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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20101101-00000002-diamond-bus_all
2009年5月から始まった家電エコポイント制度。ポイントの対象となる薄型テレビと冷蔵庫、エアコンの中でも、薄型テレビの売れ行きは関係者の想定をはるかに超えた。そこに12月以降ポイントが半減されることが発表され、売れ行きはさらに加速している。その現場に迫った。
「12月からエコポイントが大幅に下がります。最大3万9000点が2万点になります。薄型テレビ、冷蔵庫、エアコンを買うなら今がチャンス!」
来店客でごった返す大手家電量販店。そこに畳みかけるように、このようなアナウンスが連呼されている。また、売り場のそこかしこに「エコポイント減額!」のポスターが張り巡らされ、否が応でも購買意欲をかき立てられる。
例年ならば10月は、12月のボーナス支給後に訪れる年末商戦を前に、静けさすら漂うはずの閑散期。にもかかわらず、今年は“異例の大にぎわい” となっている。
無理もない。冒頭のアナウンスにあるように、12月1日からエコポイントがほぼ半分に減額されることになったのだ。そのため、家電エコポイント制度が終了する来年3月までに買い替えようと考えていた消費者が殺到している。
冒頭の例でいえば、11月末までに46型以上の薄型テレビを買うと、エコポイント3万6000点と、家電リサイクルの加算分3000点を足した3 万9000点を受け取れる。ところが、12月1日以降では、まったく同じテレビを買っても、エコポイントが半分以下の1万7000点となり、リサイクル加算を加えた2万点しかもらえなくなるのだ(図参照)。その差は大きい。
ちなみに、売れ筋の32型は、エコポイント1万2000点が6000点へと半減する。また、3.6キロワット以上のエアコンは9000点から 5000点へと半分強になり、501リットル以上の冷蔵庫は1万点から5000点に半減する。
加えて、来年1月1日から制度が終了する3月末までは、リサイクル加算(テレビとエアコンが3000点、冷蔵庫は5000点)がなくなる。そして、エコポイントの対象となるのは買い替えのみとなり、省エネ基準も四つ星以上から五つ星のみと厳格化される。
この制度変更に、いち早く反応したのは消費者だった。「われわれの想像を超えた素早い反応でした」と複数の大手家電量販店の担当者は驚きを隠さない。
というのも、ポイント半減が発表された10月8日の翌日9日には、早くも店頭に客が殺到したのだ。その結果、9〜11日の3連休は売り上げが跳ね上がった。調査会社Gfkジャパンによれば、この週末の薄型テレビは前年の3倍以上の売り上げを記録し、その翌週も前年比3.5倍と売り上げを伸ばしているという。
特筆すべきは、エアコンや冷蔵庫ですら売り上げが伸びた点だろう。もともとエアコンや冷蔵庫の売り上げは前年並みで、エコポイントによる影響はほとんど見られなかった。「制度導入前に買い控えがあった程度。むしろ、天候不順だった2009年は前年を割り込んでいたし、今年は猛暑によって販売が急増した」(大手電機メーカー)というのが実情だった。
それがエコポイント半減の発表以降、エアコンが前年の2.4倍、冷蔵庫は1.4倍に伸びたのだ。
ある大手電機メーカー幹部はこう分析する。「今年は、1997年の消費税3%から5%への引き上げや、2001年の家電リサイクル法の施行で、エアコンや冷蔵庫を駆け込み購入した消費者の買い替え周期に当たる。そこにエコポイントが追い打ちをかけた」。
いずれにせよ、ポイント半減の看板やポスターは用意したものの、すぐに反応はないだろうと踏んでいた量販店や、年末商戦に照準を合わせて商品の販売や製造計画を立てていた電機メーカー各社は、泡を食った。「生産工程を前倒ししているが、長納期の部品などは2ヵ月近くかかるものもあり、限界がある」(大手電機メーカー)と対応におおわらわだ。
「すでに品薄の商品も出てきている」というほどの盛況ぶりで、この勢いは11月末まで続くだろうという見方が大半だ。なかには、今年3月に次ぐ混乱となるのでは、という見方も根強い。
今年3月の混乱とは、4月1日に行われたエコポイント制度の見直しによるもので、省エネ基準の厳格化に伴い、エコポイントが付与される薄型テレビの機種が半減した。新生活需要により、年末の次にテレビが売れるこの時期に、「エコポイントが付くテレビがなくなる」と考えた消費者が殺到し店頭は大混乱に陥った。売り場では客の行列ができ、店頭からは商品がなくなり、商品の配送には優に1ヵ月以上かかった。
今回は、さすがに3月と同じとはいえないまでも、それに近い状況が予測されている。
このような混乱を引き起こしてまで、ポイント半減を決めた経済産業省の狙いは何か。最大の狙いは、制度のソフトランディングだ。
リーマンショック後の景気対策と、来年7月に控えた地上デジタル放送への完全移行のために導入したエコポイント制度だが、「需要の先食いとなるこの制度は“麻薬”のようなもの。常に出口戦略を考えていたが、ここまで売れるとは想定外だった」(経産省幹部)と、実際の売れ行きは経産省の思惑をはるかに超えた。
そのため、12月末の終了予定を来年3月末まで延長し、ピークを12月と3月に分散させた。そして、12月からポイントを半減することで11月にもピークをつくり、制度終了までに都合3回のピークをつくることにしたのだ。
もう一つの想定外もあった。薄型テレビの急激な価格下落だ。たとえば、32型液晶テレビの平均単価は、09年1月で約9万円だったが、今年10月には約6万2000円にまで下がった(Gfk調べ)。しかも、蛍光管タイプであれば4万円台半ばだ。そこにエコポイントが1万2000点付けば、3万円超で32型の薄型テレビを買えてしまう。これで売れないはずがない。「ポイントの原資は2度の補正予算で約7000億円になった。予算不足で半減したといわれるが、これは価格下落への対策だ」というのもうなずける。
これらの施策でいくらかソフトランディングできるだろう。だが、ピークは分散しても、すでに年間1000万台前後で推移してきた国内のテレビ需要は、今年2000万台を突破する見込みだ。もちろん、このプラス1000万台は需要の先食いだ。その反動が来るのは地デジ化の終わった来年7月以降である。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 藤田章夫)
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