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株式日記と経済展望
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もはやアメリカの金融機関同士がお化けのような商品を売り
買いした結果、お互いに訳が分からなくなってきているのである。
2010年11月5日 金曜日
◆株価と経済のおかしな動き 10月19日 浅川吉冨
http://www.y-asakawa.com/Message2010-2/10-message74.htm
アメリカの株式市場が異常な動きを始めている。株価は経済の先行きを示す最大の指標であるはずなのに、それとはまったく反対の動きを示しているのだ。ダウ平均は11000ドルを超し て、9月の10,000ドル割れから一気に上昇し、リーマンショック以来の高値11,200ドルを抜きそうな勢いである。
しかし、今のアメリカ経済は決して株価が示すような好調ではなく、2番底の懸念がさらに大きくなっているのが実体である。11月の中間選挙に向けて現政権のオバマ民主党が大変な劣勢に立たされている状況を見れば、それはすぐ分かることである。
オバマ大統領も先月、記者会見の席上で「景気回復の進展は苦痛なほど遅い」と、政権が当初期待していた順調な回復とはほど遠い ことを素直に認めており、さらに、「景気後退が残した傷痕は巨大だった 、何百万人もの米国人が依然として職探しをし、何百万もの家庭が請求書や住宅ローンの支払いに苦労している」と述べている。
事実、今月発表された9月の失業率は9.6%と高いままで、非農業部門の就業者数は先月に比べてさらに10万人近く減少し、この減少傾向は4ヶ月も続いている。FRB(米連邦準備制度理事会)がすでにゼロ金利に近い公定歩合をさらに引き下げ、 再びドル札を市場にばらまこうとしているのもそのためである。
しかし、その効果は限定的で、選挙あけの12月、あるいは年明け早々に発表される失業率の数値は10%に近づいているかもしれない。こうした失業率の低迷や所得金額の低下を受けて、住宅ローの支払いが出来ず持ち家を手放す人の数は鰻登りに増えている。また、新築の一戸建て住宅の販売数の落ち込みもひどく、2005年の140万戸をピークに減少し続け、今年度は30万戸を割りそうである。
月収・60万ほどの人が毎月40万円を超すローンの支払いを当たり前としてきていたのが、リーマンショック以前のアメリカの実体であったことを考えれば、現在の状況は当然の結果であるといわざるを得ない。世界を不況のドン底におとしいれたサブプラ イムローンの破綻は、起きるべきして起きた結果であったのである。
住宅の差し押さえに問題発生
こうした不況下、巨大な公的資金の注入によって立ち直った大手の投資銀行系の金融機関が巨額の利益をあげ、高額のボーナスを支給し始めていることに、一般市民の中から大きな不満の声があがってきている 。そんな中、住宅の差し押さえに関してとんでもない事態が発生し、市民の怒りに火に油を注ぐことになりそうである。
とんでもない事態とはなにか?
9月に銀行が担保権を行使して差し押さえた物件はなんと10万件を突破し、1ヵ月の件数としては史上最高の数値となった。かって住宅ローンをまともな審査もせずに、せっせと貸し出していた銀行は、今度は迅速にかつ拙速(せっそく)に差し押さえを始めたというわけである。
そのために、シティー銀行やJPCモルガンスタンレーなどの大手銀行は、裁判所から差し押さえの許可を得るための書類整理が間に合わなくなり、それらの手続きをグアムやフィリッピンにある会社、つまり、第三者に業務委託していたようである。なんと、一人の銀行員が一ヵ月に処理せねばならない書類の件数が1万件を超していたというからその数の凄さが分かろうというものである。
その結果、差し押さえ物件の確認はおろか、所有者のサインもねつ造されたまま裁判所に書類が提出され、機械的に差し押さえ手続きを進められていたのである。まさに金融機関としてあるまじき行為である。さらに悪いことに、誤った証明書類やねつ造された宣誓供述書が持ち込まれた裁判所も、あまりの数の多さに十分な審査が出来ないまま、 一部、差し押さえの許可を出してしまっていた というから、あきれてものが言えない。
その結果、「同一物件に複数の金融機関が所有権を主張する事例」や「住宅ローンを利用していない家まで差し押さえ」といったミスが続出するところとなったのである。そればかりか、フロリダ州などでは差し押さえがすべて禁止される事態が発生し訴訟問題も発生するなど、大きな社会問題 となろうとしてきているのである。
こうした事態の発生には、今一つ隠れた別の面があった。それは、融資した銀行がローンの担保物件を証券化して市場に販売してしまったために、その証券を買った別の金融機関が独自に競売や差し押さえを始めるなどして、物件の正統な所有権者が誰なのか分からなくなっているという実体があるのである。
もはや金融機関同士がお化けのような商品を売り買いした結果、お互いに訳が分からなくなってきているのである。昨今の金融市場が実体経済からかけ離れ、金儲けを優先した 金融ファンドと称するバーチャル的な商品の取引市場となった歪み(ひずみ)が、こうした形で現れてきているのである。
いずれにしろ、アメリカの現在の経済状況はもはや末期的症状を呈してきており、一筋縄で解決出来るような状況ではなくなっていることは確かである。アメリカは間違いなく二番底、というより、底の見えない奈落の底に向かっている 、そう考えて間違いない。
そんなことなどどこ吹く風と株価は上昇を続けているが、こんな状況がいつまでも続くはずがない。いかに、国家ぐるみで株価操作をしようが限界はあるはずだ。「ドル札」さえ無尽蔵に刷ればよいというなら、歴史的な株価の暴落は起きなかったはずだ。1929年を上回る大不況と大暴落は必ずやってくる。あとはその時期が 1ヶ月先か、1年先かだけである。
問題は、そうした事態を百も承知しているアメリカ政府がそれを逃れる唯一の手段として、とっておきの手段、つまり、他国を介在させて大々的な戦争を仕掛けてくることである。 真の狙いが中国であることは言うまでもないことである。先の来日の際にペトロ・ホボット氏が心配していたのもその点であった。読者には、 これから先の世界の動きを しっかり見守って頂きたいものである。
(私のコメント)
アメリカの不動産金融は証券化ビジネスでリスクゼロで、債権は全て証券化して売り飛ばしていたはずですが、債権回収で苦労していると言う事です。手持ちの不動産融資債権は他に売り飛ばしても、資金運用で持っていた不動産担保証券が焦げ付いていると言う事なのだろうか?
アメリカの金融ビジネスは、デリバティブと言う金融工学に基づいた金融ビジネスで、アメリカの金融産業は空前の繁栄を誇ってきた。ファンドマネージャーには億万長者が続出していますが、リーマンショックで全ての金融商品が転売できなくなって紙切れ同然になってしまった。だからFRBが買い上げて資金供給して金融を回しているのでしょうが、専門家で無いのでよく分からない。
アメリカの株式がリーマンショック以前に水準に戻ったと言うニュースがありましたが、まさにアメリカには株式が下落しない仕組みを作って金融革命が起きているのだろうか? それに対して日本はアメリカほどには悪くは無いはずであり、円がますます高くなっているのに株価は1万円以下に低迷している。
住宅ローンなどが焦げ付いて1年以上返済が無ければ担保を差し押さえて競売にかけて金融機関が債権を回収しますが、これは日本の話でアメリカの場合は債権を証券化して資金は回収しているはずだ。それとも証券化する前の住宅ローン融資が焦げ付いてしまったと言う話なのだろうか?
ニューズウィークやウォールストリートジャーナルやブルームバークなどの記事を読んでもどうも良く分かりませんが、とんでもない事になっている事は良く分かる。アメリカの金融に詳しい人は日本にも沢山いるはずなのですが、どうも良く分からないようだ。日本でも不良債権の処理は大変な問題でしたが、債権と債務は単純であり回収して処理が出来ましたが、アメリカの不良債権処理はどうなっているのだろうか?
問題の発端はニューヨーク連銀が買い込んだ大量の不動産担保証券が問題の発端らしい。大量の焦げ付きが発生しているわけだからどのように債権を回収していくかがまるで分かりませんが、デタラメな大量の書類にサインして裁判所に提出して金融機関が担保を差し押さえていると言う事ですが、こんな事で勝手に処分が出来るのだろうか? 証券化ビジネスで借用書を出せと言われても転売した時点でどこかに行ってしまっている。
金融工学とか金融革命とか言っても、モラルハザードを起こしてしまって機能不全からリーマンショックが起きている。債権債務の関係が証券化でグシャグシャに成って一軒の不動産には数百もの債権者がいる。誰かが委任状をもらって代表して債権を回収して数百もの債権者に分けるのでしょうが、その委任状のサインがデタラメだったのだろうか?
私自身も元は銀行員であり、債務者から白紙委任状をもらって担保解除などを行なってきましたが、差し押さえから競売に到るまでは手続きだけでも大変だ。債権債務が単純でもそうなのだから住宅一軒に数百もの債権者がいたら処理する事は不可能に近いのではないだろうか。
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