06. 2010年10月05日 12:56:41: IOzibbQO0w
中国がギリシャ国債を買い増す理由 2010/10/04 (月) 11:07 中国がギリシャ国債を買い増すとか、ギリシャ国債購入などという記事が出ています。ほう、中国が‥、で、買う対象は、今年財政悪化で世界を驚かせたあのギリシャの国債? 中国の首相は、ギリシャを「中国にとっての最高の友人」だと表現したといいます。 まあ、中国がどこの国と仲良くしようとそれは中国の勝手ですし、またどこの国の国債を買おうと、それもまた他国が気にするようなことではないわけですから、どうぞご勝手に! しかし、ギリシャ国債と言えば、ひょっとしたらデフォルトを起こすかもしれないということで、投資家が投げ売りをしたような国債であるわけです。幾ら中国が、ギリシャのことを好きだとしても、そうした国の国債を今後も買い続けるということがあるのだろうか、という疑問が浮かんできます。もし、仮にそうであるにしても、何か魂胆があるのではないか、と。 さあ、皆さんは、今回の中国の発言をどのように解釈するでしょうか。 (1)中国は、ギリシャの友人であるから、当然のこと。 (2)中国は、ギリシャの国債を既に保有しており、ギリシャ国債の価格が上がれば、自分の利益にもつながるので、そうした発言をした。 (3)尖閣諸島の問題で、中国に対する国際的な風当たりが強まっているので、イメージチェンジを図りたかった。 (4)ギリシャ国債を買い増すということは、米国国債の保有を減らすということを暗に示しており、米国にプレッシャーをかける狙いがある。 (5)対中制裁法案などによって米国が益々人民元の切り上げを求めることとなれば、ドル買い介入も制限せざるを得ない事態も予想されるので、そうなった場合にはユーロ買い介入を行い、中国の競争力を保持しようとすることを狙っている。 さあ、如何でしょうか? 私は、以上の5つの要素が微妙に絡んでいると思うのですが、その前に大事なことを指摘しておきたいと思います。 それは何かと言えば、中国がギリシャ国債を購入するなどと言えば、近いうちにでもそうした行動に出るかのような印象がありますが、そもそもギリシャはEUやIMFに資金支援をしてもらっているために、2012年までは国債を発行する必要性はないということなのです。 では、何故そのようなことを中国は発言したのか? それは、ギリシャ政府が来年以降に国債の発行を再開したいとの意向があるようであり、もし、ギリシャ政府が国債の発行を再開するようなことがあれば、その時には‥、という飽くまでも仮定の話に過ぎないということなのです。 つまり、今回のニュースは余り真剣に受け止めることは適当ではないのだ、と。多分にリップサービスの要素を含んでいると考えた方が良いでしょう。 ただ、その上で、もう一言言いたい。 私は、対中制裁法案が法律として成立する可能性は小さいとみています。ただ、そうは言っても人民元切り上げの圧力は今後も強まるでしょう。何故ならば米国では選挙が近付いているという事情があるからです。で、そうなるとどうしても少しは中国も米国の意向を考える必要が出てくる訳ですが、その時、たとえ人民元がドルに対して価値が上昇しても、ユーロに対しては価値が低下することになれば、全体としては中国の輸出が急減するような事態は心配する必要がないということなのです。 ユーロとドルの関係を見てみましょう。 <ユーロの価値、単位:ドル> 2008年7月末 1.5589 2008年8月末 1.4669 2008年9月末 1.4081 2008年10月末 1.2682 2008年11月末 1.2694 2008年12月末 1.3919 2009年1月末 1.2804 2009年2月末 1.2662 2009年3月末 1.3261 2009年4月末 1.3244 2009年5月末 1.4126 2009年6月末 1.4020 2009年7月末 1.4279 2009年8月末 1.4354 2009年9月末 1.4630 2009年10月末 1.4755 2009年11月末 1.4994 2009年12月末 1.4332 2010年1月末 1.3870 2010年2月末 1.3660 2010年3月末 1.3526 2010年4月末 1.3302 2010年5月末 1.2369 2010年6月末 1.2291 2010年7月末 1.3069 2010年8月末 1.2704 本日は、1ユーロ=1.3775ドル近辺で推移しているようですが、ご承知のとおり今年に入ってユーロは対ドルで弱含みに推移してきたわけであり、そのことは、ユーロが対人民元に対しても弱含みで推移してきたことを意味するわけです。中国としては、ここはユーロのもう一段踏ん張ってもらい、ユーロの価値を買い支えることになれば、自国の輸出にとっても有利に働くと読んでいるのではないのでしょうか。
つまり、今後ドルを買い支えるのが暫く難しくなるので、今度はユーロを買い支えて輸出の伸びを維持しようとしているのではないか、と。 以上 |