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ヨーロッパ通貨危機:盲目的に1931年の事態に向かっている
ユーロ圏の崩壊?
◆11月18日
アメリカだけでなく、ヨーロッパもまた通貨危機の中にある。2008年のリーマンショック以来、問題は解決はされていない、ということだろう。アメリカの問題と同じように金融問題から、ヨーロッパの統合そのものが崩壊しそうになっている。
この世界を支配せんとする勢力は、金の力で世界を支配しようとしてきたのだが、自分たちの基盤となるその金がで自分たちのコントロールを離れていきそうになっている。しかもその金もコンピューター上の数字であり、実体を伴ったものでなくなりつつある。
以下で語られているような金額以外のデリバティブで動かされている金が兆を越えて京の単位で存在しているが、ヨーロッパとアメリカの経済が崩壊したら、それらデリバティブの京の金が吹っ飛ぶことになるだろう。その場合、世界経済は動きを止めざるを得なくなるだろう。
通貨が通用しなくなる瞬間が来ようとしているのかもしれない。これは有史以来といってもいいのかもしれないほどの、世界史的な大変動である。これが何を意味するのかを理解している人類はまだ数少ないのではないだろうか?
事態がここまで来ると、経済・政治分野だけでの「世界理解」では済まなくなるだろう。「人類の存在」、という課題に迫る必要が出てこざるを得ない。つまり問題はそのような、存在論的、哲学的範疇に入り込むのだ。いや宗教的範疇と言っていいだろう。
「地上」にこの大混乱が始まろうとしているのであるから、当然「天上」でもその原因となる大混乱が始まっていておかしくはない。上にあるごとく下にも・・・エメラルド・タブレットの言っているように。
これからは、このブログでもその方面の情報も必要になりそうだ。
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●ヨーロッパ通貨危機:盲目的に1931年の事態に向かっている
http://www.telegraph.co.uk/finance/comment/ambroseevans_pritchard/8132689/Europe-stumbles-blindly-towards-its-1931-moment.html
【11月16日 by Ambrose Evant-Pritchard】
アメリカの連邦準備銀行ではなくヨーロッパ中央銀行こそが政府負債を買い上げるために紙幣の大量印刷を必要としている。
ヨーロッパ中央銀行(ECB)がすばやい劇的な動きをしなければ、通貨の崩壊の危険があり、それは政治的な災害をヨーロッパで引き起こすことになる。
もし失敗すれば、アイルランドはいとも簡単にクレジットアンスタルト銀行の国家版になりうるだろう。このオーストリアの銀行は1931年にヨーロッパの金融システムを崩壊させた。
「ヨーロッパ中央銀行は伝染という概念を理解しているのだろうか?」とロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の主席ヨーロッパ・エコノミストのジャック・カイユ(Jacques Cailloux)は疑問を呈する。経済通貨統合(EMU)の三つの国は資本市場から締め出されている。また外国人債権者らは、スペイン、ポルトガル、ギリシャの債券を2兆ドル抱えている。
「もしもそれでは金融危機の伝染を心配するには不十分だと言うのだろうか?ECBの動きが足りないので、金融の安定を図るという使命をこなしているのかという疑問を呼び起こす」とカイユは語る。これは控えめな言い方だ。
ユーロ圏の財政基金(欧州金融安定ファシリティー)には致命的な欠陥がある。アルピニストがロープでお互いを結び合っているように、数が減少し続けている支払い能力のある核となる国々が、増え続ける支払い能力のない国々の重みを支えねばならないのだ。これでは政治的な信頼性に欠けるし、どうもそうなりそうなのだが、アイルランドが支援を要請させられたら、破綻するものかどうか試されるだろう。その時は、本当にイベリア半島から連鎖反応が始まる。
ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領が、この微妙な時期に、国家破綻の幽霊と債券所有者のヘアカット(担保の掛け目)に言及したことは重大な間違いだ。
そのような話は高負債国家から投資家が逃げ出すようにさせてしまうという、ECBのジャン・クロード・トリシェ総裁の警告を無視するものだ。
EUの指導者らはそれ以降、ダメージを払拭しようとして政策の変更は現行の債券には「なんら影響はない」と主張して下手な工作をした。それは新しい救済メカニズムの下で2013年中期後に実施されるものだ。誰もそのような区別で騙されはしない。
「これはとんでもない自殺的無責任とこっけいな思考錯乱のごった煮だ」とユニクレジット銀行のマルコ・アヌンツィアータは語った。
「2013年までに、もしもギリシャやアイルランド、ポルトガルなどの国が、未だに不安定な状態にあれば、どんな債券も法外な利回りを背負うことになるだろう。そうなればEUは充分で際限のない救済措置を施すか、既存の債務は再編されないという約束を破る、という両者の間で選択しなければならなくなるだろう。ドイツ人有権者は放蕩息子のような隣人らを助ける為に高い税金を甘んじて認めるだろうか?」と彼は語った。
5月、EUにとってはヨーロ圏の債務者のためにIMFと共に7500億ユーロのセフティ・ネットを宣言すれば充分だった。ボンドのスプレッドは縮小した。ドイツの第2四半期9%の成長による経済生産高の急上昇はEUのエリートたちに通貨統合は火責めの中を生き残った、と嬉しがらせた。実際はそうではなかったのだ。今回は実際の資金を出さねばならない。
アイルランドにとっては残念だが、事態はコントロールできなくなりつつある。アイルランドの輸出産業の、医薬、医療機器、IT、そして裏工作などが急降下する経済状況から国を救い出す時間があった以前から、信頼は喪失していた。
今年GDPの32%となる赤字をやりくりしたブライアン・コーウェン首相はまだ救済は必要ないと主張している。「我々は7月までは充分な資金がある」と言っていた。コーウェン氏は、それでは充分ではない、ということを知らねばならない。アイルランドの銀行の資金はなくなってしまい、それと共にアイルランドの会社の資金もなくなった。
EU救済措置についての「テクニカル」な話が水面下で進んでいるという、リークされた話から知るように、これはアイルランドが 800億から850億ユーロの救済をEFSF(欧州金融安定ファシリティー)に要請せざるを得なくなるのは、数日から数週間の話かもしれないのだ、とバークレイズ・キャピタルは言っている。
ポルトガルはアイルランドより更に悪い状況だ。負債総額はGDPの330%である。現在の赤字はGDPの12%(アイルランドは黒字になりつつある)。ポルトガル銀行は外国のホールセールファンディングでアセットの40%をカバーしようとしている。
ポルトガルはここ10年ほど、その過大評価されている通貨によって恒久的スランプ状態に陥っている。継続的な緊縮政策を行っても、財政赤字を恒常的に減らすことに失敗し、社会主義勢力の権威を削ぎ、極左勢力を復活させるには充分であった。
元大臣らは既にEU−IMFの救済の必要性を自由に語っている。アイルランドと一緒になって破綻の渦の中に引き込まれることを避けるのは困難であろうと見られている。そうなるとヨーロッパとIMFは累積する2000億ユーロの救済資金の請求書に直面することになる。これはEFSFの能力の限界だ。
この問題は即座にスペインにシフトするだろう。スペインでは経済成長は第3四半期でゼロ成長のままだ。10月の車販売数は38%下落し、公務員給与の5%カットが必要で、不動産市場では売れ残った住宅が約100万件ある。問題は、スペインという国家ではない:アキレス腱はGDPの137%になる企業債務であり、四半期ごとに繰り越される外国債務者に対する負債である。
危機であることははっきりしている。核となる経済通貨同盟(EMU)諸国が、救済資金の担保を支えるための新規の資金を集めることをしなければ、市場はEFSFがスペインを支える力を持っているとは見ないだろう。ドイツの連邦議会は更なる資金援助に賛成票を投じるだろうか? 右派のゲールト・ヴィルダーズがポリティカル・バランスを保持しているオランダの議会は、そのような支援に反対しているし、そのような危機を権力の拡大に利用するかもしれない。
もしイタリアがアイルランドとポルトガル、スペイン支援の3分の1を請け負うよう迫られたら何が起きるか分からない。イタリアの公的債務は危険領域に迫るGDPの115%である。これは日本、アメリカに次ぐ世界で3番目に大きい額である。フランスの銀行もイタリアの負債に対し4760億ドルのエクスポージャーを抱えている。
イタリアは支出に対し厳しい姿勢で臨んできたが、状態は良くない。成長は止まったままだ:工業生産高は9月2.1%下落し、ベルスコニ政権は崩壊しつつある。4人の閣僚は22日に辞職する予定だ。
今となっては、IMFスタイルの緊縮財政とデットデフレーションはヨーロッパ周辺国の高負債国家にとっては効果的ではない政策であることははっきりしている。それは平価切下げによるIMFの救済によっては相殺されないからである。税収の崩壊は財政赤字が高めに留まる原因となっている。実際の負債額は高まっている。
ヨーロッパ中央銀行(ECB)は最後の防衛ラインだ。アイルランド債を購入することでいつでもアイルランドの危機を阻止することができる。しかし、通貨同盟を守る為になんでもする代わりに、銀行は緊急オペレーションをやらわげ資金を回収している。2008年7月の危機の際、金利を上げることで失敗した政策を繰り返す過ちを冒している。
ECBは既にアイルランドと地中海クラブを、地方銀行への際限のない貸し出しで支えている。その資金は内部の「キャリートレード」で彼らの政府負債に向けられる。それにECBは当然のことながら、財政赤字に資金提供することで、通貨政策が財政政策になる決定的なラインを超えることには慎重である。
ドイツ連邦銀行のアクセル・ウェーバー総裁は、この状態ではドイツと大債務者とが和解することは不可能だと堂々と結論づけるかもしれない。もしもECBが南方の負債国を支える為に必要とされる通貨を印刷すれば、ドイツのインフレを相殺するかもしれないし、通貨同盟に対するドイツの信頼を損なうことになるかもしれない。そしておそらくはドイツの憲法裁判所と衝突するかもしれない。もしも経済通貨同盟が分裂するとなると、それはゲルマン方式でなされるのだろう。
こういった全ては理解できるが、メルケル首相はECBの職員らにドイツの半世紀にわたるヨーロッパの戦後秩序への投資を無に帰さしめ、神々のたそがれの国を危機に追いやるだろうか?
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2010/11/18 (Thu) 経済
(新世紀人のおことわり)
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