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スバルの次世代水平対向エンジン 「日本メーカーの誇り」に大反響 (J-CAST)
自動車メーカーの次世代エンジンの開発競争が激化する中、スバルの富士重工業が第3世代の新型水平対向エンジンを開発し、約10%の燃費向上を達成したと発表した。環境性能と動力性能の両立を図り、2010年秋にも主力のSUV「スバルフォレスター」に搭載し、順次、「スバルレガシィ」などに投入するという。
スバルの第3世代水平対向エンジンのニュースは、一般紙や経済専門紙のほか、NHKでも大きく報じられ、日本経済新聞のアクセスランキングで上位にノミネートされるなど反響を呼んでいる。
大手マスコミがこぞって大きく取り上げる
中堅メーカーのエンジン開発のニュースが、これほど反響を呼ぶのは珍しい。NHKは2010年9月24日深夜のニュース番組で富士重工業の森郁夫社長をゲストに迎え、次世代エンジンを開発した狙いなどを詳しくレポートした。次世代エンジンをめぐっては、これまでマツダが新型の直噴エンジンを開発し、燃費を約15%改善。日産も新型マーチに搭載した直列3気筒エンジンをベースにハイブリッド車並みに燃費を向上させた直噴エンジンを開発したなどと発表しているが、これほどの反響はなかった。
大手マスコミがスバルの新型水平対向エンジンのニュースを大きく取り上げるのには理由がある。それは水平対向エンジンが技術的には理想のエンジンで、かつてはヨーロッパの名門メーカーがこぞって採用していたにもかかわらず、コスト削減を理由に次々と撤退したからだ。今日では世界の自動車メーカーで水平対向エンジンを量産しているのは、スバルとポルシェだけになってしまった。
それだけに自動車ファンにとっては、かけがいのない存在となっているのだ。航空機メーカーでもある富士重工は技術を優先する指向が強く、今日まで一貫して水平対向エンジンを量産し続けており、それが個性となっている。
水平対向エンジンとは、文字通りピストンを水平に寝かせた形のエンジンで、クランクシャフトを中心にピストンが左右対称となるため、低重心で回転バランスにすぐれた究極のパワーユニットとして知られる。このため、かつては独フォルクスワーゲン、仏シトロエン、伊フェラーリ、アルファロメオなど技術指向の名門メーカーがこぞって採用していた。ところが、一般的な直列エンジンに比べると部品点数が多く、製造コストがかさむため、多くのメーカーが撤退せざるを得なかった。
トヨタと開発中の次世代スポーツカーにも搭載
だが、より趣味性の高いスポーツバイクの世界では、独BMWとホンダが水平対向エンジンを現在も生産していることからも、水平対向エンジンの優秀性がわかる。セスナなど世界の主な軽飛行機も、ほぼ例外なく水平対向エンジンを搭載している。
スバルの新型水平対向エンジンは、1966年発売のスバル1000に始まるEA型が第1世代、89年発売の初代スバルレガシィに始まるEJ型が第2世代に当たり、今回の第3世代は21年ぶりの刷新となる。スバルは「構造を基本骨格から全面的に刷新し、軽量コンパクト、低重心、優れた振動バランスなどの強みはそのままに、環境性能と全域のスムーズな加速といった走行性能を高次元で両立した」と説明。「将来、新たな環境対応を視野に、発展性を考慮した設計とした」とも語っており、2012年に投入するレガシィのハイブリット車にも対応していることを示唆している。
この次世代エンジンは、トヨタ自動車がスバルと開発中の次世代スポーツカー「FT−86」(仮称)にも搭載されるのは確実だ。トヨタは、燃費がネックとされる水平対向エンジンの燃費向上をスバルに要求したと伝えられており、今回のエンジンがスバルの回答と言える。
最近の自動車が「白物家電」に近づき、メーカー間の個性が失われつつある時代に、スバルの水平対向エンジンはマツダのロータリーエンジンと並び、強烈な個性を放つ存在であることは間違いない。ハイブリッド技術だけでない、日本メーカーの誇りでもある。
[ 2010年10月3日11時00分 ]
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