07. 2010年10月20日 21:38:41: IOzibbQO0w
トップ > 投資・金融 > 担当記者が教える! 今週の日経ビジネスはこう読め! 「担当記者が教える! 今週の日経ビジネスはこう読め!」 担当記者が教える! 今週の日経ビジネスはこう読め!2010年10月20日(水) トヨタの見えざる未来 「世界最強」の憂鬱 * 日経ビジネス特集取材班 * ケイレツ * カイゼン * トヨタ自動車 * 世界一 * 円高 * 中国 * リーマンショック * EV * ブックマーク o はてなブックマーク o livedoorクリップ o Google Bookmarks o yahoo!ブックマーク o @niftyクリップ o Buzzurl * Twitter * mixiチェック 1/1ページ 印刷ページ 約6000万年前まで、地球上を支配していた生物は、巨大な恐竜たちでした。彼らが突然滅びた理由は、一説にはカリブ海近辺に隕石が衝突し、地球の天候が激変、恐竜たちが生き残れないほど、気温が下がったり、獲物がいなくなったせいだといわれています。すなわち、地球環境の激変に耐えられなかった。それが恐竜族でした。 そんな恐竜族の足もとをうろちょろしている小動物がおりました。あまりに小さくて、彼らの眼には映りません。が、この小動物は、隕石衝突後の暗く冷たい地球の環境に適応し、その後種類を増やし、地球上の新たな支配群となりました。哺乳類です。そしてその哺乳類の一番最後に登場し、一番地球を支配する立場になったのが、私たち人類です。 進化論を発見したチャールズ・ダーウィンは進化の摂理をこう説きます。 「生き残る生き物は、強いものではない。環境変化に耐えうるものだ」。 画像のクリックで拡大表示 前置きが長くなりました。でも、今回の特集が世界最大の自動車会社「トヨタ自動車」の特集であることをご覧いただければ、この記事の意図がお分かりいただけるかと思います。 ここ数年、トヨタは、まさに隕石に衝突並みの変化に耐えてきました。 2008年度最高益を更新したトヨタは、その年の後半に起きたリーマンショックのあおりを受け、一転大赤字に転落します。黒字に回復しようとする最中、今度は主戦場の米国で、「リコール問題」に悩まされ、新時代の基幹車種であるプリウスも急発進のおそれあり、という過熱報道に遭い、深い痛手を負います。けれども、世界でおそらくもっとも洗練された製造業であるトヨタはめげませんでした。その間に破綻したかつてのナンバーワン、ゼネラルモーターズ(GM)を超えて、自動車市場のトップに上り詰めたのです。 そんなトヨタ自動車を率いる豊田章男社長の表情は、しかし市場を制覇した王のおごりもたかぶりもありません。むしろハムレットの主人公のごとき苦渋の表情をしばしば浮かべます。 理由は明白です。トヨタにとって第二、第三の隕石が次々と落ちていこうとしているのですから。 今回の特集は「世界最大の自動車メーカー」となったトヨタ自動車が抱える勝者ならではの内なる課題と危機について、徹底取材を行いました。 隕石その1は、「円高」とケイレツの再構築です。 乾いた雑巾を絞る、といわれたトヨタの徹底したコスト管理と、その管理下で鍛えられたトヨタのケイレツ企業たち。カンバン方式で結ばれたこの製造ラインの効率性と高品質が、トヨタを支えてきました。 けれども、中国をはじめとするより低コストな国々が自動車生産に乗り出し、日産自動車はついに看板車種「マーチ」をタイで生産し始めました。しかも未曾有の円高基調が、国内での生産を困難にしています。 精緻なケイレツの経営で名をはせたトヨタはいま、自らが創り上げたあまりに巨大な、そうまさにかつて地球を闊歩していた恐竜のごとき、この製造ネットワークの再編を余儀なくされています。 隕石その2は、米国生産拠点「NUMMI」の閉鎖です。 1984年、米国に本格進出をするために、トヨタはGMと共同でカリフォルニアに85万平方メートルの巨大工場をつくりました。が、GMの経営破たんに伴い、この巨大工場を一社で操業することはままならなくなりました。成熟したとはいえ、米国は世界で最も重要な自動車市場です。トヨタは、どうこの市場に製品を供給し続けるのでしょうか? 隕石その3は、米国以上の巨大市場に成長するかもしれない、中国市場への対応の遅れです。 トヨタが実は非常に苦戦しているのが、お隣中国での販売です。製造と販売の体制が分離していたために、中国市場でのニーズにすばやく応えることができず、販売機会を逸していました。日本では圧倒的な販売網を駆使して、市場シェアをつかんできたトヨタですが、中国においては世界の自動車メーカーのひとつにすぎないのです。この急成長市場をどうキャッチアップするのか。その成否は、そのまま今後のトヨタの命運を分けかねません。 断っておきますが、トヨタ自動車は、冒頭で記した「恐竜」たちとはある一点において、まったく異なります。それは彼らが、自分たちをとりまく環境が激変するであろうことを明確に意識し、環境に合わせて「進化」しようと誰よりも努力を重ねているからです。以上3つの隕石衝突による環境変化にも、トヨタ自身の「カイゼン」魂が彼らを新たなステージに進化させることで、サバイバルできる、のかもしれません。 ただし、そんなトヨタをもってしても、いや既存の自動車メーカーすべてがかつての「恐竜」のような立ち位置になりかねない、巨大な第4の隕石が落ちようとしています。 EV=電気自動車革命です。トヨタは環境対応の面においては、ハイブリッドカー「プリウス」などで圧倒的なシェアをすでに獲得しています。さらに自社でも独自にEVの開発を行っています。そのトヨタが、アメリカのEVメーカー「テスラ」と提携しました。まだたった1台のEVを開発しただけのベンチャーとあえて手を組んだのにはわけがあります。それは、EVは、エネルギーの側面のみならず、自動車製造のこれまでの「常識」をすべて覆しかねないからなのです。トヨタはいわば「つばをつけた」わけです。 テスラの本社はシリコンバレーにあります。もともと大手IT企業が使っていたオフィスでした。そう、テスラはメーカーというよりは、その本社の所在地が象徴するようにIT企業的なのです。 実際、EVは巨大な製造ピラミッドがなくても生産可能です。むしろデルコンピュータが開発したような「デルモデル」、クラウド的に必要なパーツを購入し組み合わせアッセンブリーすることで、完成車を作ることが可能なのです。テスラのEVのボディそのものが、英国のロータスのそれを借りているのが象徴です。テスラそのものがトヨタの存在を脅かすとは今のところ考えにくい。けれども、現在のEV市場から新たな企業や商品が生まれ、やがて既存の自動車市場を駆逐しないと、誰がいえるでしょうか? その可能性を最も危機に感じ、なんとか先手を打とうとしているのがトヨタです。 さあ、生き残るのは誰か。続きは本誌で。 詳しくは、日経ビジネス10月18日号をお確かめください。 【特集】 トヨタの見えざる未来 「世界最強」の憂鬱 【主な内容】 ●”超円高”でも国内雇用は守る!原価低減・生産再編でモノ作り再構築 ●中国発、製販一体の新トヨタ生産方式「SLIMシステム」の全貌 ●ダイムラー、日産にコア技術を供与、利益極大化を捨てる * シャープ・AQUOSが4原色技術で起こすテレビの革命 * 経営者の課題・悩みを、Q&A形式で解決に導きます * トレーディングのプロはインテルXeon搭載Zを使う * 【三菱商事】総合的な電力供給のために(前編)
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PR * このコラムの最新記事 o 2010年10月20日 トヨタの見えざる未来 o 2010年10月14日 ストップ! 日本倒産 o 2010年10月4日 日本版ビジョナリーカンパニー 衰退に抗う不沈企業 o 2010年9月29日 次のサムスンはどこだ o 2010年9月22日 外食日本一 ゼンショー o 担当記者が教える! 今週の日経ビジネスはこう読め! 記事一覧へ * 「投資・金融」分野のおすすめ記事 o 時事深層 世界通貨戦争、敗者は誰だ o テレビ東京アナウンサー 水原恵理の「聞いて分かったトップの条件」 〜業績を100%立て直す自信を持っていました〜 o 統計学者吉田耕作教授の統計学的思考術 国際競争力ランキングに一喜一憂する必要はない o Money Globe from NY(勝藤 史郎) 州・地方政府の財政危機はここまできている o 日本経済のゆくえ 「最低賃金800円」でワーキングプアは解消されるか o 「投資・金融」分野の記事一覧へ
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