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以前、投稿した議論ですが、政府が発行するのではないことを強調したいので、再度、議論させてください。
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日銀が臨時に通貨を発行する政策です。収穫券と呼ぼうと思います。
収穫券も、通常の通貨(日銀券)も、その拠り所は変わりません。日銀券が通常の方法で回りにくくなっているという特殊な時期=GDPギャップが続いている現在、これを解消することが求められています。
ご存じのとおり、GDPギャップは、過剰投資後の投資抑制、若年人口の減少にも起因する需要の継続的な低減、流通する通貨量の減少など、いくつかの理由がからまって生まれています。ひとつ重要なことは、生産・流通によって生み出した価値分を、不動産などの評価損の解消に使ってしまって、解消に使っただけの通貨が消えたことです。
全体として通貨量が低減した結果、企業売上は減り、給料の下げに手を付け、それが継続しています。ゆるやかにデフレスパイラルにはまっています。給料の下げと同時期に、一部には、過激な安売り競争がはじまりました。
従って、消えてしまった通貨分を何らかの方法で補う、そして、金利の低下による小さくなってしまった通貨の流れを、補わなければ、ギャップ(デフレ)は解消できません。
2010年現在、今までの方法では、消えてしまった分と金利の低下による小さくなった流れの分を補うような形で、金融機関から企業へ、そして家計に通貨は流れていません。
非常時的な方法をとる必要があるのではないでしょうか。臨時の通貨を発行し、考え方としては強引かもしれませんが、実施についてはゆるやかに、臨時の通貨を配るのは、ひとつの方法だと考えるのです。
収穫券は、期限付きの通貨で、発行後、一定期間(たとえば一年)がすぎると、紙くずになります。収穫券は、有効期間内は、日銀券と等価で交換できます。
日銀は、地方自治体に、通貨の配布を依頼します。地方自治体は、家計(消費者)に配布するとともに、それを使って事業を行うこともできます。
家計も地方自治体も、収穫権を金融機関に持ち込むことはできません。非金融系企業が、受け取った収穫権を金融機関に持ち込むと、日銀券と交換できます。また、金融機関は、日銀に持ち込めば、日銀券と交換できます。
GDPギャップが一定水準以下になり、デフレが収まれば、日銀は、収穫券の発行を止めます。発行を止めることで、通常の経済・金融政策に戻ることができ、発行した券は順次消えます。
この紙幣の発行により得られることは、以下のとおりです。
1.GDPギャップを、中央政府が行う公共事業、あるいは低金利以外の方法で埋める政策のひとつを提供できるので、政策の選択肢が増えます、そして、
2.既存組織による不必要な既存事業を長らえさせてしまう可能性は、いままでの型の公共事業より小さいです、消費者に不必要なところには、収穫券は回っていきにくいからです、
3.日銀は、通貨の発行権を政府財務省から独立して保持します、国債の直接引き受けや、政府紙幣とは異なります、
4.通貨に寿命があるので、一定期間内に、最低一度は消費活動に使われます、他の形態による通貨の配布、交付金などより貯蓄に回される率は低いです。
この通貨が持つ不都合なことは、なんでしょうか。
1.海外に持ち出しはできません、
2.寿命がきてしまっている通貨を使う、いわば詐欺が横行してしまうリスクがあります、
3.配布してもらった収穫券分だけ、日銀券の利用を抑える人もでてきます、
その分だけ、消費量は増えないです、
4.輸入品の消費が増える可能性があります、
5.くせになってしまう可能性があります、これが一番問題かと思われます。
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政府紙幣、国債の日銀による直接引き受けなどは、政府が行うものです。これらは、結果的に日銀の資産に計上され、とどまり続け、良い解決策が提案されていないのが実際のところです。
いままでの歴史を見ていると、国王による通貨の乱発、国債の過剰発行、その後、政府による国債の過剰発行を、中央銀行が多少でもブレーキをかけてきました。
したがって、日銀が、政府からは距離をおいて、臨時の通貨も発行するのがよりよいのではないかと考えるのです。
(さらに重要なことは、国債の発行は、経済規模の拡大を前提とした時代の政策だと考えています。これについては、別途させてください。)
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