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監修:長谷川聰哲(中央大学経済学部)
GATT/ WTOによる多角的通商制度の枠組みが、今大きく変貌しています。世界貿易に占めるFTAや関税同盟を利用して行われる貿易の割合が急速に高まっています。こうした制度的取り決めは、地域貿易協定と通称されています。APEC(アジア太平洋経済協力)はアジア太平洋地域における21か国が加盟する世界最大の地域経済の市場です。APECの主要な活動は、貿易と投資の自由化、ビジネスの円滑化、経済・技術協力です。しかし、APEC自体は、WTOに通告義務対象となる地域貿易協定ではありません。
世界貿易や国境を超えて企業活動を展開する直接投資は、企業間の国境を越えた資材や部品調達などの中間財取引が大きなウエイトを占めています。こうした取引はアウトソーシング(外部調達)と呼ばれます。アウトソーシングが国境を越えて、行われるのがオフショアリングです。
世界のオフショアリングが急速に成長してきましたが、貿易費用が大幅に削減してきたことがその理由として挙げられます。過去半世紀にわたり、貿易費用は全体的に下方傾向を示しています。この中には、伝統的な貿易費用(関税や非関税障壁)と同時に、輸送費や通信費が含まれます。輸送費の下落についての特徴に、遠距離仕向け地への費用がとりわけ大幅に下落してきました。
最近のニュースで、アイスランドの火山の噴火の為に部品が日本に届かなくなり、世界を代表する日本の自動車メーカーの生産ラインが止まったことが報道されたことを覚えているでしょうか。グローバル化した経済の中で活動するこうした企業は、常に、貿易費用が生産コストに追加され、価格に反映するかを計算して行動します。
新しい経済地理学では、貿易費用は、企業がどこに立地するかを決める上での重要な要因です。さらに、生産の国際的フラグメンテーション(生産工程の分断)を進める企業活動は、貿易費用を判断しながら、アウトソーシングあるいは、内部調達、企業内貿易や、国際的企業間貿易(外部企業と手の届く距離にある貿易)を通じた投入物の調達の間で選択するものと理解されています。
アジア太平洋地域における経済的な繁栄は、こうした貿易コストを軽減・撤廃し、シームレスな(繋ぎ目のない)市場のインフラストラクチャーをハードとソフトの両面で整備していくことにかかっています。
2010年に議長国としての日本で開催されるAPEC会議では、この地域的な発展に向けた枠組み整備に対する日本のリーダーシップが期待されているのです。
番組では、変貌する世界経済の中で、APECと日本がどのような役割を担うのかを考えてゆきます。
(登場人物の肩書きや施設等の名称は番組制作当時のものとなります)
2010年度制作
http://twitter.com/Wisdom_Corridor
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