http://www.asyura2.com/10/hasan69/msg/911.html
Tweet |
2010-10-31 17:05
http://d.hatena.ne.jp/t1mannen/20101031/1288512322
今朝の新聞は、ジョブカード制の廃止決定を報じている。このことは、民主党政権が導入を検討している資格の「段級制」の社会とは全く相反する方向を仕分け人は進もうとしているということが明白となった。その先は何処かが問題だが…。
政府の「段級制」は、イギリスの資格制度を見倣おうとしているが、表面的な方法論だけの導入では、ただ、混乱をもたらすだけに終わるのではないかと危惧するのは私だけであろうか。何故なら、イギリスとわが国の実情には余りにも大きな違いがあるからである。
第1に、"Education"が「教育」では無い事を考えないとその本質を理解できない。"Education"はここでも度々述べているように「能力開発」であり、「能力」として職業能力を重視しているので、"Education"は「職業能力開発」とも言えるからである。
第2に、その結果、1995年にイギリスは従来の雇用省と教育科学省を統合して、教育雇用省にした。わが国で平成11年に行われた省庁再編の際、文部省と労働省を統合するという発想は全く無く、そのような構想が出たら理解できない者が多かったであろう。しかし上に述べたように、"Education"は「能力開発」と考えれば理解できる。「能力」には職業能力も入るからである。さらに2001年には教育職業技能省に改称した。なお、2001年に技術革新・大学・職業技能省と、子供・学校・家庭省に分割し、それらを2010年9月にビジネス技能革新・職業技能省(Department for Business Innovation & Skills)と教育省(Department for Education )に変更している。「大学」が省庁の名称から無くなっても、大学での教育訓練が営まれないわけではなかろう。今日の新たな教育省が1994年以前の教育省と同じではないことも明らかであろう。
このような行政の下で、新たな人間形成としての職業人育成のあり方の基盤として必要であろう。イギリスが学歴資格と職業資格とを統合し、国家資格制度:GNVQ(General National Vocational Qualification)を整備しているのはこのような背景があるのである。
このようにしてイギリスでは、学歴のみではない職業資格という職業能力を評価する社会をめざしているといえる。
わが国でも遅まきながらそのような職業能力重視の社会をめざして試みを始めたのがジョブ・カード制である。そのジョブ・カード制を事業仕分けで廃止したことは、今日のような「教育」観と文部科学省の行政ではイギリスのような本質的な職業資格の「段級制」の社会への再編はわが国では到底不可能といえるだろう。
ジョブ・カード制の廃止は変革を望まない仕分けであると断言できる。オバマを真似て「変革」と言ったのは誰だったのだろうか? 国民はその「変革」を期待したのではないのだろうか?
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。