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21世紀的な「和」の社会についてです。唐突に聞こえるかもしれませんが、日本が進む方向として議論したいです。(臨時の通貨は、その方向へのきっかけのひとつですが、さらに活用したい方法のひとつとなります。)
つまり、経済的競争に重きをおく自由と、経済的共存に重きをおく自由が、共にあるような「和」の社会をつくれないかというものです。
経済競争に重きをおくやり方では、資源開発をはじめ、大規模な土木工事など様々な冒険事業を行い、公的負担は低く福祉も低くする方向をとります。
一方、経済的な共存に重きをおくやり方では、"気持ち"がより満たされるよう、人々に楽しんでもらうよう支援する社会を目指し、高福祉・高負担を実現します。経済的には共存しますが、様々な競争が繰り広げられる社会でもあります。
おそらく、2〜3割の人達が自由な経済競争を重視するやり方を、7〜8割の人たちが経済的には共存するやり方をとるような姿です。経済競争をする自由は、経済的な共存に重きをおく自由をあまり脅かすことなく、共存に重きをおく自由は、経済的な競争野心にあまり蓋をしてしまわないような仕組みを作っていきます。
こうした仕組み作りを支える精神が、「和」です。
2つの経済の例:2つの外食企業
外食産業に属す2つの企業をとりあげます。1つの企業、Bは、冒険経済に属し、1つの企業、Nは、日常経済に属しています。2つの企業、Bと Nは、異なる戦略をとり、レストラン事業を展開します。
Bは、福祉のための負担は小さくすみ、その分の資源を、当面は、提供する料理の充実と展開するレストランの数を増やすことに力を入れます。そして、売り上げ増を積極化し大量仕入れを追求します。季節に合わせ、メニュを工夫しますが、おおよそのレストランで提供する料理は同じです。接客などは、マニュアル化して、効率を重視します。
経営者は、従業員に、福祉のための負担がない分、近い将来、より大きな給料を払う必要が出てくると見ています。なぜなら、従業員は子供を保育所や学童保育に預けるにもお金が必要で医療機関にかかるときの負担割合も大きいからです。高福祉の経済で展開するレストランがそこそこやっていれば、従業員の間に不平・不満が充満する可能性があり、高福祉の経済で展開するレストラン企業に移る可能性があるからです。
一方、Nは、既存店で提供する料理を充実させることに主力をおきます。仕入れも顔の分かる取引先を増やし、顧客にも、より詳しい食材の説明ができるようにします。子供の誕生パーティなど、小規模の家族パーティに力を入れています。話が好きな従業員には、顧客との雑談をすすめ、話が苦手な従業員には、裏方で、従業員同士で話をするようにガイドします。これなら自分でもできると思えることを増やしてもらいます。
福祉のための負担は大きく、従業員も給料から引かれる負担は大きいです。もっとも、従業員は子供を保育所に預けることはたやすく、学童保育も中学まで行かせることができます。(高齢でもしっかり者は、地域の中学生をうまく遊ばせるような仕組みをつくっているからです。また、高齢者には、小さくても報酬を支払うようにしています。)
顧客は、レストランを選ぶとき、主に、どのような料理か、どのような雰囲気のレストランか、などの理由で選びますが、地域貢献度、お店で使う総エネルギー、顔の分かる料理人、仕入れ先が分かる食材など、他の理由も、より考慮するようです。なぜなら、顧客も、2つの経済のどちらかに属しているので、経済のやり方と経営戦略の関連も意識するようになっているからです。
このように、Bも、Nも、属す経済の特徴を活かせるように、レストラン事業を展開します。顧客も、レストランを選ぶとき、忙しい昼飯のときは考えなくても、ディナーのときは、経済社会のあり方を多かれ少なかれ意識するようになっています。
2つの経済の例:2つの自動車関係の企業
自動車関係の2つの企業をとりあげます。1つの企業、Rは、冒険経済に属し、もう1つの企業、Dは、日常経済に属しています。企業 Rは、自動車用の電池の研究開発を行い、企業 Dは、自動車の売買をしています。
Rは、研究開発計画をいくつかの自動車メーカーに提案し、研究開発費を募り、電池の性能向上のために技術開発を進めています。うまくいけば、最終の売り上げの一定の割合を支払ってもらう契約で、その成果報酬は巨額になるので日々努力を重ねています。従業員も、やはり、開発が成功した場合には、成功報酬を得る契約をして仕事をしています。
他社との競争があり、勝つか負けるか予断をゆるさない中、経営者は、開発した技術のいくつかが売れるよう、すべてにおいて負けることがないように、研究開発の戦略をとっています。
経営者は、福祉のための負担や税負担が小さい分、ほとんどの資源を研究開発に投入しています。
一方、Dは、自動車の売買を行っています。地域の人的関係と、インターネットを使っての関係維持を常に行っています。新車も中古車も、顧客が望めばどのメーカーの車も扱い、自動車修理工場や自動車保険の会社とも密な情報交換をして顧客の要望に応えます。経営者は、お店の数を増やすつもりはなく、継続的な顧客とのつながりを重視して、自動車に関わる情報の提供を行います。
経営者は、定期的に、顧客満足度を調査して、顧客満足度が高いとき、従業員の評価を高くします。販売台数あるいは売上高を評価基準に入れません。販売台数を増やす目標は、周りから評価されないからですが、販売台数を増やし売り上げを大きくしても税が高くなるからでもあります。
経営者は、顧客からの不満が継続的によせられる従業員を解雇せざるをえませんが、解雇後の訓練プログラムがいくつかあるので、解雇にあまり躊躇はしません。
まずは、以上です。
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