手段を講じられるという手段の独立性に限られる。これは、中央銀行が政府の子会社である以上当然の話だ。
 そして、政府から子会社たる日銀に目標を与えれば、その目標達成のために行うのが金融政策といってもいい。その結果として、切り離せずに自動的にでてくるシニョレッジ(通貨発行益)の変化をどのように呼ぼうと、国民にとってはどうでもいい話だろう。
 というのは、量的緩和は対象資産が何であっても、半年程度のラグはあるが、実質金利を下げ設備投資を促す効果があるのだから(対象資産によっては、その市場の活況をもたらし、その結果、資産効果を生じて消費を促し、よりはやく経済を活性化できるかもしれない)。


07. 2010年12月04日 18:26:06: IOzibbQO0w
2010-07-30 日本はアジアのイタリアに TwitterCommentsAdd Starken_wood (red)librevie (green)gintacat (green)porcaro (green)tak-arumakan (green)iijiman (green)hatesateking (green)otakechibi (green)jmz (green)Hainu_Vele (green)tenku65820 (green)PINA95triport

2ヶ月ほど前に「日本の将来像をお選び頂けます」というエントリ(→こちら)で、ギリシャ、イタリア、イギリス、スウェーデン、アメリカの5つのモデルを挙げ、日本の将来はどれだと思いますか?と書きました。

そのエントリには“日本はどれを目指すべきか”、もしくは“ちきりんとしては、どれになると思っているか”は書かなかったんだけど、今日はそれについて自分の考えを書いておくです。

結論からいえば、消去法によっても、日本のもつ強みから差別化を考えても、いずれの場合も“イタリアモデル”だろうと、ちきりんは考えています。

まず消去法で考えてみる。ギリシャにはなんないです。そんな簡単に日本は破綻しない。消費税を20%にしたらいいだけだから。移民を大量に受け入れるイギリスモデルは日本国民が選ばない。この国の人って移民がやたら嫌いだから。ちきりん自身は移民賛成派ですが、国全体でそれが政策として選ばれると思えない。

そしてそれはアメリカモデルも同じ。ちきりんはこのモデルも悪くないと思ってるけど、日本国民全体での多数決(選挙)において、これを選ぶことにはまずならないでしょう。みんな“競争”も嫌いだから。それに、スウェーデンみたいな国になるのはとてもソンです。ああいうのは、森と泉しかない国の戦略であって、日本には人口密集から生まれる文化も含め、豊かな資源がたくさんある。スウェーデンのようにナンにもなければ(あの条件においては)ああいう国家運営もひとつの選択肢だと思うけど、日本がそんなのマネするなんてアホすぎる。

というわけで、ちきりんは「イタリアモデルが、日本が進む道」だと思うし、「それって結構よい道じゃん」と思ってます。具体的に言えば、前回も書いたようにこんな国↓です。

(経済)世界で10から20位くらいの間(先進国のしっぽのあたり)

(政治)ぐちゃぐちゃ。こんな奴が首相でいいのか?と言いたくなるレベル

(国際社会でのプレゼンス)特になし

(歴史)現代より、歴史=過去に栄光あり!

(首都)世界の人が憧れる大都市。ユニークに熟れた都市文化が存在

(田舎)訪ねるのは不便だが、すばらしく美しい。地元ならではのおいしいモノもたくさんある

(教育)この国の教育レベルが高い、などという人は世界にいない

(英語)みんな下手くそ

(企業)ごく少数の国際レベルの企業あり

(闇社会)マフィアもやくざもそれなりのプレゼンスがあり、クスリも蔓延

(失業率)常にそこそこ高い

(格差)わりと大きい。田舎に行くと都会とはかなり生活レベルが違う。都会にも貧しい人が多い

(出生率)低い。少子化が止められない国家

(国家ブランド)強い。“イタリア製”“日本製”という言葉には独特の付加価値がある

(食事)世界トップレベルの美味しさ。 世界中でブームが定着

(ファッション)食事と同様、独自のスタイルが世界の注目を集める

(観光産業)海外から、特に圏内(日本の場合はアジア)から多数の人が押し寄せる

(文化)世界にはない(アメリカのエンターテイメント産業の真似ではない)ローカルカルチャーが花開いている。イタリアと日本は、あのフランスが文化面で憧れる世界で唯二の国。

(まとめ)グローバル国家ではなく、超ドメ志向。“オレの国が一番いいじゃん系”


既にほとんど一緒でしょ?イタリアと日本の違いは“気の持ちよう”だけです。イタリア人の多くが“これでええねん”と思っているのに、日本には“これじゃあかん!”と言う人が多すぎる。一部にそういう人がいてもいいけど、みんながそんなことを思う必要は全然ないのに。

というわけで本日は、日本はグローバル国家になんかならないよーん!というお話でした。みんなで「オレは、私はめっちゃ日本が好きやねん!」っていう国になればいいんです。(過去参考エントリ→“日本、大好きなんで”)

だから、私たちがこれから大切にしなくてはいけないのは、英語力とかじゃないんです。私たちが大事にすべきこと、それはまさに!・・・(以下略)

そんじゃーねー!


08. 2010年12月04日 18:42:39: IOzibbQO0w
2010年11月28日 11:16

科学/文化
衰退先進国イタリア
きのうの記事に、ツイッターで「イタリアに似てきた」というコメントがついたので、おもしろ半分にChikirinの日記の記事を紹介したら、大反響だった。たしかに
(政治)ぐちゃぐちゃ。こんな奴が首相でいいのか?と言いたくなるレベル
(首都)世界の人が憧れる大都市。ユニークに熟れた都市文化が存在
(教育)この国の教育レベルが高い、などという人は世界にいない
(食事)世界トップレベルの美味しさ。 世界中でブームが定着
といった特徴は、日本とよく似ている。しかし最大の違いは、イタリア人はそういう現状に満足しているのに、日本人は悲観しているという点だ。自殺率を比較すると、日本は10万人あたり24.4人で主要国でトップなのに比べて、イタリアは6.3人で最低。これはカトリックなので自殺の禁忌が強く、自殺を事故として申告するバイアスもあるが、なんといってもベルルスコーニ首相に代表される脳天気な国民性が大きい。
イタリアの政界は、世界的に「イタリア 病」として知られるぐらい昔からぐちゃぐちゃで、ベルルスコーニも日本ならとっくに辞任しているほどのスキャンダルをいくつも抱えたまま居座っている。一 時は政権から追放されたが、結局もとに戻った。彼のような「ずるい」タイプが尊敬され、正直者がバカにされるのがイタリアの国民性だという。権力も財産も一部のファミリーに独占されているので、新しい企業が育たない。おかげで成長率はG7諸国で日本と最下位を争っているし、通信インフラも貧弱で頼りにならない。しかしみんな明るく、男はいつもナンパしているし、女は果てしなくおしゃべりしている。これはたぶん彼らの最盛期がローマ帝国の滅亡した1500年前に終わり、衰退することに慣れているからだろう。法の支配などというアングロ=サクソンの習慣はないので裁判所は機能せず、汚職も脱税もやったもの勝ち。著作権法も機能していないので、イタリアでは国営放送RAIの番組がすべてウェブで見放題だ。イタリア的いい加減さのおかげで、コンテンツ産業では世界の最先進国になった。最近の実証研究に よれば、日本やドイツの戦後復興は「奇蹟」ではないという。それは戦争で国土が壊滅的な打撃を受け、分母が小さくなったために戦前と同じレベルに復旧する のが「高度成長」に見えただけで、70年代以降の両国の成長率は平凡なものだ。だから今の低成長が普通のペースだと思ったほうがいい。イタリア人のいい加 減さを見習って、貧しくても楽しく暮らす習慣を身につけるのが、日本人の最大の課題だろう。

2010年11月27日 09:29

経済
IT
退却戦の戦い方
きのうNHKの「ニュースウォッチ9」で、ルワンダがITインフラを整備しているという話が出ていた。こういうのは途上国にはよくある話で、日本で明治維新のころに官営工場をつくったのと同じだ。それを孫正義氏がほめていたので、私がツイッターで、「日本は途上国じゃない」とコメントしたら、山のようなRTがついた。孫氏が自分を坂本龍馬と重ね合わせて「富国強兵」をめざす気持ちはわからなくもないが、日本はルワンダとは逆の衰退国なのだ。図は先週のEconomist誌のものだが、日本の生産年齢人口は1995年の8700万人をピークにして毎年0.5%ずつ減っている。これは資本蓄積をほぼ相殺するので、今後の日本の潜在成長率は生産性上昇率とほぼ等しくなるが、その労働生産性上昇率が主要国で最低だから、今後はゼロ成長に近い状態が続くだろう。
ただ一人あたりGDPでみると、労働人 口が減ることによって資本/労働比率が上がるので、マイナスにはならないだろう。つまり日本は遠からず「経済大国」の座をおりるが、「小さくても快適な 国」として生きる道があるのだ。こういう国にとって大事なのは、資源を消費して経済を拡大する「成長戦略」ではなく、減ってゆく資源を効率的に使い、負担 を社会全体に均等化する維持可能性である。「FTTHは今は何に使うかわからないが、5年後には必要になる」という孫氏の発想は、高度成長期の発想だ。すべてのビジネスが今までの延長上で拡大する とは限らない。無線の市場は拡大しているが、固定インフラは頭打ちだ。必要なのは、離島や山間部まで国策会社がインフラを建設することではなく、費用対効果を最適化し、投資を大事な部分に集中する戦略である。しかし退却戦はむずかしい。何を捨てるかの決断が必要だからだ。90年代以降の日本は、農業のような明白に不要な産業さえ捨てる決断ができず、あらゆる部 門で少しずつ退却を続けてきた結果、戦線が伸びきって兵站が追いつかず、財政破綻で全滅の危機に瀕している。民主党の団塊オヤジが高度成長の夢を捨て切れ ないのはしょうがないが、孫氏のような起業家まで途上国のような国家資本主義を主張するのは困ったものだ。どっちみち実現しないので、大した害はない が・・・
2010年11月21日 10:27

経済
テクニカル
量的緩和と信用緩和
クルーグマンがブログで、珍しくバーナンキの講演を高く評価している。
Monetary policy is working in support of both economic recovery and price stability, but there are limits to what can be achieved by the central bank alone. [...] a fiscal program that combines near-term measures to enhance growth with strong, confidence-inducing steps to reduce longer-term structural deficits would be an important complement to the policies of the Federal Reserve.
「中央銀行だけで経済を回復させるのは限界がある」というバーナンキの意見は、岩田規久男氏の非難してやまない日銀の白川総裁と同じだ。特にデフレ状態では財政政策の助けが必要だ、という点はクルーグマンと一致している。今回の金融危機でわかったことは――2000年代の日本の経験と同じく――ゼロ金利制約のあるときは、量的緩和(quantitative easing)を含む狭義の金融政策はきかないということだ。きく可能性があるのは、証券化商品や株式などを買う信用緩和(credit easing)だが、これは財政政策の一種である。日銀はETFやREITを買うとき引当金を積んでおり、損失が出た場合には日銀納付金が減るという形で納税者の負担になる。みんなの党の出した日銀法改正案のように、インフレ目標を設定すればデフレから脱却できるというのは、成長率の目標を設定すれば成長率が上がるというのと同じ呪術的な政策である。目標を設定するかどうかはどうでもいいことで、問題はインフレを起こせるかどうかだ。この改正案を書いた桜内文城氏もいうように、そのためには政府+日銀のバランスシートの赤字を拡大する財政政策を発動するしかない。日銀法や財政法を改正するとすれば、こうした金融政策と財政政策の役割分担を明確にすることは考慮に値する(ニコ生でも飯田泰之氏は賛成だった)。アメリ カでも、共和党が多数になった議会から「FRBの信用緩和は財政赤字を増やすリスクがある」と批判が出ているように、中央銀行が裁量的に信用緩和を行なう ことには問題がある。財政支出を行なうかどうかは、第一義的には納税者の負託を受けた国会が決めるべきであり、日銀が機動的に行なう場合も内閣が承認する 必要がある。


2010年11月20日 00:41

経済
日本症候群

きのうのニコニコ生放送でも紹介したが、今週のEconomist誌の特集は、日本経済。その表紙が、日本の直面している問題を実に鮮やかに表現している。日本は歴史上に例のない高度成長を遂げたあと、これから史上空前のスピードで高齢化し、労働人口は急速に減少する。それが「デフレ」といわれる状況の根本 原因であり、その負担を若者だけに背負わせることが、世代間格差と経済の停滞を生んでいる。内容は当ブログで述べてきたことと重複しているが、問題をこの ように的確に分析するのが、先日のNYタイムズやEconomistのような海外メディアだけというのが情けないところだ。
高齢化なんて何十年も前からわかってい たのに、自民党政権は何の対策もとらないどころか、老人に手厚い社会保障、老人の雇用を守るために新卒を採用しない雇用慣行など、老人の既得権を守り負担 を若者に押しつける政策をとり続けてきた。そして政権交代した民主党政権も、「強い社会保障」と称して老人保護を聖域化し、派遣社員や契約社員をクビにす る規制強化をはかっている。ニコ生でも、金融政策の効果については意見がわかれたが、こうした長期の問題について経済学者の意見は100%一致した。藤末健三参議院議員も、「私も同 じ意見だが、政治的には非常にむずかしい」と語った。デフレ脱却議連の副会長である彼も、目下の最大の関心は労働生産性だという。成長政策としても、雇用の流動化が圧倒的に重要だ。150人の国会議員が経済政策に関心をもったのはいいことだが、デフレは問題の入口にすぎない。今度は彼もいうように「労働市場議連」をつくってほしい。 もちろん連合はきらうだろうが、労働組合に遠慮して今のようなでたらめな政策をとっていると、来春にも解散かといわれる情勢の中では政権を守れないだろ う。民主党にとっても日本経済にとっても、残された時間は少ない。
2010年11月17日 17:06


科学/文化
リスクに背を向ける日本人
日 本経済の行き詰まりの一つの原因として、家計貯蓄の半分以上が現金・預金で運用されているため、リスクマネーが供給されないことがよく指摘される。この原 因は金融機関が銀行に片寄っているためではないか、ということでバブル期には海外の投資銀行が大挙して押し寄せたが、バブル崩壊後にほとんどが撤退した。 日本人がリスクがきらいなのは銀行が多いからではなく、逆に日本人がリスク回避的だから預貯金が多いと考えるしかない。
本書の紹介している「世界価値観調査」 でも、「自分は冒険やリスクを求める」というカテゴリーに当てはまらないと思っている人の比率は、英米・カナダ・オランダなどで40%前後であるのに対し て、日本人は70%以上で、調査対象国の中で最大だ。これはある種の文化的なものだと思われるが、常識的にはリスクが低いと思われている日本で、リスクを 避ける傾向がこれほど強いのはなぜだろうか?著者の答は、日本のほうがリスクが高いからというものだ。一見、雇用の保証がなく自己責任になっているアメリカのほうがリスクが高いように みえるが、社会のしくみが解雇や転職が多いことを前提につくられているので、クビになっても新たな職を見つけやすい。今は失業率が高いが、3年以上の長期 失業率はアメリカが主要国でもっとも低い。これに対して日本は、会社にしがみついている限りリスクはないが、その外に出ると転職はきわめて困難でセーフ ティ・ネットもなく、リスクがきわめて大きい。これは山岸俊男氏も指摘するように、一種のゲーム理論的な均衡状態である。実験によれば、日本人は個人としては必ずしも集団主義ではないが、他人の目を気にする傾向が強い。これは日本人の性格というより組織への同調を求める日本の社会の特性によるもので、組織や制度が変われば個人も変わる可能性がある。人々が企業や系列などのムラの中で動いて変化に対応する戦略は、変化が系列ネットワークの中で吸収できる場合にはそれなりに有効だった。しかし90年代以 降、冷戦の終了によって新興国が世界市場に登場し、資本がグローバルに移動するようになると、企業集団の中でヒトもカネも閉鎖的に管理する日本企業は、グ ローバル競争の敗者になろうとしている。つまり今起こっているのは、山岸氏のいう「集団主義的秩序」という均衡の安定性が失われ、別の流動的でオープンな均衡に移行しようとしている状況だが、漸 進的に新しい均衡に移行するのはむずかしい。今の均衡を所与とすると、それに順応して会社にしがみつくことが合理的になるからだ。不況で不安が強まると、 かえって民主党のように古い秩序に回帰する動きが強まる。しかし均衡は宿命ではない。江戸時代には人々は身分制度に順応していたが、封建制が崩壊すると短期間に新しい均衡に順応した。明治憲法で軍部の支配に従っ ていた人々は、進駐軍を熱狂的な歓喜で迎えた。いま日本の必要としているのは漸進的な改良ではなく、まったく別の均衡に移る均衡選択であり、それに必要なのは個別の政策よりもマッカーサーのような強力な指導者だろう。
ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51502620.html


09. 2010年12月04日 23:05:17: DDCLX9mgbE
フランスの銀行がPIGS諸国に抱えている債権の20%減損が、それらの銀行の株式総額と同じになると言う試算がある。

米国のFRBのCommercial Paper Funding Facilityを利用した金融機関、企業に
三井住友、みずほ、三菱UFJ、三井、三菱、住友などの名前がある。


10. 2010年12月07日 01:57:51: 9bgUUeW036
[スペイン危機とユーロの行く末] 2010年12月06日 22時54分 / AIFENCE
http://kabu.sakiyomi.com/aifence/?EACH=768

 欧州財政危機がドミノ倒し的に拡大してゆく可能性が、かなり高くなっているようだ。
 財政危機の災いがポルトガルを飲み込むことは確実と見られており、
 世界は 「次にはスペインではないか?」と注目し始めている。
 
 スペインのサパテロ首相は 「救済を要請することは決してないだろう 」と
 懸念の払拭に躍起になっているのだが、
 スペイン国債は記録的なペースで売られ続けている。
 スペイン政府は、追加的な緊縮財政措置
  (1)国営宝くじ事業の部分的売却、
  (2)国営空港の民営化、
  (3)中小企業向けの失業保険のカット
 を打ち出すなどして、財政に対する取り組みをアピールしている。
 だが、先日には [航空管制官によるストライキ]が勃発するなど、
 国内の反発が勢いを付けている。
 
 今回は主に [スペイン情勢] に焦点をあてて、
 欧州財政危機の最新情勢について分析して参りたい。


【スペインが直面する危機】

 スペインはこの10年間、[不動産をベースとした資産バブル]で経済を牽引してきたのだが、
 その不動産バブルが崩壊してしまったために、
 経済・財政に大きな痛手を被ってしまったのだった。
 特に、スペインの貯蓄銀行は被害が著しく、膨大な不良債権を抱えることになった。
 そのため、政府主導で思い切った整理統合
 (45行あった貯蓄銀行を20行へ減らす事)が進められている。
 貯蓄銀行側は、総従業員数の2割弱を削減し、5,000〜6,000もの支店を閉鎖しなければ
 救済資金が得られない状況に置かれた。

 スペインのサラガド経済相は 「貯蓄銀行側がしっかりと構造改革を実施すれば、
 さらなる整理統合の波を避けることができるだろう」として、
 貯蓄銀行側にプレッシャーを掛け続けている。
 
 スペインの経済規模はEUで4番目に大きく、
 欧州先進国も多額の資金をスペインに投融資している。
 スペインの貯蓄銀行の不良債権処理が失敗に終れば、
 欧州先進国側も多額の損害を巻き添え的に被るのは避けられない。
 
 そのため、スペイン政府は公的資金で金融機関を支えざるを得ないだろう。
 しかし、国家財政自体も続かず、共倒れになる可能性も少なくない。

【ますます深まるECB依存】

 スペインとイタリアは先週、国債発行を実施したのだが、
 ECBからの支援が無ければ見送りになっていたかもしれない。
 ECBのトリシェ総裁は、両国の国債発行の直前に
 「金融機関向けの資金供給を、2011年第1四半期も続ける」と発表した。
 金融機関に対して資金を供給するという形を取っているが、
 これは[欧州財政危機国の国債]を買支えるための[迂回資金]となる可能性が高いだろう。
 
 先週のECB定例会議の後、
 トリシェ総裁は「理事の圧倒的多数が、現在の国債購入に対して支持を表明した」
 と発表したのだが、
 この発表を受けて投資家やトレーダーたちは欧州国債の投げ売りをやめ、
 市場は若干であるが落ち着きを取り戻した。
 
 このように、ECBが火消しに奔走し、買い手が付かない[欧州財政危機国の国債]に対して
 買い支えをしなければ、欧州市場は またたく間に安定を失ってしまうほど脆弱になっている。
 
 こうしたECBの動きを苦々しく思っているのは、最大の負担国である[ドイツ]である。
 欧州最大の経済大国であり、EUのスポンサーでもあるため、
 ECBが背負うコストの多くは、ドイツの負担分となってしまうのだ。
 ドイツのブリューデレ経済技術相は
 「恒久的なマネー増発は解決策とはならない」
 「財政危機にある地中海クラブの面々[ギリシャ][スペイン][ポルトガル]を
  マネー増発で救済することは深刻な間違いだ 」として、
 ECBの救済策に強い反対を表明している。
 
 一方で、[スペイン]と[イタリア][ポルトガル]はECBに対して
 「欧州財政危機を食い止めるために、さらなる踏み込んだ行動をすべきだ 」として、
 非公式な形で政治的に働きかけたと言う。
 
 ECBが、財政危機国とスポンサーである[ドイツ]の間で
 板挟みになっていることが容易に想像できる。
 今後、財政危機に陥る国が増えれば増えるほど
 (恐らく、そうなる可能性が高い)、
 ドイツと他のEU加盟国間の亀裂は深まってゆくだろう。


【ユーロの行く末を占う欧州財政危機】

 ヘッジファンドなどの投機筋の注目は、
 来年に大量の債務返済が迫っているスペインの動向に集まっている。
 債務返済は事実上困難という認識が広がり、
 投機筋による[スペイン][イタリア]国債に対する総攻撃が開始された場合、
 ユーロの崩壊は免れないという見方を持つ専門家は少なくない。
 
 これからECBは どのように手を打ってゆくだろうか?
 
 資産バブルの後始末を国家が引き受けることで、
 金融破綻を瀬戸際で(一時的ながら)食い止めることに成功した訳だが、
 そのしわ寄せで国家財政に危機が飛び火し、国家の余力は枯渇しつつある。

 エコノミストの間では「いずれECBは、FRB同様に 狂ったみたいに
 国債を買支えるようになるだろう。投資家たちは一斉にドルに逃避するのではないか」
 という声が上がっている。
 
 欧州大手銀行・ソシエテジェネラルは 「欧州財政危機の拡大を食い止めるには、
 1兆ユーロ以上の追加的支援が必要になるだろう」としている。
 しかし、そんなことが可能だろうか?
 今の欧州は、
  重い債務を抱えた多数の国と、
  貿易黒字のおかげで唯一の債権国であるドイツで
 構成されている。
 ドイツが保有するマネーで、困窮国を救済すべしと言う声が高まるのは確実視されているが、
 ドイツ国民の強硬な反対がわき起こることも確実である。
 多数決で強引に追加支援に踏み切った場合、
 ドイツがユーロから離反する可能性も否定できないだろう。
 財政危機国を見捨てて、ドイツをユーロに引き留め続けるのか、
 それともドイツ離反の危険を覚悟でドイツから資金を引き出すのか?
 いずれにせよ、ユーロ存続の危機が迫っていることは間違いないだろう。


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