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若者の失業率9%台 雇用状況の悪化浮き彫り
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/301.html
投稿者 めっちゃホリディ 日時 2010 年 12 月 03 日 13:43:02: ButNssLaEkEzg
 

http://www.47news.jp/CN/201012/CN2010120301000251.html

 3日の閣議で報告された2010年版「子ども・若者の状況および子ども・若者育成支援施策の実施状況」(子ども・若者白書)によると、2009年の失業率は全年齢平均の5・1%(前年は4・0%)だったのに対し、15〜19歳が9・6%(同8・0%)、20〜24歳で9・0%(同7・1%)と若年層の雇用状況の悪化が浮き彫りとなった。

 フリーターの増加や企業の新卒者採用抑制など景気低迷の長期化が若年層を直撃している格好だ。政府は雇用対策で、卒業後3年以内の若者を新卒扱いで雇用する企業への奨励金支給など若年層の雇用改善に力を入れているが、どれほどの効果があるかは見通せていない。

 フリーター数も09年は15〜24歳で87万人、25〜34歳で91万人の計178万人。この年齢層のフリーターは03年の217万人をピークに08年の170万人まで減少を続けていたが、6年ぶりに増加に転じた。

2010/12/03 11:05 【共同通信】
 

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コメント
 
01. 2010年12月03日 18:52:01: y9A4DeQMeM
実感としてはこの2倍はあると思う。20代の失業率はおおまかに2割はあるのでは?

02. 2010年12月04日 18:04:17: IOzibbQO0w
2010年12月2日辻広雅文 [ダイヤモンド社論説委員]「成長率も失業率も低い社会」と「成長率も失業率も高い社会」のどちらを選ぶか〜ノーベル賞受賞の「サーチ理論」で解く日本の労働市場
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2010年のノーベル経済学賞は、サーチ理論と呼ばれるモデルの構築に対し、米マサ チューセッツ工科大学のピーター・ダイヤモンド教授ら3氏に決まった。サーチ理論は労働市場の分析に極めて有効だ。今井亮一・九州大学准教授に、サーチ理 論から見た日本の労働市場の特質を聞いた。「失業率は低いが、成長率も低い」という特質が浮かび上がる――。
――今年ノーベル経済学賞を受賞したサーチ理論とは、一体どんなものか。労働市場の分析にとりわけ有効だとされるのはなぜか。
今井亮一(いまい りょういち) 九州大学留学生センター准教授。経済学修士(東京大学)、経済学博士(ペンシルバニア大学)。サーチ理論という分析手法を用いて、マクロ経済学、労働経済学、家族経済学などの諸問題を研究している。
 まず、株式市場を思い浮かべてほしい。私たちが証券会社を通じて出した取引注文が集められ、価格ごとに需要と供給が均衡したところで取引が成立す る。注文を出せば、自動的に需要と供給の交差点で株価が決まるような市場を、中央集権的な市場という。原油取引や穀物、為替の取引市場も同じ構造だ。中央 集権的な市場では、取引相手を自らわざわざ探す必要はない。従来の経済学では、労働市場も同じような中央集権的な市場と捉え、需給関係で雇用や賃金が決ま ると説明してきた。
 だが、労働市場というのは、どこにあるのだろうか。自分が何かに登録さえしておけば自動的に職が決まる市場の仕組みなどどこにもない。一人一人が 職を探し、企業に応募し、試験を何度も受ける。企業も独自の採用計画によって、一人一人を選別し、個別に採否が伝えられる。その過程では、時間も費用もか かる。それらの個別ケースの集積が労働市場だ。株式市場などが中央集権的であるのに対し、極めて分権的あるいは局所的だといえる。
 サーチ理論とはその名の通り、モノやサービスの取引相手を探す(サーチ)行為に注目し、それら個別の取引が積み重なった時に全体の市場はどう動くのか、取引構造を分析するものだ。
次のページ>>サーチ理論で説明する日本の就職難
――学生や労働者と企業は、個別に取引相手を探している、という前提に立つということか。
 そうだ。求職側である学生や労働者と求人側である企業は、互いに最適な取引相手を探している。最適な取引相手にたどり着くために、ともに互いの行 動を読み合い、探すことで発生するコストを考慮しながら、戦略的に動く。その互いの戦略がいかに関わりあって取引、つまり雇用が決まり、さらに、その国の 雇用情勢ひいては経済全体にどう影響しているのか、筋道立ったモデルで考えるのがサーチ理論だ。
 労働市場においては、取引相手をうまく見つけることができないと、需要が十分あっても、取引の成立量が過少になってしまう。つまり、求職側と求人 側に何らかのミスマッチが起こると、失業率が上昇する。サーチ理論は、こうした状況を説明するのに最適であり、実際、高い失業率が続く先進国の状況を実証 的に分析する際、サーチ理論の枠組みが活用され、各国の労働市場に大きな影響を与えている。
――サーチ理論からは、現在の日本は、なぜ超氷河期と言われるほど新学卒者の就職状況が厳しいと説明できるのか。
 新学卒者の就職の難しさは――失業者の発生もそうだが――、求人側と求職側のミスマッチが大きくなっているからだ。そのミスマッチ要因は、二つに分かれる。「景気循環的要因」と「構造的要因」だ。
 景気循環要因とは、景気の好転あるいは悪化が雇用にもたらす影響だ。現在、新学卒の就職が超氷河期と言われるほど厳しいのは、リーマンショック以 降の経済停滞という景気循環的要因が大きい。こうした場合、企業は採用戦略において採用基準を引き上げて、より優秀な学生を確保しようとする。ところが、 学生のほうは採用基準が引き上げられることに対して、能力向上を図るといった対応はすぐにはできない。このミスマッチで、就職の難易度が上がる。
だが、どんなに景気が好転しても失業者はなくならない。たとえば、バブル絶頂の1989年でも失業率は2.5%あった。これは、構造的要因によるミスマッ チ現象だ。たとえば、求人側ではIT技術者を欲しているのに求職者側の多数が建設業しか経験したことがない者であれば、労働市場において需要=求人と供 給=求職が数の上で均衡しても、雇用は生まれない。
構造的要因によるミスマッチは、一定量の失業者を生む。その失業率が上昇すれば、当然国全体では生産性が下がり、潜在成長率が低下する。現在、日本の失業 率はおよそ5%だが、そのうち1.5%ほどが景気循環要因による失業で、残り3.5%程度が構造的要因によるものだろう。
次のページ>>学生に人気の高い職種の産業を成長させる?
――菅首相は、「新学卒者の支援に最大限の力を入れる」と表明した。
 新学卒者の就職難問題が深刻なのは、一時的な景気循環要因によって就職できなかった若年層が長期にわたって職に就けないでいると、いずれ構造的要因による失業者となってしまうことだ。
20代は労働スキルを高める貴重な時期だ。その間に単純な仕事ばかりしていると、必要とされる能力を身に着けることができず、仮に求人があっても就職できなくなってしまう。そうなれば、日本の生産性ひいては経済成長率が低下していくことになる。
――就職氷河期と一言で言っても、企業規模や職種で事情が違うのではないか。
「従業員の規模別の有効求人倍率」の推移をみると、100人未満の中小企業は2009年でも4.26倍ある。一方、1000人以上の大企業はこの10年、0.5倍を中心に0.3〜0.7倍で横這っている。
 就職自体を最優先させるのであれば、中小企業に行けばいい。短期的な雇用状況も改善される。では、大学生に、「中小企業に行け」とアドバイスするべきか。本人のためになるのか、日本経済の長期的な活力に結びつくのか。
 大学生が大企業を希望しているのは、長期的に利益が大きくなる、中小企業より大企業に籍を置いたほうが、高度で多様な労働スキルを身に付けること ができる、と考えているからだ。また、大企業を辞めても中小企業には行けるが、逆のコースは成り立たないという日本の労働慣行を知っているからだろう。
 大学生の考え方が正しければ、つまり、中小企業に勤めても低い労働スキルしか身につかない懸念が高いのならば、中小企業に就職することが日本経済 の長期的活力に結びつかないことになってしまう。労働市場のミスマッチを短期的視点で解決することが、長期的な利益に結びつくとは限らない。
 同じことは、職種別にも言える。学生に最も人気の低い流通業は有効求人倍率が7倍もあるが、最も人気の高い金融業やサービス・情報業は0.5倍程度しかない。流通業に多くの若者を送り込むことが、日本経済の中長期的な方向付けと合致しているのだろうか。
 日本の流通業の生産性の低さは、かねてから指摘されている。製造業も新興国に激しく追い上げられている。日本経済を活性化させるには、産業の構造 改革を行って、高付加価値産業を発展させる必要がある。それは、学生に人気の高い職種の産業を成長させるということだ。金融業やサービス・情報業が発展す るような規制改革を核とする成長戦略の重要性は、労働市場のミスマッチ現象からも指摘できる。
次のページ>>労働者は解雇されまいと必死になり、企業は極めて解雇しにくく、政府
――最近、欧米のメディアが、日本経済が長期低迷し、デフレを克服できないでいるにもかかわらず、失業率が低いことを訝りつつ、言及するようになった。
 リーマンショック前の2007年と後の2009年を比較すると、米国の失業率は約5%から約9.9%に上昇、4.9%増えた。欧州も同様で、最も 状況が悪いスペインは、約10%から約20.1%に上昇、10.1%も増えた。ところが、日本では約3.5%から約5%へ、1.5%増えただけだ。ちなみ に、韓国はもっと低い。
 国によってリーマンショックの影響度が異なるのは、各国に固有の構造的要因があるからだ。日本については、二つのことが言える。第一に、そもそも失業率が低い。第二に、リーマンショックによってGDPは10%以上減少したのに、失業率は1.5%程度しか増えなかった。
 その理由を解明するために、サーチ理論の分析手法は極めて有効なのだが、これ以降はその分析によって得られた結論だけを述べる。
 第一に、失業者のためのセーフティネットが他の先進国ほど充実していない。雇用保険の適用期間、金額が生活を保全するほどのものではなく、受給資 格も厳しい。さらに、一度職を失うと次の仕事では低賃金に甘んじざるを得ない場合が多く、しかも最低賃金も極めて低く設定されている。つまり、失業すると 手ひどい状況に追い込まれる。それを、国民がよく知っている。
 第二に、企業から見れば、整理解雇が極めてしにくい。企業が従業員を整理解雇するには厳格な4要件が必要であることが、判例で固まってしまっているからだ。
 第三に、政府は「整理解雇の4要件」に代表される労働法制を維持する一方で、雇用調整助成金によって失業者を増加させない政策方針を採っている。
 労働者は解雇されまいと必死になり、企業は極めて解雇しにくく、政府はその構造を崩さないように支援しているという構造だ。
――他の先進国の失業率が高い理由は何か。
 理由はさまざまに考えられるが、たとえば、米国はセーフティネットが充実しているわけではないが、解雇規制が日本より緩和されている。欧州はセーフティネットの整備が進んでいて、労働者が解雇、失業を日本ほど恐れない、と言われている。
次のページ>>失業率と成長率は、トレードオフの関係にある
――失業率が極めて低く、他国に比べて雇用状況は安定しているが、経済の低迷は20年も続き、成長率は極めて低い。それはどうしてか。
 失業率と成長率は、トレードオフの関係があるからだ。
 解雇されたくなく、また解雇しにくいという構造の結果、失業率が低いということは、会社を辞めて次の仕事を探そうとする人が少ないつまり、労働市 場の流動性が低い、ということだ。流動性の低い労働市場からは、イノベイティブな新しい事業、産業は生まれにくい。また、現在の仕事の生産性が極めて低い にもかかわらず、雇用が維持されているために会社の生産性が向上せず、ひいては産業界の生産性が向上せず、日本経済の成長率を低下させている可能性があ る。
 逆に言えば、セーフティネットの充実や解雇規制の緩和などの労働市場改革を行うと、失業率は上昇し、国民負担は増加する。だが、企業は解雇がしや すくなることで、低生産性の事業を廃止して高生産性事業に集中することができる。また、流動性が高まることで、能力の高い人が能力の低い人にとって代わっ て仕事をするようになるので、生産性が向上するようになる。
――「失業率も成長率も低い社会」と「失業率も成長率も高い社会」のどちらを選ぶのか、という問題か。
 そうだ。ただし、日本人は失業すれば精神的、物質的にも非常にみじめであり、社会からも阻害されるという恐怖を抱えている。だから、失業をさけるためには生産性、成長率が低下してもいい、つまり、現状維持でいい、という人が多いかもしれない。
――現状維持を望む人々は、大企業の正社員を中心とした今の労働法制に守られている既得権者だ ろう。だが、現状は、失業率は低いといっても、若年層や非正規社員という一部特定層に経済低迷のしわ寄せが出ている。このいびつさを解消するためにも労働 市場を改革し、リスクがあっても成長する社会を求めなければならないのではないか。
 繰り返すが、労働市場改革を行えば、中長期的な成長率の上昇は見込めるが、短期的には失業率が上昇する。そのとき、それに反対する既得権者が少数 とは限らない。日本的雇用環境は崩れたと言われるが、正社員たちは大企業、中小企業に限らず、いまだ安定した収入と終身的雇用を望んでいる。労働市場改革 の荒波にさらされる彼らは、保護政策を要求するだろう。これは極めて難しい政治問題だ。だから、政府は踏み出さない。
 日本国民は、すべての人々が幸せになるわけではない改革を受け入れられるだろうか。私たちは、「君の代わりに若い優秀な社員を二人雇うからやめて くれ」と言われることになるだろう改革に賛同できるだろうか。その必要性と国家的利益を、政府は理解、納得させられる能力を持っているだろうか。
 労働市場改革は、まだ日本のコンセンサスにはなっていないと思う。
質問1 あなたは「成長率も失業率も低い社会」と「成長率も失業率も高い社会」のどちらを選ぶ?
58.3%
成長率も失業率も高い社会
22.4%
成長率も失業率も低い社会
13.6%
どちらも選びたくない
5.8%
分からない

03. 2010年12月04日 18:06:11: IOzibbQO0w
識者が語る 日本のアジェンダ【第14回】 2010年12月2日
派遣法改正案は「正社員の雇用」を守るためだった!?非正社員は誰も救われない“矛盾と罠”―国際基督教大学 八代尚宏教授インタビュー5
今年3月に閣議決定し、国会審議が行われていた労働者派遣法改正案は、首相交代などの 混乱のなか、継続審議となった。08年秋の世界同時不況後、派遣労働の規制強化に向けた世論の高まりとともに注目を浴び、登録型派遣や製造業務派遣の原則 禁止を柱とする本法案。今後、再審議で成立したとして、本当に非正社員は救われるのだろうか。検証するとともに、非正社員が真に救われる働き方やそれを担 保する制度について、国際基督教大学の八代尚宏教授に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)
派遣法改正でも正社員は増えないむしろ失業者が増える可能性も
――「派遣の原則禁止」を目指した派遣法改正案だが、これが実現すれば本当に非正社員は救われるのだろうか。派遣法改正案の問題点とともにお教えいただきたい。
やしろ・なおひろ/国際基督教大学教養学部教授。経済企画庁、日本経済研究センター理事長等を経て、2005年より現職。近著『労働市場改革の経済学』(東洋経済新報社)など著書多数。
 それを明らかにするためには、まず派遣労働の規制緩和がなぜ行われたかを考えなければならない。
 そもそも派遣社員などの非正社員の増加は、「小泉政権における新自由主義的な構造改革によってもたらされた」という認識が広まっているが、これは まったくの誤解である。なぜならこの規制緩和は、1999年に派遣労働の雇用機会の拡大と保護強化を目的とした国際労働機関(ILO)第181号条約に日 本が批准したことに基づいており、2001年に成立した小泉政権誕生以前の話であるからだ。
 この条約は、欧州を中心に失業率が高止まりしている状況下で、失業率を低下させるためにも有料職業紹介や派遣労働を容認し、不安定でも雇用機会を 増やすことが先決だという事情から生まれたもの。日本も批准し、それ以前の派遣先の職種を厳しく制限した「原則禁止・例外自由」を逆転して、「原則自由・ 例外禁止」へと原則を大転換した。これに伴い、「当分の間」禁止となっていた製造業への派遣が、2004年に自由化されたに過ぎない。
 したがって、規制緩和の目的は「雇用機会の拡大」にあったわけだから、それを元に戻して規制を強化をすれば、結果も逆になるのは当然だ。
 朝日新聞が全国主要100社を対象に行った「派遣が禁止された場合の対応」へのアンケート(09年11月実施)によると、「他の非正社員に置き換える」(契約社員:36社、請負・委託:30社、パートタイム:22社)のがほとんどで、「正社員の増加で対応」はわずか15社だった。
次のページ>>派遣は本当に“悪い働き方”なのか
 スタッフサービスが全国中小企業91社に同様のアンケートを行った調査(09年10月)では、「既存社員で対応」という会社も数社で見られた。つまり、従来の派遣労働者が正社員として雇用される可能性は低く、むしろ雇用機会が狭まり、失業する可能性すらある。
 また、問題はそれだけではない。本来、こうした規制強化を行う場合には、「規制の影響分析」が法律で義務付けられている。それにもかかわらず、厚 労省は、規制強化の事業者への影響に関する調査をまったく行っていない。厚労省のホームページで、単に「(派遣元、派遣先、派遣労働者へ)周知するための 費用が発生する」としたのみで、「(雇用機会の減少等の)社会的費用は発生しないものと考えられる」と述べているだけだ。雇用への悪影響を意図的に無視し ているといえる。
派遣は本当に“悪い働き方”なのか規制強化はむしろ派遣労働者に迷惑
――この派遣法改正案の背景には、「派遣労働=悪い働き方」という考え方があるように思われる。果たして、派遣労働は「悪い働き方」なのだろうか。
 この法案と、現在、労働審議会での有期雇用契約についての議論をみれば、政府は、正社員だけが「唯一の望ましい働き方」で、それ以外は全て規制し ようとしている。派遣という働き方を認めた上で、労働者保護のために規制を強化するのではなく、「派遣=悪い働き方」だから禁止するというのでは、派遣労 働者たちから雇用不安が叫ばれるのは当然だ。彼らが求めているのは、「雇用機会の制限」ではなく「待遇改善」である。これは派遣労働者等で作る最大の労働 組合である「人材サービスゼネラルユニオン」の主張であるが、連合をはじめとしてまったく無視されている。
 派遣労働者は2つのタイプに分けることができる。まず、派遣という働き方を自ら選んでいる人で、全体の半分以上にのぼり、彼らにとって規制は甚だ 迷惑なことである。残りのやむを得ず派遣労働者である人も、結果的に正社員のポストが増えないのでは仕事に就くことができず、今回の規制は無意味だ。
 つまり、「派遣労働者の雇用が不安定だから規制してあげる」というタテマエではあるが、実は肝心の派遣労働者にはメリットがなく、間接的に正社員の雇用を守るための規制に過ぎないのだ。
 本来行われるべき派遣法改正案の目的は、働き方に極端な差がある正社員と非正社員の「働き方の壁」を低くすること。それは正社員の雇用規制改革と非正社員の保護強化を同時に行わなければ実現しない。
次のページ>>。ヨ小泉改革が非正社員を増加させた」は本当か
 現在、正社員には判例法に基づく厳格な雇用保障があるが、これを、ある一定の条件下では整理解雇ができるように、労働契約法で明確化すべきだ。現 在は裁判所にその判断を全面的にゆだねているが、それでは“出たとこ勝負”になってしまう。解雇規制の厳しいドイツでさえ容認されている解雇に対する金銭 補償を、日本では認めていないために、企業にとって解雇のコストが予測できず、正社員の雇用が抑制されてしまう。
 正社員でも一定の金銭補償をすれば解雇できると同時に、非正社員でも長期間働いていた人の雇用契約を更新しないときは、退職金に準じたものを期間に応じて出すようにして、正社員・非正社員の両方から歩み寄ることが大切だろう。
 派遣労働は、「未熟練のパート」と「熟練の正社員」の中間的な存在だ。一旦、派遣社員になって様々な経験を経た後に正社員になる“架け橋”としての役割を、なくすのではなく、むしろ強化すべきである。
「小泉改革が非正社員を増加させた」は本当か原因は“経済成長の減速”と“正社員の保護”
――「非正社員の増加には、小泉政権下で行われた規制緩和があったから」という意見が聞こえてくるが、先ほどそれは“まったくの誤解”であると話された。では、非正社員を増加させた本当の原因とは何なのか。
 非正社員の数は、小泉政権以前の90年代前半から、傾向的に増加していた。
 その原因の1つが、90年代以降の経済成長の減速である。企業が利益追求のために非正社員を増やしたといわれることがあるが、その論理はやや見当 はずれである。経済成長が低下し、不景気が長引いているにもかかわらず、正社員の厳格な雇用保障(終身雇用・年功序列賃金)を維持するための調整弁とし て、非正社員への需要が増えたのだ。企業の利益追求のためならば、正社員の厳格な雇用保障をやめるほうが望ましいだろう。
 そもそも、現在の日本的雇用慣行は決して何らかの法律で定められた特権ではない。過去の高度成長期のなかで、企業が内部労働市場で熟練を形成する ために自然発生的に作り上げた合理的な仕組みである。しかし、もはやそんな時代は終わった。にもかかわらずこの仕組みを維持しようとしたため、雇用調整の 容易な非正社員が過度に増加したといえる。
直接雇用者との同一待遇などによる「派遣労働者保護法」への転換を
――では、派遣労働者の雇用を守り、本当の保護につながる法案とはどのようなものか。
次のページ>>。ヨ同一労働同一賃金」の実現のカギとは
 本来は、一方的な規制緩和ではなく、派遣労働者の保護がセットとされるべきだ。しかしこれまでは、後者の派遣労働者への保護措置が派遣元企業に限られた中途半端なもので、十分ではなかった。それが、現在に至るまでの様々な問題の原因となっている。
 派遣法改正案に盛り込むべき最大のポイントは、派遣社員であっても、契約期間の中途での打ち切りを受けた場合は、直接雇用の労働者に準じた賃金補償を派遣先にも義務付けることである。
 さらに、派遣社員について、派遣先での直接雇用者との同一待遇を求める規制強化も必要とされる。日本もアメリカのように、派遣元と派遣先が派遣労 働者の共同雇用者であるという立場を持つようにし、規制を徹底すべきだろう。すでに現在の派遣法でも、派遣先には労災の防止義務やセクハラ防止義務がある が、その対象範囲をさらに広げて、派遣先企業の責任を増やしていくべきだ。
「同一労働同一賃金」の実現は“企業組合の壁”を越えることがカギ
――イギリスでは、ブレア政権以来、「同一労働同一賃金」の徹底が図られている。日本との差は非常に大きいが、実現のために、どのようなハードルを越えなければならないのか。
 イギリスは職種別労働市場であり、職種別組合であるから実現できたが、日本は企業内組合のため、同じ職種であっても労働市場が分断されている。日本の企業別労働組合のなかで同一労働同一賃金を実現するのは、組合の壁を越えない限りは不可能だ。
 そもそも同一労働同一賃金は、経済学の基本原則であり、競争市場であれば、自然に同じ仕事に同じ給料を払うことになる筈である。しかし日本では、 年功序列賃金のために実現できないうえ、「不利益変更禁止の法理」というのがあり、たとえ組合が合意しても、個人が訴えたら裁判所は認めざるを得ない。そ こで、労働契約法などの実定法で「組合が合意したときは賃金調整が可能」というような項目を入れ、同一労働同一賃金への移行を目指す労使の行動を阻害しな いようにすべきだ。
 また、同一労働といっても「何が同一労働か」を定めるのは非常に難しい。判例では労働者に立証責任があるが、自ら証明するのは難しい。そこで、労 働者が訴えを起こしたときに、「立証責任の転嫁」というかたちで企業側に説明義務を負わせるべきだ。そのため、企業は人事記録や能力評価などの詳細なデー タをとる必要がある。
 これは雇用機会均等法の強化にもなり、男女間の賃金格差、正社員・非正社員の賃金格差の是正にも使えるものだ。能力別賃金の実現にもつながり、企業自身の利益にもなる。
次のページ>>正社員や非正社員とは異なる「中間的な働き方」の実現を
 よくこうした問題は、「規制緩和したい企業」と「労働者を守る組合」の「労・使間の対立」と捉えられるが、これはあまりにもステレオタイプ。日本 では、長期雇用保障を前提とした労使の利益は一致している。他方で、円満な労使関係の代償となるのが、「労・労対立」だ。これは正社員と非正社員だけの問 題に留まらない。正社員のなかでも「男性と女性」、「大企業と中小企業」など、いたるところに存在する。
 つまり、正社員と非正社員の対立は1つのきっかけであって、今後、労働市場全体にある労・労対立をどう解決するかも、あわせて考えなければならない。
正社員や非正社員とは異なる「中間的な働き方」の実現を
――近年では、共働き世代が増え、ワークシェアリングやワークライフバランスの考え方が注目を集めている。実際、日本ではそうした働き方を実現することは可能か。
 ワークシェアリングは、同一労働同一賃金の下では可能だが、日本の年功序列賃金の下ではきわめて困難だ。ワークライフバランスについても同様であり、日本的雇用慣行を見直さない限り実現できない。
 労働者側のニーズが変わり、共働き世帯が増えてくるなかで、最も大きな制約になるのが長時間労働と転勤だ。他方で、共に働いていれば、専業主婦世 帯のように、雇用保障を絶対視する必要はない。ところが、今の組合は伝統的な専業主婦世帯を想定しているため、共働きの要求は取り上げてくれにくいこと が、今後も大きなハードルとなるだろう。
――将来的には、どのような働き方がワークライフバランスを取るうえでふさわしいのか。
 現行の正社員と非正社員との間に、特定の仕事がある限り雇用が保障される代わりに、転勤はなく、労働時間も自分で決められる「専門職正社員」のよ うな中間的な雇用契約を認める。それによって、現状では働き方に極端な差がある正社員と非正社員との間の壁を低くすることができる。労働契約法のなかで、 多様な働き方を法的に認知すべきだろう。
 派遣労働者などの非正社員たちにとって大切なのは、彼らの働き方を不安定雇用として禁止するのではなく、改善することである。今回の法案では、正社員の雇用を守るため、非正社員の雇用機会を狭め、一層不安定にしている。そのことを今一度、強く訴えたい。
質問1 あなたは「同一労働同一賃金」に賛成?反対?
.69.1%
賛成
15.6%
反対
15.3%
どちらともいえない

04. 2010年12月16日 18:17:51: FLqTKfM4UQ
もし現在60代の団塊世代が若い頃に今の若者と同じ失業率や労働待遇に
置かれたとしたら若い頃の団塊世代は発狂して国会に突入したと思う。
団塊世代は「金とモノがすべての世代」であり、その欲望を阻害するものは
すべて悪だという価値観の世代だからである。
しかし今の若者は新卒の4割が定職にありつけず、アルバイトしか見つからない
ような状況でも大規模な反乱、反逆など起こしてない。
キューバ革命のチェゲバラのような若者など見たことも無い。
すると、もしかすると今の若年層は貧乏でも幸せを感じる悟りの境地のような
ものに至ったか、あるいはヨレヨレの破けたような服を着てルンペン然とした
自分を鏡の前で見て「俺ってイケ面だよな」と呟くような人間になっている
ということもありえるのではないか?

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