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円高から円安へ、基調逆転の気配を受けて、早くも東京市場で外国人買いが復活した。日本株独歩安の修正局面が続く可能性がある。
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/203.html
投稿者 TORA 日時 2010 年 11 月 16 日 14:47:28: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu228.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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円高から円安へ、基調逆転の気配を受けて、早くも東京市場で外国人
買いが復活した。日本株独歩安の修正局面が続く可能性がある。

2010年11月16日 火曜日

◆FRB副議長「国債購入、ドル押し下げ狙った措置でない」=米紙 11月16日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-18199820101116

[ワシントン 15日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン副議長は、米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙とのインタビューで、FRBが発表した、米国債を追加的に買い入れる量的緩和第2弾(QE2)はドル相場の押し下げを狙った措置ではないと述べた。

 FRBはインフレ率を2%以上に押し上げようとしていない、とも述べ、QE2を擁護した。

 FRBの決定に対しては、ドル安を誘導しようとしているとして国内外から批判の声があがっている。

 副議長は、米経済は拡大が続くが、失業率が9.6%から8%に低下するには時間がかかると指摘。

 「本当に強い成長をもたらす要因がなかなかみえない。インフレ率は長期間現在の水準にとどまる見通しだ」と述べた。

 また「2012年末の失業率はおそらく8%前後となるだろう。来年は成長が加速する見込みで、二番底は予想していない」と語った。

 さらに、FRBの量的緩和策を他国の資本フロー問題の原因と位置付けるのは公平でないと指摘した。 

 議会からFRBの決定に批判がでていることについては、中央銀行の独立に脅しをかけるものと批判。「決定内容をできるだけ明確に説明し、批判に対応するのがわれわれの義務だ。政治的論争に巻き込まれるのは好まないが、われわれは議会からできる限りの任務を遂行するよう求められている」と述べた。

◆円安、株高へ。日本に追い風。 11月15日 山本清治
http://www.kyas.com/club9/QA/qa101115.html

◆(二)米超ジャブジャブ金融の光と影。

(1)NYダウは9月以降きわめて順調な上昇傾向をたどってきた。FRBのバーナンキ議長が空前の規模で金融市場に巨大流動性を供給すると表明し、予告を上回る規模で実行したからである。

(2)すなわちFRBは米経済のデフレ懸念を断ち切るために、来年半ばまでに6,000億ドル(50兆円)の長期国債を買い取ることによって、金融市場に空前の過剰流動性を供給すると発表し、実施した。日銀が表明した資産買い取り5兆円の10倍に達するスケールである。

(3)これを受けてニューヨーク株を筆頭に世界の株価が高騰し、石油、貴金属、非鉄、穀物等の商品相場が一斉に急騰した。特に米国では株式や住宅価格の上昇が消費を刺激し、設備投資を誘発し、景気と雇用を好転させると期待された。

(4)しかし先週には一転してNY株が急反落し、予想に反してドル相場に底入れ観が台頭した。

(5)オバマ政権は金利を引き下げて、ドル安に誘導し、輸出主導で景気拡大を図る戦略を意図したいたから、短期的には予想外の展開となった。

(6)一方、グリーンスパン前FRB議長は11日付け英フィナンシャルタイムズ紙で米国と中国の通貨安政策を批判した。両大国の通貨政策は他国の不利益を招き、通貨安競争を誘発すると警告したのである。

(7)また、ドル札の際限ない大増発は、世界通貨であるドルの信任を揺るがすリスクをはらんでいることをちらりと感じさせた。

◆(三)資産インフレが進行する。

(1)しかし、米国の超ジャブジャブ金融は今始まったばかりである。ジャブジャブの過剰流動性供給はこれから5ヶ月にわたって積み上がるから、早晩金融市場からあふれ出て、株式市場、商品市場、不動産市場に流入し、資産インフレを誘発すると考えておくべきだろう。

(2)現に世界の金融市場を見渡せば、株式はもちろん石油、貴金属、非鉄、穀物等の商品相場が全面的に急騰した。

(3)一方、新興国では通貨高とインフレ懸念が台頭し、米国の行き過ぎたジャブジャブ金融に対する批判が表面化した。

◆(四)円安で日本にフォローの風が吹く。

(1)先週、日本と韓国で相次いだ国際会議で米国、中国の通貨安政策に批判が集まり、為替介入回避への合意が図られた。

(2)円高から円安へ、基調逆転の気配を受けて、早くも東京市場で外国人買いが復活した。日本株独歩安の修正局面が続く可能性がある。

(3)1ドル80円で下期の利益を予想した輸出関連企業には増額修正の期待が広がるだろう。

(4)海外の複数の不動産ファンドが日本進出を狙っているという情報もある。

(5)急速な円高に歯止めがかかれば、日本国内の設備投資が回復し、景気好転、デフレ脱却への期待が広がる。エコノミスト、マスコミの間で蔓延している自虐的弱気論にも変化の兆候が見える。

(6)11月の最初の2週間にニューヨーク市場では強気局面と弱気局面が交互に現れたが、東京市場では円安と株高が進行した。

(7)円相場の割高と日本株の割安は周知の事実である。周知の事実はすでに株価が折り込んだ。私は久々に日本の金融市場に逆風から順風へ、基調を逆転させる風が吹くと思う。


(私のコメント)
日本経済の低迷は株安と土地価格の長期低下にあると思うのですが、バブル崩壊から20年近く経った現在でも株と土地の低迷が続いている。アメリカのバーナンキがやっているような大幅な金融緩和でカネをジャブジャブにばら撒けばデフレにならずに済んだのだろうか?

日銀も規模が十分の一程度ながら金融緩和に踏み切りましたが、サラリーマンの日銀総裁は横並びでないと金融緩和に踏み切れなかったから20年も資産デフレが続いたのだろうか? FRBは50兆円の長期国債を買い取る事で市場にマネーを供給してデフレを防ごうとしている。日本のようにいったんデフレが定着してしまうと抜け出す事が難しくなるからだ。

しかし政府の財政がいつまでも拡大しっぱなしも出来ることではなく、アメリカの中間選挙では共和党が大勝して緊縮財政に向かう事だろう。つまりは日本政府がやってきたような緊縮財政と景気刺激政策の間を行ったり来たりする事になるのだろうか? 円安の反転も、アメリカ議会が中間選挙で共和党の多数派になったことがきっかけではないだろうか?

共和党が議会の多数派になった事で金融緩和措置の縮小が行なわれるのではないかという見方がドル高円安になっているようだ。さらに大幅な金融の緩和は商品価格を押し上げて物価高の要因になる。いわば不景気な中での物価高になってしまうと消費が落ち込んで経済にも悪影響が出る。

ドルが安くなると石油、貴金属、非鉄、穀物等の商品相場が高騰する。それでは金融緩和した意味がなくなってしまうから50兆円の金融緩和規模が小さくなるかもしれない。日本の場合は円がどんどん高くなって物価が下がり続けてデフレになってしまった。アメリカのように大規模な金融緩和するとインフレになってしまうし、日本のように金融緩和しないとデフレになってしまう。

だから政府や中央銀行は市場を見ながら金融や財政のコントロールを取っていかなければなりませんが、日本の政府日銀はデフレになるまで金融を締めてしまった。インフレの場合は金利を上げたり金融の引き締めでコントロールが出来ますが、デフレの場合は金融の緩和ではなかなか効果が出ない。日本もアメリカ並みに50兆円の国債の買いオペをやればデフレも吹っ飛ぶのでしょうがサラリーマンの白川日銀総裁にそれが出来るはずがない。

FRBのバーナンキ議長は2%程度のインフレターゲットを目標にしているようですが、特に明確に宣言している訳ではない。日銀のようなマイナスの物価上昇にしてしまうとデフレスパイラルに陥る危険性がある。日本の場合は議会が金融緩和せよといっているのに日銀が引き締めていますが、アメリカの場合はFRBが50兆円の金融緩和しようということに対して多数派となった共和党が反対している。

日銀の白川総裁が日銀の出身であるのに対してFRBのバーナンキ議長は学者出身だ。年功序列でなった白川氏では先輩の日銀総裁の政策を180度変えることは難しいだろう。もし金融緩和してデフレから脱却してしまったら歴代の日銀総裁が間違っていた事が証明されてしまうからだ。

アメリカの大規模な金融の緩和と商品相場の上昇とは関連がありますが、ドル安や金利高や物価高などの副作用がある。それに対して日本で起きている事は円高でありデフレでありゼロ金利だ。何が原因であるかははっきりしている。日銀の金融引き締めで円高になり物価が下がり続け不景気で金利も安い。

このような状況で金融緩和して銀行にマネーを積み上げても誰も借りに来ないとエコノミストは言いますが、ゼロ金利の円を借りて高金利のブラジル国債を買えば金利差で10%の利益が出る。オーストラリア国債も高金利だ。もちろん為替リスクはあるが80円から今日は83円の円安で為替利益で高金利と円安のダブルで儲ける事ができる。

つまり金融緩和で円を放出すれば円売りドル買いになり円安になる。アメリカのドルの金利が少し高くなっただけでも円安にふれる。円安になれば株価が上がり株式を持っている人の含み資産も大きくなって消費が増える。消費が増えれば景気が良くなって税収も増える。いい事尽くめなのですが日銀が金融緩和しないからデフレになってしまった。昨日も書いたようにサラリーマンの白川総裁は責任を取らずに政策も変えようとはしない。

バーナンキ議長はこのような日銀の失敗を見て知っているから大規模な金融緩和に踏み切った。大規模すぎて物価や金利にも影響が出てくるほどですが、日本もこれくらいの事をしなければ金融政策とはいえない。アメリカは明言はしていないものの2%程度のインフレターゲットをとっているようだ。カナダやイギリスもインフレターゲットをとっている。日本がインフレターゲットを取らないのは責任を取りたくないからだろう。

50兆円の長期国債を買い取るというメッセージはそれだけでも一種のインフレターゲット政策であり、物価が上がり始めれば国債買取の規模を縮小すればいい。それに比べると日銀の政策はアナウンス効果などの計算が無くて規模も小さすぎる。100兆円の国債の買取をするぞと言って実際は10兆円しか買わなかったというような事もあるだろう。いわば市場との駆け引きが白川日銀の総裁は出来ない。

菅総理は「乗数効果」も知らない経済音痴であり、英会話も満足に出来ない。政策は仙谷官房長官に丸投げして、金融政策は白川総裁に丸投げだ。そうすれば自分は責任を取らずに済むという計算なのでしょうが、責任は総理大臣が取るべきものであって官房長官や日銀総裁は最終的な責任者ではない。しかし仙谷官房長官は外交問題を石垣の検察に責任を押し付け、ビデオ流出も神戸の海上保安官に押し付けるつもりだ。

白川日銀総裁は金融政策を失敗したとしても責任をとる必要が無い。年収は3500万円だから5年の任期で1億7000万円の収入が得られる。従来は大蔵省と交互に総裁を選任してきましたが、最近では日銀出身者が総裁になっている。昨日も書いたように日本では年功序列であり、外部の人間がトップに就くと言う事は内部からの摩擦が大きい。その結果が「失われた20年」になってしまったのだ。

 

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コメント
 
01. 2010年11月16日 16:47:14: IOzibbQO0w
本格的な不況に来年陥らない限りは、暫くはドル高基調か


FRBの追加緩和策に新たな攻撃-エコノミストらが公開書簡
* 2010年 11月 16日 9:37 JST
  【ワシントン】米連邦準備理事会(FRB)による米景気てこ入れを目指す最新の政策が共和党寄りのエコノミストおよび政治家の非難の的となっており、FRBが超党派政治に一層深く引き込まれる可能性が生じている。

 共和党寄りの著名エコノミストのグループは共和党の議員と政治戦略家をとりまとめ、今週、バーナンキFRB議長に6000億ドル規模の追加的な米国債購入策を取り下げるよう要請する運動を開始する。
バーナンキ米FRB議長

 このグループはウォール・ストリート・ジャーナルとニューヨーク・タイムズ両紙の今週の広告として公表した公開書簡で、「(FRBが)計画する資産購入は為替相場の下落とインフレのリスクを高め、雇用促進というFRBの目的を達成することにはならないと考えている」と指摘した。

 関係筋の一人によると、同エコノミストらはポール・ライアン次期下院予算委員長(ウィスコンシン州)をはじめとする共和党議員と話し合いを進めており、週末には共和党の潜在的な大統領候補者とも協議を開始した。

 また、外国の一部の経済閣僚らは、外国為替市場でのドル相場の引き下げ効果を伴うFRBのこの効果的な造幣措置を批判している。オバマ米大統領は先週、FRBの政策を擁護し、量的緩和として知られる追加的な債券購入政策は「景気拡大を意図したもので」、ドルの下落を目指すものではないとの見解を示した。

 FRBは民主・共和両党からの頻繁な批判にもかかわらず、過去30年間にわたり、金融政策に関して著しい独立性を享受してきた。しかし、今回の新たな運動を組織する向きは、FRBはますます政治的な紛争に巻き込まれることになろうと予測している。保守派の草の根運動、茶会党(ティーパーティー)の影響を大きく受けた共和党議員らは大きな政府プログラムに対する有権者の拒絶に熱心に焦点を絞っており、保守派は本質的に造幣を意味するFRBの新政策は、共和党が過半数を占める新下院の調査の対象となる可能性が高く、引いては2012年のオバマ大統領の再選に向けた選挙戦での課題となる可能性が高いと指摘している。

 FRBの政策に反対を強める保守派グループとの初期の協議に詳しいマイク・ペンス議員(共和、インディアナ州)は、「造幣は景気刺激策の代わりではない」と指摘した。同氏はこの書簡の署名者は、「人為的にインフレを創出することにより基本的な問題を覆い隠すのではなく、減税と歳出削減、規制緩和により景気刺激策を模索すべきだと考える米国民の高まる批判を代弁している」と語った。

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米議会予算局(CBO)のダグラス・ホルツ・イーキン元局長
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 FRBはまた、左派からも異なる種類の圧力に直面する可能性がある。下院金融委員会委員長を含む民主党の著名議員の一部は、量的緩和の動きを支持している。

 しかし、12年11月の米大統領選が近づいても米経済が引き続き失望的な状況となっている場合には、米政府関係者と民主党議員はFRBに米景気回復を持続するために一層の措置を取るよう圧力をかける可能性がある。

 ノーベル経済学賞受賞者のジョゼフ・スティグリッツ氏とポール・クルーグマン氏など、著名なリベラル派エコノミストの一部は既に、量的緩和の効果に疑問を呈しており、米経済の健全性回復には一段の景気刺激策が必要だと主張している。

 FRBを批判する書簡に署名したのは、スタンフォード大学のエコノミスト、マイケル・ボスキン氏(ブッシュ
H.W.元政権時代に経済諮問委員会(CEA)委員長を務めた)とジョン・テイラー氏(金融政策研究者としてブッシュ両政権に仕えた)。そのほか、保守派のアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のエコノミスト、ケビン・ハセット氏、米議会予算局(CBO)元局長で、ジョン・マケイン氏の大統領選でのアドバイザーを務めたダグラス・ホルツ・イーキン氏などが名を連ねる。

 FRBの広報官は14日、「FRBはインフレ率を低水準で安定させるとともに、雇用創出を促進する政策をすべて採用する」と明らかにした。さらに、FRBは債券購入に向けて「必要な調整をする用意があり、適切な時期にこうした政策を段階的に終了する手段を持ち合わせていると確信している」と続けた。

 同報道官はさらに、「FRB議長はまた、FRBは単独では経済問題の解決は難しいと考えている、と指摘している」と明らかにした。「それには時間がかかる上、FRBと議会、政権、規制当局者、民間部門といった多くの向きの努力を結集する必要がある」と説明した。

記者: Peter Wallsten and Sudeep Reddy


02. 2010年11月16日 16:52:46: IOzibbQO0w
FRBとオバマもそろそろ政治的に厳しい状況に陥りそうだ

日銀は経験から量的緩和の長期的な弊害を良く理解しているし
日本は米国ほど実体経済も雇用も悪くはないから、
そう積極的には動きたくはないだろう
あとは政治家の緩和圧力次第だな


03. 2010年11月16日 18:38:19: 4FbhDKn96Q
長期的な弊害ってw
日銀はそんなこと言うほどの量的緩和やってないがな
デフレから脱却する前に勝手に打ち切っちゃったでしょ
冗談で言ってんのかw

04. 2010年11月16日 19:45:32: c08GavTYNs
日本株が独歩安なのでこれから修正するのではありません。

今の上昇は単なるリバウンドと買い戻しです。

日本株は世界に先行して下げているのであって、

これから世界の株価は、暴落するのです。

この人は何もわかっていないようだw


05. 2010年11月16日 20:51:02: cqRnZH2CUM
【第9回】 2010年11月16日ジョセフ・E・スティグリッツ [Joseph E.Stiglitz]
FRBは妥当か 長期金利の低下に景気浮揚効果なし 

2001年ノーベル経済学賞受賞。1943年米国インディアナ州生まれ。イェール大学教授、スタンフォード大学教授、クリントン元大統領の経済諮問委員会委員長、世界銀行上級副総裁兼チーフエコノミスト等を歴任。現在はコロンビア大学教授。
FRBの量的緩和はドル安をもたらし、アメリカ企業の競争力を高める一方、新興市場の通貨高と資産バブル、インフレを引き起こした。 
 金利がゼロに近いなかで、米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめとする諸国の中央銀行は、意味のある存在であり続けるために四苦八苦している。 彼らの矢筒の中の最後の矢は、量的緩和と呼ばれるもの。FRBが近年行ってきた他のあらゆる政策とほぼ同様に、アメリカ経済を回復させる効き目はないだろ う。それどころか、量的緩和は納税者に多額の負担を強い、おまけにこの先何年もFRBの効力を損なうことになるだろう。
 ジョン・メイナード・ケインズは、大恐慌の際には金融政策は効かなくなると主張した。中央銀行は景気後退期に投資を促進することより、バブル期に 市場の根拠なき熱狂を抑え込むこと──経済を制御するために信用のアベイラビリティ(利用しやすさ)を制限したり、金利を引き上げたりすること──のほう が得意なものだ。優れた金融政策がバブルの発生を防ぐことに狙いを定めるのはそのためだ。
 だが、20年以上にわたり、市場原理主義者とウォール街に牛耳られてきたFRBは、熱狂を抑え込むことに失敗しただけでなく、応援団として行動した。そして、現在の混乱の発生に中心的役割を果たした揚げ句、今になって面目を取り戻そうとしているのである。
 2001年には利下げが効いたようには見えたが、それも想定されていたような効き方ではなかった。低金利は工場や機器への投資を促進するよりも、 むしろ不動産バブルをふくれ上がらせた。これが無謀な消費を可能にし──それはつまりは相応の資産に裏打ちされることなく負債が生み出されたということ だった──行き過ぎた不動産投資を助長し、解消に何年もかかる過剰ストックを生んだ。
次のページ>>長期金利が低下しても中小企業向け貸し出し金利は下がらない 
 過去数年間の金融政策で評価できるのは、リーマン・ブラザーズの破綻に続く恐れのあったきわめて悲惨な事態を防いだことぐらいだろう。だが、短期 金利の低下が投資を促進したとは、誰一人として思っていないはずだ。現に、企業向け貸し出し──とりわけ中小企業への貸し出し──は、アメリカでもヨー ロッパでも危機前より著しく低い水準のままだ。FRBや欧州中央銀行は、この問題についてなにも策を講じてこなかったのだ。
 FRBや欧州中央銀行は、景気を浮揚させるために中央銀行が取るべき策は金利の引き下げだけだとする標準的な金融政策モデルにいまだにとらわれて いるようだ。標準モデルは危機を予測できなかったのだが、間違った考えはなかなか死なないものだ。そのため、短期国債の利回りをゼロに近いレベルに下げて も効果がないのに、長期金利の低下が景気を刺激することに期待をかけているのである。成功の可能性はゼロに近い。
 大企業にはキャッシュがあり余っており、金利が少しばかり下がっても彼らにはあまり違いはない。また、政府が支払う金利、すなわち国債の利回りは低下しているのに、資金調達に苦労している多くの中小企業にはそれに応じた金利の低下の恩恵はない。
 もっと重要なのは融資のアベイラビリティだ。アメリカの多くの銀行が脆弱であるため、貸し出しは引き続き抑制されるだろう。そのうえ、中小企業への融資はほとんどが担保融資だが、最も一般的な担保である不動産価格は大きく下落している。
 不動産市場を活性化するためのオバマ政権の努力は、さらなる落ち込みを先送りしただけで、惨憺たる失敗に終わっている。楽観主義者でさえ、不動産 価格が近いうちに大幅に上昇するとは思っていない。要するに、量的緩和──長期国債や住宅ローン担保証券を買い取ることで長期金利を低下させる政策── に、企業活動を直接刺激する効果はあまりないのだ。
 だが、この政策は二つの点で景気浮揚効果をもたらすかもしれない。一つは通貨安競争というアメリカの戦略の一環としてである。アメリカは公式には 依然として強いドルが望ましいとしているが、金利が低下すると為替レートは下がる。これを為替操作と見なすか、金利低下の偶然の副産物と見なすかは重要で はない。確かな事実は、金利低下によるドル安がアメリカに貿易面でいくらかの競争優位をもたらしているということだ。
次のページ>>」ニ」メ」ツが買い取った住宅ローン担保証券がもたらす損失の可能性
その一方で、投資家がアメリカ以外の国により高い利回りを求めるなかで、大量のマネーがドルから他の通貨に流れ、世界中の新興市場の為替レートを押 し上げている。新興市場はこの状況を理解し、憤慨している(たとえばブラジルは強烈に懸念を表明している)。自国通貨の価値の上昇についてだけでなく、マ ネーの流入が資産バブルをあおったりインフレを誘発したりすることに怒りを感じているのである。
 バブルやインフレに対する新興市場国の中央銀行の通常の対応は、金利を引き上げることだ。それによって、これらの国々の通貨の価値はさらに高ま る。したがってアメリカの政策は、ドルを弱くするとともに、他国を通貨高につながる措置に追いやるという意味で(なかには短期の資金流入に障壁を設けると か、為替市場に直接介入するといった対抗措置を取っている国もあるが)、通貨安競争で二重の効果を上げているのである。
FRBが買い取った住宅ローン担保証券がもたらす損失の可能性
 量的緩和がわずかでも効果を持ちうるもう一つの点は、住宅ローンの金利を低下させることだ。これは不動産価格を維持する助けになるだろう。したがって、量的緩和はいくらかの──おそらく弱いものだろうが──バランスシート効果をもたらすだろう。
 だが、潜在的なコストの大きさがこれらの小さな便益を帳消しにする。FRBは1兆ドル以上の住宅ローン担保証券を買い取っており、その価値は景気が回復したら低下する。民間部門がどこも買いたがらないのは、まさにこのためだ。
 政府はキャピタルロスを被っていないように見せかけるかもしれない。銀行と違って、政府は時価会計を義務づけられていないからだ。だが、FRBが これらの債券を満期まで保有したとしても、だまされてはいけない。損失が認識されないようにするために、FRBはまだ効果が証明されていない不確実で高く つく金融政策ツール──銀行に貸し出しを控えさせるために準備預金に高い利息を付けるというような──に頼り過ぎるようになるかもしれないのだ。
 FRBが危機前のひどい仕事ぶりの埋め合わせをしようとしているのはよいことだ。だが、残念ながら、FRBが経済の安定を維持することに失敗した ──そして再び失敗することが確実な──考え方やモデルを変えたという証拠は見当たらない。FRBの前回の失敗は途方もなく高くついた。FRBが懸命に値 札を隠そうとしても、新しい失敗もやはり途方もなく高くつくだろう。
I dissent: Federal Reserve's Relevance Test by Joseph E. Stiglitz: Copyright: Project Syndicate,2010
(翻訳・藤井清美)


06. 2010年11月18日 02:16:54: rZozg4vjYQ
アメリカのジャブジャブのドルが入ってきてるだけでしょ。
そのうち崩れるよ。
来年は公募増資のオンパレード。

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