http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/194.html
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「世界金融危機 日中の対話―円・人民元・アジア通貨金融協力」は、「御用学者」でない日中の新進気鋭の経済学者が集まって、世界経済について分析した良著だ。
世界経済危機からアジアを守るためにアジア各国が協力し、ACU(アジア共通通貨)を構築して団結しようという内容だ。
世界金融危機以降、アメリカのドル覇権が動揺し、中国人民銀行の周小川総裁はロンドン・サミット前に「主権国家と無縁な通貨をドルに代わる貿易・金融取引の決済手段とするのが理想」という論文を発表した。ロシア、ブラジル、インドと共に修正ドル本位制から離脱を計画しているが、そもそも現在の世界経済危機の原因は、アメリカである。
ニクソンショックにより金兌換を放棄したドルは、世界貿易の決済通貨として世界中に溢れ出した。基軸通貨の地位に安住したアメリカは為替政策に気を使うこともなく、ドルを垂れ流した。
アメリカは早くから、国際競争力のない製造業の海外移転を推し進め、相対的にコストの安いアジアが世界の工場となった。累積する巨額の貿易黒字・経常収支の黒字は、金融市場の自由化に歩調を合わせるように米国に還流し、米国債に投資された。経済植民地の富を宗主国に吸い上げる「新帝国循環」である。
しかし、行き過ぎた米ドルの垂れ流しは、証券化商品やデリバティブ商品と一緒になってパンパンに膨れ上がったホットマネー(投機資金)は、リーマンショックを契機に崩壊したのだ。超低金利と国内デフレによる日銀の過剰流動性供給に伴う「円キャリートレード」も世界のホットマネー(投機資金)の大暴れを助長した。
これは、「規制緩和」の美名のもとに世界規模で自由化された「カジノ資本主義」「丁半バクチ」の終焉といっても良いだろう。
経済危機で投入された巨額の対策(税金)は、首を切らて住宅ローンを支払えない債務者や中小企業の援助に使われること無く、金融機関に注ぎこまれ、金融村の巨額のボーナスとなっただけで、実体経済回復に寄与することはなかった。
垂れ流される巨額のドルは、世界経済の不安定要因である。アジア各国を今後来る金融大津波から守る方策は、「ドルの軛」から逃れるための方策は、複数のアジア通貨と地下資源に裏付けられた「アジア共通通貨」しかない。国際経済を撹乱するホットマネーの規制なくして実現しない。
新帝国循環で、アメリカの借金地獄に組み込まれ、カネを毟り取られるだけの日中を初めとするアジア各国は一致団結して行動するときであろう。
参考リンク
◆世界金融危機 日中の対話―円・人民元・アジア通貨金融協力
http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/book/7393361.html
「金融危機で浮上した国際通貨体制と国際金融の改革をめぐる議論を整理し、アジア通貨金融協力の現状と展望を考える。」
◆「ドル基軸論議」を静観する欧州の内情
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20090709/199642/
「通貨制度を巡る議論が活発化している。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の各国は先月開催した首脳会議で、「通貨制度の多様性拡大が必要」との見解を打ち出した。
中国とロシアは、それ以前から、ドル基軸通貨体制に対する牽制球を投げ始めており、3月には、中国人民銀行の周小川総裁が、「SDR」をドルに代わる新たな基軸通貨とする可能性に言及。大きな関心を集めたことは記憶に新しい。・・・
「米vs.中国+ロシア」の構図でグローバルな通貨体制論が展開される一方で、通貨ブロック強化のローカルな動きも散見される。アジアでは「アジア版 IMF」とも言うべき「アジア通貨基金(AMF)構想」が改めて浮上し、死語になりかけたACU(アジア通貨単位)も再度口端に上り始めた。・・・」
◆“自分のカネで自分が買われる” という奇病に罹った悲惨な日本 (新ベンチャー革命 )
http://www.asyura2.com/10/senkyo84/msg/312.html
◆豊かなアイルランドがバンカーたちの手で「こじき」に−救済必至か
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=a9EjSO9Z75CM
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